イノベーション・オブ・ライフ ハーバード・ビジネススクールを巣立つ君たちへ

  • 翔泳社
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  • Amazon.co.jp ・本 (264ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784798124094

感想・レビュー・書評

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  • 『イノベーションのジレンマ』をはじめ、多数の名著を著したクレイトン・クリステンセン教授。戦略論や経営学の分野では最高峰にある教授が、抗がん剤と戦って髪が抜け落ちた体に鞭打ち、最後の授業で何を伝えたかったのか。氏がこれまで教えてきた経営戦略を、人生訓に落としこんで語る。

    序講
     第1講 羽があるからと言って
    第1部 幸せなキャリアを歩む
     第2講 わたしたちを動かすもの
     第3講 計算と幸運のバランス
     第4講 口で言っているだけでは戦略にならない
    第2部 幸せな関係を築く
     第5講 時を刻み続ける時計
     第6講 そのミルクシェイクは何のために雇ったのか?
     第7講 子どもたちをテセウスの船に乗せる
     第8講 経験の学校
     第9講 家庭内の見えざる手
    第3部 罪人にならない
     第10講 この一度だけ
     終講

  • 20140712代官山の蔦屋書店にて
    目的に向かって自らをがむしゃらに消費する日々の最中、共に戦う後輩から勧められた一冊。大切な示唆がそこにある。動くことを決めてしまえば、新たに見えてくる世界は、広く明るい。何を考えるべきか、ではなく、「どう考えるべきか」。答えではなく、方法を体得することが、「幸せ」を実現するための鍵と見た。

    ー心から満足したいなら、自分がすばらしいと信じる仕事をするしかない。そしてすばらしい仕事をしたいなら、自分が愛する仕事をするしかない。それがまだ見つかっていないなら、探し続けることだ。妥協するな。心の問題と同じで、そういう仕事が見つかればピンと来るものだ。 スティーブジョブズ

    ー誘因(インセンティブ)と動機づけ(モチベーション)

    ー創発的戦略と意図的戦略

    ー自分の血と汗と涙をどこに投資するかという決定が、なりたい自分の姿を映し出していなければ、そのような自分になれるはずもない。

    ーにんじんはゆでると柔らかくなるが、卵は固くなる。

    ー新規事業の初期段階では、「成長は気長に、しかし利益は性急に」。一旦実行可能な戦略が見つかれば「成長は性急に、利益は気長に」に切り替える必要がある。

    ー「片付けるべき用事」理論

    ー企業ができること、できないことを決定する要因、つまり能力は、「資源」「プロセス」「優先事項」のいづれかに当てはまる。

    ー文化が優先事項を決定する。

    ー地獄へ向かう最も安全な道は、緩やかな道だ。坂はなだらかで、足下は柔らかく、急な曲がり角も、道しるべも、標識もない。CSルイス

    ー限界費用と限界収入vs総費用

    ー機械が必要になったのに買わずにすませようとすると、しまいには代金を支払ったのに機械がないという事態になる。(ヘンリーフォード)

    ー100%守るほうが、98%守るより容易い。

    ー企業が自らの目的と使命を十分に考え抜くことは、まずない。このことが、企業の挫折と失敗を招く、最も重大な原因の一つなのだろう。(ピーターFドラッカー)

    ー自画像、献身、尺度

  • 少し宗教じみている。
    ハウツー本ではない。

  • 今まで気付かなかった大切なことついてか書かれているように感じた

  • 14.05.14 読破

    この本を読み終わって、思い出したのが、元同僚で同居していた友達の言葉。
    「自分の地元は北海道。遠いため、幾度も帰れない。親の生きている間に、会える回数も考えると、両手に収まってしまうかもしれない。その中でできる親孝行は最大限したいな。」
    そのときは、えらいな、としか思わなかったが、今思うと、自分も同じ立場で、親の年齢を考えると、家族と共有できる時間がどんどん減っていく中で、やれることはしていくべきなんだと、思った。

    この本では、仕事を最優先してしまうことで、人生を台無しにする可能性がある、という警告を鳴らしてくれている。
    何のために仕事をしているのか、その事を考えると、仕事も大切だが、家族を疎かにしては本末転倒。

    自分の生活、人生の中で、仕事以外にも目を向けて、充実させていきたいね。

    この本、結婚相手ができたとき、また、子どもが出来たときにもう一度読もうと思う。

  • 父親として、子どもが小さいうちにこの本に出会えてよかったと思います。
    経営理論を学びつつ、人生において何が大切なのか合わせて考えることができました。

  • やはり、クリステンセン氏の著作はすごい。イノベーションのジレンマに衝撃を受けてから、久しぶりになってしまったが、我が身を振り替えさせられることばかりだった。。。

  • 2013年のThinker50の第1位に選ばれたクレイトンクリステンセンの本。共著者はHBSの学生。

    本書の構成は、①キャリアを間違えないために必要なこと、②家族と幸せな生活を築くために(子育てを中心に)、③ルールを守ることは大事です、という3構成になっているという印象。
    自分が得てきた理論(何が、何を引き起こすのか、の因果関係)や実例をもとに、「自分の人生を善く生きる」生き方を考える、というのが目的だろう。

    ①キャリア
     まず、最初にハーズバーグの動機付け理論を紹介し、給料のような「衛生要因(外発的要因)」に引っ張られるとうまくいかないことが多いから、仕事への「動機付け要因(内発的要因)」を重視しなさいよ、ということが言われる。
     そしてキャリアを選ぶ中では、「意図的戦略(切望する目標)」と「創発的戦略(予期されない機会)」のバランスが重要であり、何も決まっていないときには後者で様々な挑戦をしつつ、見えてきたら、前者の戦略で攻めるべき。その正当性を理解するためには、「この仕事で成功するには、どんな仮定の正しさが証明されなければならないか」をリストアップする。自分の力で何とかなるだろうか。自分が幸せになるために証明されるべき仮定を検討する。*ただ、それって、自分のやりたいことや夢がはっきりしている場合だから、まずもって自分を理解することが必要ですね*
     そして、自分が実行したいと思っていることを実際に実行しているかを確かめるには、資源配分プロセスに目を配り、自分がそこに資源を投入しているか、実際に行動しているかを調べる。

    ②家族
     まず、クレイの前提は、家族が最も素晴らしく、家族や親しい友人とはぐくむ親密な関係が与える幸せは、ゆるぎないものである、といういこと。これが前提として、どのように家族との関係をよくするか、を考察する。
     最初は、「成長は気長に、利益は性急に」の理論から、家族との関係は、短期ではなく長期的なもの(そして重要なので、おざなりにできないもの)ということを考える。後回しにするな、ということですね。
     あとは、自分の経験則から、伴侶を幸せにするためには、それだけ自分を犠牲にし、献身できるかにかかっていると言う。*これは自分の考えとして納得できないこともないが、アドラー的な考えから、それが我慢によるものであれば、やはりよくないのではないか、という気もする*
     「用事を片付ける」という理論から、常に相手の用事を理解することが重要であることを述べる。
     続いて子育て。①資源、②プロセス、③優先事項の3つから、自分や子供の能力を意識し、子供がどんな能力を備える必要があるのかを考え、子供にいろいろなこと、困難なことを経験させましょう、と言う。能力や達成したことよりも、子供にどんな力が必要になるかを逆算し、困難から立ち向かう力を育みましょう、という。おそらく、クレイは、子供にとって重要な力を「困難から立ち向かう力」と定義していると思量。なお、③がもっとも重要、②は要するに、仕事のやり方、みたいな感じ。①が基本的なその人の能力や機会、時間といった性質によるもの。
     そして、子供が正しい選択ができるために重要なことは「適切な家庭文化を築くこと」だという。(クレイの場合は、「思いやりがあると思われる家族になろう」というもの) *アドラー的に言えば、人からの評価を気にしているのは、不幸を生むということになっている*

    ③ルール
     人は「この1度だけ」として決めたルールを破ると、もう簡単に破ることができてしまう、というもの。100%守るのと98%守るのでは、100%守るほうが簡単である。つまり、堅い決め事は絶対にやぶってはいけない。1度破ると、ぐだぐだになる、というもの。そして、それはとても大きな機会損失を生む *これはそのとおりと思う。*
     
    最後に、自分の人生の目的について考えることの重要性について語る。
     ①自画像(自分の理想のようなもの)、②献身(ほとんど信仰といえるようなもの。これがないと自画像が傷ついてしまう)、③尺度(進捗を測るもの) の観点から、一貫した方向に進んでいけるようにと、。自分の目的を明らかにし、それを実践していくためには、これを継続的に理解していくことが大事、と。自分のなりたい人間だと確信したら、その人間になることに人生をささげる、すなわち「気迫」をもつことが大事。
    クリステンセンは、オクスフォード留学中、毎日1時間聖書を1章読み、これらを考えたとのこと。
    *俺も今日から、1日30分(1時半から2時)にこれを考えてみよう。ただし、アドラー的に、未来に思いを馳せるというよりは、「いま、ここ」に焦点をあてて、自分が今なりたい姿、今献身できるもの、今、これまでの成長を図れる尺度を考えること*

  • 044:本当の幸せを見つける秘訣は、自分にとって有意義だと思える機会を常に求め続けることにある。新しいことを学び、成功を重ね、ますます多くの責任を引き受けることのできる機会だ。「自分の愛することを仕事に選びなさい。そうすればあなたは一生のうち、一日も働く必要がなくなる。」
    044:金銭、ステータス、報酬、職の安定といった衛生要因は、ある一定水準を超えると、仕事での幸せを生み出す要因ではなく、幸せがもたらす副産物に過ぎなくなることを忘れてはいけない。これさえおさえておけば、本当に大切なことに心ゆくまで集中できる。
    045:わたしたちが最も陥りやすい間違いの一つは、それさえあれば幸せになれると信じて、職業上の成功を示す、目に見えやすい証に執着することだ。もっと高い報酬。もっと権威ある肩書。もっと立派なオフィス。こうしたものは結局のところ、あなたが職業的に「成功した」ことを、友人や家族に示すしるしでしかない。囚われた途端、蜃気楼を追いかけることになる。
    054:若い人たちの多くが今後5年間のキャリアを、一から十まであらかじめ計画しておくべきだと思い込んでいることに、わたしはいつも驚かされる。この思い込みの根拠となっているのが、よほどのことがない限り、キャリアが計画からそれることはないという、暗黙の前提だ。だが、そのような的を絞った計画は、実は特定の状況でしか意味を成さない。わたしたちは人生やキャリアで、意識していようがいまいが、つねに意図的戦略か、創発的に現れる予期されない選択肢のどちらかを選びながら、道を進んでいく。どちらの手法も、わたしたちの心をつかもうとして張り合い、実際の戦略になろうとして正当性を主張する。優劣はなく、あなたが道程のどこにいるかによって決まることをしっかり理解しよう。
    055:求める衛生要因と動機づけ要因の両方を与えてくれる仕事がすでに見つかっているなら、意図的な手法をとるのが理にかなっている。予期されない機会に合わせて戦略を修正することは忘れて、意図的に設定した目標をどうやって達成するかに思考を集中させよう。
    055:反面、こうした条件を満たすキャリアがまだ見つかっていない人は、新興企業のように、創発的戦略を取る必要がある。別の言い方をすると、こういう状況にあるときは、人生で実験せよということだ。ひとつひとつの経験から学び軌道修正する。これをすばやく繰り返し続ける。
    065:いま検討している仕事で自分が幸せになるには、どんな仮定が立証されなくてはならないかを考えよう。あなたは外発的、内発的どちらの動機づけ要因をもとに、仕事を選ぼうとしているのだろう?なぜこの仕事を楽しめると思うのか?どんな根拠があるのか?転職を検討するたびに、立証する必要のある最も重要な仮定を洗い出し、それをすばやく、費用をかけずに立証する方法を考えよう。自分のとろうとする道について、現実的な期待をもつことを心がけよう。
    067:創発的戦略と意図的戦略の概念を理解すれば、自分のキャリアでこれという仕事がまだみつ家ていない状況で、人生の向かう先がはっきり見えるようになるのをただ漫然と待っているのは、時間の無駄だとわかる。いやそれどころか、予期されない機会に心を閉ざしてしまうおそれがある。自分のキャリアについてまだ考えがまとまらないうちは、人生の窓を開け放しておこう。状況に応じて、さまざまな機会を試し、方向転換し、戦略を調整し続ければ、いつか衛生要因を満たすとともに動機づけ要因を与えてくれる仕事が見つかるはずだ。このときようやく、意図的戦略が意味を持ってくる。これという仕事が見つかれば、ピンと来るものだ。難しいかもしれないが、このプロセスでは自分に正直になろう。自分を変えることは難しいものだし、いましていることをそのまま続けるほうが簡単な気がする。だがこの考え方は危険だ。問題に向き合うのを先延ばしにしていると、何年も経ったある朝、鏡の中の自分を見て、こう思うことになる。「わたしはいったい何をしているんだろう?」
    070:最も肝心なのは、自分の資源をどのように分配するかだ。企業であれ人生であり、実際の戦略は、限られた資源を何に費やすかという、日々の無数の決定から生まれる。一日一日を過ごしながら、正しい方向に向かうには、どうすればいいのだろう?それには、自分の資源がどこに流れているかに注意を払うことだ。資源配分の方法が、自分の決めた戦略を支えていなければ、その戦略を全く実行していないのと同じだ。
    076:ジョブズは1997年にCEOに復帰すると、迷走の根本原因だった資源配分の問題解決に、ただちに取り掛かった。社員がそれぞれ勝手な優雨線事項に取り組むことを許さず、アップルをそのルーツに引き戻した。世界最高の製品をつくり、暮らしにおける技術のあり方を根本的に変え、素晴らしいユーザー体験を提供することだ。これに合わないことはすべて中止された。
    077:失敗した事業の根本原因を調べると、長期的成功をもたらす取り組みよりも、ただちに満足が得られるような取り組みに飛びつく傾向が、繰り返し見られる。多くの企業の意思決定システムは、見返りがすぐに形となって現れるような取り組みへの投資を促すようにできている。そのため、長期戦略の鍵となる取り組みへの投資がおろそかにされがち。
    080:私達が自分の戦略に対して行う投資ーそれが積もり積もって人生になるーは、こう考えるとわかりやすい。わたしたちはプライベートな時間や労力、能力、財力といった資源をもっていて、これを使ってそれぞれの人生でいくつもの「事業」を育てていく。たとえば伴侶や恋人と実り多い関係を築く、立派な子供を育てる、キャリアで成功する、地域に貢献するといったことだ。残念ながら資源には気切りがあるため、それぞれの事業は資源を得ようとして競い合う。あなたの資源配分プロセスは、意識して管理しなければ、脳と心にもともと備わった「デフォルト」基準に沿って、勝手に資源を振り分けてしまう。
    082:昇進や昇給、ボーナスなどの見返りが今すぐ得られるものを優先し、立派な子供を育てるといった、長い間手間をかける必要があるもの、何十年も経たないと見返りが得られないものを疎かにした。こうした即時的な見返りを手にすると、自分と家族の派手なライフスタイルを賄うものに使った。もっとよい車、もっとよい家、もっとより休暇旅行。だが困ったことに、ライフスタイルの要求は、資源配分プロセスをたちまち固定化してしまう。
    086:ここまで、戦略プロセスを活用して、充実したキャリアを築く方法を中心に説明してきた。まず最初に、わたしたちを本当に動機づけるものはなにかという話から始めた。簡単にいえば、どんな優先事項を持てば、幸せになれる仕事を見つけられるということだ。次に、こうした動機付けが得られるキャリアを見つけるための意図的な計画と、その道中でかならず訪れる予期されない機会とのバランスを図る方法を説明した。そして最後に、こうした計画に合わせて、自分の持てる資源を配分する方法について話した。戦略プロセスのこの3つの部分を正しく行えば、心から愛せるキャリアへの道が確実に開けるだろう。
    087:自分の成功を評価するものさしを、自分にとって最も重要な問題に合わせる必要がある。そしてこのすべてを、適切な時間枠で考えなくてはならない。つまり、長期を疎かにして短期に集中しがちな、自然な傾向を覆すということだ。だが、これは簡単なことではない。だから、自分の生活に遮断物や障壁、境界線を強制的に設けて、自分にとって一番大切なことに忠実でいられるようにする必要があった。
    095:最終的に成功した企業の93%が、当初の戦略を断念していたと指摘する。その理由は、当初の計画に成功の見込みが無いと判明したからだった。別の言い方をすると、成功した企業は、最初から正しい戦略をもっていたから、成功したのではない。当初の戦略が失敗した後もまだ資金が残っていたために、方向転換して別の手法を試すことができたからだ。これに対して、失敗する企業の殆どが、ありったけの資金を当初の戦略につぎ込んでいる。
    104:子どもの身の周りで起きていることを深く考えさせるような質問は、子どもが聞かれていることを理解できるようになるはるか前から、計り知れないほど大きな影響を及ぼす。
    128:意外に聞こえるかもしれないが、人間関係に幸せを求めることは、自分を幸せにしてくれそうな人を探すだけではないと、わたしは深く信じている。その逆も同じくらい大切。つまり幸せを求めることは、幸せにして上げたいと思える人、自分を犠牲にしてでも幸せにしてあげる価値があると思える人を探すことでもある。わたしたちを深い愛情に駆り立てるものが、お互いを理解し合い、あ互いの用事を片付けようとする努力だとすれば。伴侶の成功を助け、幸せにするために、自分をどれだけ犠牲にできるかにかかっている。「犠牲が献身を深める」
    145:わたしたち人間を、資源とプロセス、優先事項の組み合わさったものと考えるのは、違和感があるかもしれない。だがこれは、わたしたちが人生で成し遂げられること、手の届かないことを知るための、洞察に満ちた方法なのだ。将来直面しそうな困難や問題から逆算して、どんな能力を蓄える必要があるかを考えるのに役立つ。
    178:仕事で失敗する人は、もともと成功する能力が欠けているのではなく、仕事に伴う困難に立ち向かう力を身につけるような経験をしてこなかったのだ。言い換えれば、間違った「講座」を受講してきたということになる。
    199:地獄へ向かう最も安全な道は、緩やかな道だー坂はなだらかで、足下は柔らかく、急な曲がり角も、道しるべも、標識もない。ーC.Sルイス
    207:結局は限界費用だけではなく総費用を支払うハメになる。
    210:機械が必要になったのに買わずに済ませようとすると、しまいには代金を支払ったのに機械がないという事態になる。ーヘンリー・フォード
    限界的思考は競争力を失うという、とてつもなく大きな危険をはらんでいる。
    214:ほとんどの人が、「この一度だけ」なら、自分で決めたルールを破っても許されると、自分に言い聞かせたことがあるだろう。心のなかで、その小さな選択を正当化する。こういった選択は、最初に下した時には、人生を変えてしまうような決定には思われない。限界費用はほぼ必ず低いと決まっている。しかしその小さな決定も積み重なると、ずっと大きな事態に発展し、その結果として、自分が絶対になりたくなかった人間になってしまうことがある。わたしたちは無意識のうちに限界費用だけを考え、自分の行動がもたらす本当のコストが見えなくなってしまう。あるときふと辺りを見回し、前には考えられなかった終着点に着いたことに気づく。そのときになってようやく、自分がどんな道を歩んできたかを知るのだ。
    216:限界費用分析をもとに「この一度だけ」の誘惑に屈すれば、行き着く先で必ず後悔する。わたしの学んだ教訓は、自分の主義を100%守る方が、97%守るより容易いということだ。この一線、自分なりの道徳上の一線は、強力なものになる。けっして越えることない一線だからだ。何を信条とするかを決め、それをつねに守ろう。
    217:倫理的妥協が招く厄介な影響を間逃れる方法は一つだけある。そもそも妥協を始めないことだ。妥協の第一歩が現れたら、踵を返そう。
    222:あなたのなりたい人物像、つまりあなたが人生で目的とするものは、成り行き任せにできないほど大切だ。明確な意図を持って構想、選択、管理しなくてはいけない。これに対して、アタナがその人物になるための手段、つまり人生に起きるさまざまな機会や挑戦は、本質的に創発的だ。わたしは戦略が形成される創発的プロセスを、大いに尊重している。

  • 第1部 幸せなキャリアを歩む
    第2部 幸せな関係を築く
    第3部 罪人にならない

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