数学ガール/ガロア理論 (数学ガールシリーズ 5)

著者 :
  • SBクリエイティブ
4.26
  • (76)
  • (66)
  • (27)
  • (2)
  • (0)
本棚登録 : 1158
感想 : 63
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (472ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784797367546

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  •  「数学ガール」シリーズの第5作。テーマはガロア理論。
     9章までは知っていた内容で特に詰まらず進んだが、ラスボスの10章ガロア理論はかなり難解。理解するのに苦労した分、と言ってはなんだが、目の前に現れた体と群の結びつき・対応関係は非常に美しい。対応というのは例えば、ある補助方程式に関する体の正規拡大は方程式のガロア群の正規部分群への縮小に対応し(本文中の定理3)、しかも正規拡大の拡大次数は正規部分群による剰余群の位数に等しい、など。(もっとも、本書はガロアの第1論文の主張を紹介しているだけなので、証明等を知りたいと思ったら別の本を参照しなければならない。)
     いつもながら女子ばっかりが出てくるラノベ的設定はどうも苦手だが、それ以上に、全体の構成に無駄がなく、予めこの問題を扱っていたのは後でこう繋がるのか、と最後には思わされるのが凄いところ。

     本文中にもあるが、本当にガロアが決闘に命を散らすことなく長生きしていればどんな素晴らしい発見を手にしていたのだろうかと思わずにはいられない。

     以下、僕が最初に読んだときに詰まったところのメモ。
    ・あみだくじの置換の記法は一般的な記法とは異なるものを採用している(p326にそれについての記述がありますが)
    ・p315の剰余類は、特に左剰余類のことを言っている(これもp319に記述があります…)

  • 線形代数を勉強中で、読み物として勉強になると思い、この本を手にとった。気づきもあるが、正直後半を理解するのはきつい。。

  • 群論の解説は素晴らしくわかりやすい。が、メインの第10章ガロア理論ははしょりすぎ。息切れしたのだろうか。これで理解しろというのは無理だろう。

  • 素晴らしい。今作も、安心の結城先生クオリティである。章の構成が洗練されており、最終章にて既習事項がすべて繋がる。理解した瞬間に、まるでミステリー小説を読んだ時のような爽快感を得られるはずだ。

  • 後半はほとんどついていけなかった。勉強しなきゃ。

  • 理数理 ユウキ||20||4 11791628

  • 数学を楽しむ少女たちの話。シリーズ5作目。


    今回はガロア理論。群論は最近ちょっと興味を持っていたので、いいタイミングだった。昔からちょくちょく見てるサイトで、最近圏論の話が出てた。圏ってのは初めて聞く数学概念だと思って見てると、記事の中には群の話とか出てきてたから、気になってた。実際本書の中でも写像の話が出てたから、やっぱり集まりについての抽象概念の数学表現に近いような気がする。



    まぁ、それはそれとして、本書の話。

    本書の前半は4作目より大幅に簡単になったなぁという印象だが、後半の詰め込みぶりがすさまじかったw前半のボリュームを1としたら、後半のボリュームは3~5というところかな。登場人物の理解に自分の理解が徐々に付いていかなくなって、最後のほうは、自分の頭の中にイメージを持つことだけに集中するしかなかった。なので、ユーリの提示してくれる図はだいぶありがたかった。


    数式を扱うのは形式をそのまま扱うので慣れると簡単だが、概念を記号化して数学的な形式で扱うのは難しい。なぜなら、数式を見て異なる概念をひとつの概念に収める作業を頭の中でやらないといけないから。

    昔物理で数式の展開をやるとき、ある段階から別の教科書の内容をイコールで結ぶものが登場したことがあったのだが、このとき初めてイコールの左辺と右辺の物理概念がそれぞれあることを理解した。数学もこれと同じで、表現形式は記号なので変わらないが、その本質は概念的に異なるものとして教えられたものをひとつに収めるのがイコールだということが、本書を見ていると分かる。


    本書を含めて数学ガールシリーズは、数学の楽しさを数学を知らない人に教えるために書かれているようだ。シリーズの中では概念を順に提示し、提示された概念は実は同じものの別の表現であることが順に明かされていく。こういうのは、知的好奇心が刺激されるため、何かを理解する楽しみを知っている人にはおもしろいと思う。



    本書を読んで最後に思うことが、次作ではきっと今まで読んだすべての数学概念のイメージを持ってないと読めないんだろうな、ということwというのも、ガロア理論はガロアの3つの論文からなるらしいが、本書はガロア理論の第一論文の説明にフォーカスを絞っている。ガロア後半の詰め込みぶりから、1冊に収めるのは到底無理だったから、1つに限定したのだろうと考えてしまう。

    次作を読む前に、とりあえず今までの概念を頭の中に用意しとかないとw

  • いや〜
    おれかなり数学忘れてるわ〜

  • つい先日,前の巻を読み終えたと思ったらすぐに第五巻.今度はガロア理論.すばらしい.証明はほとんどないけれども,わかった気にさせる著者の力量がすごい.

    さすがに第10章でガロアの第一論文を読んでいく部分は少し勉強したことがないと,なかなかついていくのが大変ではないかな.私はガロアの原論文を読んだことがなかったので,どういう論理構成になっているかわかって良かった.

    小さな間違い p.419 群指標 --> 群指数

    置換群とあみだくじの対応が普通の本と違うので注意が必要.この本の定義だとあみだくじを下にくっつけていく積はうまく対応するのだけど (p.76),
    [3 1 2]*[3 2 1]
    をあみだくじを描かずに計算しようとすると,あみだくじでは下にあるはずの [3 2 1] から計算しなくてはいけない.これは p.361 のように a1,a2,a3の式に作用させてみるとよくわかる.
    [3 1 2]*[3 2 1] (g(a1,a2,a3))= [3 1 2]*(g(a3, a2, a1))
    =g(a2,a1,a3) =[2 1 3] g(a1,a2,a3).
    ある意味ではこの定義の仕方の方が自然なのかもしれないとは思う.
    そしてもちろんこれはこの本の価値を損なうものでは全くない.

  • おなじみ数学ガール。難しい内容だし一部はしっかりとは理解できていないが、非常に分かりやすい。
    数学ガールのこれまでの作品はどれも難しい内容を分かりやす説明しておりお勧め。高校生の頃、これらの作品と出会えていたらなーと思わずにはいられない作品。
    群論をもう少し勉強しないとなー。

著者プロフィール



「2023年 『数学ガールの秘密ノート/数を作ろう』 で使われていた紹介文から引用しています。」

結城浩の作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
ウォルター・アイ...
ウォルター・アイ...
有効な右矢印 無効な右矢印
  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×