和解技術論: 和解の基本原理 (法学の泉)

著者 :
  • 信山社
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  • Amazon.co.jp ・本 (189ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784797222616

作品紹介・あらすじ

第一版出版後、民事訴訟法の改正があり、最近では司法改革ということで、司法のあらゆる面で議論がなされ、多数の新立法が予定されています。裁判官の意識、裁判所の雰囲気も大きく変化しましたし、著者自身の実務や考え方もその影響を受け、少なからぬ進歩、発展があったように感じました。そこで、和解技術論第一版を改訂し、現在の実務や司法の状況にすこしでもあった改訂版を出すことになりました。

感想・レビュー・書評

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  • 草野元判事は、心証形成と離れたかなり純粋な交渉として和解をみているというのが驚きだった(極端な例では双方の希望額を半額・倍額にしていって上下逆転したらその間の額を呈示するとか)。
    自分のまだまだ少ない経験の中では、和解が成立するのは、自分が主張や証拠をある程度整理できて心証が見通せたと感じた事件ばかりで、「このラインでの解決が妥当では」というのがないと、和解を進める方向性がつかめない。たぶん自分がもともと交渉や駆け引きが好きとか得意とかでないタイプだからなんだろう。熱意方面だと思う。
    そこはホント各裁判官の個性なんだなと思ったけれども、むろん交渉と無縁で和解ができるわけはないので、いろんな具体的な方策や心構えがとても勉強になりました。

  •  裁判官が和解技術を論ずる。当時は,このこと自体,一種センセーショナルだったのではないか。著者の言う「判決派」が裁判官のマジョリティだったということもあるが,裁判官が外部に手の内を晒すという意味でも,大きな決断が必要だったのではと思う。
     実は本書はタイトルだけでアマゾン購入しており,弁護士向けだと思い込んでいた。開いてみると裁判官の和解勧試についての本で,正直失敗したと思った。しかし,読んでみると弁護士にとっても非常に参考になる。それは,著者が和解を当事者の自主的紛争解決機能を重視する「交渉型」と捉えているからである。間に裁判官が入るかどうかは異なれど,当事者同士の交渉によって和解が成立するのは,訴訟上外で変わりはない。本書で紹介される具体的な和解案の類型は,訴訟外の和解交渉でも頭に入れておく必要がある。単に足して2で割るのではなく,人間心理を踏まえた主観的公平性が,和解成立のカギなのだ。
     ともすると,単に判決を回避するためと思われがちな和解について,裁判官としてここまで踏み込んで取り組まれる姿勢は素晴らしい。こういう裁判官が増えるといいなぁ。

  • 非常に面白い。
    土地を三人で分ける方法に関心。実際は難しいのだろうけど。和解は裁判官のキャラクターによるところが多いと思う。

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著者プロフィール

弁護士、元広島高等裁判所部総括判事、元学習院大学法学部教授

「2020年 『新和解技術論 和解は未来を創る』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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