日本人のための憲法原論

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  • 集英社インターナショナル
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本棚登録 : 691
レビュー : 60
  • Amazon.co.jp ・本 (496ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784797671452

作品紹介・あらすじ

西洋文明が試行錯誤の末に産み出した英知「憲法の原理」を碩学が解き明かす。

感想・レビュー・書評

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  • おすすめです。

    憲法に関して、世間では護憲・改憲などいろいろ言われています。しかし、本書はそのどちらの意見にも基づいていません。
    護憲・改憲論争以前の、議論の前提となる知識の提供を主題としているのが本書の特徴です。

    そのため、本書の内容はかなり普遍的で、一度読めば生涯役に立つことうけあいです。


    紙幅の大部分が、民主主義と資本主義の歴史を解説することに割かれています。
    冒頭でこそ近代憲法の基本原則について触れていますが、中盤はほとんどが歴史の話です。
    著者によると、憲法を理解するにはまずこれが不可欠らしいです。

    しかしこの民主主義・資本主義と近代憲法の成り立ちの話がとにかく面白い!
    目からウロコの連続です。
    いくつか目からウロコポイントを挙げてみます。

    ●刑法は裁判官を縛る法である。

    ●明治憲法は、欽定憲法であるにもかかわらず、天皇の権力を縛っていた。つまり近代憲法としてしっかり機能していた。

    ●西洋では「神のもとの平等」が民主資本主義を生み出し、明治日本では「天皇の前の平等」が民主資本主義を定着させた。

    ●改憲/護憲以前に、現在の日本国憲法はそもそも機能していない。

    どれも本書以外ではなかなかお目にかからない言説でしょう。
    しかし奇抜ながらもしっかりと根拠となる史料・先行研究が提示されており、吟味に値するものです。

    これらのトピックが、著者と編集者との対話という形で書かれています。とても読みやすいです。
    しかもドラマチックで引き込まれるような構成になっています。
    さっさと結論をいうのではなく、予想外だ!と思わせるような展開が続き、それでいて回りくどくありません。
    憲法学という少しとっつきにくい話題にもかかわらず、すらすらと読むことができます。

    勉強になる上にとても面白く読みやすい、文句なしの良書です。おすすめ。

  • 痛快すぎて爽快。
    感心を通り越して感動。
    ここまで面白く憲法、経済、歴史、宗教、などを統一して分かりやすく本にできるのは小室直樹氏以外いないと思う。
    まさにカルヴァンの予定説のように人を変える力を持っている本。
    是非読むことをお勧めします。

  • 深い見識から、本質をズバッと突くところがすごい。
    憲法が生まれた背景、思想、宗教や経済との関係性など、勉強になるところが多い。
    憲法は、国家を縛るための法律である。国家権力は悪であるという概念だ。
    憲法は、宗教と関わりがある。それは「契約」という概念だ。神との契約、ルソーの社会契約説がバックボーンになっている。
    しかし、日本にはこの宗教的なバックボーンがなかった。そこで、天皇を神として生まれたのが、明治の大日本帝国憲法だった。
    民主主義、資本主義、憲法。形はあるが、精神が抜けている。
    いま必要なのは、新しい時代にマッチした深い哲学だ。
    主義を超え、形を超え、真の人間主義を取り戻す思想が求めれらている。

  • 日本人でありながら、日本国憲法の本質を知らずに今まできたのだが、私の周囲にも誤解のまま人々のなんと多いことか。民主主義、資本主義、憲法の成り立ちを世界の歴史と宗教を背景に、わかり易く
    天才小室直樹氏が解説する。

  • 憲法とは行政権力を縛る鎖であるということを、なぜその鎖が必要なのかということを、ヨーロッパ中世を振り返り、議会の誕生や革命の歴史を見ていくことで紐解いていく。さらには、今では当たり前になっている民主主義の誕生をキリスト教の予定説やロックの社会契約説から、契約や平等の概念の発生とともに資本主義精神の誕生までをそこに眺めていく。

    次にアテネやスパルタまで遡り、そしてローマのカエサル、ナポレオンを辿って民主主義が弱いもので簡単にボナパルティズムに陥るかを解説しながら、古典派経済学やケインズに触れることで近代における権力の役割を明らかに。

    最後に日本。明治維新での近代化において資本主義精神をいかに広めたか、帝国憲法起草のために必要となった天皇教にも話をふりながら、官僚とは?権威とは?をも考えていくことで現代の日本社会までに到達する。恐ろしいまでの博覧強記。

  • 憲法の話と思いきや、
    "原論"なのでそのもととなる
    昔の世界各国の法律の歴史みたいな内容になっている。
    法律というより歴史本を読んでいるようだった。

  • 憲法はどのようにして生まれ、どういう考え方をするのか。その概念と背景にある思想と歴史がすっきりと見通せる一冊。
    憲法を理解するためには、ヨーロッパの歴史とキリスト教(プロテスタンティズムの予定説)が分かっていないとダメだということ。特に予定説が理解できれば憲法だけでなく民主主義や近代資本主義がどのようにして生まれたか捉えることができる。
    結局、憲法があることが大事というわけじゃなくて、憲法を使って私たちは何をするのか?が重要なんだということです。

    しかし、分厚い。編集者との会話形式で話が進むのでところどころ回り道や駄文がある。全体に法思想史の話なので読んだからと言って実用で役に立つというわけじゃない。重いので通勤通学時に持ち運びできません。書き方も、もうちょっとコンパクトにまとめることができたと思うんだけど。でも、この一冊読み通せば、憲法についての巷の俗説・嘘・妄言に騙されません。憲法ってなに?と思っている人は是非とも読んで欲しい一冊。

  • これは、素晴らしい本。内容の濃密さに比し、理解のし易い、小室直樹氏の大作。

  • これ1冊読んでおけば憲法と民主主義と社会のなりたちがわかる。

  • 私が今まで疑問に思ってたことや違和感をもってたものが
    この本でいくつもわかった
    この本があっているとすれば、私は間違ってなかった
    この道を進んでいいんだと思った

    憲法についての本で、
    それを語るためには歴史を理解する必要があるという本
    哲学、経済学等々
    様々な分野がからまってそれがまとまっている
    素晴らしい

    社会学やりたかったなと思った

    資本主義、民主主義の成立の条件が理解しきれなかった
    簡単に理解したふりをしないで、
    この人のほかの本も読んでちゃんと考えよう

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著者プロフィール

1932年、東京都生まれ。京都大学理学部数学科卒。大阪大学大学院経済学研究科中退、東京大学大学院法学政治研究科修了。マサチューセッツ工科大学、ミシガン大学、ハーバード大学に留学。1972年、東京大学から法学博士号を授与される。2010年没。著書は『ソビエト帝国の崩壊』『韓国の悲劇』『日本人のための経済原論』『日本人のための宗教原論』『国民のための戦争と平和』他多数。渡部昇一氏との共著に『自ら国を潰すのか』がある。

「2020年 『封印の昭和史』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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