創造的破壊―断絶の時代を乗り越える

制作 : Richard Foster  Sarah Kaplan  柏木 亮二 
  • 翔泳社
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本棚登録 : 29
レビュー : 2
  • Amazon.co.jp ・本
  • / ISBN・EAN: 9784798101170

作品紹介・あらすじ

過去38年、1008社の長期にわたる企業業績を分析、経済動向もあわせて徹底調査-弾き出された企業の浮き沈み。日本企業はなぜ「ダメ」なのか、そのヒントは本書にある。『イノベーションのジレンマ』のクリステンセン教授絶賛の書、待望の邦訳。

感想・レビュー・書評

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  • K's Work 菊池さん評価

    「創造的破壊:組織内に市場原理を導入する」(2001)(著書は、『マッキンゼー組織の進化』)

    という論文があります★。彼らのテーマは、「企業はどうしたら市場のスピードに追いつけるのか」というものです。
    二人の調査によれば、投資リターンでは常に市場が企業を上回り、企業は市場を出し抜くどころか市場に匹敵する収益性を実現することができません。その原因は、企業が既存事業の継続を優先し、新しいアイデアへの挑戦を怠り、「創造的破壊」に取り組まず、旧態を維持しようとするからです。そのようなサボタージュをもたらしているのは、意思決定や管理体制や価値観などを縛っている古い組織文化であるというのです。

    この手の文脈に乗っかってしまえば、リクツは通っていますが、見落とされているのは、企業が組織という実体を持っていることです。確かに市場は急激に変化します。情報通信によってその速度は劇的に上がりました。一方、組織は最終的には生身の人間で構成されているために、環境の変化に遅れてしまいます。さらに言えば、組織は相対的に安定な内部をつくり出すことによって、急激な変化に対する緩衝器の機能を果たしているのです。変化がもたらすストレスから構成員を守るのも組織の重要な役割なのです。明示的な制度や暗黙のルールからなる組織文化は、そのような仕組みを支えるソフトウェアであると言っていいでしょう。

    組織を市場に近づけるというアイデアは、企業の(短期的な)市場価値を重視する立場からの発言ですが、私は違和感を持ってしまいます。企業を複数の事業のポートフォリオと見て、市場の変化に合わせて入れ替えるという発想があることは知っていますが、それは経営の役割の半分ではないでしょうか。組織文化は両面性を持っています。確かにそれは、変化に抵抗する側面を持っていますが、組織の行動様式を制御し、企業のアイデンティティを保持する側面を持っています。市場の変化にしっかり対応するためには、的確な打ち手を編み出すと同時に、組織文化を点検
    しながら良い方向へ表出させる方法論が必要です。その根気のいる精妙な作業こそ、経営の役割の残りの半分に違いありません。この時期、組織に市場原理を導入せよという乱暴な指令を出すトップはいないでしょうが、この類の誘惑はいつも悩める経営者に罠を仕掛けてきます。

  • 図書館で、2008年4月30日に借りる。

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