- Amazon.co.jp ・本 (456ページ)
- / ISBN・EAN: 9784797369694
作品紹介・あらすじ
数学は、生命の神秘を解明するために、どのように使われてきたか?イアン・スチュアートが最新の研究成果を通して明らかにする21世紀数学の最前線。
感想・レビュー・書評
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理系科目と呼ばれるものの中で生物学は異質だ。それは帰納的な数式を用いず再現性を重きを置かないスタイルだからであろう。本書はその生物学に数学的考証を取り込もうとした意欲作だ。イアンスチュアートの著作物は知的好奇心を刺激するものが多いが本作も同様である。
生物学と数学の関係で有名なものとしてはフィボッチ数列があるが、本書ではゲーム理論や次元、ひも理論など多彩な数学理論が適用されている。とはいえ難しい数式は出てこないので読みやすい(内容自体は結構難しい)。
特に「第17章 生命とは何か?」章末の合成生物「シンシア」、「第18章 外に誰かいるのか?」の局所的と普遍的の観点からの様態考察が秀逸だった。我々の常識から生物の定義を考えてる状態こそ生物学の発展を頭打ちにさせた原因なのかもしれない。
前半で生物学を概観し、後半で生物学の新たな可能性を感じさせられる、そんな一冊である。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
何の役に立つのかわからなかった数学上の発見、定理が生命科学の説明に使えることがわかってきた。
数学は別段、現実離れした空想遊びではなく、この世界を記述するためのUniversal Languageであるということ。
母国語の次にある程度押さえとかないといけないのは、英語よりもこっちだよねぇ。 -
背ラベル:461-ス
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2022-12-13
生命科学の発展とそこへの数学の関与を一気にまとめた本。扱うテーマが膨大すぎて、個々の掘り下げの中途半端さには不満も残るが、いたしかたない。
題名に反してほとんど数式は出てきません。5、6個かな。それもごく簡単な確率計算くらい。なので、題名で損してるかも。 -
2079円購入2013-03-19
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読み始めたはいいが、生物学はこれまで数学を敬遠してきたが、数学って生物を理解する上でかなり役に立つんだぜ、というアピールが、最初の生物学初歩のセクションから感じられ、それが耳障りで読むのをやめた。
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ちょっと期待はずれ
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幅広く、楽しく読めた。
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パラパラとページを捲ってみる。とても面白そうな図表がたくさん載っている。本文を読めばこれらの意味するところがわかるのかと期待する。本文を読む。…わかったようなわからないような。
・植物の茎周りの葉の並び方(葉序)…典型的なのが「135度」すなわち一周の3/8。
・リュカ数列(1,3,4,7,11,18)
・黄金比について語られることは、葉序を除いて、多くが都市伝説。
・子孫への遺伝子の伝搬を垂直伝播とすると、異なる種同士で伝わる「遺伝子水平伝播」というメカニズムを細菌は持っている。
・正多面体(4,6,8,12,20)。正二〇面体は自然界に見られなかったが、二十世紀、ウイルスとして発見された。
・種分化が起こるには地理的隔離が必要(異所的種分化)といわれるが、同所的種分化もあり得る。同所的種分化は一種の対称性の破れ。ちょっとしたきっかけがあれば同所であっても分化を進める大きな力が働く。
・地球外生命を考える上で生物の特徴を分類する。「普遍的特徴」と「局地的特徴」。その特徴は一度だけ進化したのか、何度も独立に進化したのか。
・通常のハビタブルゾーンの概念はもっぱら恒星の特徴のみで決められ、惑星の特徴(大気など)は考慮されていない。しかしそれでいくと地球はハビタブルゾーン外であることになりかねない。 -
生物学に起きた5つの革命として著者は、顕微鏡の発明、地球上の生物の体系的分類、進化論、遺伝子の発見、DNAの構造の発見を挙げる。そして、第6の革命を数学と位置付けている。この本は、著者によるこの第6の革命に関するもの、となっている。「となっている」と書いたのは、自分自身これが他の5つと並び立つ革命とはどうしても思えなかったからだ。しかも宇宙に人類と同じような知的生物がいるかどうか、は「生物学」の問題ですらもない。また、人間原理も同じくそうだ。著者が博識で、数学の専門家でもあることから本の位置付けを安易に選んでしまったのかなと邪推したりしてしまう。
なお本書では、この第6の革命だけでなく、それまでの5つの革命についても比較的丁寧に説明をしている。そう思うと悪くはない。