SQ “かかわり”の知能指数

著者 :
  • ディスカヴァー・トゥエンティワン
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  • Amazon.co.jp ・本 (248ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784799310830

感想・レビュー・書評

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  • メモ的な。
    読んで印象的だった話を断片的に。

    >地元とジモト。
    「地元」とは生まれた土地のことで、学校を卒業して就職したら、離れるかもしれない場所のことだったが、「ジモト」という現代の地元志向を持った若者にとっては、ホームとなる場所になっている。さらに、ジモトは地理的な意味合いよりも、人間関係の範囲。仲間がいる場所がジモト。

    >コンパクトシティとショッピングモール
    著者はコンパクトシティについては楽観的には見ていない。理由は、人が商業地を求めて移動するスピードより、商業地が住宅地に向かってくるスピードの方が早いから。(確かになあ)逆に評価しているのは、「ライフスタイルセンター」と呼ばれるコミュニティ機能を有した地域の核になるショッピングモール。それはどちらかというと中規模のもので、それぞれの地域の特色を持っている(むしろ公民館が商業施設を持ったみたいな感じ?)

    疑問点。
    少し疑問に思ったのが、SQが高い人はお金持ちが多いってことがどういう意味を持っているのかってことにあんまり触れられていないこと。

    思ったこと。
    著者は「他者と出会ってしまう場所」に関心があるんだなあってこと。それが家の中であるシェアハウスと外のショッピングモールっていう二つの観点で論じられていたこと。

    キュレーションの時代 「つながり」の情報革命が始まる (ちくま新書) 佐々木 俊尚 http://www.amazon.co.jp/dp/4480065911/ref=cm_sw_r_tw_dp_Ex63ob1G2CF80
    とか、
    スペンド・シフト ― <希望>をもたらす消費 ― ジョン・ガーズマ http://www.amazon.co.jp/dp/4833419661/ref=cm_sw_r_tw_dp_-p63ob0FYEZHF
    とか、最近読んだ
    絶望の国の幸福な若者たち 古市 憲寿 http://www.amazon.co.jp/dp/4062170655/ref=cm_sw_r_tw_dp_8z63ob1C3RYAF
    とかは結構重なる部分も多いのかなあ。

  • SQ「Social Quotient」とはかかわりの知能指数のこと。

    日本でも震以降、社会貢献の機運が高まっているように見えますが、これは
    世界的な潮流のようで、むしろ震災を機に表に出たというのが著者の主張である。

    戦後日本の歴史を振り返りつつ、家族の概念がどのように変化したのか、今後どう変化していくのか、ヒントを示している。

    今後は、本著ではあるべき論だけなので、地域をコーディネートする人材をどう育成するか、商業施設間を結ぶ物流・人流をどうするか、という具体論が展開されると言いかと思います。

  • 今までの鈴木氏著作のなかでいっちばん読み易かったです。こんなに解り易く書いてもらっていいんだろうかと本当に不安になる…蛇足ですが最近どの著者のどの本もそうで、ありがたいんだけどなんか、いいのかなって思ってドキドキする…

    提示されていることは新しいアイディアというより、いま波として起きつつあるものを明確に描き出して下さった感じで、ほんとに、この感覚/価値観がもっともっと広がれば良いなと思いました。

    SQ値はベラボウに高かったですが、だから幸せかと言われると良くわかりません。たぶん、SQ値の高さは相互関係があってこそ活かされるのではないかなーと思いました。

  • 見慣れた他人 は、共感できます

  • IQ,EQからSQ(Social Quotient:かかわり知能指数)の時代へというキャッチコピーに惹かれて読んでみた。震災後1万人の調査から「他人に関わって相手のためになることをしたいと思っている人は幸せな人が多い」、そして「他人に関わろうとする態度は、それがないと不幸になるわけでないが、幸福度が増す要因になる」ことを明らかにした。さらにそこには適切な範囲(自己犠牲的な奉仕より、自分のできる範囲で協力など)があることも指摘している。そして献・広・心・次というキーワードからSQ度という指標を提案している。SQ度というのはマーケティング的かなという気もするが調査結果及び指摘は納得感あるもであった。

    著者は76年生まれでTBSラジオ「文化系トークラジオ Life」、NHK「青春リアル」などにパーソナリティーをしている。同年代ということもあり、特に「life」はweb上でアーカイブを聴いたりして、共感することが多かった。それだけに期待が大きかったのであるが、万人向けを目指したのが、「まあそうだよね」というところで終わってしまい残念。もちろん「まあそうだよね」を数値的に示すのはたいへんなのであるが。

    今後は、もっと現状を突破するような言論を期待したい(そうなると本は売れないかもしれないが)。

  • 読みやすい
    脱競争社会、多様化

  • 丁寧でよかった。持続的に持ち続けることができる関りを有する人はより幸福である可能性が高い、という統計に基づいて、これから来るであろう人口減少、消費減少の社会に対しての提言まで、ソフトで読みやすかった。

    一番よかったのは、黄金世代、団塊の世代ののちに来る現代までの世代の幸福に関する特徴と推移の考察が分かりやすくて、ちょっと別ノートにでも書きだしたい気分。学者たちが次の世代のために必要なアイディアを提言し続けることの大切さを、なんとなく感じられた。

    17.4.20

  • タイトルに対して読者が期待する内容と乖離が生じる可能性が高いと感じた。戦後からの社会学的な分析は非常に参考になったが、SQという新しい概念への言及などが非常に乏しい。

  • p.48図「献・広・心・次」の度合いを(再)確認してみよう。

    p.48の図で示された近すぎないか遠すぎないかの度合いをチェックすることで、いまの自分の傾向を知るだけでなく、過去の自分と比べた変化を確認できた。

    学生のころはやはり自己犠牲に走りすぎていたり、地球規模の普遍的価値を求めたりしがちだった。よくある若者らしい理想主義や潔癖主義だったし、自分と世界の間に社会が失われたセカイ系の感覚にも近い。端的に意識高い系だったともいえる。

    それから数年のらりくらりと生きてきて、学生の頃と考え方がまったく変わっていない自分にすこし危機感を感じていたのだが、この図を通して、今はそこそこバランスのとれた距離感を意識できている、ということで少しは人間的に成長したのかなと及第点をあげてやろうと思えた次第。


    ・電源のコンセントをリビング中心に据える提案
    ・ソフトカー+電動カートの電気シェア
    などには心惹かれた。

    (集住介護シェアハウスとかもできないかなー。新聞奨学生みたいにちょこっとずつ介護に貢献しながら生活できるみたいな。)

  • 日本人の絆意識は震災を機に深まったと言われているが、あたかもそれが一般化され、検証されないまま「幸せ=他者への手助け」という普遍構造のごとくまかり通っている感に疑問を感じる。レベッカ・ソルニットは著書「災害ユートピア」の中で、大災害の中に奇妙な共同体が生まれる理由について、平常時の様々な構図が崩壊することによって大多数が兄弟の番人になろうとし、同じ目的意識、連帯感の中に一種の喜びをもたらすからと分析している。つまり「かかわりへの喜びは」ある意味特需的ともいえ、決して普遍の意識とは言い切れない。ただ、そうは言っても、著者自身がかわり度に対してSQというレベル分けしている以上、その前提は大して問題ではないのかもしれない。「100万人に1人の天才よりも100人に1人のそこでしかできないことができる才能」という言葉には納得させられた。

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著者プロフィール

関西学院大学准教授。国際大学グローバル・コミュニケーション・センター客員研究員。専攻は理論社会学。ソーシャルメディアやIoT、VRなど、情報化社会の最新の事例研究と、政治哲学を中心とした理論的研究を架橋させながら、独自の社会理論を展開している。
著書に『カーニヴァル化する社会』(講談社、2005年)、『ウェブ社会のゆくえ─〈多孔化〉した現実のなかで』(NHK出版、2013年)、『未来を生きるスキル』(KADOKAWA、2019年)ほか多数。

「2022年 『グローバリゼーションとモビリティ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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