宗教のレトリック

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  • Amazon.co.jp ・本 (222ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784798701332

作品紹介・あらすじ

真実か、騙りか―。 10のレトリック(提喩・隠喩・諷喩・換喩・転喩・直喩・誇張・列叙・対比・逆説⇒爆笑の事例満載!)で、宗教の本質と構造を浮かび上がらせる。
「レトリック(=人間の言葉の技法)から宗教を見るということは、宗教というカミサマの息のかかった空間を、どこまでもどこまでも人間の視点から見ていくことなのだ」(著者・中村圭志)

感想・レビュー・書評

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  • 「人間の思考や行動は、森の生態系のように複雑なのだ。その複雑さが、一方では言語表現における多彩なレトリックのタピストリーとなって、他方では社会的実践における宗教の振る舞いとなって現れている。だから人間社会のこの二つの層を互いに重ね合わせ、レトリックを指標にして、宗教の幅と奥行きを測ってみようとする試みが成り立つのではないか。」
    レトリックについて書かれた本を何冊が読んだが、最も腑に落ちた一冊です。

  • 宗教と言えども人の活動であり、必ずと言っていいほど言葉
    が介在する以上、そこにレトリックが働くのは必然である。
    そういう意味からも宗教におけるレトリックを考察すること
    は重要な意味を持つだろう。

    ただ「レトリック感覚」「レトリック認識」の2冊を読んだ
    直後だったせいか、どうも表面的な部分をひっかいただけに
    終わっている印象が強かった。読み物としては面白いので、
    この本を入口にして次に進め、ということなのだろう。

  • おもろいです。小難しく書いてあるがおもろいです。

  • 「ものの喩えが、喩えなのか現実なのかわからなくなっている場合に、それは呪術となる」 ー 41ページ

    直喩は呪術だということですね。わかります。
    いや茶化してしまったけども本当これはその通りだと思うし、次の筆者の指摘である

    「つまり本気の呪術と、演技としての呪術(的振る舞い)とは紙一重の差でしかない」 ー 42ページ

    というのも素直にそうだなと思う。そこのジャンプアップしている部分が科学的ではなく感性的で、現実の潤滑油になっている部分なのだろう。

  • レトリックから宗教をとらえるという観点は、知っておく必要がある。
    宗教というものもきわめて多様な現象で、世の中の現象は無限にあるのに言語は有限である。レトリックの使用は人間にとって必然なことである。

    「かみさま」と「現実」という二つの極限値にはさまれた空間に展開する。

    第一章の『本質を見る』のみをあげると提喩から始まっている。

    提喩とは、本質的と思われる特徴を拡大して呼ぶ呼び名。
    提喩の「本質主義」は、人間を一個の抽象的特質へと昇華させる。
    抽象的特質とは、人の持っている何かの特徴を強調するもの。

    僕らはレトリックを知っておくと、怪しい宗教(宗教だけとは限らないけど)に勧誘されたり、騙されそうになったり、説得されそうになった場合に、この論理できたら次はこうくるだろうなとわかっていれば自分を守る意味でとても大切なことだ。

    レトリックは普段の会話にも使われるように「どんな人にも親しい」という性質があるのだから。

  • さまざまな宗教をレトリックという観点で捉えなおしたものです。差異よりも共通点に重きを置いており、横断的に、かつ俯瞰で考えることができました。(著者自身も認めるように)宗教がレトリックで信者を集めているかのような誤解を与える懸念もありますが、「宗教というもの」を理解する一助となるのではないでしょうか。

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著者プロフィール

1958年生まれ。北海道大学工学部建築工学科卒業、東京大学大学院人文科学研究科修了(宗教学専攻)。
著書に『信じない人のための〈宗教〉講義』(みすず書房)『信じない人のための〈法華経〉講座』(文藝春秋)『人はなぜ「神」を拝むのか?』(角川書店)『初めて学ぶ宗教――自分で考えたい人のために』(共著、有斐閣)『超訳 法華経』(中央公論新社)『宗教のレトリック』(トランスビュー)ほか。
訳書に『宗教の系譜――キリスト教とイスラムにおける権力の根拠と訓練』(T・アサド、岩波書店)『世俗の形成』(T・アサド、みすず書房)『心の習慣――アメリカ個人主義のゆくえ』(R・N・ベラー他、共訳、みすず書房)『ファンダメンタリズム』(M・リズン、岩波書店)
『科学と宗教』(T・ディクソン、丸善出版)ほか。

「2014年 『宗教で読み解く ファンタジーの秘密 Ⅱ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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