カラクリ荘の異人たち 4 ~春来るあやかし~ (GA文庫 し 3-4)

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  • Amazon.co.jp ・本 (336ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784797358940

作品紹介・あらすじ

「幽霊を見たことがある?」クラスの、それほど親しくもない男子に問われた太一は「ある」と答えた。なにしろカラクリ荘に来てからというもの、幽霊どころか妖したちの絡む色々な事件に巻き込まれてきたのである-。もっとも、幽霊話はともかく、人との距離がうまく掴めない太一にとって、なぜ彼がそんな話をしてきたのか皆目見当がつかない。だが、理由を訊けぬままに別れた後も、自分で不思議に思うほど、その事が気にかかる-。以前の自分であればこんな事はなかったのに-なぜ!?賽河原町に春風が吹き少年の心にも、小さな春が訪れる…。ハートフルご町内妖怪奇談第4巻。

感想・レビュー・書評

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  • 久々に「ライトノベル」を読んだ(笑)
    「ライトノベル」とは…中学~高校生向けに書かれた娯楽小説だと言われているのだが
    変に文学を気取った小説よりも、面白いものがあるので侮れない(ハハハハ)

    父親が再婚し居場所を失った太一は、父の知り合いがやっている下宿屋へ向かう。
    目指すは賽河原町にある「空栗荘(カラクリ荘)」

    ところがバスを降りたところは、人の住む世界の隣にある異世界であった
    魚人があらわれ、ムジナがカッポし、カラスまでもがしゃべる(笑)

    そして、そんな世界と繋がっていたのが「カラクリ荘」なのである。

    主人公の太一は過去に傷持つ身なので、感情表現が下手だし、人付き合いも苦手。
    じゃあ、最近見かける引きこもりか?っといえばそうでもない。
    根は単純で心優しい。だから頼まれれば嫌とは言えないし、約束も律儀に守る。
    きっと何ごともなくスクスクと育っていれば、元気で明るく活発な子であったろうと思う。
    でもね。それがマイナスだとは誰にも言えない。
    トラウマがあったからこそ、人に優しく出来るし、誰かが傷つくのが嫌いなのだ
    そしてトラウマを自分で乗り越えた時、きっと太一はイイ男になる。

    そんな太一君の心の成長に「カラクリ荘」の不思議な住人と
    ちょいとお隣の世界の妖怪たちが適度な距離を保ちつつ見守る、ってなお話しである(笑)

    平成のお話しなのに、そこかしこに昭和のニオイがする。ミョ~に懐かしい。
    文章の流れも安定感があって読みやすく、最近の作家さんのニオイがしない。
    不思議だの~っと思っておったら、なんと作者の霧島さんは私と4歳しか違わなかった
    さもありなん(アハハハハハ)

    ノホホ~ンとした筆の運びが私のリズムと合ったのか
    10時間足らずで4冊読みきってしまった(ハハハハハ)
    もともと読むのは早いが、この歳になってからのこのスピードは久々である。

    この本の表紙絵を描いた「ミギーさん」素敵な絵を描くの~
    「天羅万象」というサイトに彼女の絵が沢山載っておった。
    なにか彼女の絵を見ていると、ホンワカして気持ちがエエ。

    一巻目の表紙の太一はコチラに背を向けておるだろう
    二巻目になると、少し戸惑いながらもコチラを見ておる
    三巻目で女の子の肩を借りながらもぎこちなく笑い
    四巻目では大いにひとり立ちしながら笑っておる

    つまり、こういう流れのお話しなのだ(ハハハハハハハ)

    実は私も何人もの継母との付き合いがあったから、太一と似たり寄ったりな性格であった
    私の場合は、アチラの世界との繋がりがなかったもんで…(笑)
    コチラの世界の友人に救われたんだと思う。

    もちろん同世代の友人達が、私の精神のケアまでしてくれるハズもないので
    何が因となり、私は立ち直れたんだろうか?っと考えてもコレといった話が浮かばない
    幸いなことに私は太一と同じく、本来は脳天気な性格だったもので
    キラキラとした青春時代を送っておる友人達に囲まれて
    あれこれと思い悩みカラに閉じこもっている自分がアホらしく感じたのかもしれん(笑)

    ただ…このころの写真を見ると、確かに笑いがぎこちない(アハハハハハ)
    今振り返ってみれば、これも一つの青春なので笑いながら眺めておるがの~

    今現在両親の離婚問題等で思い悩んでいる諸君も大勢いると思う
    ぶっちゃけ子供にゃ何も出来ない。受身体制を取るしかないのだ。
    ソコはあらがっても仕方ない(笑)

    ただ一言だけ。「なんでも両親の離婚のせいにして…逃げるな」それだけじゃ。

    結局、自分で乗り越えるしか手はないのだから(笑)

    何かのせいにするのは楽だが、それではソコから抜け出せなくなる
    なによりも現状から脱出したいっと願っているのは自分なのだから

    それを誰かに引っ張りあげてもらおうたって、そうは問屋が卸さない
    自分が怒っておれば周りも怒り出す
    自分が笑っておれば周りも笑うもんぞ
    つまり、結局は自分自身で乗り越えるしか手はないのだ

    私が親に振り回されていた時間は17年であった
    今私しゃ50歳(笑)33年間は親から離れて楽しく過ごしておる
    たかだか17年で人生棒に振っちゃつまらん(笑)

    本当に面白く、また爽やかな本であった
    この本もブログ友の「さくらどん」からお借りした
    四巻で終わりなのだが、続きが読みたいとか思ってしまっただ(アハハハハ)

    機会があれば是非一読あれ。ホント、ええ本じゃたよん(笑)

  • あとがきでも書いていたが
    妖怪ものか少年成長ものかとふらついたすえ
    最後は適当なところに落とし込んだ感じ
    他の方が褒められているような良いところは良いと思うけれども
    キャラクタの魅力も物語の魅力もどっちつかず中途半端と思う

  • もののけの世界との接点である、カラクリ荘に住む太一。太一にほのかな想いを寄せる彼女は、太一の笑ったところを見たことがないことに気付いた。最終巻。
    良いシリーズになったなあ。一巻一巻、いいところがあって、太一もとても変わってきましたね。一巻はもう人間じゃないみたいだったのに。「妖怪アパートの幽雅な日常」ととても似た設定ですが、私はこっちの方がとても肌に合った。説教臭くない、じっと見守るわけでもなくというところが好きだなあ。とてもおすすめのシリーズです。女の子にもおすすめ。

  • これで終わりっぽいのはちょっと寂しい。
    柊二郎の話とか色々伏線は残っている気がするのですが。
    でもまあ、太一くんが着々と成長していってるのが、微笑ましい。

  • 06/13/2017 読了。

    図書館から。

    采奈よかったね!!
    狢と太一もよかったわー。

    アカネ成分が少し足りなかったけど、
    暖かい終わり方。

  • ・ませた中学生だな(真顔)
    ・エエエ十遠見さんアンタ・・・!!
    ・十遠見さんやっぱり萌えキャラじゃねーか
    ・付喪は概ねかわいい法則
    ・牛鬼のシーンはモロ封殺鬼テンションで胸アツだったな
    ・笑ったァアアアアアアアアア

  • 太一君の成長物語もこれにて終了。
    綺麗にまとまった優しい色の作品。

  • 珍しい名前だから憶えていたクラスメイトに話しかけられた内容が
    「幽霊を見た事あるか?」というもの。
    それに真面目に答えるのは、ずれているからなのか
    素直だからなのか、咄嗟だったからなのか…。

    自分に傷がある事に気がついた所。
    それが何なのか、どうして『傷』なのかも、気がついた所。
    なので、正直、いきなりこうなるとは…。
    3話分の、人を思いやる気持ち。
    想う心、は偉大ですw

    いやでも、そのまま気がつかずにいたら
    それはそれで面白かったかと。
    感情がようやく開封されたわけですし
    今度はそれをどこまで使えるか、です。
    しかし、母親とは別段会わなくても大丈夫な気も…?

  • ○感想

     ようやく読めました。
     彼は、属性的にはマルタ・サギーなんだなぁ、と。ラストの選択もマルタっぽい。
     ここ数十年分の少年・少女小説を分類してみたくなります。

     たとえば、新しく来たお母さんがアレルギーもちのマンガ家って設定は10年前は通じなかった気がするので。どなたかがレビューで書いてはったのですが、異質なものへの寛容というよりはローカルな集団の中での平均的なものがより広い集団の中でも受け入れられやすくなった感じ?
    ただし物語の中だけで。
    鈴子さんの言葉がアイタタタでした。


    『あったかい場所におかえり』という帯が好きです。あと絵が好き。

    がんばったら、戻れなくても変えられなくても、何かがつながるかもしれないというのは、そういうのを希望って呼ぶんだろうなと思いました

    狢の、どちらがわも選べない気持ちは、なんとなく分かります。

  • え?もう終わり??
    まだまだ書き続けられるキャラなのに
    集約した感じが切ないです。

    最近の「まず萌えありき」な、ラノベ界には
    ちょっと異色だったのかもしれません。
    派手なアクションも無いし、ある意味 大人向け。

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著者プロフィール

大阪生まれ。『出てこい!ユーレイ三兄弟(ブラザーズ)』でデビュー。ファンタジーとホラーのジャンルで活躍。「封殺鬼」シリーズ 、「カラクリ荘の異人たち」シリーズ、「九十九字ふしぎ屋 商い中」シリーズ、「あやかし同心」シリーズほか、著書多数。

「2023年 『七人怪談』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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