日本は再生可能エネルギー大国になりうるか (ディスカヴァーサイエンス) (DISCOVER SCIENCE)
- ディスカヴァー・トゥエンティワン (2012年6月29日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (264ページ)
- / ISBN・EAN: 9784799311691
作品紹介・あらすじ
福島第一原発「民間事故調」の委員長を務める著者が、あらためて、福島原発事故について語り、原発のリスクを問い、脱原発を行うための経済的検証を行う。本書は、再生可能エネルギーによる日本復刻の「百年の計」を示すものである。
感想・レビュー・書評
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福島「民間事故調」委員長の新刊。前半は震災後の政府・東電・科学者による情報処理、事故対応の総括と問題点を客観的に要約。後半は、今後数十年単位の視点で、再生可能エネルギーの導入をどのように進めていくべきかを、政策インセンティブ・コスト・諸外国の状況も考慮しながら分析。昨今のエネルギーに関する言説や主張は、ともすれば感情的・断定的・即時的になりがちだが、より多くの人たちにこの本を読んで欲しいと感じた本。
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福島原発事故独立検証委員会委員長の手による再生可能エネルギーへの移行の可能性を定量データを基に客観的に論じた一冊。
前半は福島原発事故の分析に充てられており、組織と個人が非常事態においてどのように失敗に至るのか、言い換えれば組織のルールや文化が個人の判断と行動にどのような影響を与え、それらの判断と行動の一つひとつが逆に組織に対してどのように影響するのかがわかる。
後半は再生可能エネルギー移行に向けた分析とシナリオであり、「『原子力はいやだ』という国民感情と、『原子力がないと経済はめちゃくちゃになるぞ』という…経済界からの警告との、二者択一の議論」に対して「もう少し定量的な議論をしなければならない」という筆者のアプローチは、ともすれば感情的な極論に走りがちな日本の現状において、貴重な材料を提供してくれる。
標準的な新書の分量だけれど、前後半で2冊分読んだ気になるほど、それぞれに中身が濃く、読み応えがある。 -
直流送電網 超電導
ソーラーシェアリング
浮体洋上風力発電
電解・発電産業 -
いろいろなデータがたくさん!
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筆者は高温超電導の研究で世界的に有名であり、福島原発事故独立検証委員会、いわゆる「民間事故調」の委員長でもある。5章構成の冒頭である第1章は、3.11福島原発の事故の様子を改めて振り返ったものであるが、今まで読んだ原発事故に関する記述の中では最もわかりやすく、かつリアルなものであった。この部分だけでも、できれば一読をお奨めしたい。
この事故が、首都圏を含む3000万人の人たちが避難をしなければならないという最悪の事態にまで至らなかったのは、まったくの偶然が重なったからにすぎないという事実には、思わず鳥肌が立つ思いだ。また、エネルギー政策の現状と問題点や今後の展望についても、平易な表現でありながら詳しく丁寧に語られているので、エネルギー問題に関心のある方には、うってつけの良書と言えよう。惜しむらくは、何か他の案はなかったのだろうかという気がしてならないタイトルのイマイチ感がもったいない。 -
脱原発なのか、原発存続なのか、二者択一の議論が多いですが、元東大教授、JST理事、原発事故調査委員会の委員長としての立場で書いてあるので、1つの考えとしてはバランスが取れていると思います。
前半は原発事故の問題点で、原発事故調査委員会の委員長としてもかかわっているので感情論ではなく、科学者としての視点があって面白い。後半は、脱原発として考えるとしたらという諸外国の例や可能性を、ロジックでエネルギーを代替できるのかを考えているのかがわかりやすい。
政治の争点にもなりやすいですが、感情論ではなくて、原発の危機想定が未熟だったように、実際の想定をせずに結論を急ぐのは危ないと改めて感じました。 -
【読了レビュー】民間の原発事故調査委員会の委員長による、世界のエネルギー事情を踏まえた、日本のエネルギー戦略についての提言が述べられている。
これを読んで一番思ったことは、「日本を救うためには、世界を救っていくしかない」ということ。
今後発展途上国の発展が進んでいくに連れて、世界でエネルギーが足りなくなることは目に見えている。
そんな中で資源も頭数もない日本が、侵略されずに世界で認められていく為には、省エネ・再生エネルギーに関するアイディアや技術力でいち早く成功を収めて、世界へとその技術を普及させていくことが肝要であると思うし、何よりもそういった夢や目標を持った国家の一員でありたいと願う。 -
とても参考になりました。
原発デモに参加されてる方々に、読んでみてほしいなー、と思ったり。