映画と本の意外な関係! (インターナショナル新書)

著者 :
  • 集英社インターナショナル
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本棚登録 : 485
感想 : 54
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  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784797680058

作品紹介・あらすじ

なぜ『インターステラー』の本棚にボルヘスの短編集があるのか? 映画を読み解くうえで意外な鍵を握っている本や台詞などを、元ネタの文学や詩までに深く分け入って解説した、全く新しい映画評論!

感想・レビュー・書評

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  •  まあ、人それぞれなのですが、この所「町山智浩ブーム」に突入していて、あれこれ読み漁り始めていますが、面白いですね。
     映画を見ていて、あれって思うセリフや原作について、町山流の解説と、解釈で、映画の新しい面白さに目覚めています。その上、蘊蓄ネタにも事欠きません。ブログに感想書きました。そっちはネタバレもしていますが、よろしければ覗いてください。
       https://plaza.rakuten.co.jp/simakumakun/diary/202102260000/

  • 町山智浩さんは、観たくなる批評する。
    「観せる批評」と表現すれば、すごく気が利いていてスマートだろうか。
    何をかというと映画を、である。
    これまでの著作もそうであった。初めて読んだ「映画の見方がわかる本」から一貫している。

    この本において紹介されている、作品群についても同様であり、映画好きだと自負しておきながら未見の作品については、観ねば、いや観たいと思わずにいられない。
    ほら、また「観せる批評」に魅せられてしまった。

    そんな僕は熱心な映画秘宝読者である。ただのファンだろって?そうだよ。

  • 映画のシーンに登場する本や言葉は、映画を読み解くうえで重要な鍵を握っている。本書はその作品に登場した本や台詞、歌詞などを、元ネタである文学や詩までに深く分け入って解説。目からウロコの新たな作品解釈を楽しむことができる。明らかにされるのは『インターステラ―』とボルヘス、『ウォール・ストリート』とシェイクスピア、『007 スカイフォール』とテニスンの「ユリシーズ」などの思いもよらぬ関係性。紹介する作品はエンタテインメント作品から超大国アメリカの裏側がわかるドキュメンタリー作品まで多岐にわたっている。映画と本を愛するすべての人に贈る全く新しい映画評論!
    青春ホラー映画「イット・フォローズ」に登場するイットの正体のヒントになるのが、ドストエフスキーの「白痴」。「ウォール街」「ウォールストリート」の主人公ゴードン・ゲッコーの「欲は善だ」は、ニーチェの「善とは権力への意思であり、悪とは全ての弱い者」という考え方と新自由主義を結びつけたもの。「スーパーチュースデー正義」とシェイクスピアの「ジュリアスシーザー」に共通するもの。「バードマンあるいは」の主人公の苦悩を読み解くヒントになるのが、レイモンド・カーヴァーの「愛について語る時に我々の語ること」。映画「ゴーンガール」の原作者ギリアン・フリンが「イケてる女」という言葉を思いついたのは「メリーに首ったけ」でキャメロンディアスが演じたメリーが男が求める女の理想像で、ムカついたから。ケイト・ブランシェット主演の「キャロル」は、原作者パトリシア・ハイスミスのデパートで売り子をしている時の経験とハイスミスの恋人の銀行家の妻のこととハイスミスがひとめぼれしたキャサリンが元になっている。「インターステラー」などで引用されたディラン・トマスの詩「あの心地よい夜に穏やかに身を任せるな」が、心熱くさせる理由など、映画をより深く楽しむための必読書です。

  • 相変わらず町山さんらしい映画紹介本。
    映画の造詣の深さがさく裂しつつ、するする読める。

    今回は、映画と本(原作だったり、映画に出てくる本だったり)の関係をテーマにしている。

    前半は割と本と映画との関係が色濃いのですが、中盤かは「本」との関係が色濃くもなく、本の紹介というよりは映画がほぼ主役です。

    紹介されている映画はどれも面白そうだが、特に興味が湧いたのは。

    ・あなたを抱きしめる日まで
     これが実話だなんて、「事実は映画よりも奇なり 」ですね。

    ・リンカーン
     リンカーンが鬱でいて、無類のジョーク好きだったなんて、まったくイメージになかった。
     リンカーンの人間の大きさというかオリジナリティに惹かれます。

     「リンカーン うつ病を糧に偉大さを鍛え上げた大統領」って本があるみたいですが、なんかすごい副題のつけ方ですね。

    ・ニーナシモン 魂の歌
     私はニーナシモンの歌は本当にかっこいいと思ってますが、まさかこんな激しい性格の人と思っていませんでした。どっしりと構えていて強いという印象でしたが、それとは違うんですね。
    また境遇、人生も波瀾万丈で。黒人として差別のなかエンターテイメント業界に生きていた人たちは基本的に皆、過酷な人生を送っているともいえますが。

    ・眼下の敵
     このエッセイは、映画が副で、本(詩人)がメイン。
     自己と肉体を讃えるホイットマン
     内向的なエミリー・ディキンソンの対比。
     エミリー・ディキンソンも名前も知らなかったが、素敵な詩を書く人ですね。弱い者の味方。

    ・キャロル
     パトリシアハイスミスが別名で発表していた女性の同性恋愛の物語。
    パトリシアハイスミスの若い時代は同性を好きになることは精神病として扱われていた。そんな中、パトリシアハイスミスはきちんと自分の性質と向き合い、婚約を解消したという逸話がなんともかっこよい。その時代にそれができるというのは本当に意思が固いのだろうと。

  • 町山さんの映画案内本。
    買ったのがトランプ大統領の就任式の日だったので、とりあえずホームの椅子でリンカーンのところだけ読んだ。
    5分で読める。
    で、猛烈に映画が見たくなって。
    そんなわけであっと言う間に4つもDVDを借りてしまった。
    いつ見るんだ??(笑)
    面白いです、ほんと。

  • 映画原作を見たことがあるのなら、その関連ページを読んでみたいと思ったが、残念ながらどれも観たことがなかったので、パラパラっとめくっただけ。


  • その本を知っている人にしか伝わらない、本の虫だけに向けられたウインクのようなものだと思います。
    映画の本棚 まえがきにかえて より


    「もっと黒く歌えないか?」
     そう言われてもキョトンとするだけの四人に、デイヴは必死にソウルの魂を説明する。
    「カントリーもソウルも喪失について歌っている。違うのは、カントリーはあきらめて、ただ嘆くだけだが、ソウルはなんとかして失ったものを取り返そうとする。決してあきらめないんだ」
    第11章 そこに連れて行くよ


    あとがきにも書かれていましたが、もともとは「映画の台詞」という連載をまとめたものらしいです。本が出てこない章もありますが、楽しく読めました。本と言ってもいろいろで、原作本、聖書の引用、詩の一節など様々。そもそも昨今の映画でオリジナル脚本はあまり見ない気もします。何かしらの文学作品の引用や神話や古典を下敷きにしたものが多く、切っても切り離せないものなのでしょう。
    知れば知るほど映画の持つ奥深さや異なった色合いを見せるので、映画ならずともテレビシリーズのワンシーンに一瞬映っているような書籍に目を向けるのも一興。
    まえがきで紹介されていた『インターステラー』ではボルヘスの『伝奇集』以外にもピンチョンの『重力の虹』やイアンバンクス『蜂工場』、アボットの『フラットランド』など監督のこだわりも垣間見えます。知っている人だけしか受信することのできないメッセージがそこには確かに散りばめられているのかもしれません。

  • 観た映画だということもあって、冒頭のイットフォローズの小解説が良かった。白痴‥つい聞き流してしまうけど、それを元に映画を紐解いていくと、何倍も映画が面白くなる。

    エッセンスやモチーフを読み解く審美眼、教養を身につけたいものだ‥

    映画を観る目を養うために町山智浩さんの評論を取り敢えず本で読んでみるかーってのには、良いと思う。
    けど、全体としてはコラムをまとめた本で、一冊としては纏まりがないと思うから、評価は低め。章立てごとの指標、各章の繋がりとかがあれば良かった。

  • 16章ビフォアシリーズについて

    自分もビフォアシリーズが大好きでフランスに行ったときシェイクスピア&カンパニーなどビフォア巡りしました

    映画も本もたくさん見たいし読みたいと思いました_φ(・_・

    2020/2/9 ★3.2

  • "映画に登場する本棚の本であったり、原作本と映画の違いや、映画の中で語られる詩であったり、映画の冒頭に本の一節が語られることもある。
    そんな映画と書物の関係を探ってくれているのが本書。
    007のボンドガールの名前解説が印象に残る。
    古典的名作や聖書をよく知っているだけで、映画を見る時に、また違った視点で眺めることができたりする。シェークスピアは本書に登場しないが、詩人では、英国の詩人サミュエル・テイラー・コールリッジさんやウェールズの詩人ディラン・トマスさんや、ウォルト・ホイットマンさんなど読んでおきたいと思った。"

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著者プロフィール

1962年生まれ。映画評論家。1995年に雑誌『映画秘宝』を創刊した後、渡米。現在はカリフォルニア州バークレーに在住。近著に『トランピストはマスクをしない コロナとデモでカオスのアメリカ現地報告』(文藝春秋)、『映画には「動機」がある「最前線の映画」を読む Vol.2』(集英社インターナショナル)、『最も危険なアメリカ映画』(集英社文庫)、『町山智浩のシネマトーク 怖い映画』『町山智浩の「アメリカ流れ者」』(スモール出版)などがある。

「2021年 『町山智浩のシネマトーク 恋する映画』 で使われていた紹介文から引用しています。」

町山智浩の作品

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