セカイ系とは何か (ソフトバンク新書)

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レビュー : 44
  • Amazon.co.jp ・本 (264ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784797357165

作品紹介・あらすじ

セカイ系とは、『新世紀エヴァンゲリオン』以後を指し示す言葉に他ならない。アニメ、ゲーム、ライトノベル、批評などなど-日本のサブカルチャーを中心に大きな影響を与えたキーワード「セカイ系」を読み解き、ポスト・エヴァの時代=ゼロ年代のオタク史を論じる一冊。

感想・レビュー・書評

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  •  90年代後半からゼロ年代のオタク文化を語る上で欠かせない、「セカイ系」について評論した本。セカイ系とは、

    ・主人公たちの危機が世界の危機につながる
    ・主人公のひとり語りが多い(自意識過剰気味)
    ・いわゆる「戦う少女」が登場
    ・社会背景の描写の欠如

    といった特徴を持つ作品であると定義付けられてきました。「新世紀エヴァンゲリオン」を筆頭に、「最終兵器彼女」、「イリヤの空、UFOの夏」といった作品がセカイ系に分類される。その特徴はTV放送されたエヴァの最後から二話に顕著に表れている。

     エヴァ以降のオタク文化の流れを簡単にまとめると、
    ・1995~99年―ポスト・エヴァの時代
    作品:「機動戦艦ナデシコ」、「ブギーポップは笑わない」
    キーワード:阪神大震災、酒鬼薔薇聖斗、オタク公民権運動

    ・2000~03年―セカイ系の隆盛と「萌え」の誕生
    作品:「最終兵器彼女」、「イリヤの空、UFOの夏」、「ほしのこえ」「ToHeart」、「AIR」
    キーワード:9.11テロ、構造改革

    ・2004~06年―セカイ系の抽象化
    作品:「涼宮ハルヒ」シリーズ、「戯言」シリーズ、「機動戦士ガンダムSEED」、「コードギアス 反逆のルルーシュ」、「月姫」、「Fate/stay night」
    キーワード:萌え、テロとの戦い

    ・2007~09年―セカイ系からの脱却と物語消費への回帰
    →コミュニケーションとしての作品
    作品:「東方プロジェクト」、「ひぐらしのなく頃に」、ヱヴァンゲリオン新劇場版」、「らき☆すた」、「けいおん!」
    キーワード:ニコニコ動画、二次創作、空気系4コマ漫画

     「萌え」は今でこそオタク文化内で濫用されているきらいがありますが、元々美少女ゲームやライトノベルに現れた概念で、後からアニメや漫画に導入されるようになった流れがあったのは知らなかった

     セカイ系の定義を「ひとり語りが多い」とするなら、太宰治やサリンジャー、大江健三郎の作品の自意識とどのように区別すればいいのかという件には思わず驚き。50年~100年後あたりの文化史のテキストには、セカイ系も彼らの作品に通じるものがあるとして扱われるかもしれない。

     個人的には個人的にセカイ系というのはニーチェやドストエフスキーが追求した「実存主義」に相通じるものがあるように思う。19世紀後半も現在も時代の転換期である。
     
     それから、最近のライトノベルの傾向として、オタク文化的現象が起こるのにオタク文化への言及(オタク文化作品のパロディ)がない作品(「灼眼のシャナ」、「ゼロの使い魔」など)と、オタク文化に言及するのにオタク文化的現象が起こらない作品(「生徒会の一存」、「僕は友達が少ない」など)の二方向への分化が進んでいるという記述も興味深い。こういう現象が起こる背景についても調べたいと思った。

     内容自体は面白いけど、全体的に脱線しがちでまとまりのなさを感じた。それは拡散しつつ―「一般人」と「オタク」の境界が曖昧になりつつ―あるオタク文化界そのものにも言えそうなことであるのに奇妙な符合であるように思う。

  • マンガやアニメのようなサブカルチャー(オタク文化)を真面目に考察していて、それが新鮮で面白かった。セカイ系、エヴァというキーワードで社会(?)を考察しているような。

    エヴァンゲリオンは見たことがあるが、初めて見た時に感じたことがそのまま書かれていた。前半は使徒との戦いや細かく組み上げられた世界観が面白かったが、いつの間にかよくわからない流れになる。最終回ではシンジが周りに「おめでとう」と言われるわけのわからない展開。当時は、なんだこれはと理解できずにいたのを思い出す。

    エヴァは第19話あたりをピークに、映像の質はどんどん下がる。これは制作体制上の問題から、スケジュールが破綻したためとある。併せて、物語の視点はどんどん登場人物の内面へ移り、「アダム」、「リリス」、「人類補完計画」といった謎への解答は放棄される。こういった点が、実は大ヒットに繋がったと書かれている。

    セカイ系とは、(後半の)エヴァっぽいもの。少年の自意識。自分を中心とした世界。なるほどなと思う。そういったものがヒットするようになっていたんだなと。

    エヴァは社会的にも大きな影響を与えたが、この本ではそのひとつとして「作品受容の態度」が挙げられている。自分が見た時は、エヴァの前半・後半でのギャップについていけなかったんだなと思う。今はエヴァは面白いと思うが、その理由なんかが納得できたように思う。

    この本を読んでいると、5年や10年で流行や作品の傾向、視聴者の考え方や好みは大きく変わるんだなと感じる。昔の作品が新たにアニメ化されたり、時間を経て続編が出たりというのはよくある。今はルパンやおそ松さんのアニメが放送されている。制作側は、そういった時代の変化をどう捉え、作品に反映しているのか。昔の作品とはどう変わっているのか、これからそんなことを考えながら見てみたいなと思う。

    昔のエヴァと新劇場版のエヴァとの違いも、調べてみると面白そうだ。

    なんとなく思ったが、中二病とセカイ系はどこか似ている。

  • 「セカイ系」という言葉について時系列を追って、様々な人の定義や用例を紹介した本。著者の結論は別として、「セカイ系」という言葉のバズワードっぷりばかりが目立った。無理矢理に総括するようなまとめでなく、引導を渡すようなまとめもあり得たのではないか。

  • セカイ系について一通り押さえるべき所を押さえられてると思う
    著者には空気系についても同じような切り口で本を書いてほしい

  • 1回読んだだけだとよく理解できなかった部分があるので、少し時間がたったら読み直したい。次はメモを取りながら読んだほうがいいかも。

  • 「セカイ系」の意味がわかってスッキリしたという気分にはなれなかったが、とりあえずこのバズワードに関連している’90〜’00年代の『作品(アニメやラノベ、ゲーム)』のタイトルだけは心に留めておくことにする。

  • 資料ID: C0031338
    配架場所: 本館2F新書書架

  • 良く分かりませんです。

  • とある人のまとめが秀逸。

  • アニメという切り口でカルチャーを論じる一冊。
    セカイ系って単語については少し前に知っただけだったので、そもそも定義について考えたこともなかったけれども、本書の論証は納得のいくものだった。

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プロフィール

ライター、評論家。1982年生まれ。国際基督教大学教養学部卒。2000年、NHK『真剣10代しゃべり場』第一期レギュラーメンバー。東浩紀発行のメール・マガジン『波状言論』の編集スタッフを経て、2005年、ユリイカ増刊号『オタクVSサブカル!』(青土社)掲載評論「僕をオタクにしてくれなかった岡田斗司夫へ」にて文筆活動を開始。現在、『朝日新聞』夕刊のコラム「茶話」にてラノベを担当中。

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