イノベーションのジレンマ (―技術革新が巨大企業を滅ぼすとき (Harvard business school press))

制作 : 玉田 俊平太  伊豆原 弓 
  • 株式会社翔泳社
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  • Amazon.co.jp ・本 (327ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784798100234

感想・レビュー・書評

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  • 【目的】 破壊的イノベーションと呼ばれる技術と市場構造の変化における原則を引き出し、それに対応する方法を解説する。

    【収穫】 自分の業界における破壊的イノベーションについて考えるきっかけとなった。

    【概要】 ■持続的技術と破壊的技術: 持続的技術は、既存の評価基準に従って、製品の性能を高めるもの。破壊的技術は、新たな評価基準を創り出し、短期的には既存の評価基準による製品の性能(大体の場合、価格と利益率も)を引き下げるもの。
    ■破壊的技術の五つの原則: 
    原則1…企業は顧客と投資家に資源を依存している
    →既存技術で先頭を行く企業にとっての最良の顧客は、破壊的技術を必要としない
    原則2…小規模な市場では大企業の成長ニーズを解決できない
    →破壊的技術を最初に採用するのは小さな市場であり、大企業にはうまみがない
    原則3…存在しない市場は分析できない
    →優良企業ほど厳格な投資の意思決定プロセスがあり、顧客が望まないあるいは成長に繋がらない案は排除される。多くの場合、破壊的技術の採用と背反する
    原則4…組織の能力は無能力の決定的要因になる
    →既存技術に適したプロセスや価値基準、戦略、コスト構造等は、破壊的技術が要求するそれらのものとは一致しない
    原則5…技術の供給は市場の需要と等しいとはかぎらない
    →需要を満たし過ぎた技術の過度な供給により、空白が生じた低価格の分野に破壊的技術を携えた新規企業が入り込む。その市場が成長したときには、先行者と勝負にならない
    ■優良企業が失敗する理由: 破壊的技術が商業的に成熟するまで待つ、あるいは無視する。破壊的技術を確立された既存市場に当てはめようとする。最良の顧客の意見を参考にし、その方向に投資する。コスト構造に合わないまま、無理やり下位市場に入り込む。組織が破壊的技術で目指す方向が、その組織内の個人の成功と結びつかない
    ■破壊的イノベーションへの対応; 
    法則1…主流組織とは独立した組織に破壊的技術を求める顧客を対応させる。その際、先駆者となれるようリーダーシップによって統率しやすく、かつ初期のチャンスが動機づけとなるような小規模な組織とする。また、資源配分のプロセスや価値基準も分離する
    →独立した部門のスピンアウト、小規模企業の買収
    法則2…計画は実行するためではなく、学習と発見するための計画にする。一度の挑戦に全てを掛けず、試行錯誤のための十分な資源を残す。狙うべき市場を考える時、確立した市場のニーズは考えず、破壊的技術の弱みも当然としてとらえる新たな市場を開拓する
    →パイロットプロジェクト、実際に利用する場面の観察

    【感想】 有名な経営戦略の書籍であり、読み物としても知的興奮を誘う内容で面白い。自分自身が働いている業界を考えると、現在進行形で思い当たる事例があり、色々考えさせられた。将来的に重要かもしれないと考えても、実際にかけるコストが利益に繋がらないとわかっていて、しかも今すぐ危機的な状況に陥るわけではないとなると、目前の予算を前に動けなくなる。組織のスピンアウトというのも簡単なことではない。こうした問題を自分の頭で考え、何ができるかを考える良いきっかけとなった。

  • たしか8年くらい前に出だしだけ読み興味が持てなくて諦めた本書。8年経っても相変わらず出だし3章はあまり面白くなかったのだが、4章以降はガンガン読み進める事が出来た。
    2001年に初版が刊行されたとは思えない出来映えであり、多様性とスピードを持った現代社会における企業の様相は更に本書の示唆する通りに変化し続けているのではないかと感じる。
    本書がその多くを割いて証明しようとしているのは「優秀な経営陣が優秀な組織を作り優秀な判断を行う事で企業が破滅に向かう」という一見すると無茶とも思える命題である。しかし細かく精緻な論理展開によってこの命題は驚くほどすんなり読者の頭に響くのが長い間名著として親しまれる所以なのだと感じる。
    多かれ少なかれビジネスに携わる人であれば本書の言う「破壊的技術」の一例を思い浮かべる事が出来るだろう。「なんでこんなものが?」と思える製品が「なんでこんな場所(市場)で?」という場所で売れ始め、あっという間に主流市場を席巻してしまう、こんな一例は現代社会ではごくごく当たり前の風景に思える。
    本書はいわゆるう優良な大企業がなぜ破壊的技術によって滅ぼされるのか?という大企業からの視点からその謎を解き明かしているが、逆側からの視点、つまり破壊的技術によって市場を席巻する側の視点についても多くの示唆に富んでいる。つまり大企業のマネージャーであってもベンチャーで一発を狙う経営者、双方にとってびっくりするほど有益な書であると言える。
    勿論、本書を読んで明日から破壊的イノベーションを目指してさぁがんばろう!という単純な話にはならないだろう。破壊的イノベーションは本書が示す通りその発生当初はビジネスとしては脆弱であり、大企業が見向きもしないような領域を取り扱う。かと言って体力の無い中小企業が取り扱うにはかなりの覚悟とリスクを負って取り扱っていく必要がある。だからこそ誰も彼もが本書を読めば上手くいくという話にはならないのだろう。
    とにもかくにも何かを始める時に本書は是非再読したい一冊である事は間違いない。おそらく次回は出だし3章は飛ばすだろうが、それでも一家に一冊置いておきたい本である事に疑いは無い。

  • 10年以上前に書かれたものなのに、この10年で起こったことをほぼこの理論で説明できる。Disruptive Innovation(破壊的イノベーション)によって登場した製品、iPod,iPad,スマホ、アップル、電気自動車、アマゾン、などがその例だろうし、大きく優良であるが故に衰退している企業として、Nokia,シャープをはじめとする日本の電機メーカー、HPなどのパソコンなど、みんなそうだと思う。大きな優良企業はSustaining Innovation(持続的イノベーション)により、より収益性を高め、顧客の信頼に応えることができるが、収益性が悪いが、違う価値基準をもたらす、Disruptive Innovationへの対応ができないと。ハードディスクという事例での研究で、その歴史をほぼ体験している自分には、確かにそうだったという記憶もありなまなましい。また、ハーバードビジネススクールの授業でもあり、内容的にはむずかしい部類に入るのだろうが、論文でここまで読ませる力量もすばらしい。

  • 18年6月開始、読了。なにをするべきかの結論は明確で、独立した小さな組織で小さな投資で小さく失敗し学ぶことである。社内の既存事業の影響を排除して不明確な新たな市場のニーズを探っていくためである。
    一方で、なぜ巨大企業が失敗するのかの説明についてはあまり体系立っていない、理論的にあいまいな点が多い(その点を補完したのが「イノベーターのジレンマの経済学的解明」)。本書の説明では巨大企業の失敗は単に技術の発展可能性の見誤りのように見えるし、潜在的ニーズを捉える行動を矮小化しているように見える。「破壊的技術だから巨大企業が失敗する」では定義・区分自体から勝負が決まってしまっている。失敗の要因として、求められる成長率と企業の規模に触れ、官僚的組織を主因とする過去の研究への批判をしていたが、本書での評価プロセスや社内決裁の長さは結局組織の問題ではないかと思う。結局本書の現象の説明として意義があるのはパラダイム・市場の不連続を起こすイノベーションがある、という点のみに思える。

  • 購入。

    大企業が新しい技術で新興の企業に負けることがあるのはなぜか、という問いに答えを与える内容だった。

    主にディスクドライブ産業の分析から話を進めていくが、小売やクレーン業界の話題でも検証され、電気自動車についてケーススタディを行っている。
    合理的な経営判断のために新しい技術を市場に出せないから、新興の企業に負けるという結論にとても納得させられた。
    どうしたら大企業はそのジレンマから抜け出せるかの方法も分析している。

    合理的すぎるが故に新しいことができないというのは人間にも当てはまりそうだと感じた。本書の中でも説明されているとおり、組織は人間に比べて融通が利かないから、今までの規範と関わりのない組織を作ることがジレンマを抜け出す手段となる。では、人間がジレンマを抜け出そうとするならば、自らの決定が合理的なものかどうか、何に規定されてそのように決定したのか、を自省することが手段となるのだろうか。

  • 原著The Innovator’s Dilemmaが発売されたのが1997年、日本語版の発売が2001年だが内容からはその後イノベーターのジレンマを乗り越えられなかった企業が続いていることがよく分かる。12/26の日経記事では人口減を生産性で克服という記事が載った。その鍵となるのがイノベーションなのだが技術革新=イノベーションではない。いろんな人がイノベーションを口にしながらその中味はおそろしく違っている。このもはや古典になりつつある本の中では持続的イノベーションと破壊的イノベーションとにわけている。この本で言うバリュー・ネットワークに与える影響で考えると持続的イノベーションではバリュー・ネットワークの構造やプレイヤーに大きな変化はないが破壊的イノベーションでは枠組みそのものが変わってしまうことが起こる。

    本書ではハードディスクドライブの小型化を例に挙げて示しており例えば5.25インチから3.5インチへの小型化では当初1MB当たりのコストは”上昇”し、容量は”低下”した。既存顧客の求めている価値観からこの小型化はずれておりマーケティング部門はこの開発に反対しシーゲートの経営陣は企画を中止した。3年後ようやくシーゲートは3.5インチのドライブを既存のデスクトップメーカー向けにフレーム付きで出荷し、ラップトップやノートブック向けには販売しなかった。デスクトップメーカーが求めたのは容量の増加とコストダウンであるのに対し、ノートブックメーカーは軽さ、耐久性、省電力を優先しコスト増や容量定価を受け入れた。それでもシーゲートの決定を間違ったものと考えることは難しい。既存のバリューネットワークの中で3.5インチの開発に資源を投じても期待する利益は得られないので既存の5.25インチの能力アップやコストダウンを勧める方が合理的な判断になるからだ。同じ組織に持続的イノベーションと破壊的イノベーションを同時に進めさせようとしても、このように合理的に判断すると破壊的イノベーションにはリソースを避けないと言う結論が待っている。

    数々の持続的イノベーションの例からは顧客の意見を聞き新しい技術を導入し続けることについては既存の主要プレイヤーの能力が高いことがわかっている。一方でこのバリューネットワーク内での技術革新が先駆者にどれだけのメリットをもたらしたかというとはっきりしない。後追いのキャッチアップであっても市場シェアに大きな変化が見られなかったのだ。しかし破壊的なイノベーションにおいては先駆者のメリットが非常に大きい。76年から94年にかけて破壊的製品の発売をリードした企業の売上高が620億ドルに達したのに対し後追いでは33億ドルしかない。1社当たりではその差は更に開き19億ドル対6450万ドルにもなる。

    優秀な持続的イノベーションを構築する組織や資源配分のしくみ、そしてその合理的判断そのものが破壊的なイノベーションに対しては全く無力であり、場合によっては足を引っ張ることになる。これがイノベーターのジレンマだ。この本に続く「イノベーションの解」「イノベーターの最終解」で上手くいった企業の例を紹介しているらしいので詳細はおいておくとして、原則的な考え方はこの本で既に示されている。破壊的イノベーションはまず当初は小さな市場として立ち上がるのでそこで生み出される売り上げや利益に満足できる組織に企画を任せることだ。これには低コスト構造に耐えられる組織そのものが含まれるので当初から大規模な設備投資を行うのは間違っている。

    破壊的イノベーションを受け入れる新たな市場を探すには失敗はつきものである。ここでは精度を上げるだとか成功率を上げるのではなく失敗を受け入れそこから学習する必要が有る。小さくかけて行動する。「やってみなはれ」だ。こう見て行くとこの本では既にブルーオーシャン戦略やリーン・スタートアップの枠組みが既に組み込まれており更にはファスト&スローのダニエル・カーネマンの心理学的な研究まで言及されている。

    最後に持続的イノベーターと破壊的イノベーターの会話例を紹介するとこう言う感じだ。
    「どういう人がこれを買うだろうか」
    「〇〇業界ではxxに対する潜在ニーズがありこの製品の投入で利益率は35%が見込まれます。顧客も試作品が欲しいと興味を示しており、うちの技術者は難しいと言いますが奴らはいつもそう言うのでできると思います」
    破壊的イノベーターあるいはインベーダーはこう考える。
    「わかりません、どこかに市場があるはずです。既存顧客はこれをどう使っていいかわからないといっていますがそれは驚く様なことじゃありません。この用途でなら可能性はありますが受け入れられるかは価格次第です」
    そして既存のバリューネットワークの中では常に上の案が採用され、知らないところで誰かが失敗を考えずに跳んでいる。おそらくほとんどは飛び上がれずに地に落ちるのだが、飛び続けることができた者が既存のバリューネットワークを地にたたき落とす。

  • 「大企業がなぜ衰退するのか」を取り扱った超有名な一冊。
    ビジネスの世界ではいまだに影響の大きい本書ですが、読んでみると驚きがたくさんでした。

    まず、失敗した大企業は、「おかしなこと」をやってしまったわけではないこと。顧客への最大限の利益の還元を戦略的に考え、投資・開発を行った結果にも、市場での敗北は存在しうる。
    「上司はバカだ」とはなかなか言えないのだな、とよくわかりました。

    破壊的技術の意義と、それを大企業がカバーすることのむずかしさが巧みに説明されており、ここでの理論は情報技術の急速な発展に対しても成り立つでしょう。
    また、3Dプリンタ、VRなども破壊的技術といえるのかも。とにかく、未だまったく色あせない名著であり、改めて読み返せるようにすべきだと考えています。

  • 2012年、130年の歴史を持つ(米)コダック社が破産宣告した。デジタルカメラの普及が大きな原因とされる。しかし、そのデジタルカメラを最初に開発し、多くの特許を保有しているのは、皮肉にもコダック社であったことは、あまりにも有名である。

    本書は、こうした優良企業に陥りがちな事例と対処法が載っており、イノベーションとは製品の性能を高める「持続的イノベーション」と、製品の性能を引き下げる効果のある「破壊的イノベーションイノベーション」に分けられると説く。優良企業は、持続的に製品を高めようと顧客の声に耳を傾け、最も収益性の高い分野に投資し、市場の最上層まで登りつめようと努力する。そういった健全な経営手段が失敗を招くのだという。決して競合他社が強くなったためではない。そこにはあまり質の高くない新規製品が市場に現れたからだ、と結論づける。それが破壊的イノベーションである。優良企業がトップの座から落ちるのはもちろん、市場のスイッチが変わり、根本的な価値基準が崩れるというから恐ろしい。

    発行から10年以上も経つ「イノベーションのジレンマ」。決して色あせない内容は、もはや古典書というべきかもしれない。

  • 仮にもメーカー勤務者としては今更で恐縮ですが、ついに読みました。(クリステンセンさんの本は『イノベーション・オブ・ライフ』だけ読んでいたという亜流な人間です。)

    テーマは、優秀な業界リーダー企業が、なぜ「破壊的イノベーション」によって駆逐されてしまうのか?です。

    なお、「破壊的イノベーション」とは、評価軸がこれまでと全く違うイノベーションで、対義語的に、これまでの評価軸で機能を上げていくことを「持続的イノベーション」としています。

    答えは、業界リーダーになって胡坐をかいたから…ではなく、既存商品の顧客には「破壊的イノベーション」によって生み出された商品のニーズがないから、です。

    「破壊的イノベーション」によって生み出された商品は、大抵は出始めは既存の評価軸では機能が低く、前述の通り別の機能に秀でており、当初は小さなこれまでとは別の市場で使われ始めます。

    しかし、やがて既存市場のニーズを満たすほどに機能も上がり、一方で既存商品の機能はその市場で需要がないほどまでに上がります。この状態になると、たとえ既存商品の機能が上でも、なにせ市場では求められていないので、「破壊的イノベーション」の新商品に乗っ取られてしまうのです。

    既存の顧客に引きずられないために、「破壊的イノベーション」を扱う組織は既存組織とは別に組む、というのが対策として挙げられていますが…それ以前に「破壊的イノベーション」起こせるのか??

  • 企業は徐々に進化する場合、革新的なイノベーションが出てくると対抗出来ない。 巨大な企業が一瞬の隙で革新的なイノベーションに取って変わられてしまう。

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