非行少年の消滅―個性神話と少年犯罪

著者 :
  • 信山社出版
3.65
  • (3)
  • (9)
  • (11)
  • (0)
  • (0)
本棚登録 : 55
レビュー : 6
  • Amazon.co.jp ・本 (349ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784797222746

作品紹介・あらすじ

本書は、近年の日本に見受けられる少年犯罪の特徴を、後期近代社会に特有の社会的性格の表われとして論じたものである。現在の少年たちが置かれている社会的状況の分析に研究の焦点を絞り、その状況を創出しているメカニズムの解明をとおして、この時代に特有の少年犯罪の性質を探るものである。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
  • 動機不分明型犯罪につき、社会学的手法から理解を深めようとするもの。著者は、個別犯罪は多様な要因の関与を想定でき、偶有性もあるため、個別事情を渉猟しようとも原因解明の道筋にはつながらないとする。真っ当と思える。さらに、動機不分明型の犯罪を、社会が抑圧性を失い、原初的衝動がそのまま発露したものとしつつ、他者が自分を見つめていることへの感受性の欠如も社会的要因とみているようだ。その前提として、個性に価値をおく近代ないし近代の教育が、本来他者との比較で考えられるはずの個性を誤って理解させたと見る。示唆に富む本だ。

  •  少年犯罪は凶悪化しているか? いや、増えてないし、凶悪化もしてない。しかし、「「わけのわからない」「いきなり」「集団で」……という「質」の変化に注目してみると、若者たちの置かれている状況が見えてくる。凶悪化というより、「衝動化」「幼稚化」している若者犯罪は、「ほんとうの自分をみつけよう」と「個性」を煽る社会によって、内閉化した若者たちの焦燥のあらわれだった。

     著者はさまざまな統計、言説を手がかりに、「わけのわからない」少年犯罪に、一本通った筋道を提示している。いわゆる「俗流若者バッシング」とは一線を画す内容で、まさに「現代的」としか言いようのない、若者たちの心理・行動を見事に分析している。
    とくに、近頃むやみに称揚されている「個性」というキーワードを軸に、それがどのように「神話」となっているか、どのような影響を社会に及ぼしているかにせまる手際はおそろしいほど説得力がある。

     改正された少年法は、「少年犯罪」に対してますます厳しさを増す世論を反映している。「わけのわからない」犯罪に、大人は頭を悩ませ、結局は少年の「心の闇」のせいにしてひとときの平安を得る。しかし、ほんとうにそれでいいのか? 子どもは、社会の鏡ではないのか? ポストモダンな社会で、あらためて「社会」と「少年」との関わりを考えるうえで、まさに「必読」の書だと考える。

     ちなみに、岩波ブックレットの『「個性」を煽られる子どもたち』は、この本の「個性神話」の部分の骨子をまとめ、わかりやすくしたもの。手軽さを求める人は、こちらを。

  • 卒論関係
    そうじゃなくても面白い
    このテの本にしては結構まともなことを言ってると思う

  • ゼミの文献講読の課題本。

    ・・・社会学専攻にしたことを今さら後悔しています。
    正直、何の興味も持てないどころか苦痛で仕方がない。。。

    そもそも日本文化史がやりたくて大学受けて
    いろんな大学ちゃんと調べて勉強できそうな学科選んで
    でもまさか慶應受かるとは思ってなかったから慶應だけは調べてなくて。

    唯一受かった慶應にはそんな勉強できる専攻はなかったのでした。っていうオチw

    それでも関場さんがいれば国文で近い研究はできたかもなのに
    まさかのタイミングで定年退職しちゃうし。

    友達が多いというだけで選んだ社会学は
    学べば学ぶほど自分の向いてなさが露呈するばかり。
    オールAが普通って噂の専攻必修はBとCばかりですww

    個人主義なのでものごとを平均化して上から目線で見るのが苦手。
    自分なんかにそんな権利ないのにとか思って悲しくなってしまう。

    でもこれから生きてくためにはそういうの必要なんだろうなぁ。
    もっと割り切って自分のやるべきこと考えるべき時なのかもしれない。
    社会に適応するための修行だと思って2年間がんばります。

  • ゼミの先生の本です。
    「少年は人格の体現者である。」
    テストにでました 笑

  • 分類=非行・少年犯罪・個性・教育。03年12月。

全6件中 1 - 6件を表示

著者プロフィール

筑波大学人文社会系教授/社会学

「2018年 『談 no.112 感情強要社会』 で使われていた紹介文から引用しています。」

土井隆義の作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
デュルケーム
エーリッヒ・フロ...
ミシェル・フーコ...
有効な右矢印 無効な右矢印
ツイートする