- Amazon.co.jp ・本 (216ページ)
- / ISBN・EAN: 9784797389524
作品紹介・あらすじ
お金持ちがますますお金持ちになる狡猾な仕組みは? 貧しい人がますます貧しくなる残酷な実態は? 触れられなかったタブーに池上彰が斬り込む!
2016年6月に発刊し、好評だった『なぜ、世界から戦争がなくならないのか?』に続く大テーマに挑む第2弾。
ミリオネアなんてまだまだ。世界には資産1100億円以上持っている“ビリオネア”が相当数いることが判明。大富豪のイメージの強いドナルド・トランプ氏など、全米長者番付ではなんと100位にすら入っていない!そんなアメリカでは“お金持ち”が市を作ってどんどん独立していた!そこで、池上彰はウォール街に飛び、瞬時に富が富を生む現場を緊急取材!また、トランプ氏の意外な節税対策が紹介され、スタジオ中から驚きの声が。その対策にはある動物が使われていた!
一方“総中流社会”と言われた日本では生活保護受給者が毎年増加し、その影響を子どもたちが受けている深刻な実態が明らかになる。貧困家庭では、子供に十分な教育を受けさせることができず“教育の格差”が生まれてしまっているのである。そうした子供たちはどんな生活を送っているのか?そもそもなぜ日本で格差が広がったのか?安倍内閣の掲げる“働き方改革”で格差は解消されるのか?
格差が拡大している世界へ、池上が緊急提言する。
感想・レビュー・書評
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なぜ格差がなくならないのか。
その問題は根深い。
世界の富はわずかな富裕層に集中しているという。
同じ人間であるのに、生まれた場所、環境、家などによって格差が生まれる。
今後の世界はどうなっていくのだろう。格差は広がる一方ではないのか。さて、自分にできることは。考えるきっかけになりました。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
とてもよい本だった。
私でもよくわかる本だった。
格差は確実に広がり続けるとピケティが実証したらしい。大富豪8人と下位36億人の資産は同じらしい。
1日の食事が給食だけという子供がいるという事実は、とても胸が痛くなった。生まれ落ちた家庭でその後がいろいろ決まってしまうのはとてもかなしい。 -
入門書で、経済格差が生まれた理由や広がる理由が端的に述べられている。
主に経済格差は「グローバリゼーション」と「不労所得の富が労働で生み出した金を上回る」からだという。
そして池上さんは格差を防ぐ解決策として
「金持ちだからいい教育を受けられる、貧乏だから受けられないではなく、子どもたちのスタートラインを一緒にする必要がある。その後の本人の努力によって差が出るのは仕方ない。スタートラインを一緒にするために、国がもっとお金を使う必要がある。」と述べる。
●経済格差→
富裕層の上位8名の資産=人口の半分にあたる下位36億人の資産
●2つの貧困→「絶対的貧困」「相対的貧困」
前者は最低限の生活を営むことが出来ず、
後者は年間の可処分所得が中央値の半分を下回っている状態
●経済格差が広がる理由は「グローバリゼーション」と「不労所得で生み出す金が労働でもたらす金を上回る」から。
前者のグローバリゼーションには光と影がある。光とは安くて良いものを購入でき豊かになった一方、影では安く良いものを買いたい消費者の需要に応えるために人件費の安い国に工場の拠点を移し、労働者に長時間低賃金で酷使し安いコストで生産する。それが安い物が欲しい消費者と安く作らせて儲けようという企業の欲望が格差に繋がる。
後者は、ピケティによると、株や不動産の運用で得られるお金の割合が年4〜5%なのに対し労働で得られるお金の割合が年1〜2%である。
この差が縮小するのは戦争が起こった時であり、
理由は戦争することで国が金を必要とし、金持ちから税金をがっぽり取るから。
●一代で資産を築いた億万長者には3つのカギがある。
彼等は「努力、情熱、責任感」
●シンガポールでお金持ちが優遇される理由
→金持ちは貴重な経済力であるから。金持ちが集まればビジネスを持ち込み、雇用を生み、経済を活性化させる役割を担う。そのため法人税や所得税を低くし誘致する仕組みを作っている。
●北欧で幼稚園〜大学まで学費が無料である理由
→教育を受けた子どもたちは将来就職してお金を稼げば税金を納めてくれるから、結局教育に投資したお金は返ってくる」という考えのもと。
●アメリカで億万長者が多額の寄付をするのは
キリスト教の教えのもと。
金をたくさんもっていたら天国に行けないため。
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経済。格差。社会問題。
難しい問題について、とても分かりやすく解説。
解説は分かりやすいが、答えは出ない。
そもそも格差は悪いことなのかどうかも分からない。
個人的に、子供の教育格差をどうにかするためにも、まずは大人が勉強するべきだと思います。 -
グローバリゼーション→労働力を人件費の安い海外に求める→安い商品が売れる→儲かる会社
国内で作り続けた会社→価格競争に敗れる→売り上げが落ちる→倒産→失業者が増える
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戦争に続き同シリーズの格差も読了。大手安売りチェーンは結局近隣の商店を潰し、雇用を生んでも低賃金など労働環境が悪く、安いからと喜んでいてはいけないと言うけれど、その価格で何とか生活が成り立つ人がいるのも事実。手作りのものならともかく、同じ商品は誰でも少しでも安く買いたいもの。格差是正は無理としても、子どもの貧困だけはなくしてほしい。
アメリカの富裕層が勝手に独立して市を作った話にびっくり。自分も富裕層になったら支払った税金は自分のために使ってほしいと思うかもしれないが、あまりにも自分だけが良ければいいと思う人が増えすぎでは。 -
池上さんの本は読みやすくて分かりやすい。
まったく知らなかった世界の状況なんかがよく分かる。
アメリカには金持ちが作った市があると言うのは驚いた。
自分の金をどう使うかはその人次第だが、そりゃ格差は無くならないわ。 -
池上さんのことは信頼しているけど、この本については「なんか違うなー」と思ってしまいます。
「たまたま生まれた家がお金持ちだからいい教育を受けられる、あるいは貧しかったから教育を受けられないということではなくて、どんな子供もスタートは同じにする。その後は、本人の努力によってそれなりの差が出るのは仕方がない。でもまずスタートを一緒にする。そのために国がもっとお金を使うことが大事なんだろうと思います。」
でも、そのための「義務教育」でしょう?
しかも今の小学校教育では、落ちこぼれの子を救うとか、登校拒否の子の世話をやくとか、至れり尽くせり。
これ以上まわりがお膳立てする必要はないと思う。
本当にやる気のある子は、バイトするとか自分でなんとかするのではないでしょうか。
そんなふうにまわりが面倒みるから、小出恵介さん事件の相手である未成年女子が「子どもを施設に預け、生活保護を受け、飲み歩き、お金のために小出恵介さんとのことを週刊誌に暴露する」ということが起こるのでは。
問題は「教育を受けられないこと」ではなく、「家庭がおかしなことになっているということ」なのでは?と思うのが上の例。
そして「お金持ちが幸せ」で「簡単にお金を稼げるのが一番ハッピー」という考えかたが蔓延してるせいなのではないか。
最近のニュースで見ると、「仮想通貨が原因で殺人」「ママ友を誘ってディズニー詐欺」「歩きスマホ当たり屋」など、「楽して稼ぐのがベスト!」みたいな事件が増えてる気がします。
「格差をなくすために、貧困を救う」より、「もっと人として学ばなければならないことがたくさんあるのではないか」と思います。 -
世界から格差がなくならない本当の理由
池上彰
2017年3月15日初版
2017年6月4日読了
内容は金曜プレミアム「池上彰緊急スペシャル」の内容を構成、編集、加筆したもの。
なのでそんなに深い話になってない。分かりやすいという良さはあるけども。物足りなかったです。
格差を生む原因は自由競争の拡大。その結果、雇用の喪失が生まれそれが格差の遠因になってる。
日本で言えば、橋本龍太郎首相時代に自由化の波が始まっていて小泉純一郎首相でも構造改革という旗の元、規制緩和、自由化が拡がった。そこで生まれたのが銀行業の規制緩和や派遣労働者など、その結果格差が広がったとも言ってますね。
目新しい話としては、アメリカでは富裕層達だけで独立し住民投票で新しい「市」を作っている。2006年にジョージア州のフルトン郡からジョンズクリーク市を作って独立した話とか。
人口約8万人、平均所得1300万、全米住みやすい街第4位。富裕層の税金が自分たちの市の運営のためだけに使われるのでかなりハイスペックな街になってるなど。あとは世界の大富豪の紹介(2016年世界長者番付トップ30)は雑学として面白いです。
参考図書として覚えておきたいものはフランスの経済学者、トマ・ピケティ氏の「21世紀の資本」
格差拡大について長期に渡る統計データから導き出した不等式「r(資本収益率)>g(経済成長率)」というもの。いつか読みたい。 -
資本収益率>経済成長率のため、格差はどんどん広がっていく。
アメリカではお金持ちの人たちが独立した市を作っている。
富豪上位8人の資産=下位36億人の資産となるほど世界中で格差は広がっている。
グローバリゼーション()の結果と言える。日本では橋本総理の金融ビッグバンが影響。
何より子供の教育格差の是正が重要。