地には平和を (新風舎文庫)

著者 :
  • 新風舎
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本棚登録 : 45
レビュー : 3
  • Amazon.co.jp ・本 (475ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784797490725

感想・レビュー・書評

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  • 50年も昔に書かれていたとは到底思えない。表題作を含め、タイムトリップ物が多いが、今なお斬新と思える。素描的というか、作品毎に設定が異なる(歴史関与が許されているいない、宇宙人の存在やテクノロジーなど)ため荒唐無稽な感じがするが、結構類型は抑えているんじゃないかと思う。

  • NPO法人 グローバルシアター和の輪 「耳で聞く名作 小松左京作品集 1 珠玉編」 一枚目
    8月15日に日本がポツダム宣言を受け入れなかったら…というifストーリー。
    軍人が権力を握るとろくな事にならないね。

  • “地には平和を”はSFマガジンの第1回コンテストの落選作で、その後宇宙塵に掲載され、小松の初短編集の表題作となり直木賞の候補となったけど落ちた。という経緯を持つ短編作品…だったと思う。文芸作品はほとんど読み直しをしないのですが、久しぶりの読み直しをしました。何年ぶりだろう?一時小松にはまり毎日毎日読み続け、全著作を読んだように記憶しています。(大半を忘れてしまいましたが)じつは“地には平和を”の記憶はありません。一番好きなのは「果てしなき流れの果に」だし「…沈没」「…アパッチ族」も、もちろん好きだし「物体O」なども好きだから、そういう作品はしっかりと記憶に残っているんですが“地には平和を”は…。んなわけで読み直しをしてみました。経年変化や劣化も無く(当たりまえだ!)賞味期限も切れていないように感じました。時間SFとしてはもちろんオーソドックスで、そこに描かれるのは小松自身の戦争体験が元になっているだけに生々しさを感じます。SF小説としては、取り立てて奇抜なアイディアも無く(当時は突飛だったのかも知れませんが)、何故そんなことが起こったかという切っ掛けや動機部分についてもやや弱い感じは否めません。がしかし、これが日本の本格SF誕生期の作品。といったある種の品格は十分に感じます。太平洋戦争が8月15日で終わらないifの世界で死んでいく少年兵に、正史において戦後を生き続ける少年の姿、更に青年になった時の姿を見せた時の、少年兵の心の動きが描かれた部分は、もはやSFではなく純文学の香りすら漂います。ifの歴史の中で死んでいく彼が垣間見た、正史の中で生き続ける自分の姿、それはifの世界の彼にとってはifの物語だろう。そして正史の中で死んでいった数百万の人々も、死の瞬間に平和なifの世界の中で暮らす自分の姿を思い描いたのかも知れない。それは所詮ifだったが…。戦争で人が死ぬ。そんな世界の方がifになるように。戦争の起こる世界の方をifにするように。との小松のメッセージを感じる。声高に反戦を叫ぶ小説より、こんな小説の方がずっと響くなぁ〜。これが小説家の闘い方なのだろうな。大学を出たばかりの小松が書いたSFは、「日本アパッチ族」「日本沈没」などSFの中でも非常に社会性の強い作品を書き続けた彼の原点を見せてくれます。

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著者プロフィール

1931年大阪生まれ。京都大学文学部卒。SFマガジン掲載の「易仙逃里記」で商業誌デビュー。以後「空中都市008」「復活の日」「アメリカの壁」など、鋭い視点で時代を予知的に描き出した作品を次々と発表し、今なお読み継がれるSFの名手。「日本沈没」は上下巻あわせ400万部を超え、社会現象を巻き起こした。星新一、筒井康隆と並び、日本のSF御三家と称される。

「2018年 『復活の日』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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