失敗の科学

  • ディスカヴァー・トゥエンティワン
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  • Amazon.co.jp ・本 (343ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784799320235

作品紹介・あらすじ

誰もがみな本能的に失敗を遠ざける。だからこそ、失敗から積極的に学ぶごくわずかな人と組織だけが「究極のパフォーマンス」を発揮できるのだ。オックスフォード大を首席で卒業した異才のジャーナリストが、医療業界、航空業界、グローバル企業、プロスポーツチームなど、あらゆる業界を横断し、失敗の構造を解き明かす!

感想・レビュー・書評

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  • 【感想】
    誰しもミスは報告したくないものだ。
    ミスを報告するとその対応に追われるし、もちろん自らの評価も下がる。自分が100%悪いと分かっていても、「相手側にも過失があった」と都合よく解釈をねじまげ、自分の行いを正当化する。言い訳を重ねるうちに、ミスがいつしか「不運」になり、そのうち「巻き込まれ事故」に変わっていってしまう。そうすると、もはや間違いを犯したという意識が無くなり、よくある一つのトラブルとして改善されることなく闇に消えていく……。

    本書では、各業界で起こった重大事故をもとに、このような「失敗を活かすことができない典型例」を浮き彫りにしつつ、人や組織が失敗からどのように学ぶことで成功につなげられるかのメソッドを論じている。
    文中で大きくピックアップされるのは航空業界と医療業界だ。この2つはどちらも「一つのミスが利用者の命に直結する」仕事をしている。ジャンボジェット機の墜落事故や医師の誤認による医療事故等のエピソードを交えながら、失敗を招いた原因と、その後各業界はどう対策を行っていったか(orなぜ対策しようとしなかったのか)について紹介していく。

    結論から言ってしまうと、失敗を成功につなげられるか否かを決めるのは、失敗そのものに強く注目することではない。「失敗に対する」姿勢を前向きにすることだ。
    具体的には、
    ①失敗を「不名誉なもの」として捉えない
    ②失敗を調査し、改善につなげるためのシステムを構築する。一つのミスから組織や業界全体が学べる体制を整える。
    ③失敗を正直に認める。同時に、周囲も失敗を非難したりせず、ミスを報告しやすい土壌を作る。
    ④失敗を幾度となく繰り返す。そして失敗を真正面から受け止め、「やはり自分はダメなんだ」ではなく、「自分を進化させるチャンスだ」というマインドセットを身に着ける。
    である。

    航空業界ではこの仕組みが整備されていた。
    墜落事故が起こっても、機内に搭載したブラックボックスによって事故直前の飛行データとパイロットの音声データを解析し、事故の原因を調査できる。事故調査は強い権限を持つ独立の調査機関が行い、調査報告書には勧告が記載され、「航空会社」にそれを履行する責任が発生する。事故をパイロットやクルーだけの問題にしない風土があり、例えば、パイロットはミスを起こすと報告書を提出するが、10日以内に提出すれば処罰されないという制度が存在する。
    一方医療業界では、事故が起こった経緯について日常的なデータ収集をしていない。医療ミスは医師の責任として医療訴訟を起こされる。また、医師は看護師よりも権限が強いとみなされ、トップダウン型の指揮系統のもとで多様な意見が阻害される。医療スタッフは失敗を不名誉なモノと決め、エラーマネジメントの訓練をほとんど受けていない。

    こうした「失敗に対する姿勢」の差が、両業界における事故率の差となって現れているのだ。

    さて、では組織の進化のために些細なミスでも報告してもらおう、と考えるが、そう上手くはいかない。人はミスを「隠す」からだ。

    ここからは私個人の意見だが、人が失敗を報告しないのは、失敗のメリットが短期的に実感できないことが一因だと思っている。
    上手い失敗は成功に繋がるが、その効果が現われるのはずっと後。ミスの要因を分析し、それをシステムに吸収して改善を促し、新しく運用を始めてからである。成功のためには長い道のりを我慢しなければならない一方で、失敗は今まさに身の上に降りかかっている。この現実に直面すると多くの人が「今苦労してまで改善する必要がある?」という考えに走り、短期的な楽さを選んでしまう。しかも自分が引き起こした「過失」なのか、致し方ない事情により発生した「不運」なのかはっきり判断がつかない場合は、なおさら自分の行動を正当化して包み隠してしまう。そのほうが早いし、隠蔽したほうが「短期的」には得だからだ。

    また、「迅速すぎる」後処理を求められることも原因の一つだと思う。
    不祥事が起こると必ず、「二度と失敗をしないための対策」を課される企業が多いだろう。例えば個人情報の流出であれば、データ管理方法の見直しやデータ消去時の二重チェック体制の構築などだ。こうした対策に本当に効果があるのかは、検証に長い時間を費やす。しかし、世間はそこまで長いこと待ってくれない。ミスを改善するのは「今」であり、求められているのは「いかに迅速に対応する姿勢を見せたか」である。結果として、効果の不明瞭な対応を場当たり的に行い、ヒューマンリソースが削られ、似たようなミスが再び起こってしまう。いずれもミスのデメリットとメリットのタイムラグが引き起こす悲劇である。

    これらも全て「失敗に対する姿勢」だとするならば、おそらく、失敗を成功につなげるのは相当に忍耐強く鍛錬を積まなければならないだろう。人は楽をする生き物だし、得になるか分からない失敗の後始末など誰しもつけたくない。個人で意識的に行っていくのは中々ハードなため、組織ぐるみでミスへのリカバリー体制を整えていくのが必須なのではないかと感じた。
    ――――――――――――――――――――――――――――――
    【まとめ】
    1 失敗による損失
    アメリカでは毎年4万4000~9万8000人が、回避可能な医療過誤によって死亡している。また、1日1000件の回避可能な死亡事故が起こり、1万件の回避可能な合併症が起こっている。
    なぜそこまで些細なミスが起きるのか?過労や医療の複雑性といった要因が考えられるが、本当の原因はもっと奥深いところにある。誰もが失敗を隠そうとするからだ。
    失敗を隠そうとするのは、それを「不名誉なもの」とする考えが古くからあるからに他ならない。本書の目的は、失敗のとらえ方を根本から覆し、仕事や日常生活で「究極のパフォーマンス」を引き出すことにある。我々は今、個人として、組織として、社会として、失敗との付き合い方を見直さなければならない。


    2 クローズドループ
    「クローズド・ループ」とは、失敗や欠陥にかかわる情報が放置されたり曲解されたりして、進歩につながらない現象や状態を指す。逆に「オープン・ループ」では、失敗は適切に対処され、学習の機会や進化がもたらされる。

    航空業界はオープン・ループにより航空事故を防いでいる。ヒューマンエラー(人的ミス)の多くは設計が不十分なシステムによって引き起こされるため、ブラックボックスを用いて数々の事故原因を、機長たちのやりとりや航空データをもとに解明している。
    一方、医療業界はこれまで、事故が起こった経緯について日常的なデータ収集をしてこなかった。医療業界では当事者の視点でしかものを見ていないため、潜在的な問題に誰も気づかない。彼らにとって問題は存在さえしていない。クローズド・ループ現象が長引く原因のひとつがこれであり、失敗は調査されなければ失敗と認識されないのだ。

    何か失敗したときに、「この失敗を調査するために時間を費やす価値はあるだろうか?」と疑問を持つのは間違いだ。時間を費やさなかったせいで失うものは大きい。医療過誤のコストは、控えめに見積もってもアメリカだけで170億ドルにのぼる。2015年3月現在で、英・国民保健サービス訴訟局は、過失責任の賠償費用として261億ポンドの予算を計上した。
    失敗から学ぶことは決して資金の無駄使いではない。むしろ、最も効率的な節約手段だ。資金だけでなく、人命も無駄にせずに済む。

    失敗に対してオープンで正直な文化があれば、組織全体が失敗から学べる。そこから改善が進んでいく。

    失敗から学ぶにはふたつの要素が不可欠だ。1つ目はシステム。失敗は、いわば理想(したいことや起こってほしいこと)と現実(実際に起こったこと)とのギャップだ。最先端の組織は常にこのギャップを埋める努力をしているが、そのためには学習チャンスを最大限に活かすシステム作りが欠かせない。2つ目に不可欠な要素はスタッフだ。どんなにすばらしいシステムを導入しても、中で働くスタッフからの情報提供がなければ何も始まらない。


    3 情報の形
    医療業界の大きな問題は、失敗から学ぶシステムが整っていないことに加え、たとえミスが発覚しても、学びが業界全体で共有されていないことにある。
    医療業界では、必要な知識や情報が、使用に適したシンプルで効果的な形に置き換えられていない。
    航空業界でも、もし何ページにもわたる要領を得ないデータを共有するとなれば、臨床医が医学雑誌で毎年ほぼ70万件も発表される論文と闘っている状態と変わらなくなり、学びが「形」として共有されなくなってしまう。幸いなことに、航空事故の調査レポートでは、情報を(精製して)現実的に要点をまとめてある。


    4 人は失敗を認めない
    失敗に対する事例は、医療業界に限ったものではない。刑事司法制度における冤罪もその一例だ。
    イリノイ州ウォキーガン市で起こった少女殺害事件。その犯人として服役していたのがフアン・リベラという青年だった。
    服役してからすでに13年が経とうとしていたが、2005年、DNA鑑定によって遺体に付着していた性液がリベラのものではないことが判明する。しかしながら、彼はさらに6年間を刑務所で過ごすことになった。

    DNA鑑定によって無実の人が自由を取り戻す道のりは、耐えがたいほど困難だ。自分たちが間違っていたという明白な証拠を突き付けられてもなお、誤りを認めようとしない制度がそこにある。 しかしどうしてそんなことになるのだろう? 「失敗を認められない」というその心理は、いったい何がどうなれば、人の心や制度にそこまで深く根を張るのか?

    それは多くの場合、人は自分の信念と相反する事実を突き付けられると、自分の過ちを認めるよりも、事実の解釈を変えてしまうからだ。
    カギとなるのは「認知的不協和」だ。これはフェスティンガーが提唱した概念で、自分の信念と事実とが矛盾している状態、あるいはその矛盾によって生じる不快感やストレス状態を指す。
    人はたいてい、自分は頭が良くて筋の通った人間だと思っている。自分の判断は正しくて、簡単にだまされたりしないと信じている。だからこそ、その信念に反する事実が出てきたときに、自尊心が脅され、おかしなことになってしまう。
    そんな状態に陥ったときの解決策はふたつだ。自分が間違っていたと認める。しかしこれが難しい。理由は簡単、怖いのだ。そこで出てくるのが2つ目の解決策、否定だ。事実をあるがままに受け入れず、自分に都合のいい解釈を付ける。あるいは事実を完全に無視したり、忘れたりしてしまう。そして認知的不協和に陥っている人間は、そのことに滅多に気づかない。

    事実をありのままに受け入れることは難しい。大きな決断であれ、小さな判断であれ、当人の自尊心を脅かすものなら何でも認知的不協和の引き金になる。いや、むしろ問題の規模が大きければ大きいほど、自尊心への脅威も大きくなっていく。だから手術中の事故は「よくあること」と処理され、DNA鑑定の結果は「未起訴の射精者」を生み、教祖の予言が外れると「自分たちが信じたから、神様が世界を救ってくれた」と感激するのだ。

    明晰な頭脳を誇る高名な学者ほど、失敗によって失うものが大きい。だから世界的に影響力のある人々(本来なら、社会に新たな学びを提供するべき人々)が、必死になって自己正当化に走ってしまう。保身への強い衝動に駆られ、潤沢な資金を自由に使って、自分の信念と事実とのギャップを埋めるのだ。失敗から学ぶことなく、事実のほうをねじ曲げて。


    5 失敗し続ける
    失敗からうまく学んでいる組織は、どこも例外なく、ある特定のプロセスを実践している。「試行錯誤」だ。
    進化は自然淘汰によって、つまり「選択の繰り返し」によって起こる。適応力の強い個体が生き残って子孫を残すと、その中から突然変異によってさらに強みを得た個体が生まれ、その後次々と世代を重ねて進化が進んでいく。
    こうした適応の積み重ねは「累積淘汰(累積的選択)」と呼ばれるメカニズムである。累積淘汰は世代ごとにおこなった選択を記憶し、それを次世代へ、また次の世代へ、と引き継いでいくシステムだ。自然界における進化のプロセスであり、自由市場における倒産と起業のプロセスでもある。

    つまるところ、テクノロジーの進歩の裏には、論理的知識と実践的知識の両方の存在があって、それぞれが複雑に交差し合いながら前進を支えている。

    我々は知らないうちに、世の中を過度に単純化していることが多い。ついつい「どうせ答えはもうわかっているんだから、わざわざ試す必要もないだろう」と考えてしまう。「正しいかどうか試してみる」を実行に移す、つまりボトムアップ型の検証をおろそかにしてしまうのだ。

    大切なのは完璧主義者にならないことだ。早い段階で試行錯誤し、いくつも失敗を重ね、検証と軌道修正を繰り返し、ユーザーのフィードバックを得続けることが肝心である。


    6 小さな改善
    大きなゴールを分割し、「小さな改善(マージナルゲイン)」を積み重ねていけば、大きく前進できる。


    7 非難
    何かミスが起こったときに、「担当者の不注意だ!」「怠慢だ!」と真っ先に非難が始まる環境では、誰でも失敗を隠したくなる。非難すると、相手はかえって責任を果たさなくなる可能性がある。ミスの報告を避け、状況の改善のために進んで意見を出すこともしなくなる。
    しかし、もし「失敗は学習のチャンス」ととらえる組織文化が根付いていれば、非難よりもまず、何が起こったのかを詳しく調査しようという意志が働くだろう。
    適切な調査を行えば、ふたつのチャンスがもたらされる。ひとつは貴重な学習のチャンス。失敗から学んで潜在的な問題を解決できれば、組織の進化につながる。もうひとつは、オープンな組織文化を構築するチャンス。ミスを犯しても不当に非難されなければ、当事者は自分の偶発的なミスや、それにかかわる重要な情報を進んで報告するようになる。するとさらに進化の勢いは増していく。


    8 失敗から学ぶためにはどうすればいいのか?
    失敗から学べる人と学べない人の違いは、突き詰めて言えば、失敗の受け止め方の違いだ。成長型マインドセットの人は、失敗を自分の力を伸ばす上で欠かせないものとしてごく自然に受け止めている。

    成長型マインドセットについては大きな誤解がつきまとう。成長型マインドセットの人は、無理なタスクにも粘り強くがんばり続けてしまうのではないか、達成できないことに取り組み続けて、人生を無駄にするのではないか、と。
    しかし、実際はその逆だ。成長型マインドセットの人ほど、あきらめる判断を合理的に下す。

    ドウェックは言う。「成長型マインドセットの人にとって、『自分にはこの問題の解決に必要なスキルが足りない』という判断を阻むものは何もない。彼らは自分の〝欠陥〟を晒すことを恐れたり恥じたりすることなく、自由にあきらめることができる」

    我々が最も早く進化を遂げる方法は、失敗に真正面から向き合い、そこから学ぶことなのだ。

  • 素晴らしい良書だと思います。

    たまに所謂自己啓発本も手にしますが、本書はまず着眼点からしてnice☆

    巻頭にあった航空機事故から失敗を学ぶ航空業界と医療ミスから学ベない医療業界の対比なんて、非常にわかりやすい。

    しかもどちらの業界も失敗やミスは即ち「死」と直結する大問題にもかかわらず。

    失敗すること自体を「悪」と考えるのか、「学びの機会」と捉えるのか。

    同じ事(失敗やミス)が起こった後、その後の思考や対応でその後の未来は大きく変わります。




    内容
    だから人は、同じ過ちを繰り返す――。
    英タイムズも絶賛! 22カ国刊行の世界的ベストセラー、ついに日本上陸 !

    なぜ、「10人に1人が医療ミス」の実態は改善されないのか ?
    なぜ、燃料切れで墜落したパイロットは警告を「無視」したのか ?
    なぜ、検察はDNA鑑定で無実でも「有罪」と言い張るのか ?
    オックスフォード大を首席で卒業した異才のジャーナリストが、
    医療業界、航空業界、グローバル企業、プロスポーツリームなど、あらゆる業界を横断し、失敗の構造を解き明かす !

    <目次>
    第1章 失敗のマネジメント
    「ありえない」失敗が起きたとき、人はどう反応するか
    「完璧な集中」こそが事故を招く
    すべては「仮説」にすぎない

    第2章 人はウソを隠すのではなく信じ込む
    その「努力」が判断を鈍らせる
    過去は「事後的」に編集される

    第3章「単純化の罠」から脱出せよ
    考えるな、間違えろ
    「物語」が人を欺く

    第4章 難問はまず切り刻め
    「一発逆転」より「百発逆転」

    第5章「犯人探し」バイアス
    脳に組み込まれた「非難」のプログラム
    「魔女狩り」症候群 そして、誰もいなくなった

    第6章 究極の成果をもたらす マインドセット
    誰でも、いつからでも能力は伸ばすことができる

    終章 失敗と人類の進化
    失敗は「厄災」ではない

    内容(「BOOK」データベースより)
    誰もがみな本能的に失敗を遠ざける。だからこそ、失敗から積極的に学ぶごくわずかな人と組織だけが「究極のパフォーマンス」を発揮できるのだ。オックスフォード大を首席で卒業した異才のジャーナリストが、医療業界、航空業界、グローバル企業、プロスポーツチームなど、あらゆる業界を横断し、失敗の構造を解き明かす!
    著者について
    マシュー・サイド
    1970年生まれ。英『タイムズ』紙の第一級コラムニスト、ライター。オックスフォード大学哲学政治経済学部(PPE)を首席で卒業後、卓球選手として活躍し10年近くイングランド1位の座を守った。英国放送協会(BBC)『ニュースナイト』のほか、CNNインターナショナルやBBCワールドサービスでリポーターやコメンテーターなども務める。
    著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
    サイド,マシュー
    1970年生まれ。英『タイムズ』紙の第一級コラムニスト、ライター。オックスフォード大学哲学政治経済学部(PPE)を首席で卒業後、卓球選手として活躍し10年近くイングランド1位の座を守った。英国放送協会(BBC)『ニュースナイト』のほか、CNNインターナショナルやBBCワールドサービスでリポーターやコメンテーターなども務める(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

  • 失敗から学ぶことができる組織である航空業界。
    そして失敗から学ばない医療業界。
    この対比だけでも本書を読む価値あり。

  • データとフィードバックは有意義な進化への明かりを灯すと説く本。
    試行錯誤がテクノロジーを生み、そこから科学理論が誕生した。
    【関連書籍】
    進化しすぎた脳、FACTFULNESS、世界一シンプルで科学的に証明された究極の食事

  • 失敗から学ぶ。これに尽きる。
    日本人は失敗を良くないものと考える傾向が強いため、企業家が少ないとある。
    確かに失敗はしたくないが、前向きに行う失敗、やり方を試してみて進む方法の場合には必要があると感じた。
    本自体は読みやすかった。


    だから人は、同じ過ちを繰り返す――。
    英タイムズも絶賛! 22カ国刊行の世界的ベストセラー、ついに日本上陸 !

    なぜ、「10人に1人が医療ミス」の実態は改善されないのか ?
    なぜ、燃料切れで墜落したパイロットは警告を「無視」したのか ?
    なぜ、検察はDNA鑑定で無実でも「有罪」と言い張るのか ?
    オックスフォード大を首席で卒業した異才のジャーナリストが、
    医療業界、航空業界、グローバル企業、プロスポーツリームなど、あらゆる業界を横断し、失敗の構造を解き明かす !

    <目次>
    第1章 失敗のマネジメント
    「ありえない」失敗が起きたとき、人はどう反応するか
    「完璧な集中」こそが事故を招く
    すべては「仮説」にすぎない

    第2章 人はウソを隠すのではなく信じ込む
    その「努力」が判断を鈍らせる
    過去は「事後的」に編集される

    第3章「単純化の罠」から脱出せよ
    考えるな、間違えろ
    「物語」が人を欺く

    第4章 難問はまず切り刻め
    「一発逆転」より「百発逆転」

    第5章「犯人探し」バイアス
    脳に組み込まれた「非難」のプログラム
    「魔女狩り」症候群 そして、誰もいなくなった

    第6章 究極の成果をもたらす マインドセット
    誰でも、いつからでも能力は伸ばすことができる

    終章 失敗と人類の進化
    失敗は「厄災」ではない

  • 著者のマシューサイドさんの本はどれもとても面白いです。
    本書は「失敗」について考察した本です。
    「失敗」は、誰にとってもつらいものだと思っていましたが、「失敗は、なくてはならない大事なものだ!」という本書の論旨はとても参考になりました。
    「失敗したことを正直に話し、その問題解決に取り組むという」という姿勢は、日本人がもっとも苦手なことだとも思います。
    「日本の長期低迷の原因がそこにありますよ!」とも書かれていて、とても納得できました。
    「失敗してもいいんだ!」ではなく、「失敗は必要なもの!」というマインドが大切だとわかり、とても参考になりました!
    とてもよい良書なので、ぜひぜひ読んでみて下さい。

  • このような本を読むときは参考文献が気になるのですが、科学的に検証するために沢山の文献が記載されてました。その参考文献を調べるだけでもおもしろい!
    「成功するためには」のようなハウツー本は沢山ありますが、この本は「失敗」から科学的に検証して成功へと導くものでした。トップダウンからボトムアップへ、失敗を繰り返しながら進化をしていこうと想う一冊。

  • 固い話かと思いきや、とても読みやすく読み物としておもしろい。
    眼からウロコとはこのことで、ハッと反省させられるところが多かった。
    「失敗を非難せずに失敗から学べ」
    実践はなかなか難しいんだよなとも思うけど、
    これからの仕事に活かそうと思いました。

  • 失敗するのは何も悪いことではない。
    大切なのは失敗を認め、そこから学ぼうとできるかどうか。
    細かいところまでフィードバックをして、改善に努められるかどうか。
    一つの失敗から学習することが何よりも大切であり、成長への鍵である。
    学習する個人、組織に。

  • 「失敗」に着目した名著です。
    冒頭の医療業界と航空業界の比較が何よりも説得力があります。かつて航空業界では事故が多発していましたが、自らの否を認め、原因を追究し続けてきたからこそ、安全が保たれるようになりました。
    一方、医療分野ではなく、未だに権威主義による組織体制が根付いていて、自らのミスを認めることが難しくなっています。
    そのことが何を生んだかと言えば、真の原因の追究を阻んでしまい、発展できなくなっていることです。
    本書の中でも度々指摘されていますが、社会科学の分野においても、この傾向は強く、政治、経済でも同様の動きが見られます。
    本書で述べられている通り、失敗は悪ではなく、進化するために不可欠な学習の機会なのです。
    逆に言えば、失敗のない世界に成長や進化はありません。

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著者プロフィール

作家、英『タイムズ』紙コラムニスト。オックスフォード大学哲学政治経済学部を首席で卒業。卓球選手として活躍しオリンピックにも2度出場。著書に世界的ベストセラー『失敗の科学』『多様性の科学』他。

「2022年 『才能の科学』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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