モンテッソーリ教育・レッジョ・エミリア教育を知り尽くした オックスフォード児童発達学博士が語る 自分でできる子に育つ ほめ方 叱り方 3歳 〜 12歳 の子ども対象

著者 :
  • ディスカヴァー・トゥエンティワン
3.80
  • (72)
  • (139)
  • (106)
  • (12)
  • (3)
本棚登録 : 2251
感想 : 140
  • Amazon.co.jp ・本 (193ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784799325995

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 【感想】
    本書では、従来の褒めかたや叱りかたである「条件付きの接しかた」をタブーとし、子どもと親が対等で尊重し合いながら言葉を交わす大切さを論じている。

    何故家族の間で尊重し合う必要があるのか?
    それは、子どもは意外と「大人びている」からだと、私は思っている。

    子どもは意外と空気を読む。気まずい空気では黙り、神妙な空気では厳かになり、楽しい空気ではいの一番にはしゃぎだす。先生(偉い人)からのえこひいきが嫌いであり、当たり散らす怒りかたと、自分のためを思った怒りかたの違いを見抜いている。
    子どもは行動こそ幼稚だが、行動を引き起こす心理面は、実年齢よりもある程度発達しているといえるだろう。子どもは想像以上に大人なのだ。(逆に言えば、いい大人でも行動原理は子どもと大差ないということだ)

    それを前提とすれば、子どもをしかる・ほめるときは、大人相手と近い形で、対等な関係性のもと言葉を選ばなければならない。
    ほめる・しかるとは本来、上の立場の者が下の立場の者に評価を下す行為だ。そうした一方的なコミュニケーションを繰りかえしていては、例え投げかける言葉がポジティブであっても、「自分をきちんと見てくれていないな」と感じてしまう。結果、ほめ言葉を安っぽく捉えてしまい、親のご機嫌を取るようになってしまう。

    大切なのは愛をもって尊重することだ。言い換えれば、「対等な立場からあなたを尊敬していますよ」と態度で示すことなのだ。

    ―――――――――――――――――――――――――――――――――
    この本で私が一番気に入っているのは「おわりに」の部分だ。

    「おわりに」で書かれているのは、「無理しない子育て」の方法である。
    本の中では子どもを正しく褒めて正しく叱る方法が紹介されていたが、それよりも大切な心がけがある。それは、「子どもに対して過度な期待をせずに、親自身の心の満足度を高い状態で維持すること」だ。育児の一丁目一番地とも言える優先事項である。

    その言葉は、子どものためを意図して書かれたものではない。むしろ、育児に悩む親に対して向けられた金言であり、抱えきれないほどの子育てに潰されないようにするための予防線である。

    自分がせっかく教えたのに、今日も部屋の片づけをしない。せっかく買ってきたおもちゃなのにすぐ飽きて放ってしまう。上手くいかないイライラが余計口を悪くし、子どもにもっともっと強くあたってしまう……。
    勉強しろ、早く寝ろ、好き嫌いをするな……。育児にはさまざまな小言がつきものだが、全て子どものためを思って口にしていることだ。しかし、子どもがそれを「愛情の裏返し」と受け取ることはほとんどない。結局のところ、あれこれと口を出したとしても、そのほとんどは徒労に終わることになる。
    であれば、親に必要なのはむしろ、子どもに対して「期待していること」と「期待していないこと」を線引きし、その枠内で無理のない育児をする、ということではないだろうか。そして、万事が親の思い通りにならない以上、子どもが言うことを聞かないなんて取るに足らないと割り切り、ストレスとして抱えこまない――それが健全な育児なのではないだろうか。

    子育てに見返りを求めてはいけない、まさにこれに尽きるのだ。

    本書は一生懸命な子育てを教えているわけではない。むしろ、肩の力を抜いた子育てを教えてくれているのだ。

    ―――――――――――――――――――――――――――――――――

    【本書のまとめ】
    1 従来の褒めかた・叱りかたの罠
    日本人に多いとされる「自己肯定感」の低い子どもは、「非効率な褒めかたや叱りかた」が原因かもしれない。

    ほめるという行為で褒美を与えることは、罰と同じように、無意識であったとしてもやりかたによっては子どもたちの行動やモチベーションを外的にコントロールし、その子の本当にやりたいことの妨げになる可能性がある。

    モンテッソーリ教育などのオルタナティブ教育は、子ども一人ひとりを生まれながらに能力を持ち合わせたパワフルな学習者であるだけでなく、権利をもった一市民としてみなす。


    2 無条件の接しかた
    子育てにおいては「無条件の接しかた」、つまり行動の良し悪しにかかわらず愛情を注ぎ、子どもの気持ちに寄り添うのが有効である。子どもの考え方や行動の理由をまず考えるやり方だ。
    反対に、条件付き、つまり愛情や褒美を餌にする接しかたを繰り返すと、褒められたときに愛されていると感じ、逆にそうでないときには愛されていないと感じてしまう。

    一つ大切なことは、無条件子育てとは、子どもに好き放題させることではない。無条件に子どもの言うことを聞くことでもない。具体的には、次の5つの原則に沿って子育てをすることだ。

    ①ほめかたと叱りかたに気を付ける
    ②子どもに対するイメージを見直す
    ③子どもにとって良きリーダーである
    ④子どもへの要求を考え直してみる
    ⑤子育ての長期的なゴールを持つ

    ①ほめかたと叱りかたに気を付ける
    →能力や見た目に集中した声かけではなく、努力や経過に言及したり、子どもの行動について具体的に声をかける

    ②子どもに対するイメージを見直す
    →大人は、無意識のうちに大人に「迷惑」をかけない子どもを求めている。大人の勝手な思い込みが、子どもの可能性と経験を狭めることになってしまう。

    ③子どもにとって良きリーダーである
    →子供の自立したい気持ちを尊重し応援しながらも、自由に伴う責任の大きさも提示する。また、子どもを頭ごなしに批判したり、子どもの意見を一蹴したりせず、話し合いをもとに解決策を見出す。

    ⑤子育ての長期的なゴールを持つ
    自分の子どもにどういう人間になってほしいかを考え、普段の自分の接しかたがこの子育ての長期的なゴールの妨げになっていないかを考えてみる。


    3 ほめるときのポイント
    ①成果よりも、プロセスをほめる
    ②もっと具体的にほめる
    ③もっと質問する

    子どもが本来求めているのは評価ではなく、何かを達成したとき、新しいことを発見したとき、嬉しいことがあったときに、大好きな両親や先生とそれを共有すること。そのために、結果よりも過程、漠然よりも具体、YES/NO質問よりも自由回答形式の質問をする。

    (例)才能あるね!→すごく集中して何度もチャレンジしていたね
    さすがお兄ちゃんだね!→自分から進んで挑戦してくれたんだね
    えらいね!→最後まであきらめないのがよかったね


    4 叱るときのポイント
    ①ダメ!違う!をできるだけ使わない
    ②結果ではなく努力やプロセスに目を向ける
    ③好ましくない鼓動の理由を説明する
    ④親の気持ちを正直に伝える

    (例)
    ・壁に落書きをしたとき
    何て悪い子なの!→壁以外にどこに描けるか一緒に考えてみようか
    ・ジュースをこぼしてしまったとき
    なんでそうやっていつもこぼすの!→どうしたらこぼれずに済むかな?
    ・門限を守らないとき
    どうしていつも遅いんだ!→遅くなるとすごく心配だから、時間どおりに帰ってきてくれると嬉しいな


    5 子どもと親が対等で両方幸せなとき、子育ては上手くいく。
    「子どもを尊重する」というのは、好き放題にやらせ、まったく叱らないということではない。叱る前に、自分の期待が子どもの発達にふさわしいものか?大人にとって不都合だから叱っていないか?をもう一度問い直してみる。

    ポイントは、「無理しない子育て」をすること。
    現代の親にとって、社会が期待する「完璧な母親像」というのは大きなプレッシャー。そのため、理想の母親像に到達していないと自分で感じている場合、強く罪悪感を覚えてしまう。
    大切なのは親自身が幸せであること。仕事と子育ての両立で焦ったり罪悪感を感じたり、あるいはストレスを感じている母親と一緒に時間を過ごすほうが、子どもの心にネガティブな影響があることがわかっている。
    親自身が幸せであれば、子どもに与えられることも増える。

    全部やろうとしなくていい。ときには大げさに褒めたりイライラして叱ったりしてもいい。反省・成長を繰り返しながら、自分にできることをできる範囲でやる、そんな子育てでいいのだ。

  • ほめれば子どもは育つと勘違いしていた。子どもが自立することをイメージしながら受け入れ、共感し、具体的にプロセスをほめ、そして質問する。出来そうでできない。子どもを信頼し、よく話を聴き、言い換え、明確化を繰り返しながらゴールをみせてやる。子どものリーダーとして。なるほど。

  • この本を読んで、いかに条件尽付きで褒めていたか、思い知らされました。
    「自立した大人になってほしいけれど、いまは従順な子どもでいてほしい?」
    このフレーズには、ドキッとしました。
    私が心底思っていたことだし、ただの親のわがままだからです。
    自分とは違う人格者であるとわかっているのに、自分都合で怒っていたり、注意してしまっているなと、反省しました。
    それから、褒め方のバリエーションが本当に少ないと気付きました。「すごいね」「よくできたね」「かわいいね」のオンパレードだったので、プロセスを褒めるというのは、今まで考えもしませんでした。

    この本を読んで反省ばかりでしたが、ダメだったなーではなくで、自分が変わるきっかけしたいと思います!

  • 褒め方や、しかり方の例や、その理由を書いており、
    分かりやすく、とても面白かった。
    読んだ日から実践してます。

    また、最後に「理想の母親像」のプレッシャーと罪悪感と、
    親自身が幸せであることが大切について書いてあるので、
    子育てに悩んでる人にお勧めです。

    【NGな褒め方】
    おざなり・人中心
     ・・「すごいね」などの具体的な理由がない褒め方。
    【Goodな褒め方】
    プロセス中心
     ・・「最後まであきらめないのがよかったね」などのプロセスを褒める
    【アクティブ・リスニング】
     やっぱり、子供を1人の人と認識して話を傾聴する事が大事

  •  自分が子どもを上手に褒めたり、叱ったり出来ていないという実感があったので読んでみました。
     内容は褒めるや叱るということの意義や目的を説明し、褒める・叱ることの考え方、具体的な方法と進んでいきます。
     「そんなに上手くはいかないよなぁ」と思いつつ、参考になる部分も沢山ありました。私は子どもを褒めたり叱ったりして、自分の思ったようにコントロールしようとしているのではないかと気付かされました。褒める・叱るの意義を見直し、子どもとの関わりに生かしていきたいです。
     何にでも挑戦する子に育ってほしいと思っているので、プロセスに目を向けて褒めることを実践してみようと思います!

  • 正しい誉め方、叱り方

  • 思うところがあって読みました。子どもを独立した一市民として見ることで、子どもは大人の言いなりではなく子どもが主体となる子育て視点を持つことがまず前提となります。親が子どもをどうしたいのか、ではなく、子どもがどうなるように親は支援するのか、ということです。子どもをほめるときはその努力の過程や試行錯誤といったプロセスをほめ、叱るときは理由を説明したり親の気持ちを伝えたりすることが大切です。どちらも、子どもの言うことにしっかりと耳を傾けることが、親子関係の安定につながります。
    本書は、さまざまなケースにおける対応例が収められているのでイメージがしやすく、要点が分かりやすくまとめられているので、理解を深めながら一気に読み終えることができました。子どもだけでなく、高校生や大人全般に対しても活用できる内容だと思います。

  • 褒め方
    ◎結果より過程(姿勢、努力、やり方)を褒める
    ◎具体的に
    ◎質問する
    ×人中心褒め(いい子、お利口、さすがお兄ちゃんetc)
    ×おざなり褒め(すごい、上手のみetc)
    ×目先の褒美を与える

    叱り方
    ◎結果より過程
    ◎一旦気持ちを理解・肯定する
    ◎なぜその行動が好ましくないのか具体的に説明(モラル、本人自身と他者への影響に焦点)
    ◎Iメッセージで伝える
    ◎次からどうしたら改善するのか一緒に考える
    ◎一緒にルーティンの設定をする(これまでにうまくいった例を話して生かす)
    ×ダメ、違う、なんでできないの
    ×罰を与える
    ×相手の責任にする(どうして言わなかったの、気をつけないからこうなった、あなたのせいでetc)

    アクティブリスニング
    ◎ボディランゲージ(表情・視線・姿勢)
    ◎無条件の受容(興味を持つ・気持ちを無碍にしない・自力で解決できると信じる・自分と切り離して考える)
    ◎反復・言い換え・明確化・要約
    ◎とにかく傾聴
    ×ジャッジ(自分の価値観で批判・レッテル貼り)
    ×代わりに解決しようとする(命令・勝手にアドバイス・代わりにやる)
    ×話を逸らす
    ×正論攻め

  • とても読みやすくわかりやすい1冊。
    構成や言葉のチョイスが見事。
    頭のいい人が書いたんだなぁ。
    これは人気でるわ。

    夫と叱り方に関して微妙な齟齬があったので
    読んでみた。
    むやみやたらに叱りたくない、
    自己都合では叱らないというのは
    実践できてるかな~

  • 3〜12歳の子供を対象とした声のかけ方を、具体例とともに記したわかりやすい1冊。自分の親の子育てとその時々で感じていたモヤモヤなど、過去に投影しても納得した内容だった。

全140件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

子どもに対する絶対的な尊敬・尊重を基盤にする「モンテッソーリ教育」「レッジョ・エミリア教育」についてくわしい児童発達学の研究者。上智大学卒業後、カナダのモンテッソーリ幼稚園での教員生活を経て、オックスフォード大学で博士号を取得(児童発達学)。現在はカナダの大学にて幼児教育の教員育成に携わる。著作の『自分でできる子に育つ ほめ方 叱り方』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)は10万部を超えるベストセラーに。@hana_shimamura

「2021年 『モンテッソーリ教育の研究者に学ぶ 子育てがぐっとラクになる「言葉がけ」のコツ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

島村華子の作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
瀧本 哲史
リンダ グラット...
山崎 聡一郎
佐々木 圭一
有効な右矢印 無効な右矢印

モンテッソーリ教育・レッジョ・エミリア教育を知り尽くした オックスフォード児童発達学博士が語る 自分でできる子に育つ ほめ方 叱り方 3歳 〜 12歳 の子ども対象を本棚に登録しているひと

ツイートする
×