要請としてのカント倫理学

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  • 九州大学出版会
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  • Amazon.co.jp ・本 (359ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784798500706

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  • カント倫理学の核心を「要請」として理解しようとする研究。「理性の事実」論がカントの道徳哲学における挫折を示すという評価を批判し、道徳の根本法則が理性の事実として与えられるという帰結は、道徳の根本法則が実践的意味における「要請」(モデルはユークリッド幾何学の要請である)であるという帰結の積極的な捉え直しにまで至っていることを指摘する。こうした要請を与えるのは、自然に関して立法的である悟性の能力とパラレルに把握される理性能力である。すなわち理性は自由に関して立法的であり、それを端的に表すのが、「かく意志し、かく命ず」という格言に他ならない。根本法則を要請として捉え直すことによって、カントの法哲学もまた、法法則を要請として提示していることが明らかになる。そして、カント哲学の根本は、自ら作る=構成するもののみをアプリオリに認識するというものであった。そうした構成をモデルとして悟性認識が構想されているのであれば、理性認識は、構成を可能とする要請をモデルとして構想されているのである。そうしてここで、理論哲学と実践哲学の位置関係が通常の理解に反して逆転する。人間の究極目的の教説としての哲学というカントの哲学の機能理解に照らした時、カント哲学の全体系が、要請としての哲学という理念に帰着する。
     カントのテキストを綿密に解釈しながら、その積み重ねによってカント哲学の根本的特徴が解明している。今後のカント研究にとっては無視し得ない労作であるように思う。

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