知のトレッキング叢書 宇宙はなぜこんなにうまくできているのか

著者 :
  • 集英社インターナショナル
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本棚登録 : 605
感想 : 70
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  • Amazon.co.jp ・本 (192ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784797672237

感想・レビュー・書評

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  • 齋藤先生の「文系のため理系読書」で紹介されていた本

    恐らく大半の人がそうであるように、子供の頃、宇宙の図鑑を飽きるほど何度も何度も見て楽しんだ
    幼いながらも土星や木星の美しさや神秘さに夢中になったものだ
    いつの間にか、日常に忙殺され、月を眺め「あら、綺麗な満月」
    こんな程度しか宇宙を感じなくなってきていた
    …しかし再び時が来たようである(笑)

    ウォーミングアップ的な内容から始まり、子供の頃以来の宇宙勉強のため、助かる…
    なぜ夏は暑く、冬は寒いのか?
    天動説から地動説へ
    ニュートンの「惑星が太陽のまわりを回るのも、リンゴが落ちるのも全く同じという物理法則」が、万有引力の法則である
    等々…こんな感じで始まる

    【個人的備忘録】

    ■なぜ太陽は燃え続けていられるか

    ・太陽は主に水素とヘリウムてできたガスが重力によって集められ形づくっている
    ・太陽の中心部は約1500万度の高温のため、原子の姿を保てないほど激しく動き回っている→(簡単に言うと)軽い原子である水素同士がこの激しい動きにより、バラバラになり、融合され、次に重い原子のヘリウムになる
    これが核融合
    (夏の暑い日に温度の高さを皮膚で感じるのは、分子が温度が高いほど活発に動き回り、私たちに皮膚にバチバチ激しく当たるため)
    ・核融合のエネルギーにより、太陽自身が重力で潰れるのを防いでいる
    ・エネルギーがなくなると動きが止まり自らの重さで潰れる(強力な重力に引っ張られて星全体が中心部に向かって落ちる)

    というわけで太陽にも寿命がある(50億年くらい先ではあるが…)
    この結論に至るまでにも、ケルヴィン(絶対温度の単位「K」はケルヴィンにちなんでのこと)からはじまり、アインシュタインの特殊相対性理論により、算出が正しい方向に是正された
    またこの世に存在する元素のほとんどが、星の内部で核融合が起こって、私たちの体を作っている炭素やカルシウム、また酸素や窒素が生まれた
    私たちはまさにに星のかけらなのである


    ■暗黒物質(ダークマター) 
    ・銀河系の質量が目に見える物質の質量だけでは足りない
    天体を作っている物質も地球の物質と同じ(そして、その物質はすべて原子でできているはずと信じられていたが…)
    ・暗黒物質は原子とは異なる物質であり、光を出さず、他の物質とも反応しない、衝突しても幽霊のように通り抜けてしまう物質
    ・原子はこの世の物質の20%にも満たない(この本執筆時のため、現在の観測とは異なります もっと少ないはず)
    ・天体の材料であるバラバラの原子が暗黒物質の重力により宇宙空間でまとまる役目を果たしているがまだ正体不明
    ・暗黒エネルギー(ダークエネルギー)とは、宇宙は膨張しており、そして膨張しているにも関わらず、エネルギーが増えている!
    この謎のエネルギーのこと

    他にも興味深い内容がいくつもあった
    そして最後にこんな神秘的なことも…
    〜宇宙は人間が存在できるようにつくられている
    どの法則も星や人間が生まれるのにちょうどよくできている
    人間が生まれなかった宇宙は誰にも観測されないので、存在そのものが認識されない
    人間を生んだこの宇宙だけが、存在を認識されているのだとすれば、そこで働く法則が人間のためにできているのは当然
    宇宙の起源が私たちの起源であり、宇宙の運命が私たちの運命
    宇宙に対する理解を深めるのは、人間が自分自身を理解する道である〜



    齋藤先生のオススメだけに、とても読みやすく理解しやすい本であった
    物理や化学が自分じゃないみたいに頭に入ってくる!
    面白くてびっくりしてしまった!
    今まで物理や化学の本を何度読んでも眠くなってしまっていた自分が、宇宙を介して物理や化学を少しずつ理解し最後まで楽しく読めた(そのことも感動)
    完全に入門レベルのやさしい内容なのだが、わかりやすく掘り下げることができる

    子供の頃から宇宙に魅せられ夢中になるのは、その神秘さだけでなく我々が持つDNAの力によるものなんだと実感
    宇宙の遥か遠い存在を身近に感じ、さらなる宇宙の謎と神秘を感じ、宇宙と人間の関係性の奥深さを感じ、こんなことを考える自分に喜びを感じられた

    「科学の理論にとって、自然界の原理や法則は、よりシンプルな方が説得力がある」
    こういうの良い!
    著者の有名な『宇宙は何でできているのか 』もぜひ読みたい!

    大変な良書に出会え、齋藤先生に心から感謝する次第である

  • とても素晴らしい。内容も語り口もバランスも。
    高校生か、ちょっとませた中学生などが宇宙論の入門書として読むのにおそらく絶好。もちろん大人が読んでもとても面白い。
    難しい話を一般の人にも理解できるように説明するというのは、本当に力量のある人だから出来ることでしょうね。

  • 量子論が興味ある。

  • 誰でも知っている科学の歴史からはじまり、素粒子まで駆け足で分かりやすく楽しく解説していく、楽しい科学読み物。
    小学校高学年くらいからは十分に読めるつくりです。もちろん、科学に興味のある大人まで楽しめます。
    一気に読んじゃったw

  • 2012年11月
    どうして宇宙は人間が生まれるちょうど良い条件に出来ているのか? 神の存在を認めるしかないのか・・・インフレーション宇宙理論を提唱した佐藤勝彦教授は、宇宙は真空ゆらぎから無数に発生している(マルチバース) 。理論的には、宇宙の数は10の500乗個(無数)もある。無数のうち一つぐらい人間誕生に都合の良い条件の宇宙のあっても不思議ではないと言えるのでは・・・・此れぞ、宇宙物理学で言う「人間原理」

  • 本書は、ハーバード大学の卒業式の日に、「なぜ夏は暑くて冬は寒いのか?」という問いに学生のほぼ全員が間違ったというエピソードから始まります。

    そして、人間原理とマルチバースの話まで。192ページという薄い本で、よくぞここまで、分かりやすく最新の宇宙の話題まで解きほぐしたなぁというのが素直な感想です。

    中学生でも十分読みこなせると思いますし、物理科卒の大人(つまりは私)が読んでもわくわくさせられました。

    宇宙が生まれ、人類が発生し、そして自分が今ここにいることの不思議(奇跡?)を味わえます。

  • 分かりやすく面白く、鳥肌が立つほどのロマンを感じた。
    難しいことを噛み砕いて何度も説明してくれる優しさが嬉しいと同時に、筆者の頭の良さが分かる。

    世界は何故こんなに上手くできているのか、ということに興味があり、世界の整然とした秩序はもはや神でしか解決できない....と思い哲学をウロウロしていたが、先日スピノザを読んで「そろそろ宇宙の本でも読んでみるか...」と思い辿り着いたのがこの本。(おすすめしてもらいました)

    夜空に望遠鏡を向けることは宇宙の過去を見ることができるということ、ボイジャーがもうすぐ太陽系の外をでること、超新星爆発でばらまかれた元素がわたしたちの体になっていることなどなど、終始ワクワクしながら読みました。

  • めっちゃめちゃ面白かった。読みやすいしここから他のいろんなことへの興味が湧いてくるのでとってもおすすめ

  • 宇宙のことを知りたいなーと思い、宇宙論の入門書を何冊か読みました。

    結果、この本が1番わかりやすかったです。


    わかりやすい理由としては、


    ・専門用語を極力使わず、わかりやすい言葉で書かれている
    ・文章が簡潔に書かれていて、スラスラ読める


    理系の本は、全然頭に入ってこないことが多かったのですが、この本はスラスラと頭に入ってきます。

    著者の国語力が素晴らしいです。


    宇宙が人間を作りだし、その人間が宇宙を解明していく。

    知的生命体がいなければ、その宇宙は認識すらもされない。

    ということが、書かれています。

    宇宙と聞くと、遥か遠くにあるように思っていましたが、宇宙と自分は密接な関係であり、自分も宇宙の一部だということを感じました。

著者プロフィール

東京大学国際高等研究所カブリ数物連携宇宙研究機構(Kavli IPMU)教授、カリフォルニア大学バークレー校Mac Adams冠教授。
1964年東京都生まれ。1991年東京大学大学院理学系研究科物理学専攻博士課程修了。理学博士。東北大学助手などを経て、2007年から2018年10月までKavli IPMUの初代機構長を務めた。専門は素粒子論・宇宙論。『宇宙は何でできているのか』(幻冬舎新書)はじめ著作多数。メディアを通して研究成果を伝えることにも力を入れる。難解な素粒子論・宇宙論をわかりやすい言葉で語る。

「2020年 『そうたいせいりろん for babies』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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