- Amazon.co.jp ・本 (220ページ)
- / ISBN・EAN: 9784797495577
感想・レビュー・書評
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よかった。
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企業の仮眠室で、寝ている人を起こす「起こし屋」の仕事に精を出す主人公たちが、ある日導入された「自動起床装置」に対抗すべく奮闘する物語。
単調な仕事も、興味を持ち、工夫をし、没頭することで、こんなにも深い広がりが生まれる。たまに、すごく楽しそうに仕事をするビルの清掃のおばちゃんとか見たりするけど、たぶん、この小説に描かれているように、仕事の細部に宿る楽しみに夢中になっているんだろうな。 -
辺見庸さん大好きです。
寝はこの本。食は「物食う人々」。
日常の事に固執する考え方が好き。 -
なんとなく若い学生の作品にも見えるが、どことなくおじさんくさい哀愁もただよう作品。
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発想が面白い。
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■結局、本書のメッセージは何か?<BR>
睡眠とは身近である一方で、謎が多く神秘的な一面を有する。そんな睡眠に対して人間や機械は容易に入りこめるものではない。<BR>
本書では、そんな睡眠に対して人間と機械の双方が勝負を挑んでいる訳だが、もう少し深く描写していくと期待して読み進めていくと、上っ面だけで終わってしまい不完全燃焼感が否めない。<BR>
本書を表面的に捉えれば、人間よりも機械の方が優れているけれども、どこが優れているのか、また著者が主張したいと考えられる人間の優位性についてはどこから見出せばよいのかが分からず迷子になる。<BR>
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■登場人物<BR>
特徴のない「日和見的な」主人公をはじめとして、ドラえもんを髣髴とさせるオーソドックスなキャラクター設定。<BR>
乱暴だか人間味溢れる郷田さん。聡は癒しを与えるしずかちゃんか。<BR>
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■文章<BR>
文章は透明感があり嫌味がない。薄氷のように脆く、不安定な印象を受けるが、聡と同じく華奢な世界観が絶妙なバランスで成り立っている。<BR>
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■補足<BR>
結局、最後までシャリシャリ、シャシャーが何者か分からず終わった。<BR>
→共同通信社の機器の音。印刷している音か。<BR>
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■背景<BR>
自動起床装置はJRなどで実際に使用されている装置である。一般消費者向けに販売もしている。一台98,000円らしい。<BR>
http://japan.cnet.com/news/ent/story/0,2000056022,20069995,00.htm
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利用した人の話。<BR>
http://myahara.cocolog-nifty.com/yayalog/2004/11/post_13.html -
「背負い水」と同年に芥川賞を受賞した作品と、もうひとつ短編が入っている。表題作は、起こし屋としてバイトする2人の若者が、頑張りも虚しく、自動起床装置という機械に取って代わられる様を描いていて、“眠る”という行為にフォーカスして展開する。ユニーク。
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私が作家になろうと決心したまさに命の本。辺見さんちょっと死にそうなので、この人のスタンスをずっと守って生きたいと思う。
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眠りを大切にしていない現代人に読んで欲しい本。