イノベーションのジレンマ 増補改訂版 (Harvard Business School Press)

制作 : 玉田 俊平太  伊豆原 弓 
  • 翔泳社
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  • Amazon.co.jp ・本 (344ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784798100234

感想・レビュー・書評

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  • 【目的】 破壊的イノベーションと呼ばれる技術と市場構造の変化における原則を引き出し、それに対応する方法を解説する。

    【収穫】 自分の業界における破壊的イノベーションについて考えるきっかけとなった。

    【概要】 ■持続的技術と破壊的技術: 持続的技術は、既存の評価基準に従って、製品の性能を高めるもの。破壊的技術は、新たな評価基準を創り出し、短期的には既存の評価基準による製品の性能(大体の場合、価格と利益率も)を引き下げるもの。
    ■破壊的技術の五つの原則: 
    原則1…企業は顧客と投資家に資源を依存している
    →既存技術で先頭を行く企業にとっての最良の顧客は、破壊的技術を必要としない
    原則2…小規模な市場では大企業の成長ニーズを解決できない
    →破壊的技術を最初に採用するのは小さな市場であり、大企業にはうまみがない
    原則3…存在しない市場は分析できない
    →優良企業ほど厳格な投資の意思決定プロセスがあり、顧客が望まないあるいは成長に繋がらない案は排除される。多くの場合、破壊的技術の採用と背反する
    原則4…組織の能力は無能力の決定的要因になる
    →既存技術に適したプロセスや価値基準、戦略、コスト構造等は、破壊的技術が要求するそれらのものとは一致しない
    原則5…技術の供給は市場の需要と等しいとはかぎらない
    →需要を満たし過ぎた技術の過度な供給により、空白が生じた低価格の分野に破壊的技術を携えた新規企業が入り込む。その市場が成長したときには、先行者と勝負にならない
    ■優良企業が失敗する理由: 破壊的技術が商業的に成熟するまで待つ、あるいは無視する。破壊的技術を確立された既存市場に当てはめようとする。最良の顧客の意見を参考にし、その方向に投資する。コスト構造に合わないまま、無理やり下位市場に入り込む。組織が破壊的技術で目指す方向が、その組織内の個人の成功と結びつかない
    ■破壊的イノベーションへの対応; 
    法則1…主流組織とは独立した組織に破壊的技術を求める顧客を対応させる。その際、先駆者となれるようリーダーシップによって統率しやすく、かつ初期のチャンスが動機づけとなるような小規模な組織とする。また、資源配分のプロセスや価値基準も分離する
    →独立した部門のスピンアウト、小規模企業の買収
    法則2…計画は実行するためではなく、学習と発見するための計画にする。一度の挑戦に全てを掛けず、試行錯誤のための十分な資源を残す。狙うべき市場を考える時、確立した市場のニーズは考えず、破壊的技術の弱みも当然としてとらえる新たな市場を開拓する
    →パイロットプロジェクト、実際に利用する場面の観察

    【感想】 有名な経営戦略の書籍であり、読み物としても知的興奮を誘う内容で面白い。自分自身が働いている業界を考えると、現在進行形で思い当たる事例があり、色々考えさせられた。将来的に重要かもしれないと考えても、実際にかけるコストが利益に繋がらないとわかっていて、しかも今すぐ危機的な状況に陥るわけではないとなると、目前の予算を前に動けなくなる。組織のスピンアウトというのも簡単なことではない。こうした問題を自分の頭で考え、何ができるかを考える良いきっかけとなった。

  • たしか8年くらい前に出だしだけ読み興味が持てなくて諦めた本書。8年経っても相変わらず出だし3章はあまり面白くなかったのだが、4章以降はガンガン読み進める事が出来た。
    2001年に初版が刊行されたとは思えない出来映えであり、多様性とスピードを持った現代社会における企業の様相は更に本書の示唆する通りに変化し続けているのではないかと感じる。
    本書がその多くを割いて証明しようとしているのは「優秀な経営陣が優秀な組織を作り優秀な判断を行う事で企業が破滅に向かう」という一見すると無茶とも思える命題である。しかし細かく精緻な論理展開によってこの命題は驚くほどすんなり読者の頭に響くのが長い間名著として親しまれる所以なのだと感じる。
    多かれ少なかれビジネスに携わる人であれば本書の言う「破壊的技術」の一例を思い浮かべる事が出来るだろう。「なんでこんなものが?」と思える製品が「なんでこんな場所(市場)で?」という場所で売れ始め、あっという間に主流市場を席巻してしまう、こんな一例は現代社会ではごくごく当たり前の風景に思える。
    本書はいわゆるう優良な大企業がなぜ破壊的技術によって滅ぼされるのか?という大企業からの視点からその謎を解き明かしているが、逆側からの視点、つまり破壊的技術によって市場を席巻する側の視点についても多くの示唆に富んでいる。つまり大企業のマネージャーであってもベンチャーで一発を狙う経営者、双方にとってびっくりするほど有益な書であると言える。
    勿論、本書を読んで明日から破壊的イノベーションを目指してさぁがんばろう!という単純な話にはならないだろう。破壊的イノベーションは本書が示す通りその発生当初はビジネスとしては脆弱であり、大企業が見向きもしないような領域を取り扱う。かと言って体力の無い中小企業が取り扱うにはかなりの覚悟とリスクを負って取り扱っていく必要がある。だからこそ誰も彼もが本書を読めば上手くいくという話にはならないのだろう。
    とにもかくにも何かを始める時に本書は是非再読したい一冊である事は間違いない。おそらく次回は出だし3章は飛ばすだろうが、それでも一家に一冊置いておきたい本である事に疑いは無い。

  • 10年以上前に書かれたものなのに、この10年で起こったことをほぼこの理論で説明できる。Disruptive Innovation(破壊的イノベーション)によって登場した製品、iPod,iPad,スマホ、アップル、電気自動車、アマゾン、などがその例だろうし、大きく優良であるが故に衰退している企業として、Nokia,シャープをはじめとする日本の電機メーカー、HPなどのパソコンなど、みんなそうだと思う。大きな優良企業はSustaining Innovation(持続的イノベーション)により、より収益性を高め、顧客の信頼に応えることができるが、収益性が悪いが、違う価値基準をもたらす、Disruptive Innovationへの対応ができないと。ハードディスクという事例での研究で、その歴史をほぼ体験している自分には、確かにそうだったという記憶もありなまなましい。また、ハーバードビジネススクールの授業でもあり、内容的にはむずかしい部類に入るのだろうが、論文でここまで読ませる力量もすばらしい。

  • 【気になった場所】

    すぐれた経営が失敗につながる理由
    ・持続的技術と破壊的技術では戦略が異なる
    ・技術の進歩ペースは、市場の需要のペースを上回ることが多い
    ・安定企業は、破壊的技術への投資を合理的でないと判断しがち

    安定企業は、持続的イノベーションの導入に成功し、破壊的イノベーションの扱いに失敗する傾向がある

    持続的技術とは
    =製品の性能を高めるための新技術

    破壊的技術の傾向
    ・従来と異なる価値基準を市場にもたらす
    ・破壊的技術の性能が既存品の性能を下回るのは、主流市場での話
    ・主流市場から外れた少数の、新しい顧客に評価される
    ・低価格、シンプル、小型で、使い勝手がいい場合が多い

    組織の能力=プロセス×価値基準
    ・プロセス インプットをアウトプットに変える方法
    ・価値基準 経営者や従業員が優先事項を決定するときの基準

    優良企業が新技術の導入を遅らせる理由
    →既製品とのカニバリを懸念し、新技術の新しい用途が商業的に成熟するまで待つため

    顧客の意見が正しいとは限らない
    →持続的イノベーションを促す一方、破壊的イノベーションを起こすのを妨げる

    組織の性質に関する基本原則
    ・企業は顧客と投資家に資源を依存している
    ・小規模な市場では大企業が成長できない
    ・存在しない市場は分析できない
    ・組織の能力は状況次第でその能力を失う
    →プロセスや価値基準に柔軟性がなく、環境の変化に適応しづらいため
    ・技術の供給は市場の需要と等しいとは限らない
    →競合する複数の製品で市場の需要を満たすと、顧客は性能の差で判断しなくなる
    →選択の基準は、性能から信頼性へ、さらに利便性から価格へと進化することが多い

    基本原則との正しい向き合い方
    ・破壊的技術を開発し商品化したら、それを必要とする顧客に結びつける
    ・小さな組織で破壊的技術の開発プロジェクトを組む
    ・破壊的技術の市場を探る過程で、失敗を早い段階に最小限に留める計画を立てる
    ・主流組織の資源の一部は利用するが、そのプロセスや価値基準は利用しないよう徹底
    ・破壊的製品の特徴が評価される新しい市場を見つけるか、開拓する

  • ようやく読みおわった...
    この本の骨子は以下のような主張である。

    第一に 、破壊的製品のほうがシンプルで低価格 、利益率も低いのが通常であること 。
    第二に 、破壊的技術が最初に商品化されるのは 、一般に 、新しい市場や小規模な市場であること 。
    第三に 、大手企業にとって最も収益性の高い顧客は 、通常 、破壊的技術を利用した製品を求めず 、また当初は使えないこと 。概して 、破壊的技術は 、最初は市場で最も収益性の低い顧客に受け入れられる 。

    大手企業は慢心ゆえに破壊的技術を扱わないのではなく、破壊的技術が受け入れられるような小さな市場は大手企業の成長戦略にも、顧客(あるいは既存のバリューネットワーク)の要望にも沿わないからだ。

    大手企業が破壊的技術を作り出す方法二つ、社内で既存のバリューネットワークに属さない組織を作るか、買収するか(結論は見知ったことになる)。

    以下、気になった部分の要約

    ★ディスクドライブメーカーの例

    ディスクの直径は14→8→5.25→3.5→2.5→1.8と縮小し、主導権を握るメーカーも移り変わって行く。
    では、それぞれのメーカーは慢心していたから主導権を取られたのかというとそうではない。
    合理的に判断した結果、破壊的技術よりも既存顧客を大切にするという真っ当な判断をしたことで、成長する市場に乗り遅れている。
    技術的に開発できなかったわけではなく、常に破壊的技術による新製品は既存の技術によりまず開発されているようだ。
    成長するようにみえる市場でもその成長は確約されたものではないので、既存の市場を大事にするのは当たり前、というのは至極真っ当に聞こえる。

    ★大企業における破壊的技術の扱われ方
    破壊的技術は技術担当者により設計され、マーケティング担当に連携され、顧客に提案される。顧客のニーズに沿ったものではないので、否定的な反応が返ってくる。
    事業計画を練る段階でその意向は反映され、大抵は却下される。
    却下されなかったとしても、優先順位が低い事項として扱われ、少ないリソースしか割り当てられない。
    既存の顧客の問題解決のため、破壊的技術の担当者が駆り出される例は、痛いほどわかる。明確な期限もなく、確固とした影響もわからない課題解決よりも、既存の顧客の問題解決のほうがはるかに重要にみえるだろう。

    ★バリューネットワークについて
    入れ子構造になった生産者と市場のネットワーク内に企業は組み込まれている。
    特徴は性能指標に対する顧客の評価のランクづけとともに、その製品やサービスを供給するために必要なコスト構造によって決まる。
    (そのため、実績ある企業は持続的イノベーションには明らかに強く、破壊的イノベーションには弱い。新規企業はその反対である)
    通常戦略的な判断する際には技術のSカーブの断続的な重なりからSカーブの成長曲線が緩やかになるのを見越して別の技術に投資するべきというのが定石だ(そう)だが、破壊的技術は既存の市場とは別のバリューネットワークで商品開発され、成長を続け、既存の市場を侵食する段階になったらすでに恐るべきスピードで既存企業を駆逐する。
    有線放送とOTT企業の関係も、このバリューネットワークの違いにあるか。ビジネスモデルとその関係するステークホルダーの利害関係によるとも考えられる。

    バリューネットワークに組み込まれた時点で、視点はそこに縛り付けられる可能性があるので、広い視野を持つことが大事。
    また破壊的技術が自社とどのような関わりを持つかは、ある程度想像力を豊かに持つ必要があるのだろう。
    (どれくらいのカーナビ業界人が、スマホ流行前にこれが破壊的技術だと予想しただろうか?)

    本文中では、掘削機についてもディスクメーカーと同じことが言えると主張されている。
    全く違うバリューネットワーク(違う目的)で商品化され、技術の革新に伴い本流を侵食する。技術の革新は、性能の向上、コスト低下、操作性、信頼性の向上などだろう。
    顧客が求める需要に達した段階で、顧客の要求は別の段階に移る。形態などは通信の信頼性から、月額料金の安さに評価基準が移っていると言えるだろう。

  • 目からうろこの本
    技術の供給が市場の需要を上回って向上している場合、技術レベルは低いが小回りがきいたり価格が安い破壊的イノベーションが起きる。こういった新技術は、多くの場合利益率が低く、当初は売上も小さい。すでに実績を持つ既存企業は、?既存のバリューネットワーク(顧客やディストリビュータなど)の意見を聞く必要がある、?自社の業績に貢献する規模の売上と利益を必要とするので、これらの破壊的技術を採用することができない。

    対抗するための戦略は、?上位市場に移動していく、?既存市場のニーズにあった低技術製品を低価格で供給し続ける(デル)、?市場を操作してより高度な技術の需要を創りだす(マイクロソフト)、の3パターン。

  • 2001年初版だが2019年現在に読んでも状況は同じ、不変の論理を示していると感じた。少し古いため若干の不安はあるが、競争に面している社員として必ず理解しておかなくてはいけない事が多数書かれていた。いくつかTopicsを残しておく。
    ・産業界の「自然の法則」には逆らってはならない。それらを受け入れ利用していかなければ生き残れない。
    ・なぜ優良企業が失敗するのか、既存の顧客の需要に応えて製品の性能を高める持続的技術の開発を得意としている。
     -顧客の声に耳を傾ける
     -求められたものを提供する技術に積極的に投資する
     -利益率の向上を目指す
     -小さな市場より大きな市場を目標とする
    ・しかし破壊的技術は、最初に出現するときは、主流顧客が評価する特性については性能が劣り、少数派の新しい顧客に評価される別の特性がある。通常は、低価格、小型、単純、使いやすい、という特徴がある。
    ・さらに破壊的技術の開発者は、経験と十分な投資によって、絶えず製品の性能を高めていくため、やがて従来の市場を侵食するようになる。主流顧客が注目する特性についても、十分な性能が得られるようになり、さらに新しい特性が加わる。
    ・破壊的技術の原則
     1.企業は顧客と投資家に資源を依存している(縛られている)
     2.小規模な市場では大企業の成長ニーズを解決できない
     3.存在しない市場は分析できない
     4.組織の能力は無能力の決定的要因になる
     5.技術の供給は市場の需要と等しいとは限らない(技術の進歩のペースが主流市場のペースを超えることがある)
    ・経営者が新しい技術に取り組むときにおかす最大の過ちは、破壊的技術の原則と戦い、克服しようとすることである。直面した経営者に対し、次の事を勧めている。
     1.破壊的技術の開発を、そのような技術を必要とする顧客がいる組織に任せることで、プロジェクトに資源が流れるようにする
     2.独立組織は小さな勝利にも前向きになれるよう小規模にする
     3.失敗に備える。最初からうまくいくと考えてはならない。破壊的技術を商品化するための初期の努力は、学習の機会と考える。データを収集しながら修正すればよい。
     4.躍進を期待してはならない。早い段階から行動し、現在の技術の特性に合った市場を見つける。それは現在の主流市場とは別の場所になるだろう。主流市場にとって魅力の薄い破壊的擬技術の特性が、新しい市場を作り出す要因になる。
    ・破壊的技術には次のような特徴がある。単純、低価格、性能が低い。一般的に利益率は低い。大企業にとって最もうまみのある顧客は、それらを利用できず利用したいと考えない。最初は新しい市場か小規模な市場で商品化される。
    ・大抵の組織の能力は、経営者が考えるよりはるかに専門化されており、特定の状況にのみ対応できるものである。これはその能力がバリューネットワークの中で身についたものだからだ。
    ・従って、組織は、特定の新技術を特定の市場に持ち込む能力はあるが、技術を別のやり方で市場に持ち込むことはできない。ある次元の失敗には耐えられるが、別の種類の失敗には耐えられない。粗利益率がある水準にあれば利益を上げられるが、別の水準になると利益を上げられない。受注規模が一定の範囲にあれば利益を上げられるが、受注規模が変われば利益を上げあられない。
    ・企業が対応できる製品開発サイクルの期間と生産に至るペースは、企業が属するバリューネットワークの中で培われたものである。
    ・新規参入や市場の移動に対しては、経済学者が定義し重視してきたような障壁とは全く別の、強力な障壁がある。そのなかでも典型的なのは、入手や複製の難しい資産や資源といった「物」を重視する見解である。新規参入企業が破壊的技術の新しい市場を開拓するときに利用できるのは、実績ある大手企業にとってそれが意味のない活動だという事実だろう。
    ・「物」:固有技術、巨額プラント、流通網、原材料やユニーク人材、ブランド名、生産経験の蓄積や巨大なスケールメリット、などの存在が障壁となる
    ・競争基盤の変化のマネジメント
     戦略Ⅰ:ハイエンドの顧客に向けて上位市場へ進む
     戦略Ⅱ:顧客に合わせる
     戦略Ⅲ:機能に対する市場の需要を変化させる
    ・変化に対する能力を生み出す
     -新しい仕事に適したプロセスと価値基準を持った別の組織を買収する
     -現在の組織のプロセスと価値基準を変えようと試みる
     -独立した別組織を新設し、そのなかで新しい問題を解決するために必要な新しいプロセスと価値基準を育てる
    ・ディスクドライブ業界における競争基盤の変化
     第一段階:記憶容量による競争
     第二段階:大きさによる競争
     第三段階:信頼性による競争
     第四段階:価格による競争

  • 「偉大な企業はすべて正しく行うが故に失敗する」ことをハーバード・ビジネススクールの教授が述べたもの。持続的イノベーションと破壊的イノベーションの違いから、大企業が新しい市場競争に敗れるという理論は、説得力があり面白い。印象的な記述を記す。
    「最高の顧客の意見に耳を傾け、収益性と成長率を高める新製品を見出すことを慣行としている企業は、破壊的技術に投資するころには、すでに手遅れになっている」p11
    「「顧客の意見に耳を傾けよ」というスローガンがよく使われるが、このアドバイスはいつも正しいとはかぎらない。むしろ顧客は、メーカーを持続的イノベーションに向かわせ、破壊的イノベーションのリーダーシップを失わせ、率直に言えば誤った方向に導くことがある」p84
    「破壊的イノベーションが複雑なのは、既存企業の基準に照らしてみた場合、その価値や用途が不透明だからである」p94
    「実績ある企業が直面する最も強固な障壁は、企業自身がそこへ入りたくないと考えていることである」p95
    「競争のさなかで破壊的技術を扱うときにジレンマとなるのは、企業内になにも悪いことがないことである」p114
    「企業が大きくなり、成功するようになると、新しい市場に早い段階で参入することが重要なときに、参入の根拠を集めることが難しくなることだ」p181
    「「専門家の予測は必ず外れる」。破壊的製品がどのように使われ、その市場がどのような規模になるか、ある程度でも正確に予測することは不可能である。破壊的技術の市場は予測できないため、そのような市場に最初に参入する時の戦略は間違っていることが多い」p212
    「自分に理解できない案は、そこに内在するリスクに関係なく「リスクが大きい」と判断し、理解できる案は、内在するリスクに関係なく「リスクが小さい」と判断する傾向がある」(従って、破壊的技術より持続的技術への投資を安全と判断してしまう)p212

  • 18年6月開始、読了。なにをするべきかの結論は明確で、独立した小さな組織で小さな投資で小さく失敗し学ぶことである。社内の既存事業の影響を排除して不明確な新たな市場のニーズを探っていくためである。
    一方で、なぜ巨大企業が失敗するのかの説明についてはあまり体系立っていない、理論的にあいまいな点が多い(その点を補完したのが「イノベーターのジレンマの経済学的解明」)。本書の説明では巨大企業の失敗は単に技術の発展可能性の見誤りのように見えるし、潜在的ニーズを捉える行動を矮小化しているように見える。「破壊的技術だから巨大企業が失敗する」では定義・区分自体から勝負が決まってしまっている。失敗の要因として求められる成長率と企業の規模に触れる一方、官僚的組織を失敗の主因とする過去の研究への批判をしていたが、本書で述べられていた評価プロセスや社内決裁の長さは結局組織の問題であり、どのみち同根の話に思える。結局本書の現象の説明として意義があるのはパラダイム・市場の不連続を起こすイノベーションがある、という点のみに思える。

  • 購入。

    大企業が新しい技術で新興の企業に負けることがあるのはなぜか、という問いに答えを与える内容だった。

    主にディスクドライブ産業の分析から話を進めていくが、小売やクレーン業界の話題でも検証され、電気自動車についてケーススタディを行っている。
    合理的な経営判断のために新しい技術を市場に出せないから、新興の企業に負けるという結論にとても納得させられた。
    どうしたら大企業はそのジレンマから抜け出せるかの方法も分析している。

    合理的すぎるが故に新しいことができないというのは人間にも当てはまりそうだと感じた。本書の中でも説明されているとおり、組織は人間に比べて融通が利かないから、今までの規範と関わりのない組織を作ることがジレンマを抜け出す手段となる。では、人間がジレンマを抜け出そうとするならば、自らの決定が合理的なものかどうか、何に規定されてそのように決定したのか、を自省することが手段となるのだろうか。

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