キャズム Ver.2 増補改訂版 新商品をブレイクさせる「超」マーケティング理論

制作 : 川又 政治 
  • 翔泳社
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  • Amazon.co.jp ・本 (360ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784798137797

感想・レビュー・書評

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  • 名著だった。一回読んだだけじゃ頭に入っていないところがあるのでもう一回読みたい。

  • 10年ほど前に読んだのだが、取り上げている事例を最新の企業に入れ替えた改訂版が出たので再読した。
    ハイテク分野のマーケティングではもはや定番の理論だが、自身の理解のために以下にまとめてみる。

    プロダクト、特にハイテクの新規分野におけるライフサイクルは、次の5種類の顧客が主な購入層となる段階がある。

    1,Innovators テクノロジー・マニア
    2,Early Adopters ビジョナリー
    3,Early Majority 実利主義者
    4,Late Majority 保守派
    5,Laggards 懐疑派

    どの顧客間にも溝はあるのだが、特に2と3の間には大きな溝(キャズム)が存在し、ハイテク・プロダクトにとってはキャズムを乗り越えることが生き残れるかどうかの境目である。
    ビジョナリーが購入しようとするのは「変革のための手段」であり、実利主義者は現行オペレーションの「生産性を改善する手段」であり、その違いが必要とされるマーケティング手法が強く求められるのである。

    実利主義者は自身の業界内で行動することが多く、そこでの先行事例や相互の信頼関係を重視して購入を決めるのだが、ビジョナリーやテクノロジー・マニアは業界の垣根を越えて情報交換をすることが多く、業界内で確固たる知名度を得るのは難しい。

    また実利主義者はマーケットリーダーを選ぶ傾向がある。
    それは、その企業が確立したホール・プロダクトを利用できる効率の良さ、その企業周辺に確立されたエコシステムについてくるサードベンダーで形成されるアフターマーケットの利用価値などを選択基準の一つとすることが多いからである。

    これらがキャズム越えを難しくする大きな理由だという。

    ではどうすべきか。
    本書ではニッチマーケティングの重要さを強調する。
    売上を期待できないような小さい分野に手間ひまかけるつもりはない、という姿勢はキャズム越えに対しては致命的であり、この段階に来た時には販売重視の戦略は打ってはいけない最悪の手だという。
    まずは実利主義社に訴えるためのメインストリーム市場における橋頭堡を確保するため、ニッチマーケットをターゲットとすべきなのだ。
    これは顧客を惹きつけるためのホール・プロダクト構築にも効果的である。
    ニッチ市場を制覇するためにホール・プロダクトを用意している時期に、他の市場に対してまで手を広げる余裕などは無いはず。

    ニッチ市場に絞り、そこでのホールプロダクトを成熟させていくことで、その市場における評判・口コミをあげていける確率は大きく向上できる。
    そうすることで、少なくともその市場における実利主義者を惹きつける重要な状況を作り出せるのである。
    そこから隣接する市場、企業へと歩を進めていくことがキャズム越えに必須のステップなのだというのだ。

    前の版でも取り上げられていたが、このステップを忠実になぞったDocumentumはDM市場の巨人となったし、今回の版から取り上げられたSalesforce.com、VMware、Box.comなどの事例はまさに最近の事例であり、普段目にしているこれら企業の動きと合わせることでの納得感が高い。

    いままさにキャズムを越えようとしている3Dプリンタをケース・スタディとして取り上げて、マーケティングの進め方を説明している部分も興味深い。

    キャズム理論そのものは理解した上での再読だったが、取り上げている事例が一々、自身の業務にも近い分野が多くて納得度が高く、改めてキャズム越えに必要な戦術が明確に理解できる。
    一度読んだ方でも、ハイテク業界の関係者は再読する価値が大いにある版である。

  • 言わずと知れた名著。
    まさにBtoBの初期市場に挑んでいる立場からすると垂涎の内容。

    "ビジョナリーが求めているのは単なる改善ではなく、ブレークスルーなのである。"

    "初期市場が形成されるには次の三つの要素が欠かせない。一つめは、顧客が必要としているシステムを実現可能にする斬新なテクノロジー。二番目に、そのテクノロジーを評価して、それが現在市場に出回っているものよりも優れていることを実証してくれるテクノロジー・マニア。最後に、そのテクノロジーを使って現在の業務を飛躍的に進歩させようと考える、予算獲得ができるビジョナリー。"

    "保守派にとって大切なのは、パフォーマンスではなく利便性であり、機能の豊富さではなく使いやすさだ。"

    "キャズムを越えるためには
    →まず支配できそうなニッチ市場をターゲットとし、そこからライバルを追い払い、そこを起点としてさらに戦線を拡大する"

    市場選定のポイント
    "①攻略可能である、②将来的にもそこを起点にして市場を拡大できる相手"

    "キャズムを越えようとするときには、顧客の数でターゲット・マーケットを決めるのではなく、顧客が感じている痛みの大きさで決める"

    "ターゲットセグメントよりもターゲットカスタマーを明確にする
    ・エンドユーザー:製品使用者
    ・テクニカルバイヤー:製品の革新性評価者
    ・エコノミックバイヤー:製品の経済性評価者"

    ターゲットカスタマーの変化の動きを描く
    "<テクノロジー適用前>
    ①抱えている問題
    ②望まれる結果
    ③(新しいテクノロジーが世に出る前)試みたこと
    ④阻害要因、なぜダメだったか
    ⑤経済的影響

    <テクノロジー適用後>
    ①新たな試み:新しい製品を使って、エンドユーザーはどのようにして問題解決しようとひたか?
    ②支援材料:新しいテクノロジーのどこがよかったのか?問題解決できた理由は?
    ③経済効果:削減できた経費はどれほどか?また得られた便益は何か?"

    "妥当なターゲット市場規模
    ①次の段階で先行事例にできるほど大きいこと
    ②そのセグメントを制覇できるほど小さいこと
    ③ベンダーが提供する製品が効果を発揮するセグメントであること"


    "ホールプロダクトモデル
    ①コアプロダクト:実際に提供される製品

    ②期待プロダクト:顧客がプロダクトを購入するときに「こうであるはずだ」と考える製品。顧客を満足させるために最低限揃っていなければならない製品とサービスの集合体

    ③拡張プロダクト:コアプロダクトの機能を拡張したものであり、顧客の購入目的を最大限満たす製品

    ④理想プロダクト:市場として補完的な製品や顧客独自の機能強化が施されたりしたときに顧客に提供されうる機能の理論的上限値"

    →テクノロジーライフサイクルが右にいくにつれ、円の外側の重要性が増していく


    "メインストリーム市場に入るには、競争をつくらなければならない
    :よく知っている製品カテゴリーの中に自社を位置づける
    :実利主義者の知っている製品"

    "初期市場
    :テクノロジーマニアとビジョナリー
    :テクノロジーと製品


    メインストリーム市場
    :実利主義者と保守派
    :市場(リーダーシップ)と企業(安定性)

    →製品中心から市場中心へ"

  • 改めて自分の事業がChasmに達していないことが確認できた。
    考えてみると、メジャーデビュー直前で頓挫したミュージシャン時代もそうだった。ライブ活動と度重なるオーディションを勝ち抜いていたあの状況は、この本の文脈に沿うと初期市場から受け入れられていたと言うことか。

    大きな金銭的リターンが得られていないところを見ても明らかだが、僕はまだキャズムを超えたことがない。

  • シンプルにおもしろい。
    仕事で出会うのは実利主義者がほぼ全てで、彼らの生態や習性がよくわかった。もっとはやくに読んでれば、コンペ落とさずにすんだのに。。
    全てのITベンダーの営業マンに捧げます

  • この本のすごいのは「企業体をあたかもキャラクターの様に描写してとるべきアクションをイメージしやすくしたところ」にあると思います。

  • ハイテクサービスが普及する際のキャズムと乗り越え方が体系的にまとまられていて、無茶苦茶参考になる。

    キャズムを乗り越える際、顧客の評価軸が変わるため、ホールプロダクトを整備して訴求メッセージを変えないといけない。

    今、自分達がどこにいるのか?どの程度の時間軸でキャズムを乗り越えていくのか、チームで共通認識を高めたい。

  • キャズムと言う言葉は知っていたし、なんとなくその意味も理解していたが、想像以上に深く濃い内容だった。ハイテクIT製品に限らず広く応用できる理論体系だと思う。広くはポーターに近いが、製品化の各フェーズでターゲットとなる顧客像の価値観をベースにしたマーケティング技術とホールプロダクトの概念が秀逸。新規市場開拓の仕事をしてる人なら『あるある』がいっぱいあるだろう。
    早速実践してみたい。

  • 時代にあわせフォーギアズモデルについても補足されいる点が◎。
    あと、改訂の度に最新事例へ更新されているため大変実感が湧きやすい。

  • 情報処理試験の頻出ワード・「キャズム理論」。
    でも、情報処理試験以外で見たことがない!と言う人も多いのではないでしょうか。

    かくいう私も、キャズム理論を知ったきっかけは情報処理試験でしたが、
    ひょんなことから「原書を読んで、ちゃんと知ってみよう」と思い、手にとりました。

    試験で表層をかじってただけなのがもったいなかったと思うくらい、おもしろくて、いろんな意味でためになる本でした。

    マーケティングやIT戦略・経営戦略を今やってるよという人や、
    将来的にやっていきたいと思っている人にはとてもオススメです。

    <以下、すごく簡単に内容をまとめ>

    「キャズム理論」は「イノベーター理論」と混同されることもあります。

    キャズム理論はイノベーター理論を土台として改良された理論というかんじなので共通点もあります。

    ふたつの理論の共通点は下記の2点です。

    ①「ハイテク製品をどうすれば市場に普及させらるか」を扱った理論であること。

    ②ハイテク市場は以下の層にわかれていて、上から順にハイテク製品が普及していくと考えること
     ・ 2.5%のイノベーター(ハイテク大好きのオタク)
     ・13.5%のアーリーアダプター(オタクじゃないけど、ハイテクを取り入れる意義をわかって経営を動かせる「動きの速い、デキる人たち」)
     ・34.0%のアーリーマジョリティー(自分が何かを動かすわけじゃないけど、流行ってるものは取り入れたいな!という人たち)
     ・34.0%のレイトマジョリティー(ちょっと流行ったくらいじゃ取り入れないけど、取り入れないとヤバい雰囲気になったら取り入れるか…)
     ・16.0%のラガード(新しいものは基本、拒否。スマホ?なくても生活できるでしょ、っていうかなんで公衆電話がなくなってるの?という人たち)

    違いは、イノベーター理論では、ハイテク製品は市場の層を上から順に「自然に」普及していくもの と考えるのに対して
    キャズム理論は、たとえ市場の上の層に普及しても、そのままの売り方では下の層には普及しないよ! と考えること。

    だから、企業はその製品をどこの層に売り出したいかによって、明確に戦略を変えるべきなのだ、と。

    そして、各層に売り出すための戦略はどんなものかを、理論と具体例の両面で解説してくれています。

    <まとめおわり>

    個人的に印象に残ったのは、「ラガードとの付き合い方」のところでした。

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著者プロフィール

破壊的テクノロジーがビジネスと組織運営に与える影響と企業がとるべき戦略をテーマに、著述と講演を続け、スタートアップと大企業の双方に助言をしている。複数のベンチャーキャピタルを支援するとともに、コンサルティングやトレーニングを手がけるキャズムインスティチュート、キャズムグループ、TCGアドバイザーズの名誉会長を務める

「2017年 『ゾーンマネジメント』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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