SQ “かかわり”の知能指数

著者 :
  • ディスカヴァー・トゥエンティワン
3.38
  • (15)
  • (34)
  • (45)
  • (17)
  • (2)
本棚登録 : 466
感想 : 52
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (248ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784799310830

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • メモ的な。
    読んで印象的だった話を断片的に。

    >地元とジモト。
    「地元」とは生まれた土地のことで、学校を卒業して就職したら、離れるかもしれない場所のことだったが、「ジモト」という現代の地元志向を持った若者にとっては、ホームとなる場所になっている。さらに、ジモトは地理的な意味合いよりも、人間関係の範囲。仲間がいる場所がジモト。

    >コンパクトシティとショッピングモール
    著者はコンパクトシティについては楽観的には見ていない。理由は、人が商業地を求めて移動するスピードより、商業地が住宅地に向かってくるスピードの方が早いから。(確かになあ)逆に評価しているのは、「ライフスタイルセンター」と呼ばれるコミュニティ機能を有した地域の核になるショッピングモール。それはどちらかというと中規模のもので、それぞれの地域の特色を持っている(むしろ公民館が商業施設を持ったみたいな感じ?)

    疑問点。
    少し疑問に思ったのが、SQが高い人はお金持ちが多いってことがどういう意味を持っているのかってことにあんまり触れられていないこと。

    思ったこと。
    著者は「他者と出会ってしまう場所」に関心があるんだなあってこと。それが家の中であるシェアハウスと外のショッピングモールっていう二つの観点で論じられていたこと。

    キュレーションの時代 「つながり」の情報革命が始まる (ちくま新書) 佐々木 俊尚 http://www.amazon.co.jp/dp/4480065911/ref=cm_sw_r_tw_dp_Ex63ob1G2CF80
    とか、
    スペンド・シフト ― <希望>をもたらす消費 ― ジョン・ガーズマ http://www.amazon.co.jp/dp/4833419661/ref=cm_sw_r_tw_dp_-p63ob0FYEZHF
    とか、最近読んだ
    絶望の国の幸福な若者たち 古市 憲寿 http://www.amazon.co.jp/dp/4062170655/ref=cm_sw_r_tw_dp_8z63ob1C3RYAF
    とかは結構重なる部分も多いのかなあ。

  • 読みやすい
    脱競争社会、多様化

  • かかわりの知能指数とは、幸福度を高める他者とのかかわり力のこと。
    他人の手助けをすることを幸せの基準とすること。
    人は誰かと協力しないと生きてゆけません。縁を大事にすること。
    適切な範囲内でできる範囲で手助けすることが一番。
    お金で幸せを買う時代はおわり、人との付き合いで幸福感を得る。
    高齢者と若者が出会う場としての中規模地方都市の活性化を目指す。

  • SQとはSoceial Quotientの略で、幸福度を高めるような他者(=社会)へのかかわりの力を表す指標のこと。知能指数を表すIQのような概念らしい。
    9.11以降、世界的に消費社会からSQ型の社会へと移行する動きがある中で、3.11以降、日本においてもその傾向が顕在化してきている。ただ、日本はSQ型の社会構造がまだ整備されておらず、人々の根底にある価値観も追いついていない。そのミスマッチから様々な社会問題が起きていて、このままだと10年後取り返しのつかないことになるからSQがどうして必要なのかを説明します。というのが、この本の雑な概要。

    高度成長期からバブル崩壊までの社会構造の変遷を少しクドいほど丁寧に説明しており、このあたりは社会学を学んでいる人には退屈かもしれない。でも、この変遷を過不足なく拾っているからこそ、「SQ、大事だよね」の説得力が増すのであり、最終章での著者の(衝撃の?)告白にも迷いなく頷けるのだろう。

    「いい学校」「いい会社」の階級上昇が約束されていたり、モノや消費活動によってアイデンティティの構築が可能だったりした「黄金時代」が崩壊したにもかかわらず、今の日本社会の制度や多くの日本人の価値観が、旧来の「黄金時代」から抜け出せていない。という指摘は、教育や広告に関わる中でひしひしと感じていること。インフラの整備だけでなく、コンテクストの構築にまで言及しているところは、身の引き締まる話でもある。

    付録のSQ診断のようなコーナーのイラストが超ステレオタイプ(アニヲタとかセレブ)なのが気になる(俯瞰的なわかりやすさは大事だが、定型からあぶれてしまった人たちまでをカバーするのがSQ型社会が目指すべき到達点ではないの?SQを広める本がステレオタイプのイメージ訴求に追従するのは、浸透しやすい一方で、かつてのエコやロハスのように消費されてしまう危険性もある)が、ぼんやりと抱えていた「SQ的なものって大事だよね」の背景の部分を丁寧にまとめてくれているので、考えるきっかけとして多くの恩恵を受けた一冊。

  • 著者がいう。SQ(Social Quoitent)が自分に全然ないことに驚嘆。

    この本は、日本の人材層の変化をわかりやすく丁寧に紐解きながら。
    そして、今後の日本に必要なSQ社会的人物の渇望が書かれた良書だと思います。

    グローバルな知識をもち、ローカルに行動できるコーディネート力を身に着けたい。

  • まさにまさに今読むべき本のひとつ。社会貢献というほんの少し前のトレンドではなく、生きやすい社会をつくって行くための様々なアイデアや示唆がある良書。いまだに高度経済成長時代のシステムという亡霊が蔓延するこの時代に対しての具体的な提言がとても興味深かった。街づくりや行政の人など多くの人に読んで欲しい。

  • 身近な他者への適切な範囲での手助けが、人々の幸福度を高める。社会的なかかわりの力を表す指数「SQ(Social Quotient)」が高い人の幸福度は高い。SQ的な行動や、SQ的な社会づくりのあり方を説く。

  • 高度経済成長期の価値観から脱却し、幸福度を高める生き方を、SQを使って分析し、活用していくことを提案している本。

    どのような価値観を持ち、行動をとっている人が、幸福感を感じることが多いのか、ということをデータをもとに分析している。

    過去の仕事観や家族観の形成理由や、それらの価値観が現在では当然のものとして受け入れられない理由等、歴史的な理由も解説されているので、それらを読むのもいいかも。


    ちょっと気になるのは、「SQ的な社会でSQ値の高い人間として生きていくというのは、自分には無理のような気がします。」と、SQ的社会の難しさを自ら認めてしまっていること。
    「SQ的な手立てとは別の手立てが必要」と書いてあるので、次回は手立ての議論がされることを楽しみにしたい。

  • 人々の幸福とはなにか。

    東日本大震災では、多くの方々が、一度も見たこともない人々に
    支援を行っていました。 
    彼らは、自分たちから積極的に行っており、それが、彼らの幸福にもつながっている

    つまり、人々を助け合うことで、幸福を得られるといった考えが、これからの日本社会において非常に重要であることを述べている。

    著書では、現在起きている社会的事象を、この考え方に照らし合わせて、
    述べている。

    経済学、社会学やコミュニティ形成に興味のある私にとって、
    大変興味深い本でした。

    今後の社会の変化がどのように起こっていくのか、という事に
    興味のある方は、読んでみてもいいかもしれません

  • 良書。また読む。共感する箇所がありました。いまやってるソーシャル・リクルーティング(茶会人訪問)やソーシャル・コマース(内緒)のウェブ開発で(結果的に)「SQを高める設計」をしてることが確認できました。「SQ」という概念はもちろんこの本を読むまで知りませんでしたが、近いことは考えてたなあと。

著者プロフィール

関西学院大学准教授。国際大学グローバル・コミュニケーション・センター客員研究員。専攻は理論社会学。ソーシャルメディアやIoT、VRなど、情報化社会の最新の事例研究と、政治哲学を中心とした理論的研究を架橋させながら、独自の社会理論を展開している。
著書に『カーニヴァル化する社会』(講談社、2005年)、『ウェブ社会のゆくえ─〈多孔化〉した現実のなかで』(NHK出版、2013年)、『未来を生きるスキル』(KADOKAWA、2019年)ほか多数。

「2022年 『グローバリゼーションとモビリティ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

鈴木謙介の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×