2030年の世界地図帳 あたらしい経済とSDGs、未来への展望
- SBクリエイティブ (2019年11月14日発売)


- Amazon.co.jp ・本 (352ページ)
- / ISBN・EAN: 9784797399950
作品紹介・あらすじ
2030年の世界を見通すSDGs。これから2030年までに何が起こるのだろう。
未来を予測するためのデータには、様々なものがありますが、ひとついえるのは、これからの社会は今までとは全く違ったルールによって営まれるということ。
現在の世界はどうなっているのか、これから世界はどこに向かっていくのか。
SDGsの枠組みを借りながら、世界の問題点を掘り下げると同時に、今起こりつつある変化について語ります。
感想・レビュー・書評
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2030年は市場経済を「お金」というドライな尺度だけでなく、「意味」が重要になってくるという安田洋祐さんと落合さんの対談が面白かった。
「お金」は言葉が違っても、価値観が違っても、交換可能なとても便利なコミュニケーションツール。でもそれだけでは格差などの課題を生んでいる現実がある。(世界の格差は縮まっているが、特に大多数の中間層と富裕層との格差は広がっている)
「意味」付けには、ストーリーがないと価値にならない。だから世界共通のストーリー、SDGsは重要になってくる。(いろんな状況があり、前提の違う国々がひとつの目標を共有できることはすごいことのように思う)
そして日本は、歴史ある国で、長いストーリーを持った国といえる。ただ明治維新、敗戦の巨大な文化的断絶が現在の日本の立ち位置に影響していると述べられている。日本の強みであるキャッチアップの速さとスクラップアンドビルドで立ち直った反動と言える。
その点、ヨーロッパは長い歴史を根っこに「法と倫理」という実体のない抽象的なもので、アメリカ・中国のIT/情報の層、中国の世界の工場としての工業の層、中東・アフリカの資源の層をコントロールしようとしている。
それがSDGs、ESG投資(E:環境に配慮)、GDPR(EU一般データ保護規則)。
SDGsには17のゴールが設定されている。あまりにも多いので、混乱してどうしていいかわからない側面があるが、これは自分達が主体的に取り組むべき課題と傍観者としてどう賛同するかの立場に分かれて良いと書かれており、すごく気が楽になる。出された課題をすべて解こうとするのではなく、立場から主体・傍観の課題を見極めようということ。
では日本はどうすべきか。
ネガティブな情報が多い日本だが、本書では前向きにこの点にアプローチしているところに、とても勇気がもらえる。
コロナでリモートが進み世界との距離も縮まり、AIで言葉の壁が低くなる未来では、日本を知り、日本を語れるようになり、その強みを認識することがとても大切だと思える本だった。
シンプルに地球の持続可能性をみなが追求できれば理想的だけど、現実は複雑なのでこれからどうなっていくかを本書の仮説と照らし合わせると面白そう。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
今、飛ぶ鳥を落とす勢いの思想家?である落合さんの本。
SDGsや2030年くらいの未来を見据えた情報を
仕事でキャッチしたく、読んでみました。
落合さんの本は、これまで何冊か読んだことがあるのですが、
(自分の感度が追い付いていないのか、)そこまで記憶に残る訳ではなく、
落合ファンのように落合産の本を読み漁るとまではいきませんでした。
(どれか一冊、結構よかった本があったような、なかったような…。)
今回この本を読んで、自分の落合さんに対する評価が
大きく変わることはなかったのですが、
それでも今流行りのSDGsについて、
世界のファクトと共に分かりやすく解説してくれている本でした。
若干、落合さんの思想のようなものが紛れ込んでいて、
それがこの本にスパイスを加えているような気もしますが、
若干のこじつけ感を感じるので、
純粋にファクトに特化しても良かったのかなという印象です。
今や、SDGsは小学生でも習う内容ですし、
大人としては最低限知っておくべき内容であることは間違いないですし、
大人であれば知るだけでなく、
自分のビジネスや活動の中にSDGsを組み込むことが
必須になってくるでしょうから、
こういった考えがまだ身に付いていない人にとっては、
さくっとインプットするのにちょうどよい本かと思います。 -
筑波大学の落合陽一先生が、SDGsを中心に、世界の現状を示す様々なデータや、池上彰先生、大阪大学の安田洋すけ先生らとの対談も踏まえて、2030年の世界地図がどうなるか予測して解説した本。一人一人がどう取り組んでいくべきか考えさせられる。
個人的には、バーチャルウォーター(農産物等を輸入する国が、もし自国で生産したらどのくらい水が必要かを示したもの)のマップというものを初めて見て、
日本は清潔な水が潤沢にあると思っていたが、食物を輸入に頼っているからこその現状だと知り、衝撃を受けた。 -
日々新聞を読んでいる人にとっては真新しいことは少ないかもしれないが、全く背景知識が無い人に対して現代社会の問題、SDGsの問題を考えるのに必要な知識を与えてくれる本だろう。地政学や統計を使って、未来がどんな社会になっていくかを考えていくのは個人的には面白かった。
どうしても分かりやすさを重視しているため、根拠が曖昧なところがあるような気がする。例えば、本書で語られる地域性(アメリカっぽさ、EUっぽさなど)は著者の主観的なイメージのような印象を受ける。ただ大切なのは、読者である私たちが各々が持つ知識と経験をもとに、自分ごととして、未来について考えていくことなのだろう。 -
【成し遂げるもの】
社会問題を無視した状態で企業として長きにわたり存続することはできない時代です。
短期的な存続は可能ですが、持続は不可能です。
民間企業でも利潤を求めているだけでは生きていけないのです。
食べるに困らない世界になると消費者側もレベルが上がり、安いものが正義ではなくなってきます。余裕が生まれ考え方もレベルの高い方へシフトします。たとえ供給される製品が安価でも、社会的に崇高なビジョンを持ち合わせていない企業は排除されます。消費者も崇高なビジョン、ストーリーに共感するようなレベルになっていきます。
日本人はまだまだ自分の時間を切り売りして対価を得ています。1日は24時間しかないため、収入を上げるには時給単価を上げるしかありません。ただ、時給を10倍にすることはほぼ不可能です。つまり、時間売りで働いている間は「余裕」というものが存在しない状態です。まだ、そういうレベルです。新興国はさらに1日で生きるために費やす時間の割合が多く「余裕」はありません。
新興国が一気にレベルアップすることはできるのか?
人は一気に成長することはありませんが、加速度的にテクノロジーが進歩する時代です。テクノロジーにより本当に国境がなくなり、距離の差がなく、人種間の差がなくなれば、一足飛びにヨーロッパの考え方あるいはヨーロッパを飛び越えた考え方が生まれる可能性はあります。(国家が故意に情報統制を行わなければ)
今現在、ヨーロッパは余裕のある領域にあり、良い世界のように見えます。しかし、1980年代は圧倒的に日本の方が勢いがあり、良い世界に見えていたはずです。(欧米は日本の急成長を研究した)
将来的にどのやり方がいいのかは予測不能です。1980年代に現在のヨーロッパや日本を誰も予想できていません。世の中の流れは常に変化しているため、たまたま時代にマッチした世界が一番よく見える状況です。瞬間値に過ぎないとも言えます。数十年というスパンを瞬間値と呼ぶのは無理があるように感じますが、これは人間の寿命が100年未満のためです。人類の歴史から見れば数十年は瞬間値に過ぎません。 -
色々と知識不足すぎて、難しかった。
世界全体が目指すべき共通の課題としてSDGsが示されたことは、混沌とした世界がまとまって行くという点で大きな意味があるように思えた。企業に対する評価、国に対する評価において、SDGsは大きな焦点となるだろう。
一方でSDGsの掲げる目標に対する達成度は国によって大きく異なり、世界各国が当事者意識を持って取り組むのは難しい。
また目標に対する取り組みも、国によって大きく異なる。特にイノベーションによって解決を図ろうとするアメリカと法律や規制によって解決を図ろうとするヨーロッパには大きな違いがあるのではないだろうか。
このような状況の中で、日本人がどのようなポジションに立つべきなのかは重要である。筆者は、米中の単純な性能のみを競う開発競争には参加せず、欧州が推す脱炭素のランキングで持続可能な開発のための手法で上位を独占するというやり方が今後の戦い方であるとしている。
とはいえ、日本人として、地球人として、一人一人がSDGsに対して関心をもち、意見を持つことで世界と多様な分野で対等に関われるようになるのではないかと思った。
もう一度読み直します。 -
世界の現在の潮流と未来を、今流行りのSDGs足掛かりにして日本の在り方を説いた一冊
一日本人として、一会社として、一人としてデジタルイノベーションが起こる未来をどのように生きていくべきなのか考えさせてもらいました。
知らなかった事実や物事を知れる本で勉強になった。 -
中田敦彦さんのYouTube大学で紹介されていたので読んでみた。SDGsと世界情勢のデータを軸に2030年までに起きるであろう世界の変化について紹介し、日本はそれに対してどのように立ち回っていくべきかが書かれていた。
日本は大きなプラットフォームを持つことは無いが、日本の良いところを生かして独自のポジションを得ると言うところがすごいと思った。また、この本では生き残る方法として自分の良いところを生かし、大きなシステムを生かすという事を学んだ。
著者プロフィール
落合陽一の作品






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