期限切れの初恋 (ビーボーイノベルズ)

著者 :
  • リブレ出版
3.88
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本棚登録 : 332
レビュー : 23
  • Amazon.co.jp ・本 (253ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784799713389

作品紹介・あらすじ

宇野には忘れられない恋があった。誰からも好かれていた大学時代の同級生・村上に卒業してからもずっと片思いしていた。友人の結婚式を機に、この思いを終わらせようと決意するが、そこで会えるはずだった村上が、借金を重ねて行方不明になっていたことを知る。何もかも失った村上はホームレスになっていた。宇野は自分の恋を終わらせるために彼を拾ってきて、一緒に暮らし始めるが…。その後の二人の書き下ろし、100P超収録!

感想・レビュー・書評

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  • 「泣けるBL」にて印象強烈だった、最強嗅覚爆死BL。
    既読だし、コミカライズと小説とどっちを先に読もうかとかなり迷ったけど、やっぱり書き下ろし100ページ超、というところでこちらから読むことにしました。
    書き下ろしも強烈な腐臭が…!!

    不潔でだらしなくて生ゴミ並みの悪臭を放つ男。宇野はなぜそんな男を家に連れ帰った?
    ただひとつ、幻滅したかったから…www
    確かにふつうなら嫌いになれそうです…
    表面的に読んだだけでは奇をてらったストーリーかのように思われますが、描かれているのは多くの人に思い当たるフシがありそうな痛くて辛い恋愛。
    聖人君子が一切出てこないのは元から承知済みでしたが、ほんとに村上は最低の攻です。漂う臭さは、たぶん彼の心根の象徴です。

    書き下ろしの続編「人でなしの恋」は村上視点で描かれているので、彼の心情がまるわかりになっていて、読めば読むほどやるせない気持ちにさせられます。
    でも、考えてみるとこれってごく一般の男の感覚ですよね?これくらいのズルイ男はゴロゴロいそう。
    雛乃ほどには愛せないとはっきり言い切っておきながらも、宇野を手放すことは出来ない…村上の甘えとか、エゴが腐臭。読んでいて宇野が不憫に思えたりします。
    しかし、リアルだったらこういうこともあるんじゃないかと。村上はそもそもゲイじゃないから、これはこれで愛の形のひとつなのかな~とも受けとれます。
    …でも、なんかひっかかる!
    特に私的には「攻の一途でブレない受への愛」がすごく好物なので、ロマンがひとかけらもないこの話は一体何のドS攻撃か?という理由で泣いてしまいました。

    宇野としては、忘れられない片想いを断ち切るために村上を拾ったのに、気付けば一緒に住んで手料理食べてますますこじらせてしまう事態に陥ってしまったわけです。こぎれいになった村上をかっこいいと思ってしまい、勘違いしてはいけないと思いつつ、その優しさに期待してしまいます。
    宇野の健気な恋心が言葉少なではあるのに、怒涛のように読み手の心に流れ込んでくるんですよね…切ないです。
    皮肉なことに、宇野に助けられまともな感覚を取り戻したとたん、村上は宇野の手を必要としなくなってしまうのです。宇野とHはできるけど、その後冷めるっていう描写は鋭い。
    村上を酷いなと言うのは簡単だけど、だからと言って責めることができません。
    宇野が彼を拾ったのだって純粋な好意からじゃなくて、自分の気持ちをどうにかしたいからという不純な動機が発端だったわけだから。
    恋愛って、自分でもコントロールできない感情なんですね、きっと。

    でも、そんな他人事とは思えない弱い心を持った村上と宇野を見ていると、たまらなく愛しさがわきあがってくるんですよね。
    絶対にこの先二人には添い遂げて欲しいと、切望&妄想してしまいました。できれば、村上にもっと痛い目に遭ってもらって、宇野の大切さを身に沁みて感じて欲しいです!!

  • 同級生再会モノ
    みんなの中心にいた村上。大学時代にはキャンプサークルを主催し、誰からも好かれ、美人の彼女がいて。
    地味な宇野はサークルの中でもあまり目立たず、村上の事が好きだから参加していた。
    そのまま社会人になり、縁も途切れたある日、大学の同級生の結婚式で村上の近況を知る。
    どうやら村上は以前とは打って変わって、同級生や後輩に借金をしては、返済を求められてもキレて返済しないような落ちぶれた生活をしており、まるで別人だと言う。
    村上への片思いの気持ちが何年経っても忘れられない宇野は村上を探し、再会する。まるでホームレスで異臭を放ち、宇野の金を盗んではパチンコへ行く村上を宇野は何も言わずに部屋に置いた。するとある時から減っていくばかりだった宇野の金が少しずつ戻り始めると共に村上にも変化が起こり…

    後半は宇野に恩を感じながらも本心としては過去の恋人に未練があり、さらに宇野を愛してるわけではないことに悩む村上のお話。
    特殊清掃の仕事をしながら少しずつ友人たちに返済を進め、目処がたってきた。そんなとき過去の恋人と再会したりする中で自分にとっての宇野の存在を考え始め…

    なんか切ないのはどんなに恩義があっても恋愛感情とはまた別ってことよね…
    最後までハラハラしました…

  • やっぱりクズだったけど今回は普通に楽しく読めた気がする、傷は少なく読了。
    学生時代クラスの中心にいた人気者をゴミ捨て場で拾う。

  • もう何度も読み返してる1冊。
    木原先生は、BLにある萌えを追及するんではなく、ひたすらリアル。
    もはやこれはBLなのか?といつも思います。

    前半は宇野視点で、拗らせまくった初恋を忘れたくて、ホームレスになってボロボロに様変わりした村上を拾って来るとこから始まります。
    結局、立直り始める村上に再度恋をしてしまうんですが。。
    後半は村上視点で、めちゃめちゃリアル。
    ひたすら一途で健気な宇野に感情移入してしまうんですが、村上の心情の変化も当然な感じなんですよね。。
    村上が「お前とじゃ無理」と伝えるシーンと、宇野が、全てを悟って村上に「幸せになって」と祈るように伝えるシーンがめちゃめちゃ胸に来ました。
    最後はハッピーエンドなので安心して読んでほしいです。

  • 前半、宇野視点。ずっと好きだった村上の成れの果てをみても嫌いになれない、宇野の一途な想いが切なかった。一途だけど潔い部分もあって好きです。後半は村上視点。立ち直って行くうちに自分の宇野への感情に疑問を持つようになっていく… 「人でなしの恋」タイトル通りの話だった。相変わらず痛い攻めだった。でも多かれ少なかれこういった気持ちの流れが、みんなあるんじゃないかな… 理解は出来るけど、ハッキリ言えば村上みたいな男は嫌だけどね(笑)宇野の幸せな姿がもっと見たかった。

  • 漫画のほうを先に読んでから読みました。
    村上が本当にだめなやつすぎて…でも現実感ありました…
    元々ノンケだし雛乃とお別れしたのだって完全に心が離れたわけじゃないから村上の気持ちもわかるけど宇野に感情移入しすぎてつらくていたかった。
    感情移入しすぎるから最近小説読んでなかったから余計につらくて。
    とくに村上視点のひとでなしの恋でキスの雰囲気だから気分じゃないけどキスしたってところと先にイった後、宇野早くイかないかな…のところ…
    好きな人にそう思われてると思ったら本気で凹んだ…
    最後の1ページまで甘い雰囲気があるわけでもないので半泣きで宇野の幸せを願いながら読みました。
    最後の数ページを繰り返し読んでなんとか心の中で消化。

    そうそうバニラアイスと抹茶アイス食べたくなった。

  • 落ちるところまで落ちたら、こうなるのよね。
    読んでて辛かったけど、無事に立ち直れてよかった。

  • 私が耽美が好きではない、と言うのは『ヴェニスに死す』を読んでいた時にも思っていたことだ。年寄と少年と言う対比と共に美醜の対比が残酷に突きつけられる時に、見ていた自分はアッシェンバッハに少しも同情心を持っていなかった。、老いて醜くなってしまった自分を恥じてじいさんの癖に化粧したりする様が無様である様を見せる映画が「耽美」ではあるまい、と思っていたのだが、タジオ(ビョルン・アンドレセンの)の美を愛でると言う意味では確かに耽溺であった。耽美とは、美しいものを愛でる方でしかない人間を指す言葉で、美そのものではない、と言う事なのだ。この差は大きい。映画を見ながらタジオのように美しくありたいと思うだけで、耽溺したいと言うのとは違うな、と気づいていた。そう考えているとふと、木原作品のこっぴどく痛い描写に差し掛かった時に、痛い目を見る人間の恐怖よりも、今まさに痛い目に遭わせようとしている人物の方に同調してある種の高揚感を感じながら読んでいる自分がいる。だから私は木原作品を「痛い」とは描写するが「容赦なくて辛い」とか「可哀想」と言う風に捉える筈がない、と言う事に気付かされた。痛い目を見せる方に肩入れして読んでいる訳だから、自分は「痛く」ないわけだから平然と読んでいるのかもしれん。かと言ってあのような所業を働きたい願望がある訳ではないが、精神構造上、そっちに傾いている性質なんだろうな。自分の名誉の為に(笑)くどくど書いてしまうが、酷い目に遭う人間に同情してない訳じゃないが、痛い目を見せている人間の方の気持ちと言うか、なぜそうしてしまうか、の方に反射的に自分の視点が切り替わるんだろうな。これ辺で木原作品のどこに惹かれているのか、二分されるかもしれんな。
    耽美話からなんで木原作品考察になったんだ…あ、そうか、美を振りまく方、痛さを振りまく方に視点が固定される、と言う意味で同じと言う事か。木原作品の痛い描写に差し掛かると、不謹慎かもしれんがどこかでぞくぞくしている自分がいて、そう言うのは自分の中に嗜虐趣味があると誤解されるかもしれん、でもそれは違う、理不尽だ、と思い色々考えてたら、あのぞくぞくは「好きな子に意地悪する・している時」の気持ちと同じだ、と気づいた今日…登場人物がそういう行為に及ぼうとしているのを見ていると、好きな子にそれは強烈過ぎて誤解されるよ、気持ち解るけどさぁ…って思いながら読んでる為、痛めつける行為が如何に冷酷に見えても、どこかで(今この瞬間は先にある想いに気付いてないだけだな、こいつばかだなぁ)って眺めてる自分がいる。どんなに愛がなさそうに見えても、屈折して歪んでて決して綺麗じゃないとしても、愛がある(だって、好きだからそうしたい気持ちが湧くんだから)って「幼稚」な動機が解るからだろうな、私自身に照らし合わせて。未熟で何が悪い、完璧で正義に溢れた愛だけが愛じゃないぞ、って思うからだろうな。人間の小悪党な部分を(性根が悪い、と言うか)文字にして書いてしまうと言う…やっぱ木原さん凄いわ。この人はこう言う人である、と言う書き方の方が簡単なんだよね、創作物だから。

  • 攻め様が受けに恋してる!!!
    と気づいたあたりの展開が予定調和だとしても手放しで受けに良かったね!!!!!と心から思えるから、何がすごいのかわかんないけどすごい。

  • 前回がアラブだったのに対して
    非常に温和な作品でございました。
    ビックリするようなシーンもなく。
    なので安心して読めた…とも言えないか。
    まったりとはしてるんだけど
    片思いってなんつーか、ツライ。
    更にいうと、この本の場合は攻めクンがワタシ的には非常にズルい男にしか思えなくて。
    悪い奴ではないんですが。

    ズルくないときっと話は進展しなかったんだろうけど
    (関係を持つこともなかったんだろうけど)。
    そう思うからこそ鼻につく狡さであったりもするのでした。

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著者プロフィール

木原音瀬 (このはら・なりせ)
高知県生まれ。1995年「眠る兎」でデビュー。不器用でもどかしい恋愛感情を生々しくかつ鮮やかに描き、ボーイズラブ小説界で不動の人気を持つ。『箱の中』と続編『檻の外』は刊行時、「ダ・ヴィンチ」誌上にてボーイズラブ界の芥川賞作品と評され、話題となった。ほかの著書に『秘密』『さようなら、と君は手を振った』『月に笑う』『ラブセメタリー』など多数。

「2020年 『罪の名前』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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