「サル化」する人間社会 (知のトレッキング叢書)

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  • 集英社インターナショナル
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レビュー : 31
  • Amazon.co.jp ・本 (176ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784797672763

作品紹介・あらすじ

ヒトの睾丸はチンパンジーより小さく、ゴリラより大きい。この事実は何を物語っているのか。さらに、現代は「上下関係」のないゴリラ社会ではなく、「序列重視」のサル社会に移行していると警鐘を鳴らす。

感想・レビュー・書評

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  • タイトルからもっと社会学的な本をイメージしていたのだが、良い意味で裏切られた。著者はアフリカでのゴリラ研究のフィールドワーク経験が豊富で(あのダイアン・フォッシーとも関わりがあったらしい)、それを元にした比較行動学的内容が9割を占め、より一層私好みの本であった。

    著者の研究に基づいたゴリラの生態について詳しく述べ、また超序列社会のサルを引き合いに出しながら両者の違いを比較、そこから、最終章では、人間社会を優劣のない平和主義のゴリラとサル社会との中間くらいと位置づけ、サル化している、と警鐘を鳴らして締めくくられている。
    ははあ、だからこのタイトルなのかと納得できたものの、個人的には、著者の研究によるゴリラ考察が単純に面白く、最終章はなくてもよかったのでは、と思ってしまった。

    霊長類の生態に興味があればとても楽しめる一冊。

  • 猿は勝敗をつける。上下関係組織をもつそうです。それに対してゴリラは、勝敗を付けずに喧嘩してもお互いを理解して和解するそうです。組織も対等だそうです。

  • ☆サルに比べて人間は高い共感能力がある

  • 京大総長の山極さんの本二冊目。
    こちらは割と読みやすい内容、文章で書かれていて、霊長類学入門には適してる一冊。

    ・霊長類学は人間社会を明らかにする学問(アプローチ)方法の一つ。日本が世界をリードしている分野の一つ。
    ・そこには日本人の中に人はサルから進化したという概念が無理なく同居できるから(一方の西洋では進化論的考え方がキリスト教と相容れず、霊長類学が発展してしなかった)
    ・現在ではよく知られるサルの個体ごとに名付けて観察する手法は日本で確立した(ジャパニーズメソッド)
    ・ちなみに先進国で身近に霊長類が存在している国は日本(ニホンザル)のみ。サルの主な生息地はアジア、南アメリカ、アフリカである。
    ・ゴリラ社会は家族社会で、勝ち負けを作らず序列化もない。
    ・子供時代に遊ぶ時間の長い生物は認知力が高い。
    ・同性愛行動はゴリラにも見られ、これも認知が高い生物(特にオス)で多く見られる。
    ・サル社会は家族社会でなくコミュニティ社会で、明確なヒエラルキーがあり、優劣がある。
    ・ヒトは家族社会とコミュニティ社会両方を形成し、(利害が相反する社会の)どちらにも所属する唯一の生物である。
    ・オスメス間の性的関係を知るのにオスの睾丸の大きさがあるコミュニティ社会のチンパンジーは乱行社会のため精子競争をするため睾丸が大きくなる。一方ゴリラは母系社会(オス1と血縁関係のある複数のメス)でどのオスの子か明らかなため睾丸は小さい。ヒトはその中間くらいの大きさである。そのため緩い乱行社会であることが示唆される。
    ・ヒトの共同集団には段階がある。15人前後の共鳴集団(他にはスポーツのチームや部署)、50人まで(クラスや会社)、そして150人(マジックナンバー)の集団。お互いに顔や名前が一致する関係性はこのあたりまで。
    ・これ以上の集団を作る過程で言語が生まれた?
    ・ヒトは本来家族集団(お互いに身内を優先するえこひいき集団)に所属しながら、コミュニティ集団(平等や互酬性を基本とする)に所属している。
    ・家族集団(類人猿的)は食を分け合うことを基本にしており、お互いに関係性を作り、煩わしくもある反面、そこへ所属していることは喜びや満足に繋がっている。
    ・一方コミュニティ集団(サル的)は競争的な社会で集団に安定性はない。現在人間は個人の自由と引き換えに"サル化している"と筆者は考えている。(個人の利益と効率を優先する社会)
    ・人間の社会性とは…奉仕の精神(家族的)、互酬性(コミュニティ的)、そして帰属意識である。

  • 社会

  • ゴリラ、サル、人間。それぞれの集団、社会の共通性は? 家族を問い直す名著。

  • 「サル化」する人間社会 (知のトレッキング叢書)

  • 京大の偉い先生だと聞いて、一番レビューがついてたこちらを読んでみた。なんというか、軽くて読みやすい本でした。中学生でも十分に読めそうな感じ。

    ゴリラをしることは、この本をよんでいれば、人間のもっていた本質というか、originというか、そのあたりをかいまみれる気がしますね。

    サル化とゴリラ化。この本ではサルがかなり悪者になっていますが、そのあたりも個人的には疑問でした。ゴリラがただしくて、サルは間違ってるかのような話の根拠
    がなんなのでしょうね。遺伝的に近いのはゴリラってことですかね??

    読みやすいので目をとおすぶんにはいいかもしれません。

  • 相手が何をしたいのか
    相手が今何をしてほしいと思っているのか
    自分が何を望まれているのかを
    汲み取り、いま自分はどういう態度をとるべきかを
    その場の状況に応じて応える。
    巷にあふれかえっている
    どこやらのビジネス書に書かれているような言葉ですが…
    この察知能力をゴリラたちが持ち合わせている
    いや、ゴリラたちにこそ
    私たち今の人間たちは学ぶべきではないか
    というのが、この本で山際さんが伝えたいことです

    実際にゴリラたちが暮らしている「現場」の
    野山に分け入って徹底したフィールドワークをしてこられた
    山際教授だからこそ、伝えたいメッセージが
    そこかしこにちりばめられた一冊です

    勝ち負けがなく、優劣をつけず、仲間たちの関係は対等平等なゴリラたち
    もちろん、社会的に上手に遊ぶこともできるゴリラたち
    我々ニンゲンが失いかけているモノを
    楽しく、興味深く、考察できる一冊です

  • 相変わらず山極さんのゴリラ愛が激しい。

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著者プロフィール

(やまぎわ じゅいち)
日本の人類学者、霊長類学者にして、ゴリラ研究の第一人者

1952年 東京都生まれ
1975年 京都大学理学部卒業
1977年 京都大学大学院理学研究科修士課程修了
2002年 京都大学大学院理学研究科教授
2011年 京都大学大学院理学研究科長・理学部長
2014年 京都大学総長 就任

「2019年 『動物』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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