下流中年 一億総貧困化の行方 (SB新書)

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  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784797386578

作品紹介・あらすじ

◆介護離職、早期退職、引きこもり、ワーキングプア……他人ごとではない中年のリアルな危機!
◆巻頭対談:雨宮処凛氏×萱野稔人氏
「生きづらさ」についてから8年、「生きづらさ」はどう変わったか

◆「ロスト・ジェネレーション」はどこに行ったのか?
団塊ジュニア世代(71年~74年生まれを中心に前後数年の間に生まれた世代)は、
就職氷河期と重なり、「ロスト・ジェネレーション」と呼ばれたが、彼らは今や40歳を超える中年となった。

「中年フリーター:氷河期の非正社員ら、歯止めかからず273万人に」というニュースが流れたが、まさに彼らが非正規労働を続けざるを得ず、新たな問題となっている。

◆人は、どのようにして社会のレールから転落するのか。また、這い上がるためのスキルとは、どのようなものなのか
◆いまは社会に関わりを持てている働き盛りの中年世代であっても、突然、転落するかもしれないリスクは誰もが持っている。
それどころか、真面目で、他人の痛みを理解できる優しい人ほど社会のレールから外れやすく、抜けられなくなることが多い。
1日に10時間以上働いても、月に10万円余りにしかならない実態にあえいでいる働き盛りの世代も多い。
職場で苦しみ孤立する人がいても、かつての会社が家族のように守ってくれた終身雇用の時代と違い、激しい商品開発競争の中で、上司も同僚も自分のノルマに追われる。職場で我慢していても支援などの相談窓口へ行っても、気合論や精神論ばかり説かれて、「しんどい」などと弱音を見せると、精神科への受診を勧められる。若年者や高齢者と違って、働き盛りとみなされる中高年世代には、セーフティーネットがほとんど用意されていないことも、こうした地獄からいつまでも抜けられなくなる要因にもなっている。
◆「敗者復活を許さない日本社会のほうが病んでいるのでは…」
ある読者は、そう筆者に訴えた。
先行きの見えない未来。生活は困窮し、貧困問題にも直結している。ギリギリのところで生活を強いられる現実に、真剣に向き合おうとすればするほど、傷つき疲れていく。そんな不安を抱えながらレールにしがみついている存在を、社会が大量につくりだしているといえる。
私たちは今後、こうした社会にどう向き合っていけばいいのか。

感想・レビュー・書評

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  • 未来に希望が持てない、何となくそういう雰囲気が定着しつつあります。本書を読んで更に今後どうなっていくのだろうと、不安に思いました。誰もが貧困に陥る可能性があり、それは個人の頑張りだけでは解消できないところまできています。当たり前に働けば生きていける、そういう時代ではなくなってきているようです。
    ではどうしたら良いのか。それを皆で考えていかないといけないのです。

  • タイトルに惹かれて読んでしまってはこちらの負けか。特に得るものはなかった。

  • 団塊ジュニア、就職氷河期世代が、若年者ではなく、すでに中年世代に突入。ますます捨て置かれる非正社員の彼らの実態とは。

  • 後半の団塊ジュニア世代12人の歴史が興味深い。一人目の女性の一度終身雇用から抜けると…のくだりは日本が一度正規ルートのようなものを外すと戻れないことを如実に示している。

  • 367.7

  • レビュー省略

  • 他人事ではないと感じました。

  • ロスジェネ世代、新卒時に思うような就職が出来なかった不本意非正規、正規に這い上がるのは困難。もう若者じゃないので支援対象でもなく、子どもも持てずに終わり、加齢とともに稼げなくなっている。自己責任じゃなく社会の問題。

    変わっている世の中に対して、遅れている意識と制度。先のしくみで利益を得た人たちがいなくなれば、変わるんだろうけど。

  • 在日への過剰な批判の原理は移民排他主義と同じで、今の社会で満足できていないことや今後パイが奪われることへの危機感から生じている。ゆえに、経済成長が停滞した国でリベラルは食えない理想でしかない。
    8年ほど前にプレカリアートの憂鬱を読んだ時も色々感慨深かったが、8年経った今、より質感もくっきりと伝わってくる現実となってしまっている。
    ここまできたら、やはり日本に固執する必要はないんじゃないか。出ていける者は出て行ってしまった方が良い。この社会では見捨てられてなんの改善も見込めないことはわかりきっているのだから。

  • 普通に会社に入って。。ということが普通でない人々もいる、という現実を見た気がしました。
    私たち中年にとっては、働くっていうことは実はかなり重要とも認識しました。
    解決への道は見えず。

  • 学術的な探求をしているひとも著者として名を連ねているが、基本的には、単に著名人の個人的な意見を述べ合う場と化していて、論理性に配慮した内容ではなかったと感じた。
    このような内容でも本が出せるんだなと思えたという意味で、参考にはなった。

  • 近年悪化してきている、現役世代の貧困率。救われるべきは「下流中年」ではないか? 他人ごとではない中年のリアルな危機を明らかにする。雨宮処凛と萱野稔人の対談、ルポ・下流中年12人のリアルも収録。

    見につまされる・・・。
    それよりも甥っ子たちだ。

  • 高齢者の貧困率は統計的に改善を見る一方で、深刻化しているのが40代中年層と子ども。
    高齢者の改善は、終身雇用で年金を満額でもらえる層の増加。でも、バブル崩壊後リストラの煽りを受けた方々も多いでしょうし、一概にそう言えるのかはよく分からない。
    下流中年の背景には、就職氷河期に遭遇し、雇用の調整弁として使われてきた世代であるということ。派遣労働から抜け出せず、給与も年金も低いまま推移。
    決して個々人の能力の問題でなく、社会が作り出した作られた下流。この世代が高齢化する中で、社会の助けを必要としてくる。
    このツケにどう向き合っていくのか?重たい課題。

  • 「保育所落ちた」とか「待機児童問題」とかで騒げる連中は勝ち組って事だろうな。また、若者とか高齢者は支援対象になるのに、なぜ中年は無視されるのか?というのは本気で考えてた方がよい。実態が見えにくいというのが一番の原因だろうけど。本書はテーマとしてはよいのだが、内容的には雑多なので、その辺にもっと切り込んで欲しかった。

  • ってか下流中年真っ只中のわたくしは読んでてただ辛くなるだけなのだった・・・

  • なかなかに雑多な構成なんですけど、著作者6名が共通してひとつ中年のとるべき道として示しているのは、自尊心を保つということでして、下流中年であるがゆえに自尊心がズタズタにされる、ってのも社会の在り方として間違っているし悲しいことなんですが、進歩しない大衆がやってることなんでしゃーない。そこは大目に見て自分の意識から変えていきましょう、生活保護ももらっちゃいけないことはない、から始まる少し安心な日常。しかし、実はそこが最も厄介なんですね。

  • 下流老人よりも、下流中年の問題の方が深刻。

    1度、非正規に落ちたら、戻ることのできない悲劇。上司からの罵倒や、職安からのダメだしなどの悲観的な話。コミュニケーション能力の大切さ。

    差別や格差はいけないと言うけど、この先も解決されない問題と認識すべきではないのか。
    非正規は正社員にならないといけないのか。もう10年以上も言われてる話だけど、なれないし、ならなくて良いのでは。
    あまりにも、年配のひとたちの右肩上がりの時代の当然に付き合って、傷付かなくて良いのではないか。

    誰かが何とかしてくれる。実際のところ、誰も何もしてくれない。結局のところ、自分しか信用できないと言うこと。

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著者プロフィール

1975 年北海道生まれ。作家・活動家。「反貧困ネットワーク」世話人。フリーターなどを経て2000 年、『生き地獄天国』( 太田出版/ちくま文庫) でデビュー。主な著書に『生きさせろ! 難民化する若者たち』( 太田出版/ちくま文庫)、『相模原事件・裁判傍聴記 「役に立ちたい」と「障害者ヘイト」のあいだ』( 太田出版)、『コロナ禍、貧困の記録 2020 年、この国の底が抜けた』( かもがわ出版) など多数。

「2022年 『手塚マンガで学ぶ 憲法・環境・共生 全3巻』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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