国家の統計破壊 (インターナショナル新書)

著者 :
  • 集英社インターナショナル
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感想 : 8
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  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784797680386

作品紹介・あらすじ

国家の基幹統計が都合よく歪められようとしている。
現在、新聞・テレビなどのメディアで話題となっている「毎月勤労統計」の不正調査問題は、氷山の一角でしかない。
安倍政権の発足以降、わかっているだけでも53件の統計手法が見直され、そのうち38件がGDPに影響を及ぼしている。
賃金や消費などの基幹統計は、国民生活と密接に結びついたものである。手法の変更によりかさ上げされた数字では客観性がまったくなく、もはや統計の意味をなさない。
これは「統計破壊」と呼ぶべき異常事態である。
アベノミクスの失敗を覆い隠すような統計破壊は、なぜ・どのように行われたのか。この問題をいち早く追及し国会でも陳述した著者が、公的データをもとに統計破壊の実態を暴く。

(目次より抜粋)
第1章 「賃金21年ぶりの伸び率」という大ウソ
賃金の異常な伸び/統計委員会も「実態を表していない」と認める ほか

第2章 隠れた「かさ上げ」
無断で3分の1抽出&こっそり復元/戦後最悪の実質消費停滞 ほか

第3章 隠される真の実質賃金伸び率
野党合同ヒアリングでの攻防/公述人として国会に立つ ほか

第4章 「かさ上げ」の真の原因
常用労働者の定義を変更して「日雇外し」/日雇外しでどれくらい平均賃金が上がるのか ほか

第5章 誰が数字をいじらせた
専門家の結論を官邸が捻じ曲げる/麻生財務大臣の「鶴の一声」 ほか

第6章 「ソノタノミクス」でGDPかさ上げ
アベノミクスがもたらした悲惨な「結果」/GDP改定でアベノミクス以降のみ「異常なかさ上げ」/家計消費の衝撃的かさ上げ/家計調査も実は水増し ほか

第7章 安倍総理の自慢を徹底的に論破する
総雇用者所得/就業者数/失業率と有効求人倍率 ほか

第8章 どうしてこんなにやりたい放題になるのか
野党は賃上げを争点に/残業代支払い逃れの制度を廃止せよ ほか

●プロフィール
明石順平(あかし じゅんぺい)
弁護士。1984年、和歌山県生まれ、栃木県育ち。東京都立大学法学部、法政大学法科大学院を卒業。主に労働事件、消費者被害事件を担当。ブラック企業被害対策弁護団所属。
著書に、客観的なデータを用いてアベノミクスの失敗や日本財政の問題点を指摘した『アベノミクスによろしく』『データが語る日本財政の未来』(共にインターナショナル新書)がある。
ブログ「モノシリンの3分でまとめるモノシリ話」管理人。

感想・レビュー・書評

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  • 「毎月勤労統計調査」の不正なデータ補正が発覚後、7月の参院選時点で公表を差し控えていた2018年の実質賃金は17年と比べ0.4%のマイナスだった。
    つまり、2017年から2年連続のマイナス成長に陥っている。

    良く見せようとして統計偽装などしないで欲しい。
    なにも統計手法の見直しを否定しているわけではない。
    都合の悪い事実でも、事実としてきちんと示して欲しいと思っているだけだ。
    そうでなければ、長期的視野での真っ当な対策が打ち出せないではないか。

    さて、本書では2016年に行われたGDPの異常なかさ上げの中身が示されている。
    私としては、これが知りたくて本書を手にした次第だ。

    特に10兆円規模にも及ぶ(内訳はないと内閣府が回答している)「その他」という項目の中身。
    ・自分の持ち家について発生したことにする家賃(これがGDPの10%も占める)
    ・消費に使ったポイント額(消費支出額が1.4%も増える)
    これ以外にも、建設投資とか飲食サービスとか雑多にあり、過去に遡った補足値も眺めると信じがたいデータが見えてくる。
    持ち家について発生したことにする家賃に至っては、2002年まではゼロ補正(日本全国賃貸住宅生活?)だ。

    肌感覚からあえて言わせてもらえば、近年の日本のGDPは公表値から20兆円程下回る値だと読み替えた方が良い。
    過去のデータとの連続性については信ぴょう性が損なわれてしまっているので要注意だ。

    • Kazuさん
      これでGDPを10兆円ほど水増しして良く見せていたということか。

      建設受注統計で国交省が不正、その実態と問題点
      https://to...
      これでGDPを10兆円ほど水増しして良く見せていたということか。

      建設受注統計で国交省が不正、その実態と問題点
      https://toyokeizai.net/articles/-/479789

      2021/12/29
  • 2019年8月読了。
    「賃金がほとんど伸びないのに物価だけが急上昇したので消費が冷えた」(214ページ)
    「ただ単に国民を貧乏にしているだけ」(同上)

    統計不正問題は一部の役人の業務上のミスではなく、国家的な意思が働いて(もしくは「忖度」によって意思とは関わらず、とも言えそうですが)今日の姿に至っているのだと思う。

    それでも選挙でリセットされないわが国。
    闇が深い、深過ぎる。

  • 2015年以降のGDP関連統計が、どのような偽装改竄捏造により作られたかを明確に示し、アベノミクスの実態を明らかにしてくれた良書

  • 内容については,すでに色々なところで報じられていたり,著者自身がweb上で発表してることを集めて本にしたような感じだが,こうして改めてまとめて読んでみると本当にひどいことが進行している.
    改竄,ウソ,印象操作のみで成り立っているような政府にどう対峙するべきかが第8章「どうしてこんなにやりたい放題になるのか」に提案されているのだが絶望しかない.
    せめて選挙前にみんなに読んで欲しいし,野党の候補者達も内容を理解して選挙に臨んで欲しい.

  • 2021年末の大掃除で発掘した本です、この本は2021年の間に読む本の様ですね。読みかけになっていたために、評価は「★一つ」にしております。内容が不満足だったわけではありません。

    2021年12月29日作成

  • 東2法経図・6F開架:332.107A/A32k//K

  • イデオロギッシュなので、なるべく割り引いて読もうと思う。

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著者プロフィール

弁護士。1984年、和歌山県生まれ、栃木県育ち。東京都立大学法学部、法政大学法科大学院を卒業。主に労働事件、消費者被害事件を担当。ブラック企業被害対策弁護団所属。著書に『アベノミクスによろしく』『データが語る日本財政の未来』(集英社インターナショナル新書)など。ブログ「モノシリンの3分でまとめるモノシリ話」管理人。

「2023年 『データで見る日本経済の現在地』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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