なぜ男は女より早く死ぬのか 生物学から見た不思議な性の世界 (SB新書)

著者 : 若原正己
  • SBクリエイティブ (2013年12月17日発売)
3.50
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  • Amazon.co.jp ・本 (232ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784797375305

作品紹介・あらすじ

地球上に住んでいる生物の「性」の不思議と面白さを、生物学の視点から読み解き、分かりやすく紹介!
生物のさまざまな性を知ることで、人間の「男と女」の本質が見えてくる!

なぜ男は女より早く死ぬのか、なぜ男は女より体が大きいのか、
なぜヒトは男と女に分かれているのか……
人間の性にはさまざまな謎があるが、そうした疑問を生物学の側面から考えると、
どのような説明が成り立つのだろうか。
ゾウリムシのような微小な生物から昆虫、爬虫類、哺乳類に至るまで、
さまざまな生物の性の仕組みを紹介しながら、ヒトの性の不思議を解き明かす!

まえがき
第1章 なぜヒトは男と女の2性なのか
第2章 男と女はどうやって決まるのか
第3章 実はあいまいだった男と女の区別
第4章 男と女の出会いの秘密
第5章 本当に男は生物学的に役立たずなのか
第6章 男女の概念をひっくり返したiPS細胞
あとがき
主な参考文献

なぜ男は女より早く死ぬのか 生物学から見た不思議な性の世界 (SB新書)の感想・レビュー・書評

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  • 第2章 男と女はどうやって決まるのか
    p.55 男と女は性染色体で決まる。ヒトの染色体は23対(46本)あり、そのうち1対(2本)が性決定にかかわる染色体で、性染色体と呼ぶ。残りの22対(44本)の染色体は常染色体と呼ぶ。
    ヒトの男性は性染色体として、比較的大型のX染色体と、非常に小型のY染色体を1本ずつ持つ。女性は、X染色体を2本持つ。
    X染色体は大型で、1000個以上の重要な遺伝子が載る。Y染色体は小型で、X染色体の4分の1ほどしかなく、載る遺伝子は80個ほど。

    p.79 ヒトの卵子は1種類、精子が2種類。女はX染色体を2本持つので、減数分裂で卵子ができて染色体数が半分になったとき、必ずX染色体を持つ卵子ができる。男は細胞がXY型なので、減数分裂で生じた精子にはX染色体を持つものと、Y染色体を持つものができる。
    もし、X精子が先着すれば受精卵は女の子(XX)になり、Y精子が先着すれば男の子(XY)が生まれる。性を決めるのは卵子ではなく、精子ということになる。

    p.80 X精子とY精子では重さが違う。X染色体はY染色体より約4倍もの大きさがあるので、X精子はY精子より少し重い。Y精子のほうが軽いため、先に卵子に到達しやすい。
    そのため、受精卵の性比は男に偏る。だいたい女が100に対して男が120ほどと言われる。だが、男の受精卵(XY型)は発生途中で死にやすく、流産・死産が多いので、生まれてくる子供の性比は男女で差が縮まる(日本では女子100に対して男子105人ほどというデータ)。

    p.89 哺乳類のオスは絶滅するか
    進化の途上で哺乳類が爬虫類から分化した頃、X染色体とY染色体は同じ大きさだったが、進化に伴ってY染色体は短くなってきたと考えられている(ある種のトゲネズミでは既にY染色体が消失)。Y染色体に載っていた遺伝子が時間とともに常染色体に乗り移った結果、Y染色体は短くなってきた。現在のヒトのY染色体には、SRY遺伝子(Y染色体に載っていて、性を決める遺伝子)以外に重要な遺伝子は殆んど残っていない。この割合で短くなると、1400万年後にはY染色体はなくなる計算。そこから、やがて哺乳類のオスはいなくなるという説が出てきた。

    第5章 本当に男は生物学的に役立たずなのか
    p.172 すべての年代で男女の死亡率を比べると、男の方が死にやすい、というデータがある。2012年の厚生労働省のデータでは、とくに20代や55-84歳では、男は女より2倍以上も死にやすいという結果に。だから、平均寿命も男の方が短い。世界的にみても女のほうが長生き。

    p.176 男女死亡率のデータを殺人に絞って見ると、男の方が殺されやすいことが証明できる。アメリカのデータでは、全年齢の平均をみると、男が殺人で殺されるのは10万人あたり7人、女は2.4人。

    p.178 がん(悪性腫瘍)にかかる率も男が高い。細胞のDNAが変化することで、細胞分裂が正常にコントロールできなくなり悪性腫瘍となる。しかし、本来はがんになりかかった多くの細胞は、免疫細胞の力で初期のうちに除去される。このがんになりかかった細胞を取り除く能力に男女差があるのではないか。

    p.182 なぜ男は女に比べて弱いのか。代表的な説ふたつを紹介。「X染色体説」と「アンドロジェン説」。
    「X染色体説」は、女性はX染色体を2本持つが、男性は1本しか持たないことに基づく説明。X染色体は、大きく、重要な遺伝子が多く並んでいる。男性は1本しかX染色体を持たないので、もしX染色体に以上な突然変異があれば、必ず変異遺伝子が発言する。女性は2本持つので、一方に異常遺伝子が載っていても、もう一方の染色体に正常遺伝子があれば、正常な遺伝子が働き、変異した遺伝子が発言されないですむ。
    「アンドロジェン説」は、男が死にやすい主な原因はX染色体のせいではなく、自分が出す男性ホルモンであるアンドロジェンが主な原因とする考え方。アンドロジェンは男の精巣で作られるホルモンで、第二次性徴に関連した男らしさを発現させる。これが出ることで、男は攻撃的になり、ケンカや殺人をし、殺されもし、事故にもあいやすく、病気にもなりやすい。
    筆者は生物学的にはアンドロジェン説が有利と考える。それは、ネコやネズミの精巣を除去(去勢)すると、おとなしくなり、寿命が延びるから。その場合、XY染色体を持っていることは変わらないが超寿命になっている。また、XX染色体のメスのラットにアンドロジェンを投与すると、ケンカしやすくなり、寿命が短くなるというデータもある。

    p.190 進化的にみて、ヒトは野生時代には緩やかな乱婚制をとっていたのではないかと推定。ヒトは、明確な乱婚制のチンパンジーほどではないが、一夫多妻制のゴリラやオラウータンより精巣が大きく、1回に放出される精子の数も1〜2億個とかなり多いので。乱婚制をとる生物は、精子間の受精競争で勝ち残るため、精子数が多くなる傾向がある。
    その後、社会的な生活をするようになり、一夫多妻制になり、さらに時代が進むにしたがって一夫一妻制になってきたと考えられる。

    第6章 男女の概念をひっくり返したiPS細胞
    p.198 京都大学の山中教授らが作り出したiPS細胞(人口多能性幹細胞)は、理論的には体を作っているすべての組織や臓器に分化誘導できる。つまり理論的には、男性から卵子、女性から精子を作ることも可能となり、同性配偶による子の誕生も可能になる。

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