- Amazon.co.jp ・本 (266ページ)
- / ISBN・EAN: 9784799312933
作品紹介・あらすじ
リフレとは、インフレをわざと起こすことである。デフレ脱却のためにリフレ政策をとることを公約に掲げて、安倍自民党が総選挙を圧勝したことから、一躍、一般にも有名になった。しかし、これは最悪だ。日本経済が崩壊する可能性があるからだ。善意で主張した政策が、誤った政策だからだ。しかも、それが国民に受けている。本書では、リフレ政策においては、どのようなことを行い、それがどういう帰結をもたらすのかについて、解説する。日本経済がどうなってしまうのかについて、そのプロセスを丁寧に追っていく。さらに、今後の日本と日本企業がとるべき道を示す。
感想・レビュー・書評
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先日読んだイェール大学名誉教授の浜田宏一氏の『アメリカは日本経済の復活を知っている』では、日銀の金融政策でデフレ脱却、円高解消は出来ると書かれている。国債で大きな債務を抱えているが、同時に世界一の対外純資産を持っている世界一の債権国でもあり日本国民の将来の納税力があるため円の信頼はゆるぐことは無いと言っている。
一方この本の著者は、『リフレ』つまり『インフレを起こそうとすること』はまずいと主張する。金融政策だけではインフレは起こすことはできない。インフレが発生するためには強い需要が必要だが、所得が増えない状況では需要が増えずインフレは起きないという。円安輸入コスト高でインフレは起きるが、このインフレは求めるものではない。本当に給料は増えないのか? アベノミクスは別に金融政策だけではない。給料を上げた会社は法人税の減税の対象とする政策を同時に実施しているが、ここではふれられていない。
また円安ではドル換算でその価値が下がり国債が暴落すると主張する。国債を抱える銀行が厳しくなり、貸し渋り、貸し剥がしがおこり経済が回らなくなる。一方浜田氏の本は、借金は多くても国民の対外純資産は世界一であり、将来の国民の税金の支払い能力があるため円の信頼は揺るがないと主張している。
兎に角この2つの本は互いに対立している。この手の本、素人の私は読む度にそれが正しいと思い込まされるてしまう。一体どっちが正しいのか? 浜田氏の本は名誉教授という立場のやや上から目線でかかれいて、是々の論理は証明されていて自明、どこどこの偉い人がこう言っている、というような内容になっているので今ひとつスッキリしないのに対して、この本は非常に一つ一つの内容について丁寧に説明しようとする姿勢が見えるので、本としてはこちらの方が好感が持てる。
日本国債の空売りでヘッジファンドが何故損をしたのか、みんなの党がリフレ派であること、タコ紐理論とはどういうことか等、本題からはそれるが勉強になる内容もたくさんあった。楽しめた。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
論理的に解説を試みているので、わかりやすいが、リフレ政策がダメなら別に良い政策の選択肢が提案されているかというと、そうでもない。我々は金融商品の闇鍋を喰らいながらいいていくしかないのか?腹立たしい気持ちが強まって来た。
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今経済論壇が活発だし、まぁ売れてるみたいだし、この版元のこのレーベルは「電子書籍の衝撃」で印象もよかったので読んでみた。
論旨は明確で読みやすい。センセーショナルなタイトルの割にはちゃんと建設的。この辺がディスカバーさんのバランス感覚かね。全体としてリフレ派への評価を「~だと思います」としていて、論証責任を放棄しているのは誠実ではないと思う。こういう感情っぽさを入れた方が受けるのかな。
たぶん産業戦略のビジョンがリフレ派と違うんだろうなぁ。新しい価値、新しい技術革新で攻めていかないといかんという主張は割と好きなのだけど、もう一冊くらいリフレ派の本を読んでから自分の主張を決める。 -
円安誘導もインフレターゲットも、金融緩和の結果であるにもかかわらず、あたかも日本を救う(しかも欧州やUSと比べてそんなに危機なの?!)究極の手段のように語られるアベノミクス。そもそも円で物事語っていることがすでにおかしい。日本の多くの企業が、成長の源泉を海外に求めていますよ。小幡先生の主張に同意。
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本書を読むと、“インフレ”、“デフレ”、“スタグフレーション”、“景気”というような概念や、日銀等の中央銀行というモノが採択して推進する施策というものがよく判る。
“デフレ”状態が永く続いて困っているのだから、何とかしなければならないという論旨の本は少し前に読んだ…と言って、“インフレ”というものも、実は故意に発生させることが出来るでもない…結局「時代は変わった。世界は変わった」と「考え方を変えて対応する」他無い訳である…
巷で“是”とされているものに関して「それには“非常に悪い展開”をする可能性も在る」という話しは、本書の著者が断るように「彼が嘘を…」と批判されるような状況の方が善いのであろう。が、大勢が“是”としていることであろうと「本当にそれで善いのか?!」と考える材料を仕入れて考えることは必要なように思う…そうした意味で、本書は広く奨めたい一冊である。 -
・経済政策の議論を期待すると肩透かし。党派的な本でした。
・とある国公立大学の計量経済学の教授が、大学付属図書館の発行する媒体で、本書を学生に推薦しているのを発見しました。アンチ・リフレ派の本に限っても本書より良質な(学術的な)書籍は当時でも存在していたにもかかわらず本書を選ぶあたり、当該教授は焦っていたのでしょう。 -
さんざんリフレを否定するだけの本
ではその対策はというと、別の本で紹介するという無責任極まりない内容でした
また、文章が下手な上に冗長すぎ、出典も明らかにせず、また資料も自分に都合のいいものしか使わない、都合の悪い話は何の説明もなく流すなど、内容の如何ではなく、話の信用性に大いに疑問を感じる。
ちなみに帯にはアベノミクス→日本経済危機と書いてありますが、どちらかと言うと過度のリフレ(わざとインフレを起こすこと)→日本経済危機であり、アベノミクス批判というのは的外れ。これは出版社がブームに乗って煽っただけかな?
そもそも前半は自分の主張を押し通すため、とにかく批判しまくってるんですが、後半になると、結局悪いのはリフレ派、日銀はちゃんと「デフレからマイルドなインフレに長期的に移行するのが望ましい。そして何より、デフレなのだから、金融緩和の副作用であるインフレを警戒する理由がひとつ減る。資産市場のバブルや為替への投機の誘発などにはならないよう注視しながら、様々な手段を駆使して金融緩和を実現するよう努力すべきだ。」(P199)というスタンスでやっている、とか、、、拍子抜け。結局、この日銀のスタンスが現在の最適解だと思う。つまりこの本には著者の長々と不要な説明ばかり書いていただけ? -
アベノミクスの中心的考え=リフレーションの考えをまとめる(Matome)にはいいかなぁという感じ。2chとかWikiよりちょいマシっていう感じ。
景気をよくするためにインフレを起こすことは因果関係が逆で、景気を上昇した結果インフレが起こる。だから、インフレを意図的に起こさんがために国債を暴落させるリフレっていうのは、無理を通して道理を引っ込めるような行為なわけだけれど。
リフレにしても消費税増税にしても狙っているのは駆け込み需要だ。それは単なる先食いであって、将来の需要がその分、減る。不況の継続をやめたいのであれば、所得を増やし需要を拡大する以外にない。
それにしても何故、日本人はリフレが好きなのだろう? それは国民が政治家に、政治家が官僚に、官僚が日銀に責任転嫁をしたいからだと著者はいう。安倍首相は単純なのでリフレ派の単純な理屈を「自分の頭で理解」し、まんまと感化されたというのは笑った。
リフレで喜ぶ人は株価上昇を歓迎する市場関係者(エコノミスト、アナリスト)だけだ。