なぜ勉強するのか? (SB新書)

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  • Amazon.co.jp ・本 (176ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784797333442

感想・レビュー・書評

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  • サハラ砂漠の砂の数に例えられていたところが、そんな例え方があるのかと目から鱗。子どもに「なぜ勉強するの?」と問われた時に、応えられるようになりたいと、その参考にしたいと手に取った。子に、未来は明るいと言い切っていきたいという部分に激しく共感。本題とは違うが、私自身ももっと深く調べて分かりやすく噛み砕いて説明できるようになりたいと思う材料がチラホラ。
    全体を通して筆者の熱量を感じ、「おわりに」を読み終わった時にはあつさを感じるほどだった。本書はもちろん筆者の解釈、意見なのだが、ひとつの考え方として、私には非常に貴重な本になった。
    何度も読み返したいと思った。表紙がブクログの画像は女子高生が写っているものだったが、手元にあるのは人物やイラストは無く、おうど色と白色の色のみのものだった。2019/8/19

    2019/9/4ざっと再読。覚えておきたいところをメモ。
    筆者が何度も訴えていたのが
    「理解力(読解力)」「想像力」「表現力」が全てに通じており、大切だということ。そして大人は「未来は明るい」と子どもらに伝えていこうということ。
    私は、どうだろう?変に「よく思われたい」という自意識が出て、本質でない行動や言動をしてしまうことが多々あるのではないか。大きな社会問題や身の回りのコミュニティの問題も、自分の身近な問題も、「本質」は何なのか?「自分が」したいこと、ありたい姿、あってほしい状態、は何なのか?そこから目をそらさずに向かい合って、考えて、言葉にして、そして解決策なり自分が取るべき行動なりを見つけ、実行していく力が大切なんじゃないか。(=理解力、想像力、表現力)
    …そう、改めて思うきっかけをもらった本となった。そして、今このレビューを書いていて、今自分が感じていることを言葉にすることができない力不足さ、語彙力の貧弱さを悶々と感じている。社会人になって自分の説明能力と課題を明確にする力の不足を痛感して、こりゃ読書やろ、と思って徐々に読書量を増やしてきた。その中でブクログ始めて読書量がガツっと増えて早3年。読み方も変わってきた。が、まだ語彙力は貧弱。
    自分が知らなかった知識も多分に書かれていた。
    何度も何度も読んで、自分の取るべき行動は何なのか、考える土台にしたい。そんな本だった。2019/9/4
    以下、断片的に引用。
    p136…文化は共通である必要はありません。欧米にもアフリカ諸国にもすばらしい文化があるし、わが日本にも世界に誇れる文化があります。しかし、だからと言って、あなたはあなた、わたしはわたしの勝手と、相対主義に逃げ込むだけでは、何も生まれません。世界に共通の論理を作った上で、各国各民族の文化を守る、共通の中から特殊
    性を見出すことは不可能ではないとぼくは考えます。
    二〇〇三年にSMAPが歌う「世界に一つだけの花」が大ヒットしました。あの曲の歌詞には、どんな花にも美しさがあり、何が一番かは決められない、人間だってそれぞれ個性が違うのだから、競い合わなくていいじゃないかというメッセージが込められています。
    イラク戦争の開戦前に流行ったため、一種の反戦歌のようにも歌われたようですが、あのメッセージを広めるだけでは平和は絶対に来ません。それぞれの個性を認めるのはいいとして、人類は共通の基盤を模索しなければ共存できないのです。「君は君、ぼくはぼく」という割り切りからは何のコミュニケーションも生まれません。
    すべての花には与えられた役割があります。それは、その花に与えられた範囲で精一杯美しく咲くように努力することであり、地球を百花線乱で覆うことです。人間も同じです。個性が違うのはかまいませんが、共通の論理のもと、みんなで生きていて「楽しい社会、生きる実感が得られるような社会を作っていかなくてはいけません。
    「それぞれでいいじゃん」「努力しなくてもいいじゃん」という甘いささやきからは何も生まれません。
    -情緒で動かず、相対主義に逃げ込まず、世界に通用する論理を手にいれることが大切だということですか。
    (中略)一人一人の人間がきちんと意見を出し、それぞれが責任ある意見を戦わせることは、わがままや個人主義とは異なります。これをやらないと、よりよい答えは見つからないのです。もちろん、物事をクリアに考え、はっきりと意見を述べるには勇気が必要です。日本人にはこの勇気が欠けています。

    p143…日本人に決定的に足りないものが論理です。
    日本語は、しばしば腰味な言語と言われます。英語と比較すると、その違いは歴然
    としています。英語は主語がはっきりしており、どんな文にも必ず主語があります。
    「文法は数学の公式のようであり、物事を論理的に考えたり、表現したりするのに適しています。日本語はそうではありません。主語がはっきりせず、情緒的で、使う人が意見を表明するのに向いていません。
    だから、日本の子どもに英語の早期教育を、というのはあまりに短絡的すぎる考
    え方です。子どもが言語を身につけるには、それにふさわしい年齢があり、国語力を確立すべき時期にほかの言語まで教え込もうとすると、国語の習得が伸びなくなります。小学校での英語教育を必修化させようとの議論もあるようですが、ほくはまず書かせる、論述させる国語教育を優先させるべきだと考えています。
    その教育は徹底的に論理を磨くものでなくてはなりません。理解力·想像力·表現
    力の三つの能力をベースに、論理的思考を身につけていけば、父性を多少なりとも獲
    得できるようになるでしょう。物事を男性的にとらえ、情緒ではなく、論理に従って
    判断できるようになっていくはずです。
    その上で、日本語をもっとうまく活用できないものかとも考えています。情緒的き
    ものを表現するのに適した日本語を存分に用いて、徹底的な論理的思考を追求するの
    です。日本人が物事をクリアに理解し、頭の中で整理できさえすれば、その表現は自ずと論理性を帯びます。
    これによって、日本人の父性と母性のバランスがとれると同時に、日本人らしい情緒を込めた表現によって世界に何かをアピールできるのではないかと思うのです。
    p168…
    (前略)幸福ではなかったがゆえに、人間は歩き出し、文明を発展させてダイナミックに変革を遂げてきました。時代時代の理不尽さを解消させ、よりよい方向へと舵取りをしてきました。奴隷が制度として認められていた時代と、解放されて後の時代と、どちらが倫理的であるかは、言うまでもありません。
    文明の進歩は結果的に核兵器を生んだからと、これを否定する人間は少なくありま
    せん。進歩には必ずいい面と悪い面がつきまといます。どちらの面に軍配を上げるかもまた、判断する個人のキャラクターによります。
    過去からずっと、日本の上の世代は、将来に対して暗い展望ばかりを口にし、「世
    も末だ」と嘆いてきました。未来がよくなるか、それとも悪くなるか、どちらを信じ
    るかで、子どもたちの将来は変わってきます。
    →北原照久さんが「体は食べ物で作られる、心は聞いた言葉で作られる、未来は自分の話した言葉で作られる」と言っていたことを思い出した。これにも通じるよね。

    p169…
    現在、子どもたちが立つ地平が最も標高の高いポイントであり、先に下り坂が待っ
    ているのだとしたら、坂を転がっていけばいいのだから、楽なものです。 しかし、より高みへと至る上り坂が未来に延びているとなれば、子どもたちは、登攀(とうはん)を目指し、現在という時間をトレーニングに費やさねばならなくなります。「若いうちが花よ」と、現在を無駄にしている余裕はありません。
    世界は過去よりもよりよくなっていると確信してください。いくら理不尽や不合理
    を解決しても、次々と新しい問題が湧き出てきます。手をこまねいて静観するわけに
    はいきません。解決するためには、若い世代の知恵を結集して、より質の高いディス
    カッションが行われなければなりません。
    質の高いディスカッションに必要とされるのが、「理解力(読解力)」「想像力」「表現力」です。「脳死」と「遺伝子組み換え食品」の例で、その点を説明しました。脳死と植物状態を混同したり、遺伝子組み換えの仕組みも知らないまま、この議論を行おうとしても、未来をよりよくするための答えが出にくくなってしまいます。一般的に通用している固定観念で判断せず、物事を正確に知った上で、自分の判断を行うべ
    きです。
    勉強は、小金稼ぎのテクニックを身につけるためにするものではありません。「理
    解力(読解力)」 「想像力」「表現力」の能力を養って、世界を覆う膨大な量の情報を
    「取捨選択し、世界に共通なものさし(論理)で判断し、価値あるディスカッションにょってそれぞれの立場を戦わせ、よりよい解答を発見する可能性をほんのわずか高めることに、勉強の目的はあります。
    なぜ勉強するのか……、答えはおのずから明らかになります。
    人類の進歩に貢献するためなのです。
    2019/9/4

  • 子供ができたらまた読みたい。

  • 生命や言語の仕組み、脳死の問題、特攻隊、民族特性、日本社会の母性化。様々なテーマについて著者の持論が展開されている。作家の彼の考えは科学的で専門的である。これが「なぜ勉強するのか」の答えだ。
    「作品として見える部分は氷山の一角であって、その下には膨大な量の思考が埋もれている」現代の日本人は思考が浅い。それでいて英語力をつけろとは本末転倒。まずは話す内容がなければ英語でも日本語でも話ができない。「主張すべき中身を充実させれば内部からの圧力で表現は溢れてくるもの」

  • 母性よりの社会である日本において、男の子が男らしさをもった大人になるためのは、特に父親がはっきりした意思と行動を示さなければならないという意見には納得できた。そのことを認識し、責任を持って育児にかかわる父親が少しでも多くなってほしい。

  • 勉強に対する著者の思いがひしひしと伝わります。

  • おじいちゃんのつぶやき。

  • 2018/12/24-27読了

    ・将来有効となる能力は、理解力・想像力・表現力
    ・大切なことは明晰に、論理的に、分析的に考えることで情緒にながされることではない
    ・一人一人が自分で考え、周囲の雰囲気や情緒に流される行動すること

  • 『リング』原作者、鈴木光司氏のノンフィクション。著者は、勉強の目的は、理解力、想像力、表現力を身に着けるため、「社会をよりよくするため」と言う。「西洋の文物の方に世界に共通する論理がある」というのは、ちょっと違うのではないかと思う。


    <目次>
    はじめに
    第一章 すべてに通じる理解力、想像力、表現力
    第二章 明晰に、論理的に、分析的に
    第三章 正しい学習法
    第四章 世界に通用する論理
    第五章 未来をよりよくするために勉強する
    おわりに

    <メモ>
    過去に理想の形があり、文明の進歩とともにそれが失われてきたという考えは、完全に間違っています。過去から現在へと、みんなが手探りで、よりよい方向を目指して行きつ戻りつして進んできたのが世界の歴史です。
    勉強へのモチベーションを高めるためには、明るい未来を提示することもまた必要です。(6)

    次から次へと垂れ流される情報を鵜呑みにするのではなく、必ず一度疑って、できれば自分で検証してみてから受け入れる、あるいは、じぶんお意見や考え方をもって情報と接する市井がこれからは非常に大事になってきます。(16)
    もし子どもに「なぜ勉強をしなければいけないの?」と訊かれたら、親は「社会をよりよくするためだ」と自信をもって答えなければいけません。(40)

    論理ではなく、情緒が人々を支配するようになると、世の中は混乱します。(65)

    人生において、優れた教師との出会いは子どもの人生を大きく変えます。(94)
    (筆者が先生に、先生が自分の書いた最初の小説をほめてくれたことに対し)先生は「私の教育方針は、絵の下手な子がいれば上手いとほめることだった」と言うのです。(97)
    実社会においても、競争ではなく、協力が大前提です。(100)

    ぼくは、日本は母性の強い社会、非常に女性的な社会だと見ています。一方、欧米は不正が強い、男性的な社会です。(118)
    よく昔の日本の男は強かったとか、最近は父親が弱くなったという話がされます。これもまったく間違っていることで、過去の日本で男性優位だったのは、男性が強かったからではなく、女性が男性を甘やかしていたからです。(121)
    法律では16歳になれば、バイクの免許を取っていいことになっているにもかかわらず、校則で禁止されているわけです。これは絶対におかしなことだと思います。(125-126)
    この取り違えの中に、父性と母性のアンバランス、日本社会における著しい父性の欠落が見て取れます。本来は父親が自分の子どもの成長具合や気性をよく見て、この子はまだまだ未熟だ。自転車の交通ルールものみ込めていないのだから、バイクはなお難しいだろう。安全運転できそうもないから、免許はもうしばらく取らせない方がいい」と判断したなら、バイクを禁止すればいい。(126)
    西洋の文物の方に世界に共通する論理があるからだと思います。(133)
    特に日本社会で危険なのが男性、男の子を取り巻く環境です。ボーヴォワールは「人は女に生まれない、女になるのだ」といいましたが、それは逆です。人は男に生まれず、教育を受けることによって男になる。性としては、女性は比較的どっしりと安定していて、男性の方がうつろいやすいのです。男の子は放っておいたら中世的になってしまう。特に文明が成熟するにしたがって、男性は女性に近づいていきます。(141)

    英語を話すのが苦手なのは、英語力がないからではありません。話すべき中身がないからです。(164)

    <取り上げられている題材>
    ライブドア事件
    生命の誕生
    言葉の誕生
    脳死
    クローン
    遺伝子組み換え
    特攻

    2013.09.23 図書館で見つけて借りる。
    2013.10.07 読書開始
    2013.10.11 読了

  • 途中から「勉強」から脱線しているが
    それはそれで面白く読めた
    「シンクロニシティ」のくだりは目からうろこだった

  • 「リング」などの著者で有名な鈴木光司さんの書かれた本です。
    なぜ勉強するのかの問いに対し、
    「理解力」「想像力」「表現力」を身につけ社会にでた時に人類の進歩に貢献することが勉強することの意味、意義との考えを示されている。
    まさに勉強そのものに対しての意義は、その通りだと思います。

    ただ、これに加え、本書には書かれておりませんが、勉強することに対しては、PDCAや自発、自治、自覚、そして何と言っても「grit」(やり抜く力)を身につけることも大事だと思いました。

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著者プロフィール

千葉中央メディカルセンター勤務。認定理学療法士(代謝)、呼吸療法認定士、糖尿病療養指導士、住環境福祉コーディネーター2級。

「2018年 『リハビリのプロがすすめる 健康寿命を延ばす1000冊』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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