- Amazon.co.jp ・本 (304ページ)
- / ISBN・EAN: 9784797680997
作品紹介・あらすじ
「全国アホ・バカ分布図」の完成から30年! 圧巻の50枚以上のカラー分布図で古代以来の日本語変遷の謎を解き、方言の豊かさを描き出す。
知的興奮とともに、ふるさとの言葉の懐かしさを味わえる1冊。
テレビ番組『探偵!ナイトスクープ』で話題になった全国アホ・バカ調査で示した分布図で、方言が京都を中心に何重もの円を描いていることを見せ、言語学会を驚かせた著者。
その後1991年に全国3000超の市町村へ行った方言アンケートの回答を、膨大な私費を投じて集計、数多くの言葉を分布図に落とし込んだ。
本書では50数枚の方言分布図を丹念に読み解き、日本語が旅した道と背景にあるストーリーを面白く興味深く描き出す。
身近な「どっさり」や「醤油」などの分布図を、方言にまつわるエピソードとともに解説。
カラー分布図でふるさとの言葉を確認し、日本語伝播の経緯を辿ることができる。
なかでも源氏物語での「戻る」に注目し、その変遷を史料を駆使してどこまでも深掘りし、波照間島まで旅する論考は圧巻。
また、周圏分布の原点に立ち返り、柳田國男が『蝸牛考』でとなえた方言周圏論について検証する。
謎解きの強烈な助っ人、「小竹探偵」とのやりとりも楽しい。
『全国アホ・バカ分布考』(新潮文庫)、『全国マン・チン分布考』(インターナショナル新書)につづく第3弾!
【目次より抜粋】
はじめに 言葉は旅する
序章 「好き」を表す日本語は「好き」だけか?
古語は辺境に残る/方言周圏論の登場
第一章 御所から広まる高貴なことば
菜切り包丁のことを「ナガタン」/江戸はどのように「言語島」であったか/
第二章 紫式部さん、あなたは『源氏物語』の中で、『戻る』を使いましたか?
『源氏物語』の「戻る」の謎/「「帰る」「戻る」の超千年史
第三章 琉球のことばが照らし出す日本語の原像
琉球は本土の言葉を勝手に濁らせない/『日本霊異記』の「毛止利天」って何?
第四章 豊かな方言の時代を生きてきた
訪問者の出で発ちごとねぎらう「お出でやす」/「ゆで卵」の分布図/
第五章 『蝸牛考』の原点へ
テレビCMソング「メチャうまかろう」/柳田國男が果たし得なかった分布図作り
むすびに 時空を超えて
『探偵!ナイトスクープ』チーフ構成作家・百田尚樹氏推薦!
【著者プロフィール】
松本修(まつもと おさむ)1949年滋賀県生まれ。京都大学法学部卒業。在学時は、律令などを読む日本法制史と、法哲学のゼミで学ぶ。1972年朝日放送入社。現在『探偵!ナイトスクープ』企画プロデューサー。大阪芸術大学教授、甲南大学・関西大学・京都精華大学講師を歴任。著書に『全国アホ・バカ分布考』(新潮文庫)、『全国マン・チン分布考』(インターナショナル新書)などがある。
感想・レビュー・書評
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『アホ・バカ』、『マン・チン』は、タイトルの言葉のみを徹底的に調べ上げる本だったが、こちらの本は、もう色んな言葉をとにかく調べて調べて、ついにはいにしえの日本語とも言える琉球語を求めて、波照間島までやってくる。
『源氏物語』、そして周圏分布考の始祖『蝸牛考』まで取り上げ、名詞・動詞だけでなくさまざまな品詞の言葉も調査する。
著者はかなりロマンチックな想像力を常に働かせていく。その想像力が語源への推進力となることもあれば、本の物語性を進める源ともなる。
3冊通して読み、難しい史料などはどんどん読み飛ばしたが、こんなに楽しく読めたのは、きっとこのロマンチックな想像力をふんだんに文章に散りばめてくれたお陰だろうと思う。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
お借りした本です、わたしには少し難しかったです。
言語の広がり方面白いとは思いましたが、歴史的な予備知識がないと難しいと思いました。 -
全国市町村アンケートから作成した50枚超のカラー方言分布図を掲載し、楽しく深く解説。「源氏物語」の「戻る」の謎を解く壮大な知の旅に誘い、京都を中心に同心円を描く分布図で日本語の「周圏分布」についても論じる。【「TRC MARC」の商品解説】
関西外大図書館OPACのURLはこちら↓
https://opac1.kansaigaidai.ac.jp/iwjs0015opc/BB40290963 -
新書かと思ったらラノベだった、画が見辛いので
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アホバカ分布考は学生時代に読んだきりだったが、今回読んだ当本は、日本語研究の手法として感度するものが多かった。ネタの展開のさせ方はバブル臭さを感じるが、それがかえって日本語の古典的おもしろさを強調させている。
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810-M
閲覧新書 -
はじめに 言葉は旅する
序章 「好き」を表す日本語は「好き」だけか?
古語は辺境に残る/方言周圏論の登場
第一章 御所から広まる高貴なことば
菜切り包丁を「ナガタン」/江戸はどのように「言語島」であったか
第二章 紫式部さん、あなたは『源氏物語』の中で、「戻る」を使いましたか?
『源氏物語』の「戻る」の謎/「「帰る」「戻る」の超千年史
第三章 琉球のことばが照らし出す日本語の原像
琉球は本土の言葉を勝手に濁らせない/『日本霊異記』の「毛止利天」とは何か?
第四章 豊かな方言の時代を生きてきた
訪問者の出で発ちごとねぎらう「お出でやす」/「ゆで卵」の分布図
第五章 『蝸牛考』の原点へ
「めちゃ」が日本を制覇していった日々/柳田の五重の同心円の向こうにあるもの
結びの章 時空を超えて -
<目次>
序章 「好き」を表す日本語は「好き」だけか?
第1章 御所から広まる高貴な言葉
第2章 紫式部さん、あなたは『源氏物語』の中で、「戻る」を使いましたか?
第3章 琉球のことばが浮かび上がらせる日本語の原像
第4章 豊かな方言の時代を生きてきた
第5章 『蝸牛考』の原点へ
結びの章 時空を超えて
<内容>
『全国アホ・バカ分布考』の元テレビマンが、日本語の謎を解いていく本。それも学術論文的ではないので、読みやすくわかりやすい。さらに50枚以上の地方方言地図が挿入され、その分布が一目なので、説得力が増している。著者は現在大学教授。もともと日本語に興味があったようで、「探偵!ナイトスクープ」の中でやった、アホ・バカの全国分布考察が、ここまで仕上がった感じ。その執念と言うか真面目さと言うか。学問はこうでなければならないことを証明してくれる本。
そうですね、本の結論は、京都からことばは日本を北へ南へと広がり、京都には新しい表現が誕生するので、東北や琉球に、古い日本語が残っているという話です。言葉としても、はつおんとしても、文法としても残っている。