「人工超知能」 -生命と機械の間にあるもの-

著者 :
  • 秀和システム
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レビュー : 9
  • Amazon.co.jp ・本 (318ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784798050454

感想・レビュー・書評

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  • ★2017年10月1日読了『人工超知能 生命と機械の間にあるもの』井上智洋著 評価B+

    最近のAIの進化は目に見えて加速していることが気になり、手に取ってみた。
    なぜ、近年の人工知能の開発が加速しているのか、それは深層学習Deep Learningが発展し、プログラムが人間に教わることなく、物体の特徴を見いだし、生物の眼に相当するイメージセンサーを獲得。その結果、特徴量という特徴空間を形作ることが出来るようになって来たことが大きい。

    これからの人工知能の方向性には、全脳エミュレーション方式という脳の神経系のネットワーク構造のスキャンなどによってコンピューターに再現する方法と全脳アーキテクチャーという人間が人為的に設計する部分を残しつつ、海馬/基底核/大脳新皮質の機能を機械学習器として再現して結合していく方法がある。

    ヒト・コネクトーム:人間の神経回路地図は21世紀後半にならないと解明が出来ない可能性。そのヒトコネクトームのマインドアップローディングが可能となれば人間意識の再現ができるのか?そこには「身心問題」があり、意識と身体という根源的な問題が存在する。

    ニューラルネットワークAIは人間の脳は超えられるか?
    汎用的な強化学習能力とメタ思考力が思考パターンを生成する。

    2045年問題:AIが人々の仕事を奪う技術的失業と機械の叛乱の可能性
    AIに知性は備えられても、感情・意志は人間が実装しない限り備わらない。
    しかし、悪意のある者が殺戮専門ロボットを作り出す懸念の方が高い。

    アシモフの I・ROBOTのロボット工学三原則
    1.ロボットは人間に危害を加えてはならない。
    2.ロボットは人間の命令に従わなければならない。
    3.ロボットは自らの存在を護らなくてはならない。
    1-3の優先順位が非常に重要。

  • シンギュラリティ後の人工知能についての本。
    通訳は人工知能が発達してくるのだから、英語はそんなに勉強しなくていいとのことだ。このへんはいろいろ意見が別れすぎて、自分もどうしようか迷ってるところ。英語サイトにたどりついたらすぐに自動翻訳するのもどうなんだと思う時もあるし。
    なお、ロボットが叛乱をおこす可能性は低いとのこと。叛乱を起こすには4つ条件があって、すべてみたす必要があるとのこと。まあ、悪用する人間がでてくる可能性はあるだろうし、可能性は低くても備えはしておくべきだとのことだ。まあ、その時はその時だしね。
    そういうふうに、日本は最悪の事態を想定するのが苦手で楽天的な人が多いのだとか。事実、核シェルターの普及率はスイスのほぼ100%、アメリカ・ロシアの約80%にたいし、日本は0.02%だとのこと。最近はそういう議論も活発になってきたから、今後は普及するだろうけど、世界的に見るとこんなに低いのか(そもそも、何でスイスは100%なんだ?)。
    それにしても、ピーター・シンガーという名前の人が二人もでてきてややこしい。よくある名前なんだろか。

  • 現在のAIは、囲碁の対局や自動運転など、特定の分野で力を発揮する特化型AIとのこと。
    そうではなく、人間と同様、様々な分野を横断的に処理・判断できる汎用AIの開発競争が今、始まっています。

    本書は、前半で人間の脳のメカニズムを紐解きながら、汎用AIがつくられたら、その汎用AIがより賢い汎用AI(人間を超えるAI)をつくるのではないか?
    単に人間の仕事を奪うだけでなく、自我を持って人間を攻撃する可能性はないか?といったテーマについて語っています。

    著者としては、人間はAIのメカニズムを知る一方で、AIは人間のメカニズムを知らない以上、汎用AIの可能性は低いとしつつも、人間が悪用して殺戮専門ロボットをつくる懸念には言及しています。

    AIは、テクノロジー問題と思いきや、深彫りすればするほど人間とは何か?といった哲学的な問いになることがよくわかります。

    第一線級の研究者は、技術を追いながら、そういった文系領域にも思いを馳せている点、リスペクトです。

  • 文字通り、AIが世の中を支配することになる近未来のことを想定して書いた本。

    当然希望と驚異の両方があるわけだが、どちらかに偏ることなく中立的な立場で描いてた。

  • AIに対するこれまでの発展の事実と、これからの発展の期待と想像がまとまった一冊。

    前半部は、AIの歩みがわかりやすく書かれている。AIにできること、得意なこと(論理的思考、記号的アプローチのように、デジタルで表せることとか。何か一つ(囲碁とか)に特化して鍛錬を積んでスペシャリストになることとか。※鍛錬は人間ぽい言葉だけど、要は膨大な情報を勉強して最適解を導くこと)とか。
    ディープラーニングを、「機械が眼を持つようになった」と表現されていたのは秀逸だなと。素直にすごい表現だと感じた。確かにその通りだと。眼があることによる汎用性は計り知れないと思う。画像の識別とか、センサーとか。
    眼の獲得からの生命の爆発的な増加になぞらえたこれからのAIの発展には、ワクワクする。
    最初は教師あり学習しかできなかったのが、報酬(このスコアを上げよ、とか)を与えるだけで放っておけばメキメキ上達するようになってきて。人がゲームをやり込んでいろんなパターンとか経験とかを積むと、技に気づいて使えるようになって上達するみたいな直観のようなことができるようになったり。
    ちなみに僕は、人間とAIの融合は賛成派なので、どんどん融合して便利になってほしいと思う。

    後半は未来の話になっていくこともあり、だんだん哲学的になっていった。
    まだ人間の脳や思考が完全に解明されていないので、今ある技術から予測するしかないので仕方ないが、なかなか難解だった。

    AIは人間の知性を超えられるか?AIは反乱を起こすか?AIに感情は芽生えるか?AIは欲望を持つのか?AIは意識や意思を持つのか?
    もはや誰の意見が正しいとかないと思うけど、僕個人としては、全部Yesな気がしている。
    人が想像しうるものはすべて実現する、といったら大袈裟だけど、そんな感じ。
    「一人の人間が一つのAIを作ってその人間を超えること」はなかなか難しい気がするけど、多数の人間を学習してその人間たちより少し優れた存在になることはできる気がする。(AIだけじゃなく、人間にも言えることだから)
    反乱は、そういう報酬系をインプットする人間が一人でもいれば起きるだろうし、いつか世界のどこかでは起こりうると思う。その時は・・・どうするんだろうなぁ。笑
    感情、欲望、意識、意思は、環境と生育によって芽生えていくものだと思っている。そういう(人間的な)報酬系をインプットした上で、しばらく人間生活に近いことしてれば、学習する気がする。人間の中にも喜怒哀楽表現が下手な人もいるし、後天的に身につける人もいるし、それと似たようなイメージ。
    ただし、"人間的な報酬系"をインプットしないといけないとは思っていて、さすがに人間の遺伝子情報がインプットされてない状態で感情に目覚めろというのは難しいのかもなぁとは思う。赤ちゃんでも笑ったり泣いたりできるから、そういうのは遺伝子にインプットされてるのかなぁと。
    倫理的にやれるかどうかはあるけど、技術的にはできるようになるんだろうなぁと思っている。もはやクローンみたいなものだし。笑

  • AIの進歩がますます加速していく現在、私たちの社会はどのような影響を被るのだろうか?
    AIは人間の知性を越えられるか?というテーマを中心に、技術面のみならず哲学的見地から考える。

    軽いノリで手に取ってみたら、しっかりとした内容の本で前半は流し読み。
    コンピューターが意思を持ち人類を滅ぼす、SFなどではもはやお馴染みの設定であり、ターミネーターなどが代表的な作品でしょうか。
    確かに『Siri』などを利用していると、時々「怖!」と思えるような返事が返ってくることがあります。ただ今のところは、Siriにしろペッパー君にしても、「らしく」振る舞っているだけで感情や意思を持っているわけではありません。では何を持って感情を持っているといえるのか?となるとやはり哲学的な話になるのでしょうし、判断するというのも無理な話なのでしょう。
    ただ私は、AIが本当の意味で心を手に入れることが出来たのなら、人間を管理することはあっても殲滅しようとは思わないのではないかと考えています。それより怖いのが、心を持たないまま自立してしまった場合、地球にとって人類が有害だと判断され排除されるのではないかと危惧しています。

  • AIこそが諸学問の新たな紐帯となり、その発達はむしろ人文社会学を再活性化し、マルクスの理論をも復活させるだろう。AIの議論を進めるにあたり、哲学研究社の意見を聞かないわけにいかなくなっている。

  • 請求記号 007.1/I 57

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著者プロフィール

駒澤大学経済学部准教授。AIが未来の経済に与える影響についての研究で注目される。著書に『人工知能と経済の未来:2030年雇用大崩壊』(文春新書)など。

「2018年 『全脳エミュレーションの時代・下』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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