異端のチェアマン 村井満、Jリーグ再建の真実

  • 集英社
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  • Amazon.co.jp ・本 (368ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784797674408

作品紹介・あらすじ

元日本代表監督・岡田武史氏 絶賛!
「日本のスポーツ界の岩盤をぶち破ったビジネス界から来た男。幾多の危機を乗り越えたリーダーシップに感服させられた!」

開幕から20年を経て、人気低迷と経営悪化の泥沼に陥っていたJリーグ。この最悪の時期にチェアマンを引き受けた村井満は抜本的な改革に取り組むが、そこに差別・ハラスメント問題、度重なる災害、新型コロナ禍が次々追い打ちをかける。とくに新型コロナ禍においてリーグ清算さえ覚悟したという村井が、いかに事態を打開したのか。知られざる危機への対応を、多くの証言と共にドキュメンタリータッチで描き出す。

●本書に登場するエピソード(一部)
・人種差別横断幕「JAPANESE ONLY」事件
・2ステージ制導入から廃止に至るまでの知られざる経緯
・中村憲剛との対話から生まれたシャレン!
・DAZNとの緊迫した契約交渉
・Jリーグのナンバー3によるWハラスメント事件への対応
・新型コロナ禍によるリーグ清算の危機
・村井のチェアマン就任を後押ししたのは誰か?

●村井満チェアマン時代の実績(一例)
・DAZNとの巨額契約の実現によって経営危機を脱出。J3までの全試合視聴を可能に。
・史上最多入場者数、イレブンミリオン達成(2019年/約1,140万人)。
・NPBと「新型コロナウイルス対策連絡会議」を設立。コロナ禍でのリーグ運営を乗り切る。
・複数に分割されタコツボ化していた組織を統合し、スピーディな意思決定を可能に。

【プロフィール】
村井 満(むらい みつる)
1959年、埼玉県川越市生まれ。日本リクルートセンターに入社後、執行役員、リクルートエイブリック代表取締役社長、香港法人社長を経て13年退任。Jリーグ理事を経て14年より第5代Jリーグチェアマンに就任。4期8年にわたりチェアマンを務め、2022年3月退任。2023年6月より日本バドミントン協会会長。浦和レッズの熱心なサポーターとしても知られる。

著者・宇都宮徹壱(うつのみや てついち)
写真家・ノンフィクションライター。1966年、東京都生まれ。国内外で「文化としてのフットボール」を追い続け、スポーツ各誌にて活躍中。2010年に著書『フットボールの犬』(幻冬舎)で第20回ミズノスポーツライター賞最優秀賞、2017年に『サッカーおくのほそ道』でサッカー本大賞2017を受賞。

感想・レビュー・書評

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  • Jリーグ中興の祖というべき名チェアマンの事績を追う。プロスポーツは興行だけに、ビジネスを切り盛りできる人材と相応しいリーダーが不可欠で、それは元スポーツ選手者である必要も、ましてプロ出身である必要も全く無い。ビジネス畑で実績を積んできた村井氏が「異端」な土壌こそ、スポーツ界の異端性の裏返しに思える。躊躇ない組織改革や発信力、スピーディな対応、近未来を見据えた決断力等々、Jリーグの体質強化はいちファンにも如実だったし、ひいては日本に欠けている要素でもある。個人的にはデジタル化による簡便なチケット処理は恩恵受けたが、逆にそれすら整ってない他競技や他エンタメの多さは、異端のチェアマンがあまりに希少だからだろう。

  • サブタイトルに「Jリーグ再建の真実」とあって、あれ?再建を迫られるような事態だったのかと思うところから始まった。
    昨今、政界は言うに及ばず、損保会社、中古車販売会社、自動車メーカーなど内輪の論理で危機に陥る組織は数多い。
    Jリーグも漫然と経営していれば本当の危機に陥ったのではないか。勿論、外から人材を招いても失敗に終わる事例はごまんとあり、リクルート時代に村井氏自身が経営者として伸るか反るかの修羅場をくぐり抜けた経験が豊富なことが一番の要因なのだろう。
    それでも、「天日干し」という言葉の通り、外から光を当てることの大切さがよくわかる。全ての組織に大事な視点なんだな。
    「スピードは経営者の本気度の代替変数」という言葉も覚えておきたい。

  • 元Jリーグチェアマンの任期に起きた出来事を詳細に描いた一冊。
    自分が普段見ているJリーグ。チームについて情報を得ることはあるけど、運営する側のJリーグ自体に思いを巡らす機会はあまりなかった様に思う。
    例えば、秋春制の議論や昇降格のチーム数の話など、決まった決定や議論に対して意見を持つことはあれどそれを決めている側がどういう思いや行動を持って決めているかなど考えたこともなかった。(そういう人がいる事は理解してますが)
    村井さんの任期中にはDAZNの話やコロナ対応など未曾有の転換点を迎えている。今当たり前に楽しませてもらってるJリーグは当たり前だけど、それに関わり決断してきた方のおかげで成り立っている。
    身近な接点であるチームの裏に、Jリーグという組織があることを頭に入れた上でこれからもサッカーを楽しんで行こうと思う。
    Jリーグを見ている方は必読の一冊だと思います!

  • 面白かった。村井さんの軌跡としても、Jリーグとしての軌跡としても。違った種類の危機管理をどうクリアしてきたのか。パーソナリティの問題かもしれないが、こういう能力はどうやったら身につくのだろうか。

  • 村井氏とJリーグのやってきた事を記載。過去が振り返れて懐かしかった

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著者プロフィール

写真家・ノンフィクションライター。1966年生まれ。東京都出身。東京藝術大学大学院美術研究科修了後、テレビ制作会社勤務を経て、1997年に「写真家宣言」。以後、国内外で「文化としてのフットボール」を追いかける取材活動を展開。2010年『フットボールの犬 欧羅巴1999‐2009』でミズノスポーツライター賞大賞、2016年『サッカーおくのほそ道 Jリーグを目指すクラブ 目指さないクラブ』でサッカー本大賞を授賞。現在、個人メディア『宇都宮徹壱WM(ウェブマガジン)』を配信中。

「2022年 『前だけを見る力 失明危機に陥った僕が世界一に挑む理由』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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