自閉スペクトラム症の人たちが生きる新しい世界 Unmasking Autism

  • 翔泳社 (2024年7月22日発売)
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  • 本 ・本 (368ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784798184586

作品紹介・あらすじ

米Amazon高評価★★★★★1,600件以上
社会に適合するために無理に「普通」を装い、自分を見失っている方へ
本当の自分を見つけて、自分らしく生きるための本!

原題の「アン・マスキング(Unmasking)」とは、自閉症的な特徴を隠し、社会に適合するために表面的な仮面を取り去るという意味。
自らが当事者であり、そのことに誇りをもつアメリカの若手社会心理学者が、自身の体験をベースに自閉スペクトラム症の人々が自分自身を受け入れるまでの過程を描きだします。

・ASDだけでなく、発達障害で苦しむすべての人に読んでもらいたい1冊
・自分に自信を持つための書き込み式エクササイズつき

【第一章】ASD(自閉スペクトラム症)とは何か
ASDのバーンアウト(燃え尽き)/ASDの神経学的側面/ASD者は危険にさらされている/ASDは多様である/なぜASDといえば「鉄道好きの白人少年」なのか/ASDの推奨用語・非推奨用語

【第二章】どういう人が仮面ASD者になるのか?
「女性のASD」によく見られる特徴/言語能力が高く、外向的なASD/「高機能」なASD/仮面ASD者との出会いとコミュニティで居場所を見つけるということ

【第三章】仮面の研究
切り替えが難しい―クリスタルの場合/オタク趣味を隠して強く見せる―ティモテウスの場合/「大人」のふりをする/「お行儀良く」することによる二重の苦しみ

【第四章】仮面がもたらす犠牲
ギフテッドの期待から逃れたくて―ドリアンの場合/「ロボット」のようになりたい/解離―脳内自分ワールドに入り込む/デジタルの世界に逃避/メディアが作るASD=「ムカつく天才」というイメージ

【第五章】ASDをとらえ直す
ASDのステレオタイプを再構成する/ASDの特性を肯定的に言い換える/敏感さが仕事に役立つ/ピート・バーンズが好き―クララの場合/特別な興味の効用/自分の価値観を再発見する

【第六章】ASDに合わせた生活を構築する
成功したインフルエンサーの素顔/ASDの感覚に合わせてインテリアをデザインする/特別な興味に没頭して回復する/ペースを落とそう/自分の好きなことを、自分なりの形で

【第七章】ASDらしい人間関係を育む
他人からの否定的な反応にひるまない/自己開示が合理的なのはどのような場合か/仮面を外した友情を育む/本当に優しい人を遠ざけない

【第八章】ニューロダイバーシティを世界に広げるには
必要なのは社会の変化/障害者に対する法的保護の拡大/神経多様性に関する公教育・専門教育の拡大/だれもが仮面を外せる世界に

感想・レビュー・書評

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  • Unmasking Autism by Devon Price, Final Thoughts : r/AutismTranslated
    https://www.reddit.com/r/AutismTranslated/comments/156qzfe/unmasking_autism_by_devon_price_final_thoughts/?rdt=52997

    Devon Price | Substack
    https://drdevonprice.substack.com/

    自閉スペクトラム症の人たちが生きる新しい世界 Unmasking Autism(堀越 英美 デヴォン・プライス)|翔泳社の本
    https://www.shoeisha.co.jp/book/detail/9784798184586

  • あるとき「ASDの傾向があるのかもね」と医師に言われて、「実際のところASDとはなんなのだろう、自分はASDなのか」とその足で書店に向かい出会った一冊。現代アートのように新しいようで、どこか昔の懐かしいニュアンスを感じる、独特な雰囲気の装幀も好み。カバーの紙の手触りがやさしくて落ち着く。

    読了後、どうやら自分にはASDの傾向があると理解した。でも極端な事例に当てはまるほど強い症状はない。聴覚過敏や不安症を抱えながらも、自分に合った仕事に就いている。すこぶる元気な日だってある。実際には多くの人がASDの要素を抱えていて、その多様性と環境の組み合わせのなかで、うまく生きられる人もいれば、不運が重なってしまう人もいるようだ。

    そうそう。この多様性が厄介。ニューロダイバース(神経多様性)やスペクトラムといった言葉に表れているようにASDの特徴はほんらい多様なもの。

    ASDの典型的な例として思い浮かぶのが、ハリーポッターのニュート・スキャマンダー。彼はホグワーツの学生の頃から魔法生物に没頭していて、最終的には魔法生物学の権威となり本を出版するまでに成長する。その反面、人付き合いは苦手そう。アイコンタクトがうまく取れないのが特徴的。

    でも、みんながみんな典型的なASDのようにわかりやすい傾向を示すわけではない。ちょっと社交が苦手とか、ちょっと特別な興味があるくらいの人もいる。そして、ASDの傾向が弱いせいで問題が表に出てこない。本人にとってはつらい毎日でも見過ごされてしまう。

    しかし、本書では、ASD的な自分がそのまま受け入れられる世界もあると示す。普通であろうとする仮面を外して(アン・マスキング)、自分らしくあり、その自分を受け入れてくれる環境に身を置くことが大切だと指南する。

    では、「自分らしくある」とは何だろう。この本では「価値観」という言葉でそれを示している。つまり、価値観に従って生きることが、自分らしくあるということになる。

    本書には「自分の価値観に基づく人格統合」という一連の参加型ワークがついていて、読み進めるにつれて自分の価値観が明らかになっていく。むずかしいかもしれないが、真剣に時間をかけて取り組むことをおすすめしたい。一回きりの人生に自分の大切にしていることが見えてくる。そして、それを基にどのように生きていくことが自分にとって心地よいのか考えて、自分の環境をよい方向に再構築できる。

    自分がASDなのかどうか悩んでいる方や、ASDについて知りたい方にとっては必ずためになる一冊。「アン・マスキング」して「価値観」に沿って生きられたらどんなにすてきなことだろうか。

    翻訳もそのまま心に届いてくるような文章ですばらしかった。

  • アメリカの発達障害に対する偏見は日本より根強いものだと感じた。世界共通として言えることは発達障害者は生きづらいという事。特性を治す事に注力するのではなく自分を受け入れてくれる居場所作りや見つけの方が大事なんだと痛感。やはり孤独が癒やされると悩みも軽減される気がするから。

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