- Amazon.co.jp ・本 (480ページ)
- / ISBN・EAN: 9784798053479
感想・レビュー・書評
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【メモ】
重めの入門書で、類書では省略される事柄にも説明が加えられているのが特徴。ただし私は辞書っぽく使ったので、入門書としての効能は不明。
本書は一冊を通して、STS英語版とコマンドプロンプトを使用している。
第二章では、例としてGroovy(Javaを簡略化したスクリプト言語)を使ったアプリ作成も見せている。また三章前半では(内部の動きを理解するために)敢えてSTSを使用しないアプリ制作を行っている。このようなコンセプトは学習に時間がかかるので、指導者によっては賛否あるかもしれない。
これは余談だが、書名はダブルミーニングになっている。本書は「Spring Boot 2.0」の解説書かつ、旧版『Spring Bootプログラミング入門』の改訂版でもあるので。
【メモ:抜粋】
1.1節(7頁)から抜粋。この説明は最初に読んでおきたい。
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本書ではSpring Boot/MVCを中心に解説していきますが、しかしその中では必要に応じてそのほかのフレームワークを利用していきます。[…]そもそもすべてのフレームワークは、コアであるSpring FrameworkのDI機能をベースに構築されていますから、表に現れないだけですべては融合しているのです。[…]/Spring Frameworkは、多数のフレームワーク全体で一つなのだ、ということなのです。
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・1.2.5節「STSの日本語化について」と1.2.6.1節「日本語化は個々の責任で!」(23頁)には、敢えて英語版のままを使用する理由が述べられている。
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1.2.5 STSの日本語化について
STSは、標準ではすべて英語表記になっています。 開発が米国ですのでやむを得ない面もありますが、やはり 「日本語で使いたい」と思う人は多いでしょう。 本書は、基本的に英語のまま説明を行っていきますが、 日本語がいいという方のために、日本語化の方法を説明しておきましょう。
STSは、 Eclipseをベースにして作成されています。 従って、 Eclipseの日本語化のためのプログラムをそのまま利用することで、表示を日本語にすることができます。この日本語化プログラムは 「Pleiades」と呼ばれ、 Merge Doc Projectによって開発されています。
〔……〕
ただし、 STS独自のプラグインが多数追加されていますので、これにより完全に日本語化できるわけではありません。 「主な部分はだいたい日本語表示になる」 という程度に考えて下さい。 Eclipse本体の部分は基本的に日本語に変わりますが、 STSの機能 (すなわち、 Spring Frameworkを利用するための部分)の多くは英語のままになります。
[Note]本書が英語のまま説明を行うのは、このためです。 英語と日本語が入り混じった状態よりも、 すべて英語のほうがまだ一貫して説明がしやすい、と考えるためです。
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1.2.6.1 日本語化は個々の責任で!
本書では、既に述べたように英語版のSTSをそのまま使って説明を行います。 日本語化は日本語と英語が混じってしまうこと、 また使用するPleiadesのバージョンによって表記が変わってしまう場合があることなどから、利用しません。
Pleiadesは、一種のプラグインであり、 Eclipseに大幅にプログラムを追加しているSTSに更にPleiadesを追加するということは、予想外の問題を引き起こす可能性もあります。
例えば、メモリ不足でうまく起動しなくなる、などのトラブルが発生するかもしれません。そうしたデメリットも考慮の上、利用は、それぞれの判断で行って下さい。
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【書誌情報】
著者:掌田 津耶乃[しょうだ・つやの]
カバーデザイン:中尾 美由樹(チェスデザイン事務所)
ジャンル:プログラミング言語
発売日:2018/01/30
ISBN:9784798053479
判型・ページ数:B5変・480ページ
定価:3080円(本体2800円+税10%)
出版社:秀和システム
備考:『Spring Bootプログラミング入門』(2016年刊)の改題・全面改訂版
Spring Bootは、数あるJavaのWebアプリケーション開発用フレームワークの分野で圧倒的な勢いで広まりつつあります。2018年早期にver2.0がリリースされ、オートコンフィギュレーション強化やリアクティブ開発の強化など大幅に機能が強化されます。本書は、Spring Boot 2.0のセットアップから基本的な使い方、テンプレートエンジンやデータベース利用まで紹介した入門書です。また、Gradleによる開発についても解説しています。
【サポートはこちら】→https://www.shuwasystem.co.jp/support/7980html/5347.html
〈https://www.shuwasystem.co.jp/book/9784798053479.html〉
【目次】
凡例/注記 [II]
はじめに(2017年12月 掌田 津耶乃 ) [III]
目次 [IV-X]
Chapter 1 Spring開発のセットアップ
1.1 サーバー開発とSpring Boot 002
Spring Bootとは?
Spring Bootを選ぶ理由
Spring Frameworkの概要
Spring FrameworkによるWebアプリケーション開発とは?
1.2 Spring Framework開発環境の準備 009
Spring Tool Suiteを入手する
STS利用の注意点
STSのインストール
EclipseへのSTSのネットワーク経由インストール
STSの日本語化について
macOS版STSへの組み込み
1.3 STSを使おう 023
STSを起動する
基本画面と「ビュー」
そのほかのビューについて
パースペクティブについて
そのほかのパースペクティブを開く
パースペクティブの種類
1.4 プロジェクトの作成から実行まで 036
プロジェクトとは?
Springレガシープロジェクトを作成する
Mavenプロジェクトとは?
STSのエディタと支援機能
tc Serverによるアプリケーションの実行
作成されたアプリケーションについて
プロジェクトの基本構成
「src」フォルダの構成
Chapter 2 Groovyによる超簡単アプリケーション開発
2.1 Groovy利用のアプリケーション 054
Spring Bootとは?
Spring Bootアプリケーションについて
GroovyアプリとJavaアプリ
Spring Boot CLIの用意
Groovyスクリプトを作成する
app.groovyを実行する
Groovyクラスの定義について
HTMLを表示する
2.2 Thymeleafを利用する 063
テンプレートの利用
Thymeleafを利用する
コントローラーを修正する
ControllerとThymeleaf
Groovyでもテンプレートは書ける!
GroovyによるHTMLの記述
<div>タグと<a>タグ
どのテンプレートを使うべきか?
2.3 ビューとコントローラーの連携 073
ビューに値を渡す
コントローラーを修正する
日本語は文字化けする?
フォームを送信する
コントローラーを修正する
GroovyからJavaへ
Chapter 3 JavaによるSpring Boot開発の基本
3.1 Maven/Gradleによるアプリケーション作成 082
ビルドツールとSpring Boot
MavenとGradle
Mavenのセットアップ
Mavenでプロジェクトを生成する
プロジェクトの内容をチェックする
Mavenによるコンパイルと実行
Gradleのセットアップ
Gradleでプロジェクトを作成する
Gradleのファイル構成
Gradleのビルドと実行
3.2 STSによるプロジェクト作成の実習 098
STSでMavenベースのプロジェクトを作る
プロジェクトの内容をチェック!
プロジェクトを実行してみる
Spring Bootアプリケーションの仕組み
pom.xmlを調べる
pom.xmlの基本形
Spring スタータープロジェクトのpom.xml
Spring Bootのタグを整理する
pom.xmlをコピー&ペーストして利用する
STSでGradleを利用する
Gradleプロジェクトを作成する
プロジェクトの構成
プロジェクトを実行する
build.gradleの内容
Gradleコマンドによるプロジェクトの違い
3.3 RestControllerを利用する 127
MyBootAppApplicationクラス
MVCアーキテクチャーについて
コントローラークラスを用意する
HeloControllerを作成する
RestControllerについて
@RequestMappingについて
パラメータを渡す
パス変数と@PathVariable
オブジェクトをJSONで出力する
3.4 ControllerによるWebページ作成 140
ControllerとThymeleaf
Thymeleafを追加する(Mavenベース)
Gradleでの修正
コントローラーの修正
テンプレートファイルを作る
テンプレートに値を表示する
Modelクラスの利用
ModelAndViewクラスの利用
フォームを利用する
そのほかのフォームコントロール
ページの移動(フォワードとリダイレクト)
Chapter 4 テンプレートエンジンを使いこなす
4.1 Thymeleafをマスターする 162
Thymeleafの変数式
基本は変数式とOGNL
ユーティリティオブジェクト
パラメータへのアクセス
メッセージ式
プロパティファイルとローカライズ
リンク式とhref
選択オブジェクトへの変数式
リテラル置換
HTMLコードの出力
4.2 構文・インライン・レイアウト 178
Thymeleafの更に一歩上を行く使いこなし
条件式について
条件分岐の「th:if」
多項分岐の「th:switch」
繰り返しの「th:each」
プリプロセッシングについて
インライン処理について
JavaScriptのインライン処理
テンプレートフラグメント
4.3 そのほかのテンプレートエンジン 198
JSPは必要か?
JSPをあえて使うには?
JSPファイルを作成する
フォームを利用する
Groovyテンプレートを利用する
Groovyテンプレートファイルの作成
フォームを利用する
データをテーブル表示する
基本はThymeleaf
Chapter 5 モデルとデータベース
5.1 JPAによるデータベースの利用 216
Spring Frameworkにおける永続化のアプローチ
モデルに必要な技術について
ビルドファイルの修正
エンティティクラスについて
MyDataクラスの作成
エンティティクラスのアノテーションについて
リポジトリについて
リポジトリ用パッケージを用意する
リポジトリクラスMyDataRepositoryを作成する
リポジトリを利用する
リポジトリのメソッドをチェックする
テンプレートを用意する
5.2 エンティティのCRUD 232
フォームでデータを保存する
コントローラーを修正する
@ModelAttributeとデータの保存
@Transactionalとトランザクション
データの初期化処理
MyDataの更新
MyDataRepositoryにfindByIdを追加する
リクエストハンドラの作成
エンティティの削除
リポジトリのメソッド自動生成について
自動生成可能なメソッド名
JpaRepositoryのメソッド実装例
メソッド生成を活用するためのポイント
5.3 エンティティのバリデーション 255
エンティティのバリデーションについて
バリデーションをチェックする
@ValidatedとBindingResult
テンプレートを作成する
エラーメッセージを出力する
各入力フィールドにエラーを表示
javax.validationによるアノテーション
Hibernate Validatorによるアノテーション
エラーメッセージについて
プロパティファイルを用意する
用意されているエラーメッセージ
オリジナルのバリデータを作成する
PhoneValidatorクラスの作成
PhoneValidatorの実装
Phoneアノテーションクラスを作る
Phoneバリデータを使う
アプリケーションの修正
onlyNumber設定を追加する
PhoneValidatorクラスの変更
Chapter 6 データベースアクセスを掘り下げる
6.1 EntityManagerによるデータベースアクセス 286
Spring FrameworkとJPA
Data Access Object
DAOクラスの実装
EntityManagerとQuery
コントローラーの実装
ビューテンプレートの修正
@PersistenceContextは複数置けない!
DAOに検索メソッドを追加する
エンティティの検索
6.2 JPQLを活用する 300
JPQLの基本
find.htmlの作成
コントローラーへのリクエストハンドラの追加
DAOへのfindメソッドの追加
JPQLへのパラメータ設定
複数の名前付きパラメータは?
「?」による番号指定のパラメータ
クエリーアノテーション
リポジトリと@Query
@NamedQueryのパラメータ設定
@Query利用の場合
6.3 Criteria APIによる検索 316
Criteria APIの基本3クラス
Criteria APIによる全要素の検索
Criteria APIによる名前の検索
値を比較するCriteriaBuilderのメソッド
orderByによるエンティティのソート
取得位置と取得個数の設定
6.4 エンティティの連携 328
連携のためのアノテーション
MsgDataエンティティを作る
MyDataを修正する
MsgDataDaoの用意
ビューテンプレートの用意
コントローラーを作成する
Chapter 7 Spring Bootを更に活用する
7.1 サービスとコンポーネント 346
サービスとは?
MyDataServiceを作る
コントローラーでサービスBeanを使う
RestControllerを作成する
JavaScriptからサービスを利用する
XMLでデータを取得するには?
コンポーネントとBean
7.2 覚えておきたいその他の機能 365
構成クラスとBeanの利用
構成クラスを作成する
Beanクラスを作成する
Beanを登録して利用する
コントローラーとテンプレートの用意
ページネーションについて
Thymeleafの独自タグを作成する
MyPageAttributeTagProcessorクラスの作成
MyDialectクラスの作成
Beanの登録と利用
7.3 MongoDBの利用 386
NoSQLとMongoDB
MongoDBを準備する
MyDataMongoエンティティを作成する
MongoRepositoryを作成する
コントローラーを修正する
テンプレートを修正する
検索メソッドを追加する
Appendix Spring Tool Suiteの基本機能
A.1 STSの基本設定 404
STSの設定について
「General」設定
「General/Editors」設定
「Java」設定
「Java/Editor」設定
「Spring」設定
そのほかの設定
A.2 開発を支援するメニュー 435
<Source>メニューについて
<Refactor>メニューについて
A.3 プロジェクトの利用 453
プロジェクトの設定について
プロジェクトの管理
ワーキングセットについて
さくいん [466-469]詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
# 書評☆4: Spring Boot 2 プログラミング入門 | 網羅性が高く入門書として良さそうな1冊
## 概要
- 書名: Spring Boot 2 プログラミング入門
- 副題:
- 著者: 掌田 津耶乃
- ISBN: 9784798053479
- 出版: 2018-01-31
- 読了: 2021-12-19 Sun
- 評価: ☆4
- URL: https://book.senooken.jp/post/2021/12/19/
## 評価
JavaのSpring Bootについて調査していて読んだ1冊だ。
書名の通り、入門書となっている。本書の特徴は、その内容の網羅性だろう。
Eclipse STSの設定から、テンプレートエンジンのThymleaf、DBアクセスまで取り扱っている。
Spring Bootで抑えておくべきところが一通り網羅できているように感じた。
また、内容も変にAOPとかDIとか小難しいことの小難しい説明がなく、比較的わかりやすかった。
内容が多いので時間はかかりそうだが、丁寧に書かれているように感じたので、時間さえかければ理解して身につけられそうに感じた。
## 結論
何冊かSpring Bootに関して読んだ感じだと、内容と網羅性からいって、入門書を1冊だけ選ぶとしたら、本書になるだろうなと感じた。
他との比較になるが、それだけ安定した本に感じた。
書籍を通して、何かアプリを作るという形にはなっていないものの、書籍の内容をなぞれば、中途半端だが機能は理解できるように感じた。
DBやGroovyなど少々余分に感じる内容もあるが、全体としてはそんなに悪くなく感じた。
Spring Bootはなかなかわかりやすくていい入門書がないように感じていたが、本書はけっこういいと思った。