痛快!憲法学 (痛快!シリーズ)

著者 :
制作 : 佐藤 眞 
  • 集英社インターナショナル
4.20
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本棚登録 : 331
感想 : 47
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  • Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784797670318

感想・レビュー・書評

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  • 筆者・小室直樹氏の主張。
    ・憲法は書いてあるから憲法なのではない。行動を伴う慣習法である
    ・日本は既に憲法が死んでいる。日本には、民主主義も資本主義も無い。
    ・憲法は一般市民には向いていない。行政に向いている。だから抵抗権がある。一般市民は十七条憲法で思考が止まっている
    ・議会は、諸侯を従えたい王と、常備軍と徴税を武器にする貴族の争いから始まった。民衆は不在。
    ・民主主義は、神の前の平等、宗教からしか生まれない
    ・キリスト教は、契約を守れ、しか言ってない
    ・仏教は合理的。一神教は全てを超越する
    ・予定説が熱心なキリスト信者作る
    ・資本主義もキリスト教行きつく。労働は救済だ。
    ・契約と言葉が憲法を作る。旧約聖書は全て契約の話
    ・日本は明治維新で、天皇を神にし、神の前の平等を実現した
    ・大正デモクラシーは民主主義の現れだった。が、議会によって民主主義は失われた。
    ・「平等」とは、結果の平等ではなく、機会の平等。教育現場にこの同一性が顕著に現れている。
    ・「自由」とは奔放ではなく、権力の制限のこと。

  • 現代社会の民主主義、資本主義、それらを支える憲法がどのような成り立ってるのかを、歴史的な視点から理解できる。自分がいかにものを知らないかを思い知らされた。
    絶版だけど多くの人に読んでほしい名著中の名著。

  • 表紙のおねーさんにだまされるな、中身はゴツいよ。ひでぶ!

  • 憲法がそもそも何のため、誰のためにあるのかわかった。世界の国々が民主主義へ到り、維持していく歴史の中で、今の日本のことを考える視点が少しはできたかもしれない。

  • ふむ

  • 図書館で借りて読んだけど面白く手元に置きたいと思い内容が同じということで「日本人のための憲法概論」を購入。

  • 1

  • 小室直樹先生が、“馬鹿弟子”の島地勝彦さんを、何とか言ひながら、憲法について解説する本である。
     何だか知らないけど『北斗の拳』からの絵がばこばこ出てくる。
     小室先生の解説へ、島地勝彦さんがぼけたり頷いたりダジャレ飛ばしたりそこそこのレトリックをかましたりして読者に理解をさせる。けっこう面白い。

  • 入門書であろうけれども十分!

  • (誰だったかな?お薦めで手に取る)憲法学の本を勉強のために読んでみるか、最初はやっぱりぴんとこないな、辛いなと思っていたが、その後歴史、資本主義、政治の話に遡り語られ、多くの話に目から鱗の気持ち。今までざっと知っていた歴史の中にそんな事情が有ったとは!
    数年後にでもまた再読したい一冊。

    【学】
    資本主義が始まって以来、経済学はアダムスミスの自由放任路線こそが王道と思われていた。大恐慌で失業者が増えても、賃金が下がれば、再雇用されると。しかしながら、労働組合が最低賃金の保証を唱えていたので、そうはならず、失業者が多い状況は変わらなかった。
    そこでケインズの登場。好景気下では上記が当てはまるが、そうでないときは通じない理論。「有効需要」経済の規模は国民総需要の大きさによって決まる。

    明治政府が考えたのは、天皇を唯一絶対の神にすること。神の前、即ち天皇の前では皆平等にして、階層階級を無くした。これがあり、初めて日本に資本主義が生まれてきた。
    二次大戦後、世界中で民主主義国家を目指したが、失敗に終わりすぐに独裁者が現れ前時代の階級制度も変わらないままであった。
    明治維新になって古くから有る神社は政府の手によって破壊された。その後、天皇を中心とする天皇教のために徹底的な神社管理が行われた。


    明治政府はなんとか日本人に資本主義の精神を定着させるために二宮金次郎を使った

    終戦の判断は天皇が決めたが、それは政府が実質的に機能停止になっており政府が自ら天皇の判断を仰いだため。戦前の日本で天皇に政治責任があったとするのはどうみても暴論、戦前の日本はあくまで立憲君主制であった

    ドイツ・ヒットラーはミュンセン会議で領土を拡大、平和主義のイギリス、フランスは戦争するくらいならとチェコスロバキアを平和主義の生け贄にした。冗長したドイツはさらに第二次大戦へと向かう。
    これを研究していたケネディのお陰で、キューバ危機の時にソ連に「戦争も辞さず」と言う態度をとったので、核戦争を回避する事が出来た。
    平和を守るためなら、戦争も辞さずと言う固い決意が必要

    アメリカは選挙を長くすることによって、大衆が熱狂すると言う状況を起こりにくくした。選挙戦が長ければ、ぼろが出やすく英雄になりづらい。

    未だに中国でもアラブでも近代資本主義、近代民主主義は生まれていない。その原因を探っていけば、人間同士の「契約の絶対」がないという問題にぶち当たる。日本も企業としてはずいぶん契約書にシビアになったが、その精神が日常一般におよぶエートスにはなっておらず、政治の公約を見ても「場合によっては、契約を破ってもしかたない」と思っている

    資本主義でも民主主義でも根っこにはキリスト教がある。キリスト教の神があって初めて人間は平等だと言う概念が生まれ、労働こそが救済となると言う考えから資本主義は出来た。また契約という概念も資本主義、民主主義には欠かすことが出来ないが、日本人にはなじみが薄かった。

    サンフランシスコはドイツ人ズーダー氏の農園で金が見つかった事により出来る。多くの砂金をねらったモノが押しかけ、ズーダー氏の所有地は不法占拠され荒らされてしまった。ズーダー氏は裁判を起こし勝が、裁判所ごと襲われ、アメリカ政府は何もしてくれなかった。

    刑事裁判とは、警察が間違って被告を裁いていないか確認する裁判。99%以上有罪という現実があるが、裁判官は本当に仕事をしているのかね?

    憲法とは国民に向けて書かれたモノではない。国家権力を縛る為に書かれたモノなのだ。従って憲法に違反できるのは国家だけ。近代法の根底には「権力はとにかく縛り付け、抑えこんでおかないととんでもないことになる」と言う思想がある。

    最後の審判:キリスト教では、世界の終わりにイエス・キリストが再臨し、あらゆる死者をよみがえらせて裁きを行い、永遠の生命を与えられる者と地獄に墜ちる者とに分けるという。

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著者プロフィール

1932年、東京生まれ。京都大学理学部数学科卒。大阪大学大学院経済学研究科中退、東京大学大学院法学政治学研究科修了。マサチューセッツ工科大学、ミシガン大学、ハーバード大学に留学。1972年、東京大学から法学博士号を授与される。2010年没。著書は『ソビエト帝国の崩壊』『韓国の悲劇』『日本人のための経済原論』『日本人のための宗教原論』『戦争と国際法を知らない日本人へ』他多数。渡部昇一氏との共著に『自ら国を潰すのか』『封印の昭和史』がある。

「2023年 『「天皇」の原理』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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