- Amazon.co.jp ・本 (472ページ)
- / ISBN・EAN: 9784797270341
作品紹介・あらすじ
◆従来型の法的枠組からの脱却は可能か―医と法のあるべき姿、共通認識への解を指し示す◆
医と法、双方に長く携わってきた著者による貴重な書 ― 医と法のすれ違いと平行線。その交錯点における葛藤。従来の法的枠組からの脱却は可能か。COVID-19に関する課題で露呈した、社会正義・対話の必要性。徒労の半世紀を越え、医と法のあるべき姿、共通認識への解を求め、共通の土俵上での取組みは、まさに「待ったなし! 」。
感想・レビュー・書評
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裁判官が医療の不確実性・不確定性、医療には一定の確率でのリスクが織り込み済みであることを理解しないまま、医療訴訟を弱者救済を主眼としたものとして取り扱えば、医療システムにおける医療弱者を無視し、try and errorにより発展していく医療システムが歪めることに警鐘を鳴らす。長年医師として医療の発展と医療訴訟に鑑定人として関与した経験から、医療に確率論的に低くても織り込まれてしまうリスクに当たってしまった患者を医療災害として補償するセーフティーネットとなる制度と再発防止のためのフィードバックシステムを創設し、医療で避けられない不幸な結果について無理に医師個人の責任追求をするのではなく、医療システムの中で未来志向で原因の徹底的に検証を行うことを提案する。医事法のみならず民法、民事訴訟法、刑法についても理解した上でそれでもなお医師の立場から欠陥があるといわざるを得ない制度や判決を批判しており、当然のことながら医療に関する内容も適宜注釈があり、医療関係者が読んでも法律関係者が読んでも内容を理解することができる一冊。内容自体はとてもわかりやすく医療側の環境、制度、事情や主張がわかり、また広い教養を背景とした社会学的記述もとても示唆的だったが、どうしても筆者の「もう」という言葉の使い方や頻度が目についてその点が残念だった。それほど法側に対して言いたいことは山ほどある、ということなのだと思うが、法側の人間に医療側の事情を正しく理解させるためにはもう少し主観を排した記述でも良かったかな、という気はする。ただ、国民皆保険制度、医療適法論、意思という法律用語への批判、学派争い、医療弱者の被害者性など、法側が熟慮していないと思われる法的な観点に対しても異議を述べられており、法側は真摯な回答をすべき事項だと思う。
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