- Amazon.co.jp ・本 (296ページ)
- / ISBN・EAN: 9784797671735
感想・レビュー・書評
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小泉政権で重要閣僚を務めた竹中平蔵氏が実体験に基づいた政策立案・決定過程を描いた。政策内容に関しては議論があるによ、民間(大学)から政界に入り政治家と官僚の中で政策立案・決定過の実務を行い、結果も出したということはやはりすごいこと。官民交流というのは盛んに叫ばれているが、土木の世界でも日本では行政側の技術者と民間の技術者はほとんど入れ替えがない。じゃあどうすればいいのといわれると難しいのだが・・・
・「戦略は細部の宿る」理想的な青写真を描いたとしても、それを実現するためにのプロセスまで含めて戦略的に考えなければ政策論にはならない。
・「会議は議論ずる場ではない」発想の転換。重要なことはトップ直轄方式。会議を決める場にすること。
・「夢見ながら耕す人になれ」夢をみるというのは理想を追いかけることであり、耕す目の前のことをきちんと行うであり、時と場合によってはしたたかな行動も辞さない。両方が重要である
この辺は納得感があった。
しかし、自分の経験をすぐ著書にまとめ、しっかり販売するしたたかさはさすが。自らのお金を稼ぐのも大事だからね。まさに「夢見ながら耕す人」詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
経済学は政策にどの程度役立つのか?この本を読むと竹中さんが分析力が鋭く、実行力が高く、政治的なセンスも高いことに気づかされる。小泉さんが竹中さんに頼ったのもよくわかります。
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理論だけの経済学だけでなく、実務だけの政策論でもない。
実務家でもあり、専門家でもある著者が自身の体験に基づき、
ビジョンや理想、目標を達成させるために、政策立案から成立まで
具体的に記述されている。
「夢を耕す人になれ」 夢をかなえるとは、耕すように目の前のことを愚直に実行し、積み重ねていくことに他ならない。
そんな人こそ、夢を耕す人なのだ。
本書を読めば改革のプロセスを追体験するように、学べるはずだ。 -
小泉総理時代に不良債権処理や郵政民営化などを担当し、総務大臣などを務めた竹中平蔵教授の本です。経済学の入門から、政治と社会の大きな流れまで幅広く扱っています。経済にあまり興味のない方でも、第7章以降はとても面白く読めると想います。特に、若いリーダーやリーダーを目指している人々には、とても心に響くことがたくさんかかれています。
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あ
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大学時代に授業で使用した。
入門の割には難しかった。 -
自らが関わった小泉内閣時代の経済・財政・金融政策について、経済学理論を交えながら振り返っている。『改革の哲学と戦略』(加藤寛・竹中平蔵)と同様に、政策デザインとその背後にあった考え方の記録として興味深い。
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実際の政策と学問である経済学の乖離を触れつつ、されど経済学の有効性が理論的に展開されていている。
登場する経済学の知識も基本的なものが多く、ちょっと物足りなさを感じる。 -
竹中平蔵の振り返りの書。
行った事の良し悪しは別として、政策立案過程が分かりやすく書かれているので、大学生の入門に良いかもしれない。
著者も言っているように、政策立案プロセスってのは生き物のように変化しており、特に民主党政権になった現在、また大きく変わっているだろうからこの辺の言及は、さすが当事者だけあって的を得ている。
自分も大臣になってみたいなぁ。 -
面白い。
竹中さんの主張は分かりやすい。
市場に任せるところは市場に任せ、規制が必要なところは規制する。
小泉首相とのかかわりやエピソードなども面白かった。
「したたかに批判三原則を活用しながら勝ち上がっていくことも時には必要である」
これは納得できない。結局ミイラ取りがミイラになる典型ではないだろうか?
結局自分の責任は自分で抱えなければいけないし、
誰かの責任もその誰か自身が責任を負うべきなのだ。
だから、俺はしたたかに多少の手段を選ばずに権力を取ってでしか
世の中をよくすることが出来ないのであれば、それを選ぶことをしない。
自分の信念を曲げてまで誰かを助けたいとは思わない。 -
竹中平蔵氏の著作
需要と供給のメカニズムやマクロ、ミクロの基礎を理解している人なら面白いと感じられる一作
経済学の知識がない人にはきついかも -
格差拡大の戦犯扱いをされている構造改革を主導した竹中平蔵氏の著作。
政策の立案・決定と経済学の隙間を埋める現実的な公共政策論が分かりやすく解説されている。
この本を読んだ理由
格差を拡大したという小泉・竹中路線の政策を詳しく知りたかった。
政策を立案・決定の政府内での流れがとても分かりやすい。 -
『竹中平蔵 闘う経済学 未来をつくる公共政策論入門』は、そんな話題の郵政民営化をやった竹中さんの著作です。何と闘ったかというと、ケインズ的財政政策と闘う、増税論と闘う、金融危機と闘う、失業と闘う、役人と闘う、既得権と闘う、抵抗勢力と戦う、権力と闘うということで各議論について経済学的な議論を踏まえ、それでいて政治プロセスや行政、法律などについても議論を進展させています。
公共政策論というのは、まさに経済学的な考えをベースとしつつも、現実の政策を考える上では、政治プロセス、行政論、法律論などに精通していないといけないということです。どんな有用な経済政策でも民主主義国家である以上、適切な政治プロセスにのっとって進められる必要があります。この点を理解していないエコノミストは全く的をはずした批判を繰り返してしまうのだということです。
各論点はこれまでも繰り返し議論されてきていることで、特段目新しい話はありません。しかし、経済学的な議論を念頭におきつつ、非常に分かりやすい説明がなされています。なぜケインズ政策では失われた10年に有効でなかったのか。財政規律はどうすれば回復できるのか。不良債権を強制的にでも終わらせることがなぜ重要なのか。地方分権はなぜ必要なのか。郵政民営化はなぜ必要で、なぜ官僚や政治家が反対するのか。公共工事の削減や郵政民営化など大きな変化を成し遂げるにはなぜ既存のプロセスの延長でやっていてはいけないのか。経済財政諮問会議はどういう役割を果たしたのか、等など。
彼の説明は本当に明瞭で、しっかりした経済理解に基づいているのでしっくりきます。また彼の物事の進め方、言い換えればプロジェクトマネジメントの仕方も非常に参考になります。学者でこういう仕事をできる人って本当に限られていると思います。
あと最後の章で書いているのは、いわゆる批判の3パターンで、とにかく反対のことを言う批判、レッテルを貼る批判(市場原理主義者とかが好例)、永遠の真理を言う批判、というものを挙げています。これは我々も政治家の言動をチェックする上で理解しておきたい話。
これらは本当に国民全てがちゃんと認識すべき問題で、新自由主義だろうが社会主義だろうが、一通り理解しておくべき議論でしょう。民主党の政治家も、レッテルを貼る批判はもう良いので、こういう本をちゃんと読んでから議論して欲しい。あとこれから政策を進めていく上で、経済財政諮問会議的な組織の使い方とか総理のトップダウンで物事を決めていく上で非常に参考になる部分があると思うので、これもぜひ活用して欲しいと思います。
国家戦略局も良いんですが、菅さんが竹中さんみたいな戦略的な仕事が本当にできるか、正直かなり不安です。でもまあとりあえず頑張って欲しいです。 -
竹中さんの学者大臣としての実務経験を書いてる。経済学の知識をいかに現実の政策に活かすか。小泉政権ってのがどうゆうものだったのか、その一面を知る上でも助かる。
前半ではポツポツ経済学の知識が数式で出てくるんだけど、これは縦書きの本では読みにくいな。
バブル後日本の政権がバランスシートの調整が進まないままに総需要管理政策を取ったことを指摘。あとは「骨太方針」ってのが何だったかとか、郵政民営化やらを実施するにあたってどのような障害があったのかとか、財政健全化や道州制導入なんかに伴うだろう困難についても触れている。
字も大きくて読みやすいしわかりやすい本。 -
分りやすく経済学を書いてるなって感じです。
う~ん経済学は少なめな感じも否めないですが。
でも
興味を持ってもらいやすいと思います。
そんな本だと思う。
経済学だけじゃダメ。
でも経済学がなきゃダメ。
加えて
精神力もなきゃダメ。
バランスが良いかな。
ときに経済学は残酷な気もするけど。
でも、楽に感じることもある。
そして
僕達は
夢を持って耕す人にならんきゃならない。
これが重要だと思う。
平和や環境と言った。
耳障りの良いことばかり
言って
耕せてなかったりする人。
逆もまた然り。
バランス良く。
それを解決できる方法を
考え続け
信念を曲げつに
やると決めたことをやる。
だって。
この世はコインだ。
裏があれば表もあるようにね。
見方一つでなんだって変わる。
唯一の解決方法は
なるべく
ニュートラルでいること。
これが難しいんだけどね。
そして
コストパフォーマンスが良い方を
選ぶのが良いって。
俺は考えている。 -
小泉内閣における構造改革において中心となった竹中平蔵氏による経済学と実際の政策との関係を実際の経験にも即して解説したものです。慶応大学に戻った竹中さんが、「経済学は政策にどの程度役立つのか」という自ら立てた問いに対して、「経済学は役に立つ」ただし「実際の政策との間には埋めるべき"隙間"がある」という観点でまとめられています。
竹中さんは経歴からいって、正に経済学と政策の間にどのような"隙間"があって、それを埋めるために経済理論をどのように適用できる(してきた)のかを解説するにうってつけの人だというのは、誰もが同意できるのではないでしょうか。本質的に難しい内容の本だと思いますが、不思議に分かったような気にさせてくれます。確か高橋洋一さんの本で書かれていたと思うのですが、竹中さんは説明する能力がすごいということでしたが、確かにそうかもしれないなあと同意できます。
各章のタイトルは、「XXと闘う」という形式になっており、XXには、例えば"金融危機"、"役人"、"抵抗勢力"、"既得権益"、"権力"などが並んでいます。本書の中で何度も出てきた「戦略は細部に宿る」は、経験を通して得た竹中さんの信念のようですが、そういった具体的な"細部"の話も面白いです。
マクロ経済学の道具についての知識が少しあって、ここ10年ほどの日本の政治経済で何が起こったのかに興味がある人には、面白く読める本かと思います。日本では経済政策が内容の是非ではなく政局によって使われてしまうということ、またメディアのニュースソースが官僚に抑えられている(かつ安易なラベリングに走りがちである)ことを今後の不安材料に挙げていますが、経済政策は、きちんとした理論と倫理に基づいて、高いリーダシップに基づいて実行されてほしいですね。 -
竹中平蔵による今後のあるべき経済について述べた本。現在、格差拡大の現況として批判されている氏の考え方について理解できる本。
基本的に財政健全化、小さな政府を目指し、民間主導の経済活性化が日本経済の復活を果たすとする考え方で、そのとおりだと思うが、現在問題になっている格差問題、弱者救済について触れられていないのでは、広範な支持を得られない気がする。
戦略は細部に宿る。ざっくりした内容だけでなく、具体的な条文等についても、しっかり対応する必要がある。
逆転の発想が大事。たとえば、「あいつを辞めさせろ」という声に対しては、逆に重大任務を与えるなど。
重大なことはトップ直轄を行う。
会議は反対派をねじ伏せ、決める場だ。
反対者には3つのパターンがある。
1 常に逆の事を言う。
2 常に正当な事を言う。
3 ラベルをはる。
公開情報を沢山見よ。
瞬時の判断が大切。常にシュミレートせよ。 -
超秀逸。
理論だけで役に立たないといわれがちな経済学を、実務、特に政策として理論的背景をもとに、政策立案当時の状況を交えながら解説していく本。
世の経済学の理論書では何を言ってるかさっぱりわからないことでも、この本を読めばだいぶわかると思います。それだけわかりやすく、かつ現実に即した解説をしています。
・経済学学んだけど、あんなのいみねぇよ!
・経済学部じゃないし、理解したくもありません!
・アンチ小泉、アンチ竹中、アンチ構造改革
そんな人は是非さらっとでもいいんで目を通してください。
ちょっと経済学を学んでみたいなって思ってる人も理論書を読む前に目を通すと、なんとなく視野が広がるんじゃないかと思います。 -
<郵政民営化>
・トップの強力なリーダーシップ
・既得権者との利害調整を行いつつ行政を進める官僚に、制度の抜本的改革を期待するのはできない
・閣僚は英語でminister。「小さな役割をする人」
<改革実現のヒント>
・逆転の発想
・トップ直轄方式
・会議を「決める場」にする
・いつでも辞める覚悟を持つ
・批判のパターンを知る(コントラリアン的批判・・・速ければ拙速・遅ければ遅すぎ、「永遠の真理」・・・庶民の視点に立とう、ラベル貼り・・・市場原理主義者)
「夢見ながら耕す人になれ」