大局を読むための世界の近現代史 (SB新書)

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  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784797380811

作品紹介・あらすじ

日本の元祖エコノミストが解読する、世界の動き方! エコノミストならではの歴史を読み解く着眼点――経済合理性があるかどうか、物量の規模や経済指標などを駆使して世界史のダイナミズムに迫る。未来を読みとおす卓見は、歴史への正確な理解から生まれる!

感想・レビュー・書評

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  • 最初は面白そうだと思ったがそれ程でもない。

  • レビュー省略

  • 第一次世界大戦からの近現代史の流れ、経済、政治の両面から解説。大局が捉えられていて、わかりやすい。
    近い将来の北朝鮮の崩壊、それに続く中国の崩壊を確信しているという著者。さて、どうなることか。。

  • 長谷川慶太郎氏の本は今月のこの本も含めて、この数十年来楽しませてもらっていますが、その内容は世界経済や日本経済の動向の解説が主なものです。

    今回は第一次世界大戦以降の近現代史について、欧米および中国の歴史を解説されていて大変興味深く読ませてもらいました。

    現在の国の状況を理解するには、過去の歴史が何等かのベースになっていることが多く、その理解は大切だと私は認識しています。そんな私にとってこの本は素晴らしいテキストになりました。大局を読むためのコツがつかめたような気分になった本でした。

    以下は気になったポイントです。

    ・イギリスは長らく光栄ある孤立を続けていたが、1902年に調印した日英同盟で方針を変更して、ドイツの軍事的脅威もありフランス、ロシアと組む決断をした(p18)

    ・オーストリアの軍は言語がドイツ語に統一されていたが読み書きが全員できなかったので、戦闘力はロシア帝国軍に叩きのめされた。現在の中国軍も同様の言葉の壁に悩まされている(p27)

    ・第一次世界大戦においてそれまでとは比べられないほど犠牲者が出たが、それでも戦争が終わらなかったのは、生産力増加・物流ルートの進化で大量の兵員が動員可能になったら(p28)

    ・ドイツは世界最強クラスの国力と生産性を有していながら、多民族のオーストリア=ハンガリー帝国に足を引っ張られ続けた(p32)

    ・イギリスは1870年代から圧倒的な軍事力・経済的な優位に蔭りがみえはじめ、ドイツを中心とした三国同盟、露仏同盟が形成される中で、孤立していった(p35)

    ・スコットランド最大都市であるグラスゴーでは、日露戦争の連合艦隊の旗艦となった「三笠」が建造された(p36)

    ・日本陸軍が欧州へ兵を送らなかった理由は、西欧における男女平等システムの考え方が入ってくるのを恐れた(p39)

    ・当時の基軸通貨国であるイギリスとの同盟が破棄されたことで、日本は国際社会からの孤立を歩んでいった。日米安保体制をどうするかは、日英同盟後の日本の顛末を見ればわかる(p39)

    ・ドイツには1320億金マルクという賠償金(当時のGNPの3年間分)の支払い義務が定められた。19世紀の講和条約のスタイルを取り入れていたため(p44)

    ・武力の裏付けを持たない外交交渉、国際機関による決議はたんなるスローガンに過ぎず、何ら効果を持っていないことがわかり国際連合では、経済制裁・集団的軍事行動などの強制措置を行って国際平和の維持に努めている(p48)

    ・ドイツはベルサイユ条約で陸海軍の規模を8分の1にするよう取り決められたが、ソ連と密の軍事協定を結び、ソ連で兵器開発、教育訓練を行った(p49)

    ・明治になった時の日本には4つの資産があった、行政機構・各藩の外交力・識字率・インフラ整備、である(p55)

    ・新橋横浜間の鉄道敷設(1872)はイギリス人技術者に頼ったが、4年後の兵庫京都間は、すべて日本人技術者で行われた(p56)

    ・関東大震災の全犠牲者の約9割は火災によるもの、太平洋沿岸では高さ10メートルの津波も発生(p61)

    ・震災後に外債募集をしたが利回り8%、市債の決済が終わったのは発生から29年経った1952年である。発行当時の為替レートは1ドル2円であったが、戦後は360円となり180倍のお金をつぎ込む必要があった(p63)

    ・第一次世界大戦で勝利したのは、文民の政治家が軍隊を統一する国、できていなかった、ドイツ帝国・オーストリアハンガリー帝国・ロシア帝国は国家体制が変わった(p64)

    ・国民の生活水準が著しく低下した、国民の平均寿命が53.4(1936)から23.9(1945)となったこと(p71)

    ・ソ連は第二次世界大戦において、民間人・軍人合わせて2600万人が犠牲(人口比13%)となった、日本が300万人、ドイツ700-900万人だったと考えても多い(p79)

    ・ベトナム軍に歯が立たなかった中国軍は、中国人民解放軍内の原語不統一がある、これはオーストリアハンガリー帝国が第一次世界大戦で敗れたのと同じ(p142)

    ・ディーゼルエンジン空母では、部品交換のために75日でドッグに戻る必要がある、アメリカの原子力空母は3年間大丈夫(p148)

    ・2001.15回党大会で、共産党員の入党資格を変更している、それまでは労働者・農民・兵士のみだったが、資産家も入れるようになった(p157)

    ・習近平はさまざまな要職のトップについている、これは自分の権力基盤が弱いから(p159)

    ・韓国の男性平均寿命が76歳であるのに対して、北朝鮮では56歳(p169)

    ・シャドーバンキングは中小企業に20%という高金利で金を貸し付ける銀行業務を行っている、その融資するためのカネを集めるために5-10%と利回りのいい理財商品を発行している、中小企業の返済が焦げ付くと大変(p184)

    ・人民元を買い支えるための資金として、アメリカ国債を売却した。とどめを刺すのが、アメリカの金利引き上げ、2015年半ばには起きるだろう(p197)

    ・1990年10月ドイツ統一後に、1991.12にソ連は崩壊した。これと同じことがアジアで起きる。中国が北朝鮮を捨てて朝鮮半島が統一された後に、中国は姿を消すだろう(p209)

    2015年1月1日作成

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著者プロフィール

国際エコノミスト。1927年京都生まれ。1953年大阪大学工学部卒業。新聞記者、雑誌編集者、証券アナリストを経て、1963年に独立。1983年に出版した『世界が日本を見倣う日』(東洋経済新報社)で、第3回石橋湛山賞を受賞した。

「2020年 『中国は民主化する』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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