時代を先読みし、チャンスを生み出す未来予測の技法 (リベラルアーツカレッジ)
- ディスカヴァー・トゥエンティワン (2018年1月25日発売)


- 本 ・本 (184ページ)
- / ISBN・EAN: 9784799322116
感想・レビュー・書評
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人が未来をつくるのではなく、未来の方が誰かに変えられるのを待っている、という指摘が響いた。
同時に、著者も落ち込んだように、では何をやっても自分がやることなんていつかは誰かがやることなのではないか、結局何かを変えたとしてもちょっと早く未来を叶えたいだけじゃないかと思った。
行き着くところは同じなのか…??詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
識者こそ未来予測を間違えるという。どうやったら固定観念を捨てられるか。物事の本質を見つけられるのか。
本書ではこの物事の本質を「パターン」と言っている。
これは非常によく分かる。
すべては時間のように流れているのだから、広い視野で流れを読まなくてはいけない。
点として、目の前の物事に集中するのもいいが、それでは視野が狭すぎる。
その点はどこから来て、どこに向かうのか。
点ではなく線。つまり流れでみることが大切で、そこにパターン(法則)を見つけ出せるかが重要なのだ。
会社で会話をしていても、どうにも話がかみ合わない時がある。
そういう時は大抵見ている視点が異なっている。
近視眼的にしか見ていない事例が圧倒的に多い。
大局的に考えれば、おのずと課題の解決は出来るはずなのに、それが出来ない。
結局、そのパターンや流れや本質を見ることが大切なのだが、どうすればそれが見えるのか。
簡単でないからこそ「見える人」が大きな富を掴めるのだろう。
(残念だが私も「見える人」ではないし、大きな富も掴めていない)
パターンは抽象化とも言えると思うが、著者が様々な事例として上げている話が分かりやすい。
「電気」は今では当たり前に普及し過ぎていて、その意味すら考えなくなってしまっているが、まずはパターン化してみれば様々なことが見えてくる。
最初は電球の発明などが有名だが、そもそも「電気を作る=発電」が無ければ始まらない。
発電から電球へ、そして送電され、工場など生産設備や各家庭にも届くようになった。
そうなったらあらゆる手作業が電気によって代替できるようになった。
うちわは扇風機に。ほうきは掃除機に。
この流れと同じ事がインターネットで起きているということなのだ。
小さな情報を回線を通じて送るところから始まった。
それは文字情報だけであったが、やがて静止画像となり、その後動画となった。
動画までは一方通行の情報であるが、それが3DCG・メタバース世界になっていくということなのだ。
パソコンだって、大きな汎用型からデスクトップとなり、その後ノートPCとなった。
今ではやろうと思えばスマホでも仕事が出来る状態だ。
当然、今後も益々進化していくということなのだ。
プアだったものはよりリッチに。
大型だったものは、極限まで小型に。
数名の専門家しか使えないものから、世界中の人が使えるものに。
本書では「エントロピーが増大する」と表現しているが、要は変化は不可逆であるということ。
距離の話であればより遠くへ。
形の話であればより小さく。
その流れが分かれば、つまり「それがいつ訪れるか」の見極めが次の課題ということなのだ。
「人類が空を飛ぶなんて百万年先の話だろう」と識者が言った数週間後にライト兄弟は大空を飛行した。
iPhoneが出た当初は、タッチスクリーンだけでキーボードがない、赤外線通信もない端末に「こんなものは流行らない」と切り捨てた人もいた。
パターンで物事を分析すれば大体分かるはずなのだ。
今この段階。次はこうなる。もっと先はこうなっている。
実際には簡単な話ではないのだが、その時間軸が分かれば、後はどれだけタイミングを見極めるかではないだろうか。
それでも未来はなかなか読めない。
パターンは概ね読めても、人の心は予想もつかない方向に向かうからだ。
Googleの20%ルールは秀逸だと思った。
「未来は予測不可能・不確実だから、現経営陣の指示で動くのは80%に留める。残り20%は本人たちの意思で好きな方向を目指すのだ。」と言う。
これで未来に対してのリスクヘッジを図ると聞き、まさに唸った。
何が起こるか分からないのであれば、それを企業はバッファとして見込んでおく。
トップダウンでもハブ型でもなく、自律的に動いていくためには、20%時間は各自の自由に行動させる。
この20%の中から未来へのイノベーションは確実に生まれている。
それはつまり残りの80%は例えカリスマ経営者の指示とは言え、イノベーションに繋がっていないと言えるだろう。
これは自分自身にも言えることで、まさに目の前の仕事は80%以内で終わらせるべきだ。
残り20%を全く未知の事に使わないと、自分自身すらアップデートできなくなる。
未来を生き抜くためにはこういう思考回路が必要なのだと改めて感じたのだ。
(2022/10/18) -
未来にはパターンがある
必然性
不可欠性
生活に困らない人生が未来が迫っている
自転車で満足してたら自動車はできない
今乗ってるものから降りる必要がある
それが先回りすることにつながる -
著者の前著がとても良かったのでこちらも手に取ってみた。はじめに、である通り基本的に前著の再構築版ということで新しい要素はなく、改めて整理しなおした本。復習にはなった。
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世の中の流れを読み、今どこの場所にいるのが、最も有利なのかを適切に察知する能力
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次に「来る」モノ・コトを先読みし利益を得る。世の中の動きの原理やパターンはどれもなるほどと納得の内容だけれど、そこから実際の行動に移すことの間には高いハードルがありそう。Googleの20%ルールが経営層が戦略に失敗したときのためのリスクヘッジだという話には驚いた。全体的に図が(どこかで使った図の使い回しなのか)左→右に遷移する形式で書かれているけれど、本書は右→左に文章が書かれているのだから、図も同じように右→左に遷移するように書かれていると見やすくなったと思う。
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IT業界における未来予測の話なのかもしれない。
IT業界は進化のスピードが速く、多くの人はついていけない。IT業界内にいる人でさえ、ついて行かれなくなっている。
今は、リーンスタートアップと言う方法がとられるようになっている。これは変化を予測するのではなく変化が起きたらそれに対応すると言う方法だ。
未来予測には情報が必要だ。点と点をつなげるのではなく、波を読むのが大切だと言う。
著者は、そのことを電車に乗ると言う例えを出している。
行き先のわからない電車だが、適切な場所で適切な時間に乗る必要がある。つまり、電車の出る時間は決まっていて、切符を持っている必要がある。その切符とは、資金であったり技術力であったり、人脈であったりする。波を読んで、波に乗ることができれば、遠くまでいかれる。つまりそれだけのリターンがあると言うことだ。
疑問に思ったのは、スティーブ・ジョブズは、点と点ををつなげたわけではないと言う所。彼は、アップルで革新的なパソコンを作った時、過去の経験がそこでつながったと言っていた。それはまた別の話なのだろうか。
納得のしかねる部分も多いんだが、波を読んで準備をしておくと言うのは大切だ。
ただ、先日読んだ本に書いてあった、常に情報を探して、未来予測をすると言うのも面白いと思う。連想ゲームみたいなものだ。
物事を、他のことに置き換えることによって、展開を予測できる。例えばインターネットは、電気の発達に似ている。1部の人間のものであったのが、広まり日常生活の全てを侵食する
それによって変化が起こる、掃除機はもともと箒だった。
物事について、原理原則から考える。
なぜそれが必要なのか、どんな問題を解決するのか、それを考える。
もっと効率的な方法があるのであれば、そのやり方を続ける意味は無い。
これは日常生活においても使える考え方だ、
例えばエコバック。これは風呂敷でもいいんじゃないか。風呂敷の方がコンパクトになるんじゃないか。
これは結構重要な考え方だ。
何のためにやるのか、その問題を解決するためにもっと効率的なやり方はないか
要するに本質観取と言うことだ
本質を見抜くことができれば、代替案も考え出すことができる
また、物事を抽象化することによって、他のものと置き換えることができる
これも大切だ。
社会を形作るシステムについて。システムというか、ネットワークのあり方について現在は分散型の社会になりつつある。
これを知っておくと何がわかるんだろうか。自分たちの所属するネットワーク、領域の変化のスピードを考えながら対応していくことが重要。変化のスピードの速さは消費者、法人、行政・司法の盾。
テクノロジーは人間を拡張する。古代において弓矢石器は人間の手を拡張した。
コンピューターやインターネットは人間の知性を拡張した。
そのテクノロジーが人間の何を拡張しているのかを考えるのは面白い。
例えば洋服は人間の肌を拡張している。
Evernoteは記憶を拡張している。つまりEvernoteにデータを織り込むだけではダメで、活用するのは人間の脳と言うことだ。Evernoteの今後のやり方としては様々なノートを関連付けると言う提案だろう。つまり、人間の脳の中を整理することをEvernoteがやるわけだ。
ユーザが望むニーズと現在の技術で実現できることを切望、突き詰めていけば多くの場合その未来像は見たものにならざるを得ない
この本において、プレゼンテーションされている未来予測の技法とは、ビジネスでいかに成功するかと言う事のようだ。
つまり、ベンチャー企業が、時代の波に乗って、どのように生き残っていくか。
そういうスタンスで書いていると思う。
この本を読んでいて思ったのは、ビジネスには失敗はつきものだ。大量のデータが必要だ。失敗してもあきらめない。成功するまでやると言うことだ。そして時代が何を求めているのかを考え続ける必要がある。
これは、人々の意思が何を求めているかと言うニーズを読み取り、現在の技術で何ができるかを考えると、社会がどのような方向に向かっていくか推測ができると言う事でもある。
具体的にやることとしては、情報収集であり、自分なりの未来予測だろう。
今のテクノロジーが何を実現可能なのか、それを把握しておく必要がある。また行政等の動きも重要だろう。これを細分化していくと、例えば飲食店が、顧客のニーズを読み取ることによって、新しいサービスを開発する。そういうところにもつながる。クライアントが何を欲しがっていて、自社では何が提供できるか、それを考え詰めることによって新しいサービスが生まれる。それは、場当たり的にやると言う意味ではなく、長期的な予測が必要になってくる。それを実現するために必要な人材等は、たくさんの人間に当たって、集める。1人に断られたからといってそれがダメであると言うことでは無い。 -
『未来に先回りする思考法』とほぼ全く同じ内容で、かつ、やや要約しています。
『未来に先回りする思考法』の方が詳しいのでこちらを読む意義がよくわかりません。 -
未来予測の鍵は「線」で考えることと(これは最近の他の本でもよく見る)、タイミングを見極めること。変化に先回りし適切なときに適切な場所にいることが求められる。
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<目次>
はじめに
国家の未来
政治の未来
第1章未来に先回りしたものだけが勝ち残る
第2章未来予測の技法
テクノロジーの進歩と社会の変化に潜むパターン
p1あらゆるもののエントロピーは増大する
p2あらゆるものに知性が宿る
p3ネットワークはピラミッド型にはじまり、ハブ型、分散型へ
p4テクノロジーは人間を拡張する
p5テクノロジーは私たちを教育する
p6テクノロジーは掌kら宇宙へ広がっていく
p7テクノロジーは境界線を溶かしていく
p8テクノロジーはすべての無料に近づける
p9テクノロジーが出した答えを理解できなくなる
おわりに
p58短期間でおおきな企業を作り上げた企業経営者の
共通点は、世の中に流れを読み、今どの場所にいるのか
が最も有利なのかを適切に察知する能力
2018/1に購入していて、ずっと読めなかったもの。
本来はむつかしい内容なのかもしれかいことを、
かんたんな言葉で表現していて、とてもわかりやすい。
もっと早く読めばよかった。
で、どこで勝負する、、、、、。
著者プロフィール
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