カイゼン・ジャーニー たった1人からはじめて、「越境」するチームをつくるまで
- 翔泳社 (2018年2月7日発売)


- Amazon.co.jp ・本 (280ページ)
- / ISBN・EAN: 9784798153346
作品紹介・あらすじ
「日本の現場」に寄り添った、アジャイル開発の実践!
現場のストーリーで、開発の神髄を学ぼう
【本書の特徴】
・現場のストーリーから、考え方とプラクティスを一緒に学べる
・1人でも始められる業務改善の手法から、チームマネジメントの手法まで解説
・日本の現場を前提にしているので、実践しやすい
・アジャイルをこれから始める人だけでなく、もっとうまく実践したい人にも最適
【本書に登場するプラクティス】
モブプログラミング / バリューストリームマッピング / ユーザーストーリーマッピング / 仮説キャンバス / ハンガーフライト / カンバン / 期待マネジメント / リーダーズインテグレーション / ファイブフィンガーなど
【あらすじ】
ITエンジニアとしてSIer企業に勤務する江島は、
問題だらけのプロジェクト、やる気のない社員たちに嫌気が差していた。
そんな中、ある開発者向けイベントに参加したことがきっかけで、
まずは自分の仕事から見直していこうと考える。
タスクボードや「ふりかえり」などを1人で地道に続けていると、
同僚が興味を示したため、今度は2人でカイゼンに取り組んでいく。
ここから、チームやクライアントを巻き込んだ、現場の改革がはじまる。
チーム内の軋轢、クライアントの無理難題、迫りくるローンチ……
さまざまな困難を乗り越え、江島がたどり着いた「越境する開発」とは。
【筆者コメント(「あとがき」より)】
良い問いは人を立ち返らせてくれます。
そのような問いは人によって異なるでしょう。
読者のみなさんにとっての良い問いと出会えるよう、
江島(本書の主人公)同様、自分がいる場所から外に出て、
いろいろと見聞きしてみてください。
もちろんこの本があなたにとっての
良い問いになることを願っています。
【目次(抜粋)】
●第1部 一人から始める
・第1話 会社を出ていく前にやっておくべきこと
・第2話 自分から始める
・第3話 一人で始めるふりかえり etc
●第2部 チームで強くなる
・第9話 一人からチームへ
・第10話 完成の基準をチームで合わせる
・第11話 チームの向かうべき先を見据える etc
●第3部 みんなを巻き込む
・第20話 新しいリーダーと、期待マネジメント
・第21話 外からきたメンバーと、計画づくり etc
感想・レビュー・書評
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# 書評☆3 カイゼン・ジャーニー | ソフトウェア開発のおとぎ話
## 概要
ネット上での評判がよく,[ITエンジニアに読んでほしい!技術書・ビジネス書 大賞2019](https://www.shoeisha.co.jp/campaign/award/2019/result) にノミネートされていたので興味を持って読んだ。
ソフトウェア開発の現場をよりよくするために,著者の経験を元にしたフィクションのストーリーとその解説を中心とした内容となっている。スクラムやらチームづくりなどについて書かれている。
ただし,自分にはあまり響かなかった。というのも,第一部であるように,結局,自分の考えに賛同する都合のいい人物の登場により状況が改善するからだ。
また,チームづくりに関しても小手先のテクニックな感じがしてならなかった。チームづくりに関しては,チームというよりかは人と人とのコミュニケーションについての本のほうが役に立つ気がした。例えば,デール・カーネギーの名著「人を動かす」であったり,先日読んだ「[ 人を助けるとはどういうことか](https://senooken.jp/blog/2019/02/25/)」などだ。
そもそもスクラムやらこの本で述べられている開発手法については経験したことがなく,おとぎ話のように感じてしまった。一度体験しないと理解できないだろう。
## 参考
> ### p. 044: タスクボードの基本
> TODOを洗い出すと、すっきりする反面、量が多くなってタスクの全体像が俯瞰しづらくなる。だから、TODOには直近で必要な一定期間分のタスクのみを貼り出すようにして、先々のタスクや気付いたことなんかは、別の場所にためておくようにすると良いだろう。この場所を、Icebox (冷凍庫) といったり、Parking Lot (駐車場) と呼んだりする。優先順位をつけずに、いったん預けておく場所という意味合いだ。
>
> タスクには取り組むべき順番がたいていはある。TODOのステージで、上下の並びで優先順位を表現すると良いだろう。
Kanbordというカンバン方式のタスクボードサービスを使っている。カンバン方式のタスク管理はやり方がいまいちよくわかっていなかった。普通に使うと,TODOが大量に出てしまい,縦に間延びしてしまう。ここでタスクボードの使い方が参考になった。
## 結論
ネット上での評判が良かったので期待していたのだが,自分には合わなかった。こういう開発手法というのは,周りにある程度理解者がいたり,自分が権力を行使できる立場にならなければ,発揮できない。
こうしたことができるような現場に入ることや,もっと根本的には人とのコミュニケーションの取り方について学んだほうが有益ではないかと感じた。
パーマリンク: https://senooken.jp/blog/2019/03/05/詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
エンジニア向けの本かと冒頭で思いましたが、広く活用できる内容でした。
特に、インセプションデッキ、ドラッカー風エクササイズ、仮説キャンバスが自身にとっては役立ちそうです。
アジャイル開発のみならず、チームで働く上で大切なことをストーリーに沿って学ぶことができます。 -
アジャイル開発の一歩目はぜひこの本から。
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読み物になっているので読みやすい。ある程度アジャイルやXPの前提知識がある方が読みやすいと思うけど、逆にそのあたりへの取っ掛かりとして読むのもいいかもしれない。
とにかくお手軽なのが本書の素晴らしい点だと思う。 -
個人で、チーム内外で壁が立ち塞がった時に手段やアイデアを得るためにまた読みたい。自分もみんなと越境できたらと思う。
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ソフトウェア開発に携わったことがないので、描かれていることのひとつひとつが具体的にイメージできなかったり、共感しにくかったりすることが多かったが、チーム運営については参考になった。
それを一言でいうと、ひとはそれぞれ違うということ。それゆえひとが集まってできたチーム (自社の組織に留まらず、目的を共有する組織) というものは努力しないとベクトルが合わず、前進することができない。しかしその壁を乗り越えることで、違いを多様性として活かすことができる。 -
アジャイル開発のお勉強。
■仕事をよりうまくやるためには何から始めるべきか?
→タスクマネジメント、タスクボード、朝会、ふりかえり
■ふりかえりの目的
①プロセスのカイゼン
②不確実性の高い状況の下でも前進していくため
■10の問い
<Whyを明らかにする問い>
①われわれはなぜここにいるのか:プロジェクトのミッションは何か
②エレベーターピッチ:プロダクトのニーズ、顧客、差別化ポイントが何かそれぞれに答える
③パッケージデザイン:ユーザーから見たプロダクトの価値とは何か
④やらないことリスト:スコープ。特にスコープに入らないことは何か
⑤「ご近所さん」を探せ:チームを取り巻くステークホルダーは誰か
<Howを明らかにする問い>
⑥技術的な解決策:採用する技術やアーキテクチャは何が考えられるか
⑦夜も眠れない問題:不安やリスクには何があるか
⑧期間を見極める:必要な開発期間はどのくらいか
⑨トレードオフスライダー:ローンチ時期、スコープ、予算、品質はどのような優先順位になるか
⑩何がどれだけ必要か:期間、費用、チーム編成について答えよ
■グッドサイクル
関係の質:お互いに尊重し一緒に考える
↓
思考の質:気づきがあり面白い
↓
行動の質:自分で考え、自発的に行動する
↓
結果の質:成果が得らえる
↓
関係の質:信頼関係が高まる
■むきなおり
誰もがはっきりとはわからない中で、それでも現状から方向性を定め直し、認識を共通にする機会をつくる
たとえば、みんなが電波の届かない山の中にいるとする。たぶん自分たちの位置を理解するためには、コンパスを使って方角を確認するんじゃないかな。しかも、頻繁に。同じように、プロジェクトでも定期的に「むきなおり」を行う必要があるんだ。
①ミッション、ビジョンを点検する
②評価軸を洗い出し、現状を客観的に見定める
③評価軸ベースで「あるべき姿」と「現状の課題」を洗い出す
④「課題解決」のために必要なステップを「バックログ」にする
⑤「バックログ」の重要度と、一番効果の高いものを決める
⑥時間軸を明らかにし、期限も明確に決める
■スクラムマスターの役割
・チームにスクラムの理論、プラクティス、ルールを守ってもらうようにする
・スクラムチームの外部の人たちに、プロダクトやチームについて理解してもらう
・プロダクトオーナーや開発チームの活動を支援、コーチングする
・プロダクトオーナーや開発チームの活動を支援、コーチングする
・プロダクトバックログの価値を最大化させるためのコミュニケーションの方法や、効果的なプロダクトバックログ管理法を伝える
・スクラムイベントをファシリテートする
・チームを観察し、チームの自己組織化を後押しする
・進捗を妨げるものを排除しながら、スクラムチームがつくり出す価値を最大化する
・チームを元気づける
・奉仕や支援を通じて、メンバーが主体的に行動するよう促すサーバントリーダーシップを発揮する
■モダンアジャイルの基本原則
1.人々を最高に輝かせる
2.安全を必須条件にする
3.高速に実験&学習する
4.継続的に価値を届ける -
時間のない中で合宿したりスクラムのフレームワークを使って整理したりする店が実際にやってられるのかと感じた。また、スクラムマスターがあっという間にいなくなったのでスクラムマスターの働きがあまり詳しく理解できなかった。
しかし、さまざまなフレームワークが紹介されていて実際に参考になりそうな知識がたくさんあつた。
もう一度大事な部分は読み返して理解を深めたい -
この一年を追体験した。ふみだす、あらわす、まきこむ。来年に向けて、いい読書とふりかえりができた。
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アジャイルとはというよりも
カイゼンとは何か、どういう手法があるか、そしてなによりも自分の考えを向きなおることができる書籍だと思います。
特にですが今に不満がある方にはぜひ読んで欲しいと思います。
著者プロフィール
市谷聡啓の作品






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