ポケット解説 ドラッカーが描く未来社会 (Shuwasystem Pocket Guide Book)

著者 :
  • 秀和システム
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レビュー : 4
  • Amazon.co.jp ・本 (223ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784798015101

感想・レビュー・書評

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  • ドラッカーの思想・思索遍歴をまとめた本。ドラッカーというとマネジメントの発明者という印象が強いけど、社会生態学者としてのドラッカーのすごさがよくわかる。あの洞察力はどうやったら身に着くのだろう?

  • 読書目的
    ①ドラッカー著作の底流にある考え方を知る。
    ②ドラッカーの膨大な著作を概観し、『何を読むか』のヒントを得る。

    ドラッカーの著作に関する解説本は数多く出版されており、私も数多く手に取って来ました。その中でも、この書籍は私のニーズに最も合致した内容でした。そのニーズとは、上記に掲げた読書目標です。

    ・ドラッカー著作の底流にある考え方
    ドラッカーは自身のことを著作『傍観者の時代』(1979年)において、観察者(bystander)と称した。又『ドラッカー20世紀を生きて』(2005年)において、文筆家(writer)と称した。そして『観察』し『記述』する対象を政治、社会、経済、技術などを人間が作った『社会環境』とし、それを総じて『社会生態学者』と呼んだ。つまり『社会生態を観察し、記述する』こと、この考え方がドラッカーの全著作の根底にある基本コンセプトである。

    ・社会生態学の方法論
    ドラッカーは社会生態学者として社会を観察する3つの手順を採用した。
    ①通念に反し、すでに起こっている変化は何かを問う。
    ②その変化が一時的でなく、本当の変化である証拠があるかを問う。
    ③その変化が重要な場合、その変化がどんな機会をもたらすかを問う。
    特に②で確認できた現象を、『新しい現実』、『すでに起こった未来』と呼ぶ。ドラッカー著作の読む上での重要なキーワード。

    又ドラッカーは、時代の非連続性=『断絶』に注目する。断絶を観察し、その特徴をいち早く分析し、新たな時代の到来とその様相を誰よりも早く理解することが、ドラッカー著作を読み解く鍵である。

    ・ドラッカー著作の概観
    ドラッカーの著作を大別すると、①政治・社会・経済系、②経営・組織系がある。①の系統を『未来社会論系』、②の系統を『マネジメント系』と位置付けられる。又これ以外に、雑誌に掲載された論文をまとめて一冊の著作としたものがあり、概ね①と②の両方の内容を取り扱っている。

    又ドラッカー著作は、4つの時代区分(=断絶)でその時代背景と思索の概観を整理すると理解しやすい。

    ①組織社会の時代(第1次世界大戦~1940年代末)
    この期間を19世紀型社会の終焉と20世紀社会の胎動と見て取り、産業による組織社会を20世紀の新たな枠組みと看破した時期。この間の著作が『経済人の終わり』、『産業人の未来』、『企業とは何か(会社という概念)』(いずれも未来社会論系)。

    ②マネジメントの時代(1950年~1960年代末)
    この期間は、上記の組織社会に注目し、マネジメント研究を深めた時期。この間の著作は『現代の経営』、『創造する経営者』、『経営者の条件』(いずれもマネジメント系)。この期間に『マネジメントを発明した男=ドラッカー』の名が決定付けられる。

    ③多元社会の時代(1960年代末~1980年代末)
    この期間は、政府による権力の一極集中から多元的組織による権力の分散を主張した時期。
    政府事業の『民営化』を考え出したことが有名。この間の著作は、『断絶の時代』(未来社会論系)、『マネジメント』(マネジメント系)、『見えざる革命』(未来社会論系)、『乱気流時代の経営』(未来社会論系)、『イノベーションと企業家精神』(マネジメント系)、『新しい現実』(未来社会論系)。特筆すべきは、『乱気流時代の経営』と『新しい現実』で一極集中型権力の象徴であるソ連の崩壊を予測している点。

    ④ポスト資本主義社会の時代(1990年代末~現代)
    コンピュータ、インターネットの発展により社会が知識社会に向けて大きく加速するとした時期。この間の著作は、『非営利組織の経営』(マネジメント系)、『ポスト資本主義社会』(未来社会論系)、『明日を支配するもの』(マネジメント系)、『ネクスト・ソサエティ』(未来社会論系)。

    【感想】
    解説本を頼りにすること自体、真のドラッカーファンとは言えないかも知れません。しかし、長い間ドラッカー著作を読みたいと思いながらも、読破できなかった私にとって、非常に多くのヒントを与えてくれた一冊です。
    又、本書は参考となる箇所に対し原著のページが紹介され、原著を参照できる工夫されています。個人的に、これがパズル感覚で非常に楽しく読めました。敷居が高かったドラッカー著作との距離を縮めてくれました。

    最後に本書は、90年代から現代に至る『ポスト資本主義社会の時代』を20世紀型社会の終焉と21世紀型社会の胎動している時期としています。これは丁度、100年前にドラッカーが『組織社会の時代』で19世紀型社会から20世紀社会への新たな枠組みが組織社会であると見たのと同じ様相と言えます。

    20世紀型社会に変わる新しい枠組みとは何か?残念ながらドラッカーはもうこの世にはいません。21世紀の新しい枠組みを洞察する目を、ドラッカー著作を読みながら養いたいです。

  • 私みたいなドラッカー初心者にはちょうどいい書籍だったのではないでしょうか。年代/時代別にドラッカーの考え方やその後の時代の考察等まとめてあり、そこに著者の解釈が入り、理解を促している。いい本だ...
    企業の存在意義として「マーケティング(既存の顧客への満足度の向上」と「イノベーション(新規の顧客獲得)」の2つに集約される、という考え方が非常に興味深かった。
    次は著書を読もう!

  • ドラッカーさんの書籍を未来社会というキーワードでまとめたポケット解説本。

    頭を整理するにはよいですが、当たり前の話ですがちゃんと著書に当たらないとダメだとは思います。
    このポケット解説シリーズは結構出ていますが、ついつい買ってしまうんですよね。

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著者プロフィール

1962年、滋賀県生まれ。立命館大学文学部哲学科卒。ノンフィクション作家、同志社大学非常勤講師。著書に『超図解 勇気の心理学 アルフレッド・アドラーが1時間でわかる本』ほか多数。

「2017年 『超図解「21世紀の哲学」がわかる本』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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