時代を先読みし、チャンスを生み出す 未来予測の技法 (ディスカヴァーリベラルアーツカレッジ)

著者 :
  • ディスカヴァー・トゥエンティワン
3.60
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本棚登録 : 309
感想 : 27
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  • Amazon.co.jp ・本 (182ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784799322116

感想・レビュー・書評

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  • 識者こそ未来予測を間違えるという。どうやったら固定観念を捨てられるか。物事の本質を見つけられるのか。
    本書ではこの物事の本質を「パターン」と言っている。
    これは非常によく分かる。
    すべては時間のように流れているのだから、広い視野で流れを読まなくてはいけない。
    点として、目の前の物事に集中するのもいいが、それでは視野が狭すぎる。
    その点はどこから来て、どこに向かうのか。
    点ではなく線。つまり流れでみることが大切で、そこにパターン(法則)を見つけ出せるかが重要なのだ。
    会社で会話をしていても、どうにも話がかみ合わない時がある。
    そういう時は大抵見ている視点が異なっている。
    近視眼的にしか見ていない事例が圧倒的に多い。
    大局的に考えれば、おのずと課題の解決は出来るはずなのに、それが出来ない。
    結局、そのパターンや流れや本質を見ることが大切なのだが、どうすればそれが見えるのか。
    簡単でないからこそ「見える人」が大きな富を掴めるのだろう。
    (残念だが私も「見える人」ではないし、大きな富も掴めていない)
    パターンは抽象化とも言えると思うが、著者が様々な事例として上げている話が分かりやすい。
    「電気」は今では当たり前に普及し過ぎていて、その意味すら考えなくなってしまっているが、まずはパターン化してみれば様々なことが見えてくる。
    最初は電球の発明などが有名だが、そもそも「電気を作る=発電」が無ければ始まらない。
    発電から電球へ、そして送電され、工場など生産設備や各家庭にも届くようになった。
    そうなったらあらゆる手作業が電気によって代替できるようになった。
    うちわは扇風機に。ほうきは掃除機に。
    この流れと同じ事がインターネットで起きているということなのだ。
    小さな情報を回線を通じて送るところから始まった。
    それは文字情報だけであったが、やがて静止画像となり、その後動画となった。
    動画までは一方通行の情報であるが、それが3DCG・メタバース世界になっていくということなのだ。
    パソコンだって、大きな汎用型からデスクトップとなり、その後ノートPCとなった。
    今ではやろうと思えばスマホでも仕事が出来る状態だ。
    当然、今後も益々進化していくということなのだ。
    プアだったものはよりリッチに。
    大型だったものは、極限まで小型に。
    数名の専門家しか使えないものから、世界中の人が使えるものに。
    本書では「エントロピーが増大する」と表現しているが、要は変化は不可逆であるということ。
    距離の話であればより遠くへ。
    形の話であればより小さく。
    その流れが分かれば、つまり「それがいつ訪れるか」の見極めが次の課題ということなのだ。
    「人類が空を飛ぶなんて百万年先の話だろう」と識者が言った数週間後にライト兄弟は大空を飛行した。
    iPhoneが出た当初は、タッチスクリーンだけでキーボードがない、赤外線通信もない端末に「こんなものは流行らない」と切り捨てた人もいた。
    パターンで物事を分析すれば大体分かるはずなのだ。
    今この段階。次はこうなる。もっと先はこうなっている。
    実際には簡単な話ではないのだが、その時間軸が分かれば、後はどれだけタイミングを見極めるかではないだろうか。
    それでも未来はなかなか読めない。
    パターンは概ね読めても、人の心は予想もつかない方向に向かうからだ。
    Googleの20%ルールは秀逸だと思った。
    「未来は予測不可能・不確実だから、現経営陣の指示で動くのは80%に留める。残り20%は本人たちの意思で好きな方向を目指すのだ。」と言う。
    これで未来に対してのリスクヘッジを図ると聞き、まさに唸った。
    何が起こるか分からないのであれば、それを企業はバッファとして見込んでおく。
    トップダウンでもハブ型でもなく、自律的に動いていくためには、20%時間は各自の自由に行動させる。
    この20%の中から未来へのイノベーションは確実に生まれている。
    それはつまり残りの80%は例えカリスマ経営者の指示とは言え、イノベーションに繋がっていないと言えるだろう。
    これは自分自身にも言えることで、まさに目の前の仕事は80%以内で終わらせるべきだ。
    残り20%を全く未知の事に使わないと、自分自身すらアップデートできなくなる。
    未来を生き抜くためにはこういう思考回路が必要なのだと改めて感じたのだ。
    (2022/10/18)

  • 世の中の流れを読み、今どこの場所にいるのが、最も有利なのかを適切に察知する能力

  • <目次>
    はじめに
     国家の未来
     政治の未来
    第1章未来に先回りしたものだけが勝ち残る
    第2章未来予測の技法
    テクノロジーの進歩と社会の変化に潜むパターン
    p1あらゆるもののエントロピーは増大する
    p2あらゆるものに知性が宿る
    p3ネットワークはピラミッド型にはじまり、ハブ型、分散型へ
    p4テクノロジーは人間を拡張する
    p5テクノロジーは私たちを教育する
    p6テクノロジーは掌kら宇宙へ広がっていく
    p7テクノロジーは境界線を溶かしていく
    p8テクノロジーはすべての無料に近づける
    p9テクノロジーが出した答えを理解できなくなる
    おわりに

    p58短期間でおおきな企業を作り上げた企業経営者の
    共通点は、世の中に流れを読み、今どの場所にいるのか
    が最も有利なのかを適切に察知する能力

    2018/1に購入していて、ずっと読めなかったもの。
    本来はむつかしい内容なのかもしれかいことを、
    かんたんな言葉で表現していて、とてもわかりやすい。
    もっと早く読めばよかった。
    で、どこで勝負する、、、、、。

  • 「予測を放棄し、変化にすかさず対応する、
    一見理にかなったこの戦略は、もはや戦略として意味をなしません。変化を見抜くことが難しい時代だからこそ、
    未来を的確に予測し、先回りできた企業と個人が最終的には勝利を収めるのです。」

    個人的には、結局正確に見通すことなんてできないから、動きが見えてから対応するしかない、と思っていましたが、それでも、やはり仮説を持って、かつ、それを常に修正しながら行動すべき、ということでしょう。

    「テクノロジーは私たちを教育しはじめる
    新しいテクノロジーが社会に普及してしばらくたつと、今度は私たちのほうがそのテクノロジーに合わせて生活スタイルを適応させていくようになります。」

    この考え方は重要と思いました。最近でいうとテレワークでしょうか。新型コロナの問題でようやく導入がすすんだとも言えますが、コロナ後は、在宅環境のさらなる調整と、それに合わせたワークスタイルが当たり前になっていくでしょう。

  • マーケッターをやっている以上、未来を読むことが大事。
    仕事のヒントにならないかと読んでみた1冊。

    が、内容は想像と違った。
    というより想像よりもっと抽象的で大きなことを書いていた。
    筆者は、未来を予測するにはパターンを掴めと、そして大きなパターンを9個示す。
    非常に面白い、内容であった。

    筆者はともすれば資本主義社会の次の社会も予想する。
    貨幣から解き放たれた、国(政府)ではなく、企業が生活を担保する社会だ。

    私たちは遅かれ早かれ、そういった社会に移動していくのかもしれない。

  • ・予測できないから「リーンスタートアップ」は間違っている
    ・「世の中の流れを読み、今どの場所にいるのが最も有利なのか適切に察知する能力」が大事
    ・未来予測のカギは「パターン」
    ・予測の次はタイミングの見極め
    ・常に原理から考える

    内容的には「未来を先回りする思考法」と同じなので
    新鮮味は感じられなかった。

著者プロフィール

福島県生まれ。早稲田大学在学中の2007年に株式会社メタップスを設立し代表取締役に就任。2015年に東証マザーズに上場。フォーブス「日本を救う起業家ベスト10」、AERA「日本を突破する100人」、30歳未満のアジアを代表する30人「30 Under 30 Asia」などに選出。2017年には時間を売買する「タイムバンク」のサービスの立ち上げに従事。宇宙産業への投資を目的とした株式会社スペースデータの代表も兼務。
『お金2.0 新しい経済のルールと生き方』(幻冬舎)で「読者が選ぶビジネス書グランプリ2018」リベラルアーツ部門賞を受賞。

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