それがぼくには楽しかったから 全世界を巻き込んだリナックス革命の真実 (小プロ・ブックス)
- 小学館プロダクション (2001年5月10日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (380ページ)
- / ISBN・EAN: 9784796880015
作品紹介・あらすじ
ひとりのオタクの部屋から生まれたプログラムは世界、宇宙までも巻き込んだ!生みの親がはじめて語るリナックス哲学。
感想・レビュー・書評
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学生のときにプログラミングの基礎の勉強していたときに、Windows以外のOSってなんだ?と思い、「UNIXという考え方」と合わせて購入した一冊。2年後越しくらいの積読。オープンソースとか企業の利益とか最後はそこにつながるので、社会人になった今で良かったかもしれない。
読み始めから、洋画の字幕を読んでいるのような、語り口調にわくわくしながら読めた(原文もユーモラスとはあったが訳者のおかげ?)。当時のPCのことやOSの細かい知識はないけど、著者の言うプログラミングの面白さ:命令通りのことをコンピュータがする、そのこと自体が面白い はわかる気がする。簡単なプログラムでもバグが治ってうまくいった!!!!の瞬間はきもちがいい。あと、フィンランド人(沈黙という伝統)と日本人に似た気質があるように思えたことと、サンフランシスコには行ったことがあって自分も町が好きだったので、勝手に親近感を感じながら読んだ。
Just For Fun(楽しいだけで十分だ)。著者はこれに突き動かされていて、だから「世間の風にあたっていない」ような印象があったり、オープンソースという考え方に至ったように感じた。オープンソースや知的財産権に関する論争はする予定もなかったし、思わぬ出来事・もめ事が多かったと思うけど、思想に芯があったから、ユーザーもついてきて、争いとか利益に飲まれずにLINUXが浸透したんだと感じた。
同時に、自分の核・判断基準はなんだろうと思う。最近はSNSが流行って、人に羨ましいと思われること、他人から見栄え良く映ることが優先されてきているけど、自分が楽しいと思えることや自分が価値を感じることに時間を費やしたいなと改めて思った。手始めに、使わなくなってきた私用PCにLINUXを入れて、環境を変えてみたい。面白そうだから。
以下は印象に残った部分。
・人生にとって意義のあること、原動力:生存、社会化、娯楽
・UNIXは「小さいものは美しい」、アルファベットは26文字、中国語は複雑
・聴衆はおまえがうまくやることを望んでいるんだ
・人を導く最高・最善の方法は、人に仕事を任せること
・「自分がしてほしいことを人にもしてあげよう」「自分のすることに誇りを持て」
・社会的動物は命令されるのが好き
・知的財産権と特許権詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
オープンソースはもちろんのこと、Appのプラットフォームビジネスやフリーミアムも、はたまたシェアエコノミーも。はてはMakerムーブメントもすべてはここに端を発しているのかもしれない。
フィンランドのオタクが育てた小さな芽が、本人すら全く意図しないような成長を遂げ、やがて世界を変える原動力になっていく様は感動的。
リーナス・トーバルズは時に無私無欲なIT界の聖人と誤解されることがあるらしい。でもそれはどうやら違っていて、まさにタイトルにある通り「楽しいこと」を突き詰めたひとりのギークだった。 -
リーナスの考えに触れることができる。最初の半分くらいは本当に自叙伝であまりおもしろくなかった。後半から著作権の考え方やGPLの考えなどが読めて参考になった。
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発売当時にも読んだので、今回が2度目の読書でした。
今読むと、リーナスのトランスメタへの就職など、感慨深くなる部分もありました。 -
Linuxエンジニアとして、あるいはOSS技術を活用するWebサービスの従事者として、更にはOSS文化を大切にする仲間の一人として、自らが身をおく世界がどのような流れの中にあるのかを体感できる素晴らしい本だった。
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10年前に読んだ本だが、もう一度読み返してみた。著者の一人であるLinus Torvalds氏はLinuxの開発者として良く知られているが、先頃ミレニアム技術賞を受賞されたので、今一度このエッセイを読みたくなったのかもしれない。
Linus氏はAppleのSteve Jobs氏とは全く違う方法で成功した事がわかる。ただ、二人に共通する事は、やはり「良いものを作りたい」という情熱があったという事ではないだろうか。Linus氏はLinuxを開発することは「楽しい」と言う。その楽しさは、もの作りの満足感を得る事とつながっていると思うが、その作品が質の良いものを目指して進化し続ける所に面白さがあるのではないか。
本書ではLinus氏が人生の目的について語っている。人間は三つの段階で発展するが、この考えにはかなり共感が持てた。改めて考えてみると、なるほど著者の考えは人生の多くの事に当てはまるように感じる。
「知識や技術を支配する事で金儲けをしようとするなら、結局はうまくいかないだろう」と言う言葉は非常に印象的である。この事は歴史的に何度も繰り返された事実であるが、どういうわけか無駄である事に気付いていない人間が多いらしい。
何でも一つの事を極めようとして来た人の言葉はなんとなく重みがあるような気がする。楽しいからやるというのは一番素朴で素晴らしい事なのだろう。 -
Linuxの開発者の自伝。
Linuxがどう開発されてどう広まっていったのかと、それを作り出した1人のオタクの人生の話。
1人のオタクのPCから始まり世界中へユーザを拡大し、最大のプロジェクト、コミュニティとなった、Linuxをどういった考えでマネジメントしてきた(というより流れにまかせてきた)かなど、経営者の書いたような自伝やビジネス書とは一線を画していて面白い。
タイトルにもあるように『Just For Fun(それがぼくには楽しかったから)』といった部分が本当に大きいのだと思う。
後半は、オープンソース文化や人生哲学?についての話題が多く、10年前の本といえども現在にも繋がっている感じ。
また、同内容を扱った映画『レボリューションOS』はドキュメンタリーテイストで途中で飽きてくるような感じだったけど、この本は訳者が素晴らしいのか、言い回しとかも軽妙で面白かった。
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序章 人生の意味Ⅰ
第1部 オタクの誕生
第2部 オペレーティング・システムの誕生
第3部 舞踏会の王
終章 人生の意味Ⅱ
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this book made me in the mood for a self-building minimum OS.
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Linux誕生秘話というわけではないが、どういう流れでLinuxが誕生したががわかる。リーナスの人柄がめちゃんこいいやつだってのもわかる。OSの仕組みについてもっと知りたくなった。
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リーナス・トーバルズの”just for fun”「それがぼくには楽しかったから」は面白かった。Linuxの成功はソフトウェアそのものの良さと、オープンソースの良さと、リーダーであるリーナスの倫理観の良さが複雑に、そして上手に絡み合ってできたことがよくわかった。