だれが「音楽」を殺すのか? (NT2X)

著者 :
  • 翔泳社
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  • Amazon.co.jp ・本 (342ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784798107035

感想・レビュー・書評

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  • ぼくは、<b>音楽</b>が好きです。
    これまで、数多くの<b>音楽</b>を聴いてきました。
    そして、数え切れないほどの感動を、<b>音楽</b>からもらってきました。
    今のぼくがあるのは、<b>音楽</b>の影響がとても強いです。
    昔、こんなphraseを考えたことがあります。<blockquote>書籍でぼくの骨格は作られ、音楽がその骨に肉付けしてくれた。</blockquote>このあと、その身体へ魂を吹き込んでくれたのは・・・、と続くのですが、恥ずかしいので割愛。
    つまりそれくらい、ぼくの人生にとっての<b>音楽</b>は、重要なものなのです。

    音楽嗜好がminorなものになるにつれ、ある一つの不満が常に付きまとう事になりました。
    そう、<b>廃盤</b>です。
    real timeで知り、聴いているのなら、それほどの問題にはなりません。
    けれど、知った時にはすでに、旧作の殆どが廃盤になっていることが多々ありました。
    具体的に言えば、<a href=http://bice.jp/>biceさん</a>の作品とか。
    <a href=http://www.amazon.co.jp/s/ref=sr_st/250-9421318-6497038?__mk_ja_JP=%83J%83%5E%83J%83i&keywords=bice&rs=562032&page=1&rh=n%3A562032%2Ci%3Amusic-artist%2Ck%3Abice&sort=relevancerank>Amazonで検索</a>すると、どんな状況なのか一目瞭然です。
    もしくは、<a href=http://www.swinging-popsicle.com/>Swinging Popsicle</a>の作品。
    個人的に、最高傑作だと思っている<a href=http://www.amazon.co.jp/Fennec-Swinging-Popsicle/dp/B00005G7LL/ref=sr_1_1/250-9421318-6497038?ie=UTF8&s=music&qid=1194353912&sr=1-1>Fennec!</a>が、あっという間に廃盤にされた事。
    (なお、その後この作品は、<a href=http://www.sonymusic.co.jp/Music/Arch/SMER/SwingingPopsicle/SRCL-4749/>インターネットで配信されています</a>。)
    こういう事が続いたせいで、<b>レコード会社って最悪</b>と思うようになりました。

    ぼくは基本的に、芸術家はその存在だけで無条件の礼賛に値する、と思っています。
    なので、<b><a href="http://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%91%97%E4%BD%9C%E6%A8%A9">著作権</a></b>というものは必然であって、最大限尊重するべき、と思っています。
    ところが、インターネットという文化に触れ、それも怪しくなってきました。
    理由は、<b>結局、<a href="http://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%91%97%E4%BD%9C%E6%A8%A9">著作権</a>って誰のためにあるんだろう</b>という疑問が湧いたからです。
    その切っ掛けとなったのは、<a href=http://plusd.itmedia.co.jp/lifestyle/articles/0606/12/news005.html>この記事でした</a>。
    なんだそりゃ、と。結局、<a href="http://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%91%97%E4%BD%9C%E6%A8%A9"><b>著作権</b></a>って芸術家を守ってないんじゃないか?と。

    そこから、よく分からない<b><a href="http://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%91%97%E4%BD%9C%E6%A8%A9">著作権</a></b>について、いろいろと調べるようになりました。
    そして辿り着いたのが、本書の著者である<a href=http://xtc.bz/>津田大介氏のSite</a>でした。
    非常に分かり易くて、とても勉強になりました。

    本書が発売されたのは、2004年です。今から3年前。
    けれど、本書の価値はまったく変わっていないな、と読んでいて何度と無く思いました。
    本書の価値は、<b><a href="http://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%91%97%E4%BD%9C%E6%A8%A9">著作権</a></b>というものの本質を、明確にかつ分かり易く書いている事にあります。
    調べてみると分かるのですが、<b><a href="http://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%91%97%E4%BD%9C%E6%A8%A9">著作権</a></b>というのは、その仕組みが非常に複雑です。
    だから、その本質が掴みにくく、何が問題なのかが分かり難い。

    本書は、具体的な物事を取り上げ、そこを切り口にして数々の側面を見せてくれます。
    読んでいて、身近な事件が沢山出てくるので、実感としてそれらを捉える事が容易です。
    また、津田氏の文章が洗練されているため、すらすらと読み進む事が出来るのも大きいです。

    さらに、数々の年表やDataといった資料が多いのも素晴らしいと思います。
    具体的な数字を見る事で、客観的にその物事を判断する事が可能になります。
    年表を辿る事で、実際の流れを俯瞰してみる事が出来ます。
    これらのDataを自分で調べようと思うと、非常に手間で面倒な事柄なので貴重なものです。

    あとがきで書かれている事を引用します。<blockquote>10年後ぐらいにこの本を読んだ人が「あの頃の音楽業界はこんなくだらないことで悩んでいたんだね」と笑いながら感想を言える事を願って。</blockquote>これ、読みながらぼくが感じていた事そのものだったので、思わずにやりとしてしまいました。

    今、著作権を囲む状況は、一つの局面を迎えようとしています。
    何が正義で、何が悪か。
    それを決める基準は、法治国家である以上、<b>法</b>以外にはありえません。
    そして<b>法</b>とは、その文化圏に属する人すべてに関係する重大な物事であるはず。
    再度あとがきから、津田氏の言葉を引用します。<blockquote>批判したいヤツはすればいい。だけど、きちんとした知識や事実認識なしに的はずれなコメントしても、それは自己満足のガス抜きにしかならない。今の音楽業界のことをクソだと思ってて、その状況を何とか変えたいなら、ニュースの背景にどういう問題が横たわっているのか、きちんと勉強するべきだ。踏まえておくべき事実や認識が多ければ多いほど、音楽業界に関する議論は実りあるものになるはずなのだから。できるだけ多様な視点、認識を持ち、それを最大限活用して議論すれば、もしかしたら新たなソリューションが生まれるかもしれない。今の音楽業界には反対意見も含めた建設的な話し合いの中から何かを産み出していく作業が圧倒的に足りないんじゃないかと思う。</blockquote>とても真っ当な意見で、気持ちが良いです。
    津田大介という人は、本当の意味でのjournalistだな、と思うのはこういう部分です。
    氏が扱っている分野において、非常にbalanceが取れていると思うからです。

    繰り返します。
    ぼくは、<b>音楽</b>が好きです。
    だから、今の状況を何とかしたいと思います。
    その観点から見て、この本は非常に大きな価値を持っていることは確かです。
    読んでいて、非常にためになったと思います。

    <b>さて、あなたはどうしますか?</b>

  • 著者のネームバリューの質が不味過ぎて、あまり表立って紹介できないのが残念な良書。2002年から2004年にかけて、音楽業界近辺で巻き起こっていた諸問題について書いたもので、やはりこの分野について精通しているだけに、しっかりとした記述や問題提起が多いです。ホント、専門外の分野に手ェ出さなきゃよかったのに。

    それにしても、この当時と現在とで、レコード協会があまり変わってない気がするのですが…。

  • なんでもそうだけど利益とか儲けとか、そこがからむと途端につまらなく先細っていくんだろう。

  • 津田さんの本を読んでみたくて手にとったが、流石に古すぎたので最初だけ読んで断念。

  • [ 内容 ]
    迷走するオンガクのオキテ ―― 輸入権、CCCD、違法コピー。
    いま日本の「音楽」を取り巻く状況がおかしい。
    CD売上げは年々下落し続ける一方で、レコード輸入権やCCCD、違法コピーといったさまざまな問題がアーティストと音楽ファンのあいだに深い亀裂となって横たわり、デジタル時代の新しい音楽の楽しみ方を見失わせてしまっています。
    本書は、いまの音楽業界のなかで複雑に絡み合った数多くの「論点」を、さまざまな視野から鋭くあぶり出し、アーティストと音楽ファンそして音楽業界の行き方を模索します。

    [ 目次 ]
    1 レコード輸入権―洋盤が聴けなくなる?(レコード輸入権とは何か?;輸入権の導入経緯 ほか)
    2 CCCD―コピーできないCDの悲劇(なぜ突然こんなものが導入されるようになったのか?;CCCDの仕組みと再生機器の問題 ほか)
    3 違法コピーとファイル交換(まず「違法コピー」について考えよう;許せる違法コピー?許せない違法コピー? ほか)
    4 音楽配信サービス―埋まらない日米の格差(音楽配信サービスの変遷;なぜ日本では音楽配信がブレイクしないのか? ほか)
    終章 音楽のこれから(いまでもトランジスタラジオは「キミの知らないメロディ」をキャッチしているか?;音楽メーカーと流通の問題 ほか)

    [ 問題提起 ]


    [ 結論 ]


    [ コメント ]


    [ 読了した日 ]

  •  日本の音楽業界のCD総生産量は、1998年の6075億円をピークに5年連続で減少、2003年には約4000億円まで落ち込んだ。音楽業界のお偉いさんは「売り上げ減少は違法コピーのせい」としてCCCD(コピーコントロールCD)を導入する。がしかし、ここまで音楽が急速に売れなくなっているのは、本当に違法コピーのせいなのか? 
     著者は以前から「音楽配信メモ」という自らのサイトでこの問題について言及してきた自称“音楽好きインターネット系ライター”。この本では、音楽CDのコピー問題について解説しているだけではなく、その背景にある音楽業界の構造的な問題にまで迫っている点で、すごく勉強になるし、現状に対して優れて説得力のある評論になっている。

     一貫して、音楽のそもそもの出発点であるミュージシャン側の意向を重視している姿勢に好感が持てる。音楽はただの「産業」ではなく、ミュージシャンとリスナーとのコミュニケーションである、という根っこの姿勢がしっかりと見える。だから、「CDはひとつのフォーマットに過ぎなくて、インターネット時代に合ったあたらしいシステムが必要だ」という提言が、浮き上がらずにしっかりとこちらに届くのだろう。
    (とくに、〈これは著者本人の仕事ではないが〉ミュージシャンの公式サイトから本書に転載された元「サニーデイ・サービス」のフロントマン曽我部恵一のインタビューは、必読!)

     導入に積極的だったSME・エイベックスの2社が、ほぼCCCDから撤退したことで、ちょっとだけ読書の旬を逃してしまった感はあり。でも、けっして「全廃」ではないし、今後あらたな形でコピー・コントロールの問題は浮上してくることも考えられる。
     インターネット、およびファイル交換ソフトの普及により、音楽業界はCDをプレスして売る、というビジネスモデルが従来通りのやり方では成り立たなくなってきた。しかし、同様の問題は、今後あらゆるコンテンツ産業に波及していくだろう。音楽業界の今を俯瞰するだけでなく、今後の「著作権vsコピー文化」にどういう姿勢で臨むのかという態度を見極めるためにも、多くの論点を抽出できる好著。
    (2005年、初読時の感想です)

  • CCCDがいかに愚かなものだったのかがよく分かる。少し昔の本だが良書。

  • なんとなく、だれが音楽を殺したのかが分かったような気がするけど。とにかく今の現状はどうにかならないものか…
    http://www.ne.jp/asahi/behere/now/newpage115.htm

  • 音楽業界「も」やばい

    1.レコード輸入権 ‐輸入版の輸入を禁止する権利をレコード会社に与える
              ‐還流CD問題対策(還流CDは正規品なのになぜ規制?)
              ‐洋楽輸入盤が輸入禁止になる可能性(日本にCDを輸出するかは欧米企業の自由)

      ⇒日本のレコード会社が海外向けに正式にライセンスを許諾した正規盤が安く日本に入ってくる
      ⇒音楽業界は自国の産業を保護するために安い輸入盤を規制したかった
      ⇒海賊版の輸入を防止しようとする意図はない

    音楽業界は大げさに保護されている!!!①再販売価格維持制度
                      ②レコード輸入権

    音楽ファンの意向は一切無視

    なぜ音楽業界は保護されるのか→国内のCDの価格が高すぎる→なぜ価格競争をしないのか

    日本のレコード会社の事情(輸入部 VS 洋楽部:輸入盤にはないおまけが会社の負担に…)


    2.CCCD(コピーコントロールCD)

    CCCDの問題①CCCD=規格外のディスク→レコード会社は再生できない可能性のあるディスクを販売している
         ②すべてのコピーを防止できるわけではない

    ⇒CDを買わずに全てを違法コピーで済まそうとするユーザーには効果がない
     逆に、普通にCDを購入する一般ユーザーに不利益を与える可能性

    原盤権の所有元の問題
    iPodとの関係
    消費者権利を侵害していることが問題

    次世代CD→普及には問題が多い
    次世代CD購入時に、ネット上で圧縮音源をダウンロードできる仕組みが作られるのが良いのでは…

    3.違法コピーとファイル交換
    私的複製 ×消費者の権利 ○著作権者の権利を制限
    消費者の中で音源の価値が低下

    私的録音録画補償金 :CDレンタルの問題

    中古市場の問題広まってナンボという考え=音楽が広まるプロセスに価値がある
    新しいビジネスの仕組みが必要

    ファイル交換ソフト(視聴制度)でCD自体の売り上げが上がった例もある

    4.音楽配信サービス
    音楽配信が成功するポイント①カタログ数が豊富
                ②価格に値ごろ感がある
                ③ユーザーにとって使いやすいDRM(デジタル著作権保護機能)

    日本独自の成功例=着うた→曲の選択、購入から実際に聞いて楽しむまでを一つの端末で完結

    FMラジオの質の低下+JASRACのオンライン上での厳しい視聴制限→新しい音楽に触れる機会が減る

    クリエイティブ・コモンズ:新しい著作権利用システム

    著作権が大事か、それとも音楽文化そのものがだいじなのか

    リスナーを信頼してくれたアーティストには全力で応える
    自分が良いと思った音楽にはきちんとお金を払う
    そのような環境を作るために、アーティスト、レコード会社、リスナーすべてが知恵を絞るべき

  • 主観ばかりで書かれても困る。どうしてそう言えるのかって疑問がわきまくったし、何か言いたいのならそれなりのデータを示してくれないとさっぱり納得できない。別に面白くないこともなかったけど。

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著者プロフィール

1973年生まれ。東京都出身。早稲田大学文学学術院教授。メディアとジャーナリズム、著作権、コンテンツビジネス、表現の自由などを専門に執筆活動を行う。近年は地域課題の解決や社会起業、テクノロジーが社会をどのように変えるかをテーマに取材を続ける。主著に『情報戦争を生き抜く』(朝日新聞)、『ウェブで政治を動かす!』(朝日新書)、『Twitter社会論』(洋泉社新書y)、『動員の革命』(中公新書ラクレ)、『情報の呼吸法』(朝日出版社)、『「ポスト真実」の時代』(日比嘉高と共著、祥伝社)など。世界経済フォーラム(ダボス会議)「ヤング・グローバル・リーダーズ2013」選出。第17回メディア芸術祭エンターテイメント部門新人賞受賞。「あいちトリエンナーレ2019 情の時代」芸術監督。

「2019年 『あいちトリエンナーレ2019 情の時代 AICHI TRIENNALE 2019:Taming Y/Our Passion』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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