役に立たない読書 (インターナショナル新書)

著者 :
  • 集英社インターナショナル
3.11
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本棚登録 : 292
感想 : 31
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  • Amazon.co.jp ・本 (208ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784797680096

作品紹介・あらすじ

書誌学が専門のリンボウ先生が「自分が読みたい本を読むべき。読書に貴賎なし」と、読書の楽しみ方を惜しみなく披露。古典の魅力から蔵書整理法まで、書物に触れる真の歓びに満ちた著者初の読書論!

感想・レビュー・書評

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  • 【要約】
    ・読書は「楽しい!」が一番。
    ・読んだ内容について考えて初めて読書と言える。
    ・内的な契機のない読書に意味はない
    ・「自分が今何に対して興味を感じる」を考えることから始める
    ・ベストセラーより古典
    ・古典とはヒューマニティー(人間性)の根幹に関わる本
    ・図書館、人から借りたり、売ったりせず、本は自分で買って手元に置いておく
    ・本は捨てない
    ・本は随時持ち歩いていつでも時間が少し空いたら読む、同時に何冊も読む
    ・心に残った文章はカード(何か)に書き留めておく。
    ・読み飛ばさずに、ひっかかりひっかかりしながら読む
    ・アイデアを書き留めるメモを常備しよう
    ・翻訳では作品の理解が深化しない。
    ・「現象」の向こうにある「原理」に目を向ける。外の世界にまず目を向ける。
    ・朗読してみる
    ・古書通信販売サイトを使う
    ・古本屋と目録を使おう
    ・「研究史の把握」こそ最優先。つまり基本の「キ」から始めよう。
    ・注釈ごとに同じ作品を複数読み、相互に比較検討しよう。
    ・恋愛文学の国日本。
    ・多ジャンルの本を読む。

    【感想】
    「読書好き」のエッセイは好んでよく見るのですが。「(読書は)役に立たない」けど、それでいい」と言い切れるカッコよさがありました。読書根本的にはなくても生きて行けるものだかあらそれも当然。「役に立つ」の意味合いがかなり限定されている現状のなかで、古典がその価値の深化を発揮するのも、一周回った見方で納得しました。

     新しく学べるような所もあって、本屋に並んでいる本は、本屋、出版社の間にある取次会社が、決めている、というのは初めて知りました。なるほど。本屋に足を運ぶことがそもそも、アルゴリズムのおすすめから商品を選択するのと、変わらない。これはびっくりでした。
     カバーと帯が常備されている文庫本という文化も海外からの見ると珍しいこと。それほど、日本は視覚的、装飾的、過剰梱包文化なのだなぁと考えるなんだかおもしろい。面食い民族と思う。
     さらに紹介される本の引用部分が面白かったのも有難かったです。平家物語、源氏物語、枕草子、徒然草と多数。本を読みたくなる本でした。

  • 書かれていることほぼ全て自分に当てはまって、最初から最後まで「そうそう」って感じで読了。
    ただ一点、林望先生と異なり、書き込みはしない。
    でも、古書で誰かの書き込みとか見つけると、どんな人が何で書いたのか、思いを巡らすのは同じ。

  • 役に立たない と思って読んだことは、あんまりないなぁ。
    りんぼう先生の地下書庫が拝見してみたい。

  • 読書における有用性よりも、娯楽性を素直に追求すべきという文脈で語りながら、しかし、ベストセラーは避けるべきなど、随所に支離滅裂、他人の持論に介入するようなパターナリズムが見られる。つまる所は、本の読み方など、人それぞれで良いはずで、筆者による主観本である。筆者の例示する読書も、小説が多い。

    ただ、この本を読んでいて、古典、古文も面白そうだなと思えた事、他人の読書論自体、聞くのが面白いという点で面白かった。しかし、40歳で?親にパソコンを買って貰ったというエピソードは、当たり前に書かれても何か引っかかってしまい、読書のノイズになってしまった。

  • 宣長の玉の小櫛が朗読しやすいという。鴎外や宮沢賢治は朗読にむかず、という。なるほど。

  • 本は、買って読むべし。(なんなら、2冊買っても良いのだ!)というのは、とてもわかる。そうしたいのは山々なのだけど…という点はあるが、読書は楽しむためのものであり賢くなるためのものでは無い。それだけで十分。


    私の読む本の選び方や、読み方がオススメされていて読書初心者としてホッとした。しかしその一方で、『古典』を読み楽しめる程のレベルに無いことが悔やまれる。スローペースで良いから、古典や近代の本にもチャレンジしてみようかな。

  •  林望さんの本は今までも少しばかり読んでいるのですが、語っている内容は結構すっと腹に落ちるんですね。本書もそうでした。
     「ベストセラーは読まない」「速読はしない」「同時並行的に何冊も読み進める」等々は、まったく同感です。
     ただ、「本は借りて読む」というスタイルの私なので、「本は自分で買って読め」という勧めは実践できそうにありません。できるだけ乱読・雑読でいきたいので、読んでみたいと思った本をすべて買っているとあまりにも“無駄打ち”が多くて、お金も保管場所もついていかないのが正直なところです。

  • タイトルに反して、読書の楽しさ、本を所有する楽しみなどが書かれていて、もっと本を読みたいと思わせてくれる本だった。

    実用的に、役立たせるだけが読書ではない。
    何冊読んだとひけらかすのではなく、読んでどんなことを感じたかが大切。

    あと、自分の本棚の整理がしたくなった。

  • 一般的読書論。そうは言っても中々古文には興味が持てんな苦笑

  • 私はリンボウ先生の著書が好きなので、バイアスが掛かっている事が前提となりますが。概ね(全面的にではない)読書家としての私の理想像です。読書が何の役に立つのか?読書なんて娯楽なんだから好きな時に好きなモン読ませろやというのがスタイル。勉強のために読むのは勉強であり読書ではない。私も本の山に囲まれることに幸せを感じる方なので、買った本は基本捨てない。電子書籍は本を買うほどではない、又は紙で入手が困難な場合に限る。私もKindleは活用してますが、基本は紙の本です。思ったほどKindleに移行しませんでした。
    なお、タイトルについては「読書なんて役に立たない」という意味ではなく、「読書は役に立てようと思って行うことではない」という意味でしょう。リンボウ先生が最終的に古典に行き着くのは先生がそういう趣味趣向であっただけで、世にはミステリ狂もいますし、マンガしか読まない人もいますし、中には哲学書を娯楽(知識欲)の境地で読む人がいる。それでいいじゃないか。電子書籍がダメだとはイッていない。「自分には合わない」と言っているだけ。本は捨ててはいけない、ではなく「自分は捨てない」と言っているだけ。ただそれだけのこと。

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著者プロフィール

1949年東京生。作家・国文学者。

慶應義塾大学文学部卒、同大学院博士課程満期退学(国文学専攻)。東横学園短大助教授、ケンブリッジ大学客員教授、東京藝術大学助教授等を歴任。『イギリスはおいしい』(平凡社・文春文庫)で91年日本エッセイスト・クラブ賞。『ケンブリッジ大学所蔵和漢古書総合目録』(Pコーニツキと共著、ケンブリッジ大学出版)で、国際交流奨励賞。学術論文、エッセイ、小説の他、歌曲の詩作、能作・能評論等著書多数。『謹訳源氏物語』全十巻(祥伝社)で2013年毎日出版文化賞特別賞受賞。2019年『(改訂新修)謹訳源氏物語』(祥伝社文庫)全十巻。ほかに、『往生の物語』(集英社新書)『恋の歌、恋の物語』(岩波ジュニア新書)等古典の評解書を多く執筆。『旬菜膳語』(岩波書店・文春文庫)『リンボウ先生のうふふ枕草子』(祥伝社)、『謹訳平家物語』全四巻(祥伝社)『謹訳世阿弥能楽集』(檜書店)『謹訳徒然草』(祥伝社)等著書多数。

「2021年 『古典の効能』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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