知っておきたい太陽電池の基礎知識 シリコンの次にくるのは化合物太陽電池?有機太陽電池でみんなが買える価格に? (サイエンス・アイ新書)

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  • Amazon.co.jp ・本 (232ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784797359800

作品紹介・あらすじ

太陽電池はその名のとおり、太陽の光がもつエネルギーを電気エネルギーに変換する装置です。エネルギー源が太陽なのでほかに燃料はいらず、廃棄物もでません。まさに環境にやさしい供給源なのですが、まだまだ価格が高く、導入を迷っている方も多いことでしょう。本書では、発電のしくみから導入価格がどこまで下がるかまで、幅広く紹介していきます。

感想・レビュー・書評

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  • 太陽電池を理解するために、電気の基礎から解き明かしてくれる本。ちょっとまわりくどいが、太陽電池の動作原理を確実に理解させてくれる。

  • 脱「ひとり勝ち」文明論を読んだ時から
    「情報革命の次はエネルギー革命だ!」と自分の中で盛り上がっていたのですが

    3.11に東日本大震災と福島の原発事故があったせいで
    世の中のエネルギーに対する関心は急速に高まってきました。

    私自身はエネルギーに直接関係した仕事はしていないのですが
    所属している会社はエネルギーにも大いに関係しており
    私も将来的には関るかもしれないと思っています。

    そんなこんなで、今回はエネルギーと太陽電池に関する基礎知識の底上げ。
    エネルギーと太陽電池の入門書として最適です。
    様々な技術の基本原理、メリットデメリット、最近の動向が
    コンパクトに必要十分にまとまっています。

    範囲的には高校レベルの物理化学ですが
    文系の人でも十分理解できるように、イラストや図解が豊富であり
    著者も難しい話には突っ込まないようにしているようです。

    読み終わっての感想
    「今後の発電の主力は太陽光発電と風力発電。間違いない。」

    現在は、太陽光発電もモジュールがまだコスト高という指摘がありますが
    産業界はまだ本気でモジュールを大量生産していません。

    設備投資をして大量生産すれば、発電コストが下がるのは明らかで
    現在のペースの価格下落でも、2015年には
    太陽光発電の発電コストと化石燃料を利用した発電コストが同一になる
    グリッドパリティが到来するとのこと。
    (液晶ディスプレイやDRAMばりに設備投資をしたら、もっともっとコストは下がるかも)

    太陽光発電の実用性はかなり高まってきており
    力技で導入すれば、現在のエネルギー需要をかなり代替すると思います。


    今後の課題は2つ。 ひとつは設置面積を結構食うこと。

    私がWebから拾った情報でササッと電卓を弾いて
    太陽光発電だけで電力をまかなったときに必要となる
    パネル設置に必要な面積を概算しました。(間違ってたらごめんなさい)

    一般家庭  : 63m^2  約20坪
    コンビニ : 2,032m^2  約 45m四方 大きめの駐車場ぐらい
    ソ二−ビル : 47,602m^2 約220m四方 野球グラウンド 2個分ぐらい
    東京都庁  : 593,607m^2  約770m四方 野球グラウンド45個分ぐらい

    一般家庭は十分可能だけど、大きくなるにつれてちょっと厳しいかな。
    都会だとなおさら厳しいか。

    太陽電池パネルを設置すると
    その場所が他の用途に使えなくなってしまうから難しいんじゃないか?

    太陽電池パネルの上を、人が歩けるようにできるような保護材を開発すれば
    都会でも歩道とか公園などに設置できるかもね。


    もうひとつの課題は・・・これが本質的な課題ですが・・・ 蓄電。
    電気は溜められないと色々なところで言われていますが
    正確には「必要とする大容量の電気を溜められない」ということで
    充電池はないことはない。

    ただし、実証実験を行っている大容量二次電池でも100KWhぐらいの容量なんですが
    上記の計算だとコンビニを1日持たせるのに、その大容量二次電池が5個要ります。
    大規模な建物や工場になってくると桁が3桁以上合わない。

    揚力発電という力学的エネルギーを使った蓄電技術もありますが
    場所を選んでしまうため、そんなに簡単に作れない。

    小規模は太陽光発電と二次電池で
    大規模は太陽光発電とガスタービンというふうになるのかな?


    でも、私が生きているうちには、必ずやエネルギー革命が起き
    世界のあらゆるところで電気が湯水のように使い放題になると思います。
    そして、世界のパワーバランスは一変する。
    石油メジャーと中東の産油国の力が弱まり
    替わりに新興国・貧困国の生活レベルが急上昇する。

    世界の国々の格差が縮まり、よりフラットで不安定な、今よりももっと混沌とした時代になるのではないでしょうか。

  • 基礎知識としてざっと読むのにちょうど良い.逆に基礎でしかないため,この先にもっとしっかりした書籍で勉強する必要あり.

  • まあまあ

  • 太陽電池の仕組み、メリットデメリット
    太陽電池の種類(シリコン太陽電池、化合物太陽電池、有機太陽電池)とそれぞれの発電効率と課題についてかなり平易にまとめてある。

    頻繁に出てくる写真や画像によるコメントにセンスが感じられない

  • すごく簡単に書いてあり分かりやすかった。
    半導体のしくみ、光が電磁波っていうことがやっと理解できた。

    第1章 太陽電池ってどんなもの?
    1-1 太陽電池ってどんな形?
    1-2 太陽電池ってなにをするもの?
    1-3 太陽電池って永久にもつの?
    1-4 太陽電池って故障しないの?
    1-5 太陽電池のつくる電気って、電力会社のものと同じなの?
    1-6 太陽電池システムの寿命は?
    1-7 太陽電池っていくらかかるの?
    1-8 太陽電池は原価償却できるの?
    1-9 どこに設置したらよいの?
    1-10 効果的に設置するには?
    1-11 世界中のどこに設置してもよいの?
    Column 恒星の起源
    第2章 太陽電池の長所は?
    2-1 故障知らず
    2-2 運転人員不要
    2-3 エネルギー源(燃料)無尽蔵
    2-4 製作資源は無尽蔵
    2-5 消費地生産型発電
    2-6 スキマ発電
    2-7 廃棄物ゼロ
    2-8 自然エネルギー
    2-9 環境にやさしい
    2-10 太陽電池のデメリットは?─ハード面
    2-11 太陽電池のデメリットは?─ソフト面
    Column 恒星の運命
    第3章 電気ってなんだろう?
    3-1 電気は電子の流れ
    3-2 物質は電子をもっている
    3-3 電子は原子の中に収まっている
    3-4 原子は原子番号の個数の電子をもつ
    3-5 原子の性質は電子の個数で決まる
    3-6 電子は電子殻の間を移動する
    3-7 原子から電子が飛びだすとイオンになる
    3-8 電池ってなんだろう?
    3-9 電池のしくみ
    3-10 いろいろな電池
    Column 太陽の運命
    第4章 電気と光は同じもの?
    4-1 熱・光・電気は同じエネルギー
    4-2 光は電磁波
    4-3 太陽光とエネルギー
    4-4 電気を光に換える:水銀灯
    4-5 電気エネルギーが光エネルギーに変わる
    4-6 電気発光と発光の色
    4-7 光発電のしくみ
    Column 地殻の構成成分
    第5章 太陽電池のしくみって?
    5-1 絶縁体と良導体
    5-2 金属の伝導度
    5-3 半導体
    5-4 真性半導体と不純物半導体
    5-5 不純物半導体─n型半導体
    5-6 不純物半導体─p型半導体
    5-7 太陽電池の構造と発電機構
    5-8 太陽電池をつくるもの
    5-9 pn接合の電気状態
    5-10 光照射で起こること
    Column レアメタルの重要性



    第6章 シリコン太陽電池ってどんなもの?
    6-1 太陽電池にはどんな種類があるの?
    6-2 シリコン太陽電池って?
    6-3 シリコンってたくさんあるの?
    6-4 太陽電池に使うシリコンはどんなもの?
    6-5 シリコンの精錬法は?
    6-6 高純度シリコンの製造法は?
    6-7 結晶シリコンとアモルファスシリコン
    6-8 単結晶シリコンと多結晶シリコン
    6-9 単結晶シリコン太陽電池と多結晶シリコン太陽電池
    6-10 単結晶球状シリコン太陽電池
    6-11 アモルファスシリコンのつくり方
    6-12 アモルファスシリコン太陽電池
    6-13 薄膜シリコン太陽電池
    Column レアメタルが希少な理由
    第7章 化合物太陽電池ってどんなもの?
    7-1 元素と化合物
    7-2 ガリウム-ヒ素(Ga-As)太陽電池
    7-3 ガリウム-ヒ素/インジウム-リン太陽電池の特色
    7-4 カドミウム-イオウ-テルル(Cd-S-Te)太陽電池
    7-5 2種以上の元素からなる太陽電池
    7-6 化合物太陽電池のつくり方
    7-7 化合物太陽電池の特色
    7-8 量子ドット太陽電池の基礎
    7-9 量子ドット太陽電池の実際
    Column 単結晶シリコンとルビー
    第8章 有機太陽電池ってどんなもの?
    8-1 有機物と無機物
    8-2 有機太陽電池の特色
    8-3 有機太陽電池の長所と短所
    8-4 有機太陽電池の種類
    8-5 有機系半導体
    8-6 有機薄膜太陽電池
    8-7 有機色素増感太陽電池の基本
    8-8 有機色素増感太陽電池の実際
    8-9 有機色素
    Column C60フラーレン
    第9章 太陽電池システムの改良
    9-1 タンデム型太陽電池
    9-2 集光型・反射防止型太陽電池
    9-3 エネルギー集約型太陽電池
    9-4 太陽電池モジュール
    9-5 シースルー太陽電池
    9-6 カラー太陽電池
    9-7 フィルム型太陽電池
    9-8 生体再現型太陽電池
    Column 有機太陽電池と有機EL
    第10章 太陽電池の経済的価値
    10-1 エネルギー事情
    10-2 太陽電池の技術的発展
    10-3 太陽電池の原料の入手
    10-4 太陽電池の生産コスト
    10-5 組み立て・設置コスト
    10-6 太陽電池の発電コスト
    10-7 太陽電池市場の実績
    10-8 太陽電池市場の将来規模
    10-9 太陽電池の将来戦略
    10-10 大規模太陽光発電
    Column 宇宙太陽発電

  • 脱原発の代替案として、コジェネレーションシステム等が注目されているが、その一角を担う太陽電池の先行きはまだはっきりとはしていない。しかし、開発現場では様々なアイデアが生まれているという事を知った。
    現状の課題としては、①変換効率を含めた機能向上②コスト低減③政府による援助があるが、将来市場規模も大きく見込まれているので、期待したいところだ。

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著者プロフィール

齋藤 勝裕(さいとう かつひろ)
1945年5月3日生まれ。1974年、東北大学大学院理学研究科博士課程修了、現在は名古屋工業大学名誉教授。理学博士。専門分野は有機化学、物理化学、光化学、超分子化学。
主な著書として、「絶対わかる化学シリーズ」全18冊(講談社)、「わかる化学シリーズ」全16冊(東京化学同人)、「わかる× わかった! 化学シリーズ」全14冊(オーム社)、『マンガでわかる有機化学』『料理の科学』(以上、SB クリエイティブ)、『「量子化学」のことが一冊でまるごとわかる』『「発酵」のことが一冊でまるごとわかる』『「食品の科学」が一冊でまるごとわかる』『「毒と薬」のことが一冊でまるごとわかる』『身のまわりの「危険物の科学」が一冊でまるごとわかる』(以上、ベレ出版)など200冊以上。

「2023年 『「原子力」のことが一冊でまるごとわかる』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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