遠藤保仁がいればチームの勝ち点は117%になる データが見せるサッカーの新しい魅力 (SB新書)

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  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784797369359

感想・レビュー・書評

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  • これはつまらない

  • サッカーの面白さと数字の面白さをミックスしていて、面白い。
    ただ、数字では現れない、ディフェンスラインの統制やポジショニング、メンタル面の要素があるからやっぱりサッカーは面白い!
    単純に勝ち点117%と言うと統計解析に否定的な方にはオススメできませんが、客観的な数字へ「なるほど!」と唸らせる説得力は充分にある。

  • 【認識】
    サッカーに関するデータ分析を行うことで、チームが勝つために必要な要素を導きだす本

    【対象】
    ・数式を毛嫌いしない一般人
    ・サッカーが好きな人

    【感想】
    良い点:
    統計をどのように適用して行くか、なじみの無い人にとっても分かりやすく解説している。
    手法の特徴だけを抽出して、数式を排除している。
    データの収集→主成分分析→クラスタリング→回帰分析という流れ。
    統計は仮説を立てれば統計的に立証でき、逆に言えば仮説を立てなければ意味が無い、というメッセージと読み取った。
    何の考えもなしに「これとこれが関連がある!」とは教えてくれないことが分かる。

    ビッグデータ使用している現場はどうなっているのか疑問。
    因果は重要で無く相関が重要であっても、関連付けるデータにあたりをつけなくては何やっても無意味な気がするが、最近読んだ本だとそういうあたりをつけずに有用な情報を引き出せるように書かれてあって、そこらへんはっきりしない。

    悪い点:
    サッカーが好きじゃなければ飽きる。
    統計の重要そうなところだけ読んで、ほとんど読みとばした。

  • *****
    膨大なデータを丹念に分析して、サッカーをデータによって解釈することを試みている本。
    内容はまあそうだよねという感じだが、解釈のプロセスや考え方は参考になる。
    *****
    一方で、「とは言っても数字だけじゃ無理だよね」という感覚が沸き起こってくるのが良く分かる。
    確かに「数字で全てが語れるわけではない」という合理的な面と、
    「自分の信じている直感に反する」というヒューリスティックな面が
    両方とも含まれているはずである。
    *****

  • 良いタイトルを付けたもんだ。野球と比較して数値化、記録化されにくいとされてきたサッカーを、統計学を駆使しながら、徹底的に数字で表現する本。面白いなあと思う部分と、何を数字にするかがミソだなあと思う部分と、数字に表しにくい人間関係とか流れとかがサッカーとしては面白いんだよなとか。

  • 久々に新書のサッカー本を読んだ。
    けっこうこういうタイトルで釣られるケースがあるのだが、本書はタイトル負けしないすばらしい内容だった。
    充実の内容は下記の目次項目を見てもらえればわかるだろう。

    ■目次
    はじめに データがサッカーに革命をもたらす
    本書で扱うデータ

    第1章 データから読み解く一流プレーヤーの技術
    データを読むための「数字の感覚」
    日本代表の心臓・遠藤保仁は何が優れているのか
    日本人得点王ハーフナー・マイクの躍進と今後の課題
    日本人フォワードは決定力を高めるよりシュート数を増やせ
    日本最高のクロッサー駒野友一
    Jリーグ随一の闘莉王と増川隆洋のコンビネーション
    Jリーグ最高のゴールキーパーは誰か

    第2章 データを使って隠れた才能を探し出す
    選手の可能性をデータで探る
    ケネディを越える可能性を秘めた得点率王
    遠藤を越える中盤のプレーヤーは現れるのか
    守備を支える陰の実力者たち
    Jリーグで活躍するロンドン五輪世代の成長株を探し出す
    スタッツによる選手分析の限界

    第3章 データで振り分けられるプレーヤーの役割
    統計学を使ってデータをまとめる
    いくつの軸でデータを表すべきかを考える
    5つの主成分はどのような内容か
    クラスター分析による選手のプレースタイル分類
    クラスタリングの結果から遠藤の代役を見つけ出す
    チームにおけるポジションの過不足を検証
    ゴールキーパーはフィールド精度とセーブ率で特性が表れる
    データに基づいたベストイレブン

    第4章 データが教える得点につながるプレー
    得点につながるプレーを統計学で検証
    シュートを何本打てば1点入るのか
    ゴールに結びつきやすいシュートは何か
    シュートの種類別に得点を予測する
    得点に結びつくラストパスとアシスト
    ゴールの背景にあるプレーがどれだけ得点に結びつくのか
    守備的なプレーによって失点をどれだけ防げるか
    現実に則した予測モデルで守備的プレーを評価する
    得点や失点を防ぐのに貢献したプレーヤー
    シュートの決定率による評価ではレアンドロ・ドミンゲスが1位
    チャンスメイク貢献度で群を抜く遠藤のプレー
    守備貢献度1位はヴィッセル神戸の河本
    チャンスメイクと守備貢献におけるマイナス評価とは?
    ゴールキーパーのプレーと得点・失点の予測モデル
    攻撃・守備への貢献から見るベストイレブン

    第5章 データが示す勝敗を左右するプレーヤー
    貢献度の合計値とその限界
    試合の勝敗を左右するプレー
    貢献度指標による勝敗の予測
    シーズンを通した勝ち点の予測
    柏レイソルが優勝できた理由と解析の限界

    第6章 データが明らかにするサッカーの気になる疑問
    すべての仮説はデータによって検証可能
    ホームとアウェイは勝敗にどの程度の影響を与えるのか
    先取点を取ることはどれほどチームを有利にするか
    途中後退をうまく使えているチームはどこか
    速攻と遅攻はどちらが有利なのか

    おわりに--仮説こそがサッカーの観戦力

    データスタジアムのデータを著者がしっかりと分析されたようで、
    基本的な分析や多変量解析がなされている。
    回帰分析やクラスタ分析、主成分分析などを用いてJリーグデータを紐解くという目から鱗の内容だった。

    データを分析することで得られる点、ダメな点の整理もとてもすばらしく、やはり論理だけではサッカーは語れないと結論づけるのもとても共感した。
    選手データだけでなく、監督の采配や戦術も何かしらのデータに落とし込むことができればさらによくなるのではないだろうか。
    大変に面白い1冊だった。

  • 野球(の特に攻撃は)数学的おもしろさであるのに対して、サッカーは詩的美しさがある。というのは、大学に入りたてでかぶれていたころの私が考えていたことだ。
    それだけに、たまたま居間に置いてあった『マネーボール』を読み終えた時の驚きは強かった。
    野球にこんなに数字が使えるのか、ということにではなく、こんな数字が大切だったのか、ということにだ。
    新しい世界の扉を開かれたような気がした。
    (とはいえ、だいぶ昔に鳩山元総理が似たような部分を含む「野球のOR(<特集>スポーツのOR)」という論文を書いているのだが、それは後で知った話。http://ci.nii.ac.jp/naid/110001186623

    同じような分析がサッカーにまで持ち込まれていると聞いて、本当にできるのだろうかとはじめは懐疑的だった。
    確かにシュート数やアシスト数といった指標はある。
    しかし、ディフェンス面での指標は?
    世界のスーパースターたちのドリブルや視野の広さはどうやって表現できる?
    自由度が高く、区切りの少ないスポーツ(≒一つ一つのプレーが結果としてみえにくい)を数値化するのは難しいのではないかと考えたからだ。
    野球でも守備を数値化するのは、打撃や投球よりも難しいだろう。
    (今は分析がなされているらしい。ゾーンレーティング、プラス・マイナス・システムなど)

    しかし、この本を読み進めていくと、なるほどと思わされる。
    Jリーグで数百数千に及ぶ項目について数字がとられているというのは、恥ずかしながら初めて知ったが、その数値によって選手を評価し、得点/失点あるいは勝ち点の期待値とどのように結びついているか、統計学的に分析していく。
    その手法は説得的であり、(用語法の部分で違和感があるところはあっても)納得できるものだった。
    Jリーグの試合を数多くみているわけではないのだが、期待される選手についても、きちんと評価されるものになっているように思われた。
    筆者の言うようにサッカーは居酒屋談義の的になり、システムから選手起用、一つ一つのプレーに至るまで多くの「仮説」が出されてきた。
    そして、この本はそれに対して、ひとつの解答を与える。
    解答を与えることは、見方を固定することではなく、新たな観戦の仕方を与えることになるだろう。

    本書と『マネーボール』に共通して言えること。
    それは「数字を見よ」ということではない。
    「いらない数字を消し、必要な数字を見よ」ということである。
    重要だと思っている数字には実は意味は無いのかもしれない。
    (それは日常にもありふれたことだ)
    要らない数字にとらわれるくらいなら、数字など見ないほうがマシだ。
    多分本書を読まずとも、遠藤はいい選手だ、と思えるというのは、そのことを示しているのだろう。

    最後に、サッカーと野球が大きく異なるのは、組み合わせがモノを言う、というところである。その点まで大きく踏み込んでいくとより、「仮説検証」に華が咲くのではないかと感じた。

  • データを参照すると意外な選手がランキング上位に上がってきたりするけど、データでは計測できないステータスがありすぎる。

  • サッカーを統計解析を用いて色々調べてみました、という本。
    本の最後の方に、統計解析による確率の話では優勝するかどうかといった絶対的なことは解明出来ない(当たり前だけど)、とあるが、数字には表せられない部分はビジネスにも共通してあると思う。
    如何に事業分析やらマーケット分析等、科学的にアプローチを行なっても、事業の成功如何は最後の経営判断によるところが大きい。その経営判断が、数字では表せないところ。

    ビジネスと違って、数字に表せられない部分が数多く結果に影響するからこそ、その分スポーツは面白い。

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著者プロフィール

1981年、兵庫県生まれ。統計家。東京大学大学院医学系研究科医療コミュニケーション学分野助教、大学病院医療情報ネットワーク研究センター副センター長、ダナファーバー/ハーバードがん研究センター客員研究員を経て、2014年11月に株式会社データビークル創業。自身のノウハウを活かしたデータ分析支援ツール「Data Diver」などの開発・販売と、官民のデータ活用プロジェクト支援に従事。著書に『統計学が最強の学問である』(ダイヤモンド社)、『1億人のための統計解析』(日経BP社)など。

「2017年 『ベストセラーコード』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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